日本伝統の味にケンタッキーの個性が加わった醤油

レストランガイドZagat SurveyのYotubeチャンネルより:
Soy Sauce: How One American Company Makes this Asian Ingredient - Staples, Episode 9



マット:
醤油の醸造について学べば学ぶほど、 それがバーボンの蒸留に似ていると感じる。 ただ作り方が似ているというだけでなく、両方とも長い歴史があり 過去の醸造家たちが残してくれたものがたくさんある。

私たちの醸造所ではケンタッキーの山から湧き出た天然水を使っている。 石灰岩でろ過された硬水でバーボンの蒸留にも同じものが使われている、とてもボディ(味わいの豊かさを表現する用語)がある素晴らしい水だ。 また古い熟成樽で醤油を熟成させている、焦がしたオーク材と染み付いたバーボンの香りのおかげで味に厚みが出る。 そうやって私たちは日本の醤油とは違う個性を消費者に提供している。 今年からはついに日本に向けて輸出を開始できそうだ。 それは私たちにとってとても大きな意味がある。ケンタッキーに住んでいる金髪の男が日本人に売ろうというんだからね。



ナレーション:
米国で消費される醤油のほとんどは数社の大手企業によって大量生産されたものだ。 Bourbon Barrel Foodsはアメリカ合衆国ケンタッキー州西部ルイビルに存在する企業で 米国の消費者にこの調味料の素晴らしさを伝えようと努力してる。



マット:
私の名前はMatt Jamie、米国で唯一醤油を醸造している企業Bourbon Barrel Foodsの設立者でありオーナーだ。 ほとんどのアメリカ人は醤油は大量生産されるものだと考えているだろうがここでは すべて手作業で作っている。 時間をかけてじっくり作ることで所謂職人の味を出そうとしているのだ。

この醸造所で作られる醤油、私たちがBluegrass Soy Sauceという名前で販売しているものだ、 これは日本の伝統的な製法に厳格にのっとり、 日本への輸出向けにここケンタッキーで栽培されている遺伝子組み換えでない大豆を材料に作られている。


ステップ1:豆の下準備

ジョッシュ(Bourbon Barrel Foods従業員):
これからこの豆をお湯に3時間ほど浸します。 そうすることで豆が柔らかくなり、麹菌が活動しやすくなり、最終的に豆が分解され変性します。


ステップ2:豆を冷ます

指で簡単に潰せるぐらいになるまで浸からせたら鍋から豆を上げ シダでできた箱に移し冷ましていきます。


ステップ3:麦を足す

その後麦を足し、混ぜ合わせて十分に冷めるまで待ちます。 あまり温度が高すぎると麹菌がうまく活動してくれません。


ステップ4:麹菌を植菌する

麹菌と豆を混ぜ合わせたらトレーに小分けにして麹室で寝かせます。


ステップ5:発酵させる

麹室とは発酵させる場所のことです。 そう、醤油は発酵食品なのです、多くのアメリカ人は知らないでしょうが。 この麹室は温度管理され、また室内を適切な湿度に保ってくれます。



豆は寝かした後、塩とかん水を合わせた液体と混ぜられ、変性し、最終的に醤油になるわけです。 菌が活発になるよう6週間の間毎日欠かさず棒でかき混ぜ、空気にさらす必要があります。 かき混ぜると泡が出てくるのが見えますね? それが発酵していることの証です。


ステップ6:熟成させるために倉庫へ移動させる。

マット:
醤油を完成させるまでには最低でも6ヶ月かかるが私たちは1年間じっくり時間をかけて作っている。 6ヶ月余分に熟成させることでより豊かな風味を醤油に持たせることができるからだ。



この若い樽の麹菌はまだかなり活発的だ、 豆も麦もまだ形を残し分解されきっていない。 こうやってかき混ぜて空気にさらす事が大切だ。 かき混ぜればかき混ぜるほど風味豊かな醤油になってくれる。 熟成が進んだらその頻度は減らすが樽の様子を見ることは欠かさない、毎日チェックしている。


ステップ7:圧をかけて絞る(12ヵ月後)

毎日たくさんの熟成が完了した樽が、倉庫からこの圧搾機のある部屋へ運ばれてくる。 この油圧式の圧搾機で絞り醤油が出てくるわけだ。


ステップ8:ボトルに入れる

この醸造所では毎月5000本のボトルに入った醤油が生産されている。



日本の料理では醤油の味が強く前に出すぎてはいけないとされている、 素材の味を損なうことは食材に対する侮辱だと思われているのだ。 醤油は食材の味を引き出し、高めるために使われる。

以前知人にある寿司屋に連れて行ってもらったことがあって、その店には400年の歴史があると言うのだ。 彼はこう言った、「この店のレシピの歴史は君の国の歴史よりも古いんだよ」とね。 私たちが作っている醤油はアメリカ人らしく厚みがあり、今までとは違う新しさを追求した味になっている。 アメリカ人は調味料が大好きだし、新しい物好きだからこの醤油を味わいたいと思ってくれている人がたくさんいる。



