ブルームバーグ英語版より

中国にはもっと外国人が必要だ

China Needs More Foreigners by Christopher Balding - bloomberg.com - 2017年7月31日

中国はこの数十年間にわたって「ソフトパワー」、非軍事的な手段による自国の影響力を拡大しようとしてきた。

中国は年間100億ドルを費やし海外で語学学校を設置・運営したり大学の建設などを行った他、自国のエンターテイメント企業の海外市場への進出も促してきた (※前者は厦門大学マレーシア校設立や中国語と中国文化を教える孔子学院のこと。後者は2016年1月に米大手映画会社レジェンダリー・ピクチャーズを中国の大連万達グループが35億ドルで買収したこと)。

国営メディアはこれらの計画は「観光を経済改革と成長の主要な柱の一つに発展させるため」と述べている。実際アメリカやヨーロッパがそうであるように、中国も外国からの旅行者を誘致することを長い間望んできた。

しかしそれらの努力にもかかわらず中国を訪れる外国人の数の成長率は低迷している。昨年のインバウンド観光客は3.8%しか増加せず、しかもその約80%が香港、マカオ、台湾から来る観光客だ。 (2016年の中国のインバウンド観光客は3.8%増の1億3,800万人、アウトバウンド観光客は4.3%増の1億2200万人。ソース

そしてその理由は中国がその実 外国人を全く歓迎していないことにある。

中国が外国人に人気でない理由:ビザ

ビザのプロセスはその典型的な事例だ。 ビザなしでの入国が許可されている国は米国が38カ国なのに対して中国は13カ国からのみ。対象国以外の人々は誰もが事前にビザを取得しなければならず、米国にある中国のビザセンターには旧正月の祭典に関連した混雑もある。

ビザの費用は140ドルだがそれはビザセンターで何時間も列に並びビザ申請書を手渡しした場合の話であり、急いで処理したい場合は別に100ドル以上を支払うことになる。このような規制は非常に大きな経済的障壁を生み出す。

世界銀行や世界観光機関のデータを元にした最近の調査(ソース(英語))によると 国によってはビザ要件によりインバウンド観光客が70%も減少することが判明している。実際2015年に中国本土を訪れたアメリカ人はわずか200万人だけだった。中国の国内総生産(GDP)の3%弱、人口の1%弱に過ぎない香港には180万人のアメリカ人が訪問しておりその少なさを際立てている。

中国が外国人に人気でない理由:観光の政治利用

中国はまた、特に台湾や韓国との紛争などがいい例だが、しばしば観光を政治的目標のために利用するためこの問題をより悪化させている。

ミサイル防衛システムであるTHAADの韓国への配備をめぐって中国が国民の韓国への渡航を制限した結果、韓国人は中国から距離を置くことを選んだ。今年5月には韓国から中国への入国者は前年より42%減少し、その一方で日本訪問は85%も増加している。
これらすべてがマクロ経済の安定性に影響する。 2017年6月の連邦準備制度理事会の報告書によると、1,900億ドルもの金額が観光関連消費の機会損失という形で失われた可能性があるという。中国がインバウンド観光から得ている外国為替は年間約350億ドルであることを考えるとかなりの金額になる。

中国当局による国際収支統計によると中国は2016年に2170億ドルの観光赤字を計上しており、これは貿易黒字全体の44%に相当する金額だ(※中国の2016年の貿易収支は5099億6000万ドルの黒字。ソース:ロイター通信(英語))。 資本流出を阻止しようとしている国にとってはこの観光客の不足は非常に痛いところだ。

中国には移民が少ない、日本よりも

しかしこれは外国人が中国を訪れることに慎重になっていることがもたらす症状の1つに過ぎない。中国には外国人観光客だけでなく移民もまた少ないのだ。

調べる事ができる範囲での最新の推計によると、2013年に中国全土に住む外国人は100万人未満だった。移民に積極的でない日本でさえその数の2倍の在留外国人がいる。(日本に住む外国人の数が過去最高に、総務省が2017年に発表したデータで明らかになる(当サイトの記事へのリンク)) 数々の調査が移民は経済成長、起業家精神、イノベーションを促進する傾向があることを証明しているが、中国ではこの事はほとんど知られていない。

