アルファロメオ ジュリア サルーン 2017年バージョンのレビュー

Alfa Romeo Giulia 2017 Saloon review | Mat Watson Reviews by carwow


建築にしても美術にしても、美というものを語る上でイタリアは外せない。そしてこの車、アルファロメオ ジュリアはそんなイタリアに人々が期待するものに見事に応えてくれており、ご覧の通り途方もなく美しい車に仕上がっている。今回試乗する車はハイパフォーマンスモデルではなく、ここイギリスでほとんどの人が選ぶであろうディーゼルモデルだ。この車はルックスも良いが値段も良い。スタート価格は29,000ポンド(約424万円)からとなっている。

アルファロメオ ジュリアのインテリア


この車のエクステリアはいくら褒めても褒めたりないほど素晴らしいが、嬉しい事にそれはインテリアにおいても同じ事が言える。個人的にかなり好みなデザインだ。スポーツカーのようなステアリングホイールにはエンジンのストップ/スタートボタンが付いており、フェラーリの車に付いているようなアルミ素材で作られたパドルシフトにアップグレードする事も可能だ。



弧を描いたダッシュボードはただデザイン的に優れているだけでなく、全ての制御盤が運転席側に向かってアングルが付けられ、座ってみるととてもスポーティーさを感じられる。標準装備も充実しており標準グレードにはクルーズコントロール、クライメートコントロール、USBポートが3箇所、衝突回避自動ブレーキなどが付いてくる。



また6.5インチインフォテインメントスクリーンも付いてくるのだが中位グレードのSuperにアップグレードすれば8.8インチの大型の画面になる。このスクリーンのダッシュボードとの一体感はとても美しく、ライバルの車で見られるようなiPadを乗っけたような物とは大違いだ。ただデザインはとても素晴らしく使い勝手も悪くないのだがライバルのドイツ車などと比べると若干解像度が低く、使われているプロセッサーも非力さを感じてしまう。またApple「CarPlay」とGoogle「Android Auto」は装備されていない。

中位グレードのSuperではインパネに7インチTFT液晶も装備されナビなどの情報が表示可能になり、シートには一部にレザーが使われる。

車内はどこを触れても手触りが良いが、あまり手が触れることのない足元に使われている素材は少々質が落ち、造りもこのクラスで最高というわけではない。



とても質の良さを感じさせるインテリアだが収納に関してはあまり褒められない。グローブボックスは他の車と比べると小さめでマニュアルは入れられるがそれを入れると他の物がほとんど入らない。そしてドアポケットだ。



我々は普段カーレビューで収納の大きさを伝える指標としてペットボトルを使っているのだが、これだけお洒落なイタリア車に乗るからにはサンペレグリノ(イタリアのミネラルウォーター)を使うべきだろう。ドアポケットも小さめでサンペレグリノは入る気配がない。では後部座席の収納はどうだろうか?

アルファロメオ ジュリアの後部座席


まず気になるのがホイールアーチの出っ張りが大きく乗り降りする際に煩わしさを感じることだ。そして後部座席のドアポケットは運転席側と同じく小さめでサンペレグリノは入らない。



広さに関しては問題ない。私は身長約180cmほどだが普通に座っても前席と膝との間のスペースは広く、天井と頭の間のスペースはそれなりにある。ただ後ろに3人乗せるにはあまり向いていない。中央の席はどの車においても両サイドと比べて快適でないのだが、この車の場合ドライブシャフトを通すためのトンネルが大きく巨大な出っ張りが床にあるせいで足元のスペースがかなり限られる。



ただセンターアームレストにカップホルダーが付いているのは便利だ。

アルファロメオ ジュリアのトランク


トランクの大きさは競合するドイツ車とほぼ同じで大抵の人は満足できるだろう。トランクの脇や床下にはちょっとした小物を入れられる収納があり、後部座席を倒せば丈の長い物も乗せられる。ただトランク内部には多少出っ張りがあり、アウディA4の方がより多くの荷物を積めるし積み込みやすい。といってもそれほど大きな差があるわけではなくこのクラスで最も大きいわけではないがかなり良い方だ。

アルファロメオ ジュリアの走行性能/エンジン/燃費


アルファロメオがセダンに後輪駆動を採用するのは25年ぶりになる。後輪駆動のメリットは前輪駆動が車を引っ張るように動くのに対し、押し出すように動くのでよりスポーティーさを感じられる事だ。

ハンドリングに関しては素晴らしいの一言だ。ステアリングのシャープさはこのクラスの車の中で抜きん出ており、ステアリングホイールを少し傾けるだけですぐさま反応しとても生き生きとしている。ジャガーXEほどではないがそれに限りなく近く、BMW3シリーズより優れている。

