ASEAN+3首脳会議の決定を受けて設立されたアジア太平洋地域の政治/経済/国際関係等に関する分析と研究を行う国際組織/政策フォーラム『東アジア・フォーラム(EAF)』より

米韓同盟の消滅を狙うロシアと中国

China and Russia’s sky-high strategy - 28 August 2019



2019年7月23日、ロシアと中国の戦闘機(戦闘機と観測機を伴った長距離核対応爆撃機)が東シナ海と日本海上で「共同パトロール(共同哨戒活動)」を実施した。

ロシアと中国が共同航空作戦を実施したのはこれが初となる。



北東アジアで実行された示威飛行は中国とロシアの戦略的絆の強さを示すものであり、そのメッセージは韓国政府をメインターゲットにしたものだ。

この共同哨戒活動のルートには東アジアで最も政治的に敏感な地域の1つである独島(竹島)が含まれていた。その領有権をめぐり対立している韓国と日本では当然外交論争が起こった。

韓国政府と日本政府は共にロシア軍用機が2度にわたって領空侵犯を犯したと主張、韓国の迎撃機は数百発の警告射撃を行った。

ロシア政府と中国政府は哨戒活動は国際水域で行われ主権空域を侵害していないと断固として態度でその主張を否定した。
問題は実際に領空侵犯が行われたかどうかではない、ロシアと中国の空軍によるこの初となる共同ミッションが持つ重要な外交的および戦略的な意味だ。

北東アジアの空で実行されたこの作戦はロシア政府と中国政府の「戦略的パートナーシップ」が張り子の虎ではないというメッセージに他ならない。そしてその関係は憂慮すべき政治-軍事勢力になりつつある。



ロシアと中国による同様の動きは以前にもあった。2016年には中国とロシアの軍艦が尖閣諸島付近を同時に航行するという事件が起きている。

その時はロシア政府も中国政府も一切のコメントを差し控えていたが、今回の動きは明らかに協調していることを臭わすのではなく、デモンストレーション効果を最大限に引き出すことを狙っている。
デモンストレーション効果:
経済用語。まわりの人々の派手な消費生活、特に高額所得者の消費生活を見せつけられることによって所得水準よりも高い消費生活を営むようになるなど個人の消費性向が影響をうけること。




またこの共同哨戒活動はロシア-中国間のより強固になった政治的および軍事的関係を示すこととは別に、ロシアと中国の空軍のインターオペラビリティー(相互運用性。異種の機器・システムを一緒に運用可能にすること。国を越えて全体として正常に動作する能力)を強化するという実利的な目的を有していた。

もちろんそこには韓国の防空システムの対応を意図的に誘発することにより貴重な軍事データを収集するという目的もある。
現在ロシアと中国は新たな軍事協力協定を締結すべく交渉を重ねている

これは1993年に締結された以前の合意に代わるものであり、新たな段階に入った政治的および軍事的パートナーシップを反映したものになると見られている。

7月23日の共同哨戒活動がこれから来る出来事の前兆であることはほとんど疑いようがないと言っていいだろう。

国境を越えた中国とロシアの軍事作戦は今後、規模と洗練度を増して継続的に行われることは必至である。



ロシアの一部のアナリストはロシアと中国の軍事協力の次の段階の1つとして、太平洋地域で活動するロシアと中国の軍隊を支援するために早期警戒管制機や空中給油などの後方支援リソースを共同利用する枠組みを形成することを挙げている。

またロシアと中国は武器販売や、極東で行われた軍事演習「ボストーク(東方)2018」のような大規模な軍事演習など、すでに確立された軍事協力の取り組みを強化すると考えられる。



中国とロシアが軍事パートナーシップを強化する動きを加速し続ければ西太平洋の治安秩序は必然的に影響を受けることになる。

ロシアと中国の協調行動はアジア太平洋地域における米国を中心とした同盟システムに対する挑戦であり、この地域の戦略的バランスを変えようとする試みである可能性が高い。 個別に行動しては太平洋における米国の覇権を弱めることは望めないからだ。



中国とロシアの共同哨戒活動、その他の共同軍事活動が近い将来、たとえば東アジアを越えた大西洋、中東、北極、カリブ海などで展開される可能性はあるか?

