ワシントンD.C.の政治専門紙『The Hill』より

シンガポールで米朝首脳会談が開かれるが、キムと署名をする前に歴史を思い出せ

In Singapore, remember history before signing a deal with Kim - 06/10/18 - by 米ナショナル・インタレスト・センター国防研究部長ハリー・カジアニス

Embed from Getty Images (シンガポールに到着したキム・ジョンウン)

世間は12日に控えた米朝首脳会談の話題で持ちきりだが、さて、ここでテレビの司会者、評論家、ジャーナリスト、シンクタンク、さらには米国大統領のブレインの方々が抱いているだろう疑問に私なりに答えてみよう。つまりは、シンガポールで開かれる米朝首脳会談はとどのつまり何をもたらすのか、という疑問だ。

答えは簡単だ、何世代にもわたり語り継がれるような素晴らしい写真の数々と、歴史的な会談の成功という結末だ。

少なくとも我々は "それがもたらされたと信じさせられる" 、これまでの経験からすれば。



だがそれはあくまでも表面的な話だ。実際にどうなるか、カナダ・ケベック州で開かれたG7首脳会議でトランプ大統領が 「たった一度の機会」(one time shot)と述べた今回の首脳会談で、北朝鮮がこの惑星上で最もならず者である、詐欺師の中の詐欺師であるという評判を覆すためにこの会談中にどんなことをするのかを知るのに、かの有名なプリンストン大学の博士水準の学位も、キム一族の独裁政権が繰り返す極めて退屈でつまらないプロパガンダを分析してきたCIAでの30年以上にわたる職歴も必要ない。

あの太った世界のつまはじき者、金正恩(キム・ジョンウン)の立場になって考えてみればいい。

嘘をつけばいいのだ。
キム・ジョンウンはトランプ大統領との握手を交わし(世紀の一枚と言われるような写真になるだろう)、抵抗するそぶりを見せつつも最終的には核兵器をあきらめたように一見したところでは思えるような合意をワシントンと間で締結するだけでいい。

そして合意後にはさらなる握手が繰り返される。人々はこう言うだろう、キム・ジョンウンは変わった、この男は北朝鮮という国を変えることのできる新しいタイプのリーダーだと。さらにはこのお祭り騒ぎに韓国のムンジェイン大統領が参加する姿が見れるかもしれない、朝鮮戦争の正式な終結に同意しようだのなんだと言いながら。

だが私たちはもうすでにこの物語がどのような終わりを迎えるのかを心の奥底では理解してはいないだろうか? 歴史は私たちに抗議の叫びを上げるだろう。次に何が起こるのかを、これが証拠だと言わんばかりにその記録の1ページ1ページを見せながら、キムは言葉を覆すと。3世代にわたって北朝鮮を支配してきたキム一族がそうしてきたように。



北朝鮮がどんな理屈で合意を破るかはまだわからないが、過去に北朝鮮がしてきた合意破棄の事例が良い指針となるはずだ。

米国とその同盟国が合意に違反していると主張し、何ヵ月何年も続くような、その偽りの核兵器廃絶をめぐる再交渉の泥沼に引きずり込むかもしれない。あるいはルールを曲げるかもしれないし、大胆にも合意そのものを取り消すかもしれない。

北朝鮮が合意を、特に核兵器に関する合意をどう扱ってきたかの歴史を我々は知っている、彼らはトイレットペーパーと同じようにそれを使い捨てるのだ。


Embed from Getty Images (シンガポールの首相との面会後に大統領官邸から出ていくトランプ大統領を乗せた車を見るために集まった人々)

北朝鮮がどのような合意に署名するかはわからないが、それがなんであれ彼らは同意するだろう。ひとたびキム・ジョンウンとトランプが合意を締結、握手でもしようものなら北朝鮮の思惑通りにこの国は、自ら孤立することを選んでいるとしか思えない "ならず者国家" というイメージから抜け出すだろう。そしてひとたび箱から出されたものは再び戻すことが難しくなる。

トランプ政権はその歴史的な、そして明白な過ちを避けなければならない。

北朝鮮の思惑、その罠を白日の下にするためにも、核廃棄について合意したことが何であれ速やかにそれを実行させるべきだ。トランプ政権は信頼の手付金として北朝鮮にすぐに1つか2つの核兵器を放棄するよう要求するなどすべきだ、キム・ジョンウンがどれほど本気なのかを試すためにも優位を得るためにもそれは必要だ。
私の理論が正しいとすれば、アメリカの要求が厳しければ厳しいほどキム・ジョンウンはそれに身もだえし新たな要求をするか、あるいは何らかの形で合意を違反していると主張し始めるだろう。