Michael Crouch(「BISTRO 1860」ヘッドシェフ):
ここしばらくは常用していますね。 高品質なものを料理に取り入れることも、それをどう生かすか考えるのも楽しんでいます。 この醤油はどの様な料理にも豊かな風味を与えてくれる、それを理解できない人もいますがね。 その力を料理を通じて伝えられたらと思っています。



マット:
私は人々に伝えたいのだ、アメリカの消費者や料理人に、醤油はただ塩気のある茶色の液体ではないのだと。 醤油をワインのように深く味わって欲しいと思っている、その美しい色を、 テクスチャーを。 舌触りも違えばフィニッシュも個性があり違うのだと。

日本の人たちは私が醤油を作っていると伝えると皆一様に「なぜ?どうして醤油なんだ?」と疑問に思う。 それは彼らにとって醤油というものはあって当たり前のもので、彼らのDNAに組み込まれているものだから それがどんなに私を興奮させるかを理解できない。

だが私がアメリカでどれだけ真剣に醤油を作っているか、バーボンの樽などを使い少量生産しているかを伝えると 彼らは光栄であると感じてくれる。 日本人の文化にとってとても大切なものがアメリカで作られていることを喜んでくれる。 それは私たちが彼らの伝統を尊敬していることが伝わるからだ。

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース

schedar2012 「この店のレシピの歴史は君の国の歴史よりも古いんだよ」
イラッとした。

Amazingseed ちょうど同じ事を考えて書き込もうとしたら先に書かれてた。

Filadelfo Pantoja 私は日本に住んでいるハーフだ。 あのコメントは事実だがちょっと嫌味だよね。

John Yang 月にたった5000本しか生産しないんじゃかなり高額だろ、この醤油。

Robbie Keith あれだけ従業員抱えているしな、一本50ドルはしそうだ。

Satoshi9801 アマゾンで100ml6ドルだってさ。

Face Meat 別に醤油だけしか製造していないわけじゃない。

Richard Smith 彼らはバーボンも作っているんだ。というか施設の一部だけを使って醤油を作ってる。

genocidegrande いつか間違ってバーボンが入っちゃいそうだ。

Gabriel たぶんもう経験済みだよ。

theuglykwan 日本の醤油にはアルコールが入っていることもあるから多少入っても問題ないんじゃないかな。 まぁ多すぎたら大変だけど。

kuribo1 日本で販売されている醤油をもっと多くの人が試してくれたらなと思うよ。 ヨーロッパにさまざまな種類のマスタードがあるのと同様に醤油にもたくさんの種類があるんだ。 九州スタイル、北海道スタイル、濃いのも、薄いのも、軽いのも、塩気が強いのも、甘いのもある。

Z Vaper たしかに、キッコーマンのものはやはり本物と比べると味が劣るしな。

Rob Jones 色々試したけど中国の金蘭醤油がアメリカ料理には一番合うよ。

Ryo Lau 悪いが金蘭は台湾のメーカーだ。

melonbarmonster 醤油は日本のものじゃない。 中国や韓国、ベトナムなどは日本より長い間醤油を作ってきた。 醤油が日本のものだなんてスパゲッティはアメリカのものだと言っているようなもんだ。

Kanishka Reddy 寿司もそうだ、寿司は中国の黄河と長江の川沿いが起源だ。

Dill HUANG 違うよ、寿司は間違いなく日本独特のものだ。 それに生醤油や現在大量生産されている醤油なんかも日本の発明だと言っていい。 このビデオに出てくる製法もやはり日本独自のプロセスで作られている。

伝統的な中国の醤油は搾り出された後に壷に入れられ蓋をせずに空気に晒して熟成させる、 徐々に水分が失われてより粘性があり風味の良いものになる。また塩が結晶化し壷に付着するので 普通の醤油より塩分濃度が低いのも特徴だ。

Kanishka Reddy 寿司は日本独特のものじゃない、 中国人が最初に寿司を作った。 捕まえた魚を米の上に置き、酢と塩を使って保存したのが最初だ。

Dill HUANG 初期の寿司は酢なんて使わずに発酵のみで保存していた、スウェーデンのシュールストレミングとは違ってね。 酢が使われたのはもっと後になってから保存性を高めるためと初期の味を再現するためにだ。

そもそも米に酢をかけるなんてことは中国の料理ではほとんど行われていない。 米に酸味があるとそれは腐敗の徴候とみなされているからだ。 中国人は刺身のような生の魚料理をいくつか発明したが食されていたのは一部の地域だけ、 淡水魚は寄生虫の危険性があるからだ。

私は普段、このような歴史を主題とした議論のためにウィキペディアを引用することを避けているが寿司の歴史についてはかなりよく書かれている、読んできたらいい。

Koba Teru 日本は17世紀ごろから醤油をヨーロッパに輸出してきたが他の国はしてたのかね?

Spectre で、肝心の味の方はどうなんだ? なんでそこに触れない。