乗り心地だがハンドリングが素晴らしいにもかかわらずサスペンションは硬すぎないし道路の凸凹から来る衝撃を上手く吸収できている。ただ路面の悪い道路では多少そわそわした感じが伝わりアウディA4のような落ち着いた感じはしない。またアウディA4ほどの静粛性はなくドアミラー近くから少々風きり音が聞こえてくる。ロードノイズについてはそこまで五月蝿くない。まぁ全体的にはクルーザーとしては中々の出来だ。



ディーゼルエンジンは2種類あり共に2.0Lだが出力は150馬力と今回試乗している180馬力がある。グイッと押し出す力強さがあり0-60mp/h(0-100km/h)の加速時間は7.1秒、燃費は公式発表によると67mpg(23.7km/L)だが我々がテストした所41mpg(14.5km/L)だった。ちなみにこのディーゼルエンジンは回転数を上げるとかなりの五月蝿さになる。

ギアボックスは8速オートマチック、反応が良く先述したようにフェラーリと同じようなパドルシフトなので使っていて高揚感が味わえる。

エンジンはディーゼルの他に200馬力ある2.0Lガソリンエンジン、280馬力ある2.0Lターボガソリンエンジンが選択可能で、ハイパフォーマンスグレードであるQuadrifoglioでは2.9LターボV6エンジンが搭載されその出力は500馬力以上にもなる。

(ビデオ中に警告音が鳴る)
今聞こえた音はコリジョンワーニング(前方衝突予測警報)だ。コーナーを曲がった際に道路脇に止めてあったバンに反応した。全く衝突する危険性がなく十分な距離があったのだが...感度が良すぎるようだ。



視界性能に関してはあまり問題を感じない。リアピラーは太くなく後方の視界は良い、ただAピラーは太めなので斜め前に少し死角ができる。

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アルファロメオ ジュリアの悪い所

アルファロメオと聞いて誰もが想像するように、このアルファロメオ ジュリアは完璧な車ではなく いくつかイラッとするポイントがある。

・情報画面に表示される車内温度と実際に感じる温度の間に相互関係があるとは思えない。

・緊急ブレーキ時にハザードライトが自動的に点灯するのだが感度が良すぎて少し強めにブレーキをかけるだけで点灯する。少し恥ずかしい思いをするだろう。

・周囲に障害物がないのにパーキングセンサーが反応する。おそらく風のせいだと思われる。イラッとする。

・インフォテインメントの操作をするダイヤルは一見すると他のドイツ車のようにタッチパッド対応しているように見えるがしていない。またダイヤルは頼りなさげな造りで周囲にナビなどの機能を直ぐに呼び出せるショートカットボタンがない。

・車のキーが不必要にでかく重い。

アルファロメオ ジュリアの良い所

幸い全てが悪いという訳ではなく、悪い所を許せるようなクールな特徴がいくつかある。

・ユーロNCAP(ヨーロッパで実施されている自動車安全テスト)で成人乗員保護カテゴリーで98%と史上最高評価を獲得している。

・トランクのドア、サスペンションやエンジンの一部にはアルミニウムが使用され、後輪へ動力を伝えるプロペラシャフトにはカーボンファイバーが使われている。それらのおかげでこのクラスの自動車の中で最も軽量になっている。

・Quadrifoglioの2.9LターボV6エンジンはボタン1つでシリンダーの半分を停止させ燃料消費を抑えることが出来る。

・Uターンする時の最小回転半径は5.4mで回転円の直径は10.8mと競合車より扱いやすくなっている。

・制動距離を大きく短縮する「Integrated Brake System」のおかげで85mp/h(約137km/h)でブレーキをかけた際には競合車より5mほど短く止まる事が出来る。

総評 carwowスコア 7.8 / 10

carwow.comのビデオレビューでは最後にその車をお勧めするかどうかを、1.購入を避けるべき、2.検討するべき、3.候補リストに入れるべき、4.迷わず買うべき、の4段階で決めるているのだがこの アルファロメオ ジュリアは3.候補リストに入れるべきだろう。このクラスの車ではドイツ車が幅を利かせているが この素晴らしい車はそれらとは違った新たな選択肢を与えてくれている。車を降りた後に思わず振り返り見惚れてしまう、そんな魅力がこの車にはある。

良い点
  • 素晴らしいルックス
  • スポーティーなインテリア
  • 機敏なステアリング
悪い点
  • ディーゼルエンジンはそれほど速さを感じない
  • エンジンの選択肢が少ない
  • 造りに雑さがある