ここで重要なのは北朝鮮の罠を "速やかに" 明らかにすることだ。キム・ジョンウンは慎重にそのイメージを作り直しまるで別人のように振舞っているがその虚像を叩き壊す必要がある。もし北朝鮮から真なる譲歩を引き出す前にこれまで行ってきた "最大限の圧力" が瓦解しようものなら、まさに北朝鮮が計画しているそれが現実のものとなろうものなら、それは歴史的な恥となるだろう。


Embed from Getty Images (シンガポールの首相とにこやかに握手するキム・ジョンウン)

トランプ大統領は今回のシンガポールでの首脳会談でとてつもない課題を前にしている。その課題とは合意を締結することではない、国際社会がこの独裁政権に貼ったレッテルから抜け出そうとする北朝鮮の試みを阻止し、今まで通りにならず者国家という認識を人々にもたせ続けることだ。

シンガポールで何が行われるかは問題ではない、その後で起きることだけが重要だ。これまでの経験から明らかなように、我々はすでにキム・ジョンウンの計画を知っている。その罠に陥らないことを願うばかりだ、再びその罠に。

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海外の反応

thehill.comのコメント欄より: ソース


Derp State G7首脳宣言が発表された4時間後にそれを覆したトランプにそれをお求めになりますか。

Tom トランプみたいなアホに期待できるものだろうか...

fanofhawking 北朝鮮が詐欺師であることは歴史からも明らかだが、トランプもまたそうであることも歴史的に明らかだけどね。

Temporarily Banned By The Hill • トランプはキムにとって天からの贈り物みたいなもんだよ。北が望むすべてを与え、その見返りに上っ面だけの勝利を手に支持者にアピールする小物大統領がトランプという男だ。

Res Ipsa そりゃ北朝鮮は嘘をつくだろうさ。トランプの言葉が無意味であることは気候変動に関するパリ協定でも、イランの核合意でも、つい先日のG7首脳宣言でも明らかだもの。特にG7のそれは顕著だ、あの野郎飛行機が下りたつ前に覆しやがったからな。

Petapros 無意味な合意をするのは両者にとってお手の物でございます。

ScottRedux 今後どうなるかなんて明らかだ、トランプは勝利を宣言し、相も変わらず北朝鮮は核を保有し続ける。

Charles Smith この記事がリベラルから来たものではなくバリバリの保守派から来たものってのがまた。

Carl Spooner この会談は茶番以外の何物でもない。北朝鮮は非核化に合意をするだろうがいつものように何らかの言い訳を見つけ核を生産し続けるだろう。詐欺師同士が何を話し合ったって世界にとって良いことが起きるはずもない。

SinglePayerNow トランプが歴史なんてものを知っているとでもお思いか。

albobcat どの様な合意が成されようとも "最大限の圧力" は続けなければならない。一度でも緩めば再びそれを行う機会は訪れることはないだろう。

Scott Bieller この首脳会談の失敗を望んでいる人々がこんなにも大勢いることに驚く。これは平和をもたらすかもしれない歴史的な会談だぞ。

Commenter Bob 北朝鮮は1992年にも非核化に合意した。それがどうなったか知らぬわけでもあるまい。

Res Ipsa 誰も会談の失敗を望んでいるわけではない。問題は、そして現実は、失敗するとわかっている試みをしようとしていることだ。

Jon Reid キム・ジョンウンは彼の父親とも祖父とも違う、どんなことになるかなんて誰にも分らないはずだ。私はトランプが嫌いだけどこの会談が成功に終わることを願っている。

Bluto キム・ジョンウンという男は自分の家族すら信用しない、そんな男がどうしてトランプなんてものを信用するだろうか? キムはトランプを良い気分にさせて自分にとって都合のいい状況に持っていくだろう。

Victor Blackburn この二人が交わす合意の全てが信用ならない。

Temporarily Banned どうやらトランプとキムの首脳会談はアドバイザーもスタッフも排除し通訳のみが同席するらしい。俺たち終わったな。

Keith FOX Newsがこの会談を "独裁者同士の会談" とか言ってて笑ったw

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