競争激しいコンパクトSUV市場にハイブリットと魅力的なクーペのスタイルをもたらした素晴らしい車・トヨタ C-HR



トヨタという言葉を聴いてあなたは何を思い浮かべるだろうか? きっと直ぐに「信頼性が高い」「しっかりした作り」「優れた技術」 そんな言葉が出てくることだろうが誰も『斬新さ』なんて思い浮かべることはないだろう。

だがそれも今日変わる。 このトヨタ自動車が発売した新型SUV『C-HR』は見ての通りとても挑戦的なデザインをしていてるから、 きっとあなたも気に入るはずだ。いや、もしかしたら一部の人は酷く嫌うかもしれない。

C-HRとはクーペ・ハイ・ライダーの略だ。 一見、日産自動車から出ているジュークに見えるかもしれないがそれよりも一回り大きく、 どちらかと言えば日産・デュアリスの競合車だろう。

インテリア


平凡な見た目のトヨタ・RAV4に対する答えとして、欧州を意識したデザインで作られたのがこのC-HRだ。 なぜなら私たちヨーロッパ人はしばしば車を選ぶ際そのデザインを最重要視する。

C-HRのインテリアデザインは現行のどのトヨタ車とも違っている。 型にはまらないデザインで、特に私が気に入っているのはダイアモンド柄のパターンを ドアパネルや、天井や、センターライトなどにあしらっている所だ。

ダッシュボードを彩る蛍光色のライトも、 安っぽく堅いプラスチックでなく柔らかい素材がふんだんに使われているのもいい。 インテリアの品質ではトヨタ車の中で間違いなくベストだ。


収納スペースも十分だ、 グローブボックスとドアポケットは1.5リットルのペットボトルが収まるほどの大きさがある。

ただダッシュボード中央にあるナビゲーションなどを表示するインフォメーションディスプレイ、 ここに表示されているデジタル時計は古臭いデザインで気に食わない。 まるで90年代のトヨタ・カリーナから持ってきたかのようだ。酷いね。

グレード構成


グレード構成は3種類(日本画は4種類)あり、それぞれ標準装備が非常に充実している。 エントリーレベルでさえリアビューカメラに8インチのタッチスクリーン、 デュアルゾーン式フルオートエアコンが装備され、 歩行者などを知らせてくれる車両接近通報装置やレーンディパーチャーアラートなどの安全装置、 オートマチックハイビームライトやレーダークルーズコントロールまで付いてくる。

後部座席


後部座席のドアハンドルのデザインがいい。
車体が比較的高いので後部座席に座っても快適で、 前の座席と膝との間のスペースも十分あるし、天井に頭をぶつける心配はなさそうだ。 身長の高い人は天井と頭の間のスペースが気になるかもしれないがそこはトヨタの一工夫、 前の座席の下にスペースが設けられ足を少し伸ばすことが出来るから座席に深く座れるので問題はないだろう。 床はフラットではないが足元の出っ張りは小さく三人座ってもそれほど窮屈さはかんじないはずだ。


ただ実際に座ってみると分かるが天井の形状と、Cピラーのせいで窓が小さくまた高い位置にあるのでとても閉塞感を感じる。 小さい子供はここに座るのを嫌がるはずだ。

トランク


トランクの大きさは一般的なファミリー ハッチバックと同等だ。 見ての通りスーツケースが2つ入るぐらいの広さがある、6:4分割リアシートのおかげでさらに広くすることも可能だ。

少し気になるのはトランクの位置が高いこと、トランクの床が入り口より低く段差があること、 それと後部座席を倒した後にトランクの床との間に段差が出来てしまうこと。 また欲を言えば他車にあるようなトランク下の収納などがあれば良かった。

走行性能


1.2リッターターボエンジンを搭載する4WD駆動モデルと1.8リッターエンジンにモーター搭載したハイブリッドモデルがある。 新型プリウスと同じハイブリッドシステムだがこのC-HRはプリウスほど洗練されてはいない。

75%の人達がハイブリットを選んでいるが 私たちが薦めるのは1.2リッターターボとシンプルなマニュアルミッションの組み合わせだ。(※日本ではマニュアルはありません。) 1.2リッターターボエンジンはパンチがあり、とてもスムーズで、滑らかに稼動する6速マニュアルミッションのおかげで よりスポーティーさを感じられるしとても経済的だ。

トヨタによると燃費は1.2リッターターボは47mpg、私たちがテストしたところ41mpgだった。 ハイブリットなら72mpgだというがよほど丁寧に運転しない限りそんな数字にはならない。実際はそれより遥かに下回ってしまう。

それに1.2リッターターボをこうして運転してみるととても楽しいから驚きだ。 ステアリングは軽快で正確、ボディロールも少なくそれでいて乗り心地も良い。

ハイブリットでは電池などで重量が増えるので乗り味がだいぶ違ってくる。 乗り比べるとその重さを感じるはずだ。 エンジンは中々EVモードに切り替わろうとしないし、 丁寧にアクセルを踏み込んでもエンジンの回転数が急激に上がってしまい不快に思うだろう。 その上EVモードでは1マイルしか電池も持たない。


そしてこの車の最大の弱点も指摘しないわけには行かない。 巨大なCピラーのせいで後方の視界が最悪だ。駐車する時には苦労するだろう。 さすがにトヨタもそれを理解しているのか全てのグレードにリアビューカメラを標準装備させている。 中級、上級グレードではBSM(ブラインドスポットモニタリング)も選択可能だ。

総評 4.1 / 5

トヨタ『C-HR』は全体的に見てみれば驚くほどいい車だ。 コンセプトカーのようなスタイリングもインテリアも良いし1.2リッターターボなら運転が楽しい。 日常的に使う車としてピッタリだしブランドが長年培ってきた信頼性もある。

この車のデザインが好きでないとしてもコンパクトSUVを購入したいと思っているならチェックリストに加えるべきだ。

燃費性能 4.3 / 5

洗練されたターボエンジンは十分な燃費。ハイブリッドの経済性は書類上のもの。

ドライビング 4.2 / 5

騒々しく、耳障りな音をたてるハイブリッドはせっかくの上質なハンドリングを損なっている。 ガソリンターボを運転するのは喜びである。

インテリア・室内快適性 4.4 / 5

トヨタ史上最高の品質。今までの悪い評価を吹き飛ばした。

実用性 3.9 / 5

見た目から予想していた以上に実用的で多目的。

安全性・信頼性 4.5 / 5

トヨタという名前は常に信頼という言葉とセットだ。 それにC-HRには最新の安全装置が備わっている。

良い点
  • 思わず振り向くであろうスタイリング
  • 効率的なエンジン
  • 上質なインテリア
悪い点
  • 競合車に比べて実用性で劣る
  • ハイブリットは運転していて楽しくない
  • CVTギアボックスが五月蝿い

Toyota C-HR SUV review Carbuyer