これらの問題を解決することは政治的に困難だろう。だが中国が取るべき道は明白だ、そのビザ制度を簡素化することに他ならない。インドやベトナムをはじめとする他のアジア諸国は近年、ビザ申請のプロセスをより簡略化し安価にするために真剣に取り組んできた。中国がより多くの外国人観光客を誘致したいのなら、彼らの外貨を得たいのならば、彼らがそこにたどり着くことをより容易にすべきである。

海外の反応

bloomberg.comのコメント欄より: ソース

Iseheijiro 年間640万人の中国人が日本を訪れる。そして逆に中国を訪れる日本人はその数と比べるとほとんどあってないようなものだ。日本には年間2400万人の外国人が日本を訪れており、しかも年々増え続けているというのにどうしてこうなった?

(2016年に日本を訪れた外国人観光客は2403万人、そのうち中国人が637万人と昨年に比べて2割以上増加。一方で昨年中国を訪れた外国人(香港・マカオ・台湾を除く)は約2500万人。ソース:searchina.net

Howard Craft そりゃ何かにつけて日本のお店や工場を破壊してれば日本人は来なくなるわな。中国はナショナリズムに走りがちだ、1930年代の日本がそうだったようにね。

chispasco 米国での中国の評判はイマイチなんだよね。 中国の腐敗、汚染、環境問題への無関心、閉鎖されたメディア、言葉が通じず言語学習も難しい事、そういった話ばかりが広まっている。

中国には中華料理という素晴らしい文化があるんだけど残念ながら米国でよく知られていない、というかファーストフードのイメージが強い、まぁゆっくりと変わってきているとは思うが。

Robert Bray 昔は私も素直に中華料理を楽しめたんだけどねぇ。中国の食料を信頼する能力をすべて失った元中国人と結婚してからは食べたくなくなったよ、特に中国本土なんかでは。4歳の娘もいるから尚更だ。もちろん家で作る分にはいいんだけどね。

niknah 1. 領事館で行列に2回並ぶ必要がある。最初はパスポートを提出し、次はビザをもらうのとその代金を払うのとで。

2. ホテルを予約しようとすると、全てのホテルが外国人を受け入れるわけではないので断られる事がある。

3. 中国に着くと国外のインターネットのほとんどがブロックされる。

4. ホリデーシーズンにどこも混むのは他の国でもあるが中国のそれは尋常じゃない。

申し訳ないけど中国は観光客に優しい場所ではないよ。

Matty 10年前は楽しく旅できる国だったんだけどねぇ。当時はビザは安くて入手も簡単、中国人は国内旅行なんて滅多にしなかったから混む事も少なかったし。インターネットは自由だったし人民元も物価もかなり安かった。

Philip Nash 中国ビザの費用はどの国の出身かで変わってくる。私が妻と中国のビザを取得しに行った時、彼女は米国市民で私は英国市民だったから彼女は私よりも多くお金を支払った。米国が中国人に求めるビザ代と同じような額を中国は米国人に請求してるんだ。

Joseph Siew 中国に住む外国人が100万人以下と言うけど、じゃあ200万人近くいる中国に住む台湾人は? いつの間に台湾は中国のものになったんだ?

Robert Bray ソース元が中国共産党の発表そのままに書いちゃったんだろうな。

Alex Wijaya それに中国には観光ビザで入国して期限が切れてもそこで住み働き続ける人がたくさんいる。共産党はそういった人たちが国の経済に貢献してくれるから放置しているのかもしれないけど。

Tony White スモッグだらけで市民すら外に出たがらない国に誰が行きたいと思うよ? それともしチベットに行きたいと思っている人がいるなら止めとけ、あそこは中国に占領され中国人だらけになってる。

Liars N. Fools 中国の観光施設はまだまだ不十分だ、特に西洋人観光客が求める基準からするとね。日本は外国人にとっても観光しやすいものになっている、それは日本の国内旅行産業が成熟しているからだ。

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“Great Wall” by Bruce Dall is licensed under CC BY 2.0