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース

Its Me たとえ信頼性が低くても、日常での使い勝手が悪くても構わない、イタリア車には魂と情熱とハンドリング、そして素晴らしいスタイルがあるのだから。

MrGts92 お決まりの言葉ありがとうございます。

Its Me そうね、そうよね、そうだよね。

alberteuz 私の所有しているフィアット・クロマにゃ魂も情熱も素晴らしいスタイルもなんもありゃしないよ。じゃあ日常使いに適しているか? そんな事ないんだな、これが。

President Robin 神よ、どうかこの車が素晴らしい車でありますよう、アルファロメオを救ってくれる存在になりますように... 世界はアルファを必要としている!

Joe Katama アルファロメオ万歳!

th tan アルファロメオ万歳! 自分の手で洗車すべき唯一の車!

President Robin 私はオンボロのシトロエン・サクソを普通に洗ってますけどね。

appelpower1 じゃあ言い換えよう。自分の手で自発的に洗車したくなる唯一の車! 経済的理由抜きで!

President Robin 私はシトロエン・サクソが好きなんだよ、いいだろ別に。

appelpower1 経済的な理由でなく、長年乗り回したことで愛着が湧いた車を抜きに、自発的に洗いたくなる唯一の車。これでどうだ :)

DLH アルファロメオ、マセラティ、フェラーリ、ランボルギーニのない世界で生きていける自信がない。

dirk diggler アウディとBMWを足して2で割ったような車がアルファを救えるとでも?

th tan なんだァ? てめェ... アルファはドイツ車をコピーなんぞしていない。イタリア車はいつだって個性がありスタイリッシュだったじゃないか。この車のインテリアを見てみろよ、最高のデザインだろうが! エクステリアも含めてアウディなんぞとは比べ物にならんよ。

appelpower1 アウディやBMWに見えるとしたら君、眼鏡買った方がいいぞ。

lalos 足元に安っぽいプラスチック使ったって誰も気にしないよな。

MrGts92 いや気にするでしょ。車の質はもちろんの事、耐久性にも繋がるんだから。

Shahidul chow 29,000ポンドもする車なら気にする。

Protector of the Republic しっかりとしたプラスチックなら耐久性に優れているはず。

TheSlavBall アルファってビデオや写真で見るより実際に目にした方が遥かに良く見えるんだよな。このビデオの時点でこんだけカッコいいんだから実車を見たらもう...ゴクリ。

carwow(動画主) あなたは正しい。直接見るとより素晴らしいと感じられますよ。

Leuff 数日前に始めてジュリアを見た。もう釘付けだったね、走り去るまで立ち止まって見てたよ。そんなことが出来る車は本当に限られている。

appelpower1 なんかじわじわ来る。最初に写真で見た時はガッカリしたんだが、なんか時間が経つに連れて段々と良く見えるようになる。このビデオを見てとても好きになった。で、先日街で見かけたんだが...シビレたぜ。

Daniel Verejan なんでもっとまともなプロセッサー、スマホとかに使われるSnapdragonとか使わないんだ? 理解できん。

Subi_fan 載せるならNVIDIA Tegraでしょ、Snapdragonなんて駄目だぁ。

Jacob Chekmenev 車に搭載するチップは特別なものじゃないといけないからね。振動や極端な温度、湿気、他にも車特有の環境に対応しないといけないから普通のプロセッサーは使えない。

Arvid WRX いいね、いいね。まさに自動車愛好家のための車だ。

Paul Hojda 個人的にはこの車より159の方が格好良く見える。というかメルセデスCクラスの方がまだ良く見える。正直皆アルファロメオって名前にやられてるんじゃないの?

President Robin まぁ車のルックスの好みなんて人それぞれですから。ただ159がカッコいいのは確かだ、セダンの中では最高のデザインだと思ってる。でもこのジュリアも好きよ。

okumonux ちょうどローマへの旅行から帰ってきたところだ。何台ものアルファロメオ ジュリアを見かけたが何度見てもため息が出るほど素晴らしい。これが出た後でもアウディA4を買おうとする人がいるとしたらちょっと信じられないね。それとローマのカフェでコーヒーを飲んでいたら目の前にマセラティ・ギブリが止まった。私も興奮したが隣に座っていたイタリア人老紳士も物凄く興奮してた。こと車のスタイリングに関してはイタリア人ほど優れた連中はいないって実感したね。

Mercury Cater ああ、アルファロメオにはフロントにナンバープレートを付けないでいいように法律が変わればいいのに...

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