中国が海外への戦力投射を実施する能力(軍事力を準備/輸送/展開して軍事作戦を遂行する能力)を成長させ、海外で軍事基地のネットワークを構築していることを考えるとその可能性を除外することはできない。

しかし中国とロシアの新たな軍事同盟が実現した場合、その活動は北東アジアから始まる可能性が高い。

ロシアと中国はこの地域に対する直接的な軍事的・経済的影響力を有しており、もし緊密な連携を実現することができれば互いを補完できる関係にある。 さらに重要なことは、彼らが米国と直接対峙している場所がこの地域であるということだ。
7月23日に行われたロシアと中国の戦闘機による共同哨戒活動は米国、日本、韓国政府に対するメッセージだったが特に韓国を狙ったものだと考えられる。

爆撃機は尖閣諸島や沖縄の上を飛ぶこともできたがロシアと中国は韓国が実効支配する独島(竹島)を選択した。

それは朝鮮戦争終結以来初となる韓国に対する外国軍用機による領空侵犯だった。



中国政府とロシア政府は韓国を、アジアにおける米国の同盟ネットワークの中で比較的弱い鎖と見なしている。

さらに韓国は日本よりも中国-ロシア連合からの圧力に対して脆弱だ。

中国政府とロシア政府による "アメと鞭" 的なアプローチ次第では米韓同盟が弱まる可能性さえある。

軍事力の誇示は韓国政府に影響を与える方法の1つにすぎない。韓国の経済は中国に大きく依存している。

さらに中国とロシアの北朝鮮との結びつきは彼らに朝鮮半島情勢への大きな影響力を与えている。



ロシアと中国がその影響力を前面に出して韓国を中立国家にしようと考えている可能性も考慮すべきだ。

この韓国の「フィンランド化」が成された場合、北東アジアおよび世界の両方で米国は大きな打撃を受けることになるだろう。
フィンランド化:
議会民主制と資本主義経済を維持しつつも共産主義国の勢力下におかれる状態を、フィンランドとソビエト連邦の関係になぞらえた語。弱小国が隣接する強大国に隷属して黙従的な姿勢をとること。弱小国が生存のために強大国に黙従して独立を守る外交安保路線。

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米韓同盟に関する海外の反応

twitter.comより: ソース , ソース , ソース , ソース


上記の記事の著者でロシア・ウラジオストク極東連邦大学の国際政治学者 - Artyom Lukin
新たに生まれつつある中露軍事同盟、その運用先として現在最もうってつけな舞台となっているのが北東アジアであると私は考える。北京-モスクワの同地域における戦略目標の1つが韓国をフィンランド化することだ。


Euan Graham 中露が試験的な軍事同盟の下で活動を活発化させようとしていることは理解しましたが北朝鮮はどのポジションに収まるんです?

北朝鮮ほど韓国の無力化の恩恵を受ける勢力はいないはず。北朝鮮は何もせずに受益者となるのか、それともこのギャングのメンバーの1人になるのですか?

極東連邦大学の国際政治学者 - Artyom Lukin 良い質問だ。短期的には米韓同盟を弱体化させる中露の取り組みから北朝鮮は恩恵を受けることになるだろう。

ただ私は "北朝鮮は韓国が米国との同盟関係を破棄することを望んでいる" という従来の見解に賛同していない。

北朝鮮としては核能力を失わずに米国との関係正常化さえできればいいと考えている節があり米韓同盟におそらくこだわっていない。むしろ朝鮮半島における米軍のプレゼンスを北朝鮮の "対中国" 政策に有用と見ている可能性もある。

さらに中露が北朝鮮と "対韓国" で本格的に協調して事に当たるとは思えない。まず第一に、中国とロシアは北朝鮮を対等な相手と見なしていない。第二に、彼らは北朝鮮をあまり信用していないからだ。


極東連邦大学の国際政治学者 - Artyom Lukin
韓国の大統領報道官がソウルとワシントンが共通の認識を持っていないことを認めた。

「同盟関係がどれほど重要であったとしても、韓国とその国民の国益より優先されるものは何もない」

- 韓国がGSOMIAを破棄したことを受け韓国を避難 -
ワシントンは韓国政府が2016年に日本との間で結んだGSOMIAを破棄したことに不満を抱いている。この紛争は第二次世界大戦が終わると共に終了した日本の朝鮮半島支配に端を発している。 米国の公共ラジオネットワーク「ナショナル・パブリック・ラジオ」



米国の日刊新聞紙『ニューヨーク・タイムズ』
韓国は日本とのGSOMIAを終了することにより、韓国人の日本に対する何世紀にもわたる怒りは、米国と韓国の間の70年にわたる同盟を理由に抑えることが常にできるとは限らないことを示した

- 国内で数多くの問題を抱えた韓国のリーダーは矛先を変えるべく日本への敵意を煽る -
経済が低迷する中、ムン・ジェイン大統領は朝鮮半島に対する日本の植民地支配に根ざした日本への恨みを利用した。



米国のシンクタンク「ランド研究所」の国家安全保障政策アナリスト - Derek J. Grossman ‏
なおGSOMIAが実際に期限切れになるのは11月下旬であるためムン政権がこの間違いを正す時間はまだある。

現状では、このGSOMIA破棄という決定は米韓同盟を分裂させ、日韓関係をさらに悪化させるだけだ。そしてそれらは共に北朝鮮と中国の主要な戦略目標でもある。

- 米国が韓国に日本とのGSOMIAを更新するよう呼びかける:米国の国防当局者 -
韓国聯合ニュース



米フレッチャー法律外交大学院で東アジア研究を行っている北朝鮮問題の専門家で助教授 - Sung-Yoon Lee
「韓国の国家安全保障および日本を含んだ米国主導の疑似三国同盟の強化は、政治的利益のために反日感情の炎を煽り北朝鮮をなだめることよりも、ムン大統領にとって優先順位が低いようだ」

- 韓国政府の北朝鮮および日本との関係にはショック療法が必要だ -
(在韓米軍の再編というショック療法で韓国政府を目覚めさせなければならないといった内容の記事) 米国の政治紙「The Hill」

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韓国・釜山大学の政治科学教授 - ロバート・ケリー
- 韓国は米国との外交に完全に誤った対応をしている -
朝鮮日報英語版


韓国の年配の保守派は国内で最も親米的な勢力であり、右寄りな朝鮮日報は彼らの機関紙ともいえるメディアだ。

したがって朝鮮日報がこのような事を言っているということは、 米国が韓国ではなく日本と同調し同盟国に向けているとは思えない言葉を韓国に向けているということは、米国と韓国の同盟関係が極めて危うい状態になっているということだ。

もしこの状態が続き、そしてトランプが再選された場合、二期目を迎えたトランプ政権が在韓米軍の撤退を決めるということが現実となる可能性がある。


Jimmy Drama ‏ 怖いこと言わないでくれよロバート...

CaffeinatedMan 来年の選挙で与党が勝つためには今の路線を続けるという選択肢しかムン政権には残されていない、なんせあの政権はありとあらゆることに失敗し続けているのだから。

Sussex Mod 政治家ではなくビジネスマンであるトランプの中では在韓米軍撤退が既定路線になっているような気がする。

The real Mr. 305 撤退するとは思わないが在韓米軍の削減は十分にあり得ると思う。


東アジアの経済・安全保障を専門とするアメリカのジャーナリスト/コメンテーター - Gordon G. Chang
ムンジェインは米国と韓国の同盟を破棄することを決意している。彼の目標は韓国を中国-北朝鮮圏に移すことなのだろう。アメリカはパートナーを失い、韓国の人々は自由を失いつつあるというわけだ。

米国の安全保障に害をもたらす日韓の対立が底を打つことを米国は望んでいるが、ここにきてさらに韓国が竹島で軍事演習を行ったことに対し同盟強化の助けにならないと国務省の高官は火曜日に述べた。 ロイター通信


Alphonse-Louis Vinh 韓国人が我々を望まないというのなら、我々は彼らに北の全体主義の兄弟と一つになればいいと言うべきだ。在韓米軍を徹退させ日本、台湾、ベトナムなどの東南アジア諸国との経済的/地理的/政治的な関係を強化すべきだ。

Phillip Malone 🇺🇸 🏄🏻‍♂️ 🎸 🏔 韓国人もこの大統領に不満を抱いている。むしろ退陣させたいとすら思っている。

sunny suh 韓国の保守派はこれ以上ないくらいに政権交代を望んでいる。

molly antonelli アメリカがいないと韓国は困りますんで...


数え切れないほどの数の韓国人が自由民主主義と強力な米韓同盟を維持するために戦っている。写真はソウルで行われた大規模な反ムン政権デモ/親米行進だがムン政権が厳密に管理する韓国の主要メディアではこれらが放送されていない。

左派による親ムン政権デモのほとんどは政府によってコントロールされた極端なムン信者によって行われていると思われ、こちらは主要メディアで大々的に放送されている。

韓国に住む欧米人にとっては今韓国で実際に起きていることを理解するのは難しい状況だ。我々が目にするモノの実態はその逆だというのだから。


liberty문죄인쿠테타실패 🇰🇷 🇺🇸 🇯🇵 ‏ 何度も言ってきたが米国はキムジョンウンを排除するまえにまずムンジェインを排除すべきだ。米国はムンジェインという男を過小評価している。

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