2017 トヨタ86のレビュー

On the road: 2017 Toyota 86 by Roadshow

米国トヨタが展開していたサイオンブランドが廃止されサイオンFR-Sはもう正規に買うことができなくなったがそのことを嘆く必要はない、なぜなら新型「トヨタ86」として帰ってきたからだ。


この車は新たに86という名前が付けられ、フロントバンパーとフロントグリルが見直された。さらにヘッドライトとテールライトに使われるLEDが増える等いくつかの改良が行われている。



このトヨタ86と兄弟車となるスバルBRZ、これらと比較する相手として妥当なのはマツダロードスターとフィアット123だろう。片やオープンカーでもう一方は屋根のあるスポーツクーペ、だいぶ違う車だと思うだろうがここは数字を出して比較してみよう。



全長 (mm)
マツダロードスター:3,915 トヨタ86:4,240
全幅 (mm)
マツダロードスター:1,735 トヨタ86:1,775
ホイールベース (mm)
マツダロードスター:2,310 トヨタ86:2,570
車両重量 (kg)
マツダロードスター:990 トヨタ86:1260

全長はトヨタ86の方が僅か22.5cm長いだけ、これには少し驚いた。
ホイールベースも26cm程度長い。
車両重量には大きな差が開いており270kgほど重くなっている。
パワーウェイトレシオ(出力重量比)はトヨタ86の方が10%ほど高い。

マツダロードスターの方は2シーターだがトヨタ86の方は...席と呼んでいいのか疑問は残るが2席多い。

トヨタ86のインテリア

インテリアは見ての通り居心地が良い空間だ。その見た目も印象もどことなく伝説のトヨタ2000GTを彷彿させる。ダッシュボード右側のアーチなどは特にそうだ、最もオリジナルの方はグローブボックスになっていたが。



ダッシュボード中央には50年前には存在しなかったヘッドユニットが設置されており、先ほどは良い意味で古さを感じたが、こちらは悪い意味で古さを感じる。これはオプションで選択できるがそうしないことをお勧めする。

インフォテインメントの下にはシンプルなダイヤル式マニュアルエアコンが付いている。


オーディオは選択できるメディアが少なく基本的なものしかないのでブルートゥースばかり使うことになるだろう。パイオニア製8スピーカーはこの一年で評価した自動車の中でおそらく最も質の悪いサウンドシステムだ。Sony XAV-AX100などの他社のApple「CarPlay」やGoogle「Android Auto」が使える他社製ナビを導入した方がいい。



必要なものしかない簡潔で明瞭な3眼メーター



私は普段トランスミッションを選ぶならマニュアルにすべきだなどとは言わないのだがこの車に関しては迷わずマニュアルを選ぶように勧める。



ちなみに信じられないような話だがこの車には後部座席が付いている。レビューしようと思うのだが この席に私は座れるのだろうか? いやこう疑問に思うべきだろう、果たしてこの席に座れる人間がいるのだろうか? 答えはおそらくNOだ。買い物袋を置くぐらいにしか使えないだろう。



トランクはこの車のサイズにしては悪くない大きさだ。後部座席を倒すことで広くすることも簡単に出来、またギャップや段差が存在せず床が平らになるのは嬉しいポイントだ。

トヨタ86のエンジン


数多くの自動車を評価してきたが最近は美しいエンジン室を見ることは少なくなった、あの醜いエンジンカバーのせいでだ。トヨタ86はこの一年でレビューした車の中で最も価格が安い車だが皮肉なことにこの車のエンジン室はその中で最も美しい。

エンジンは共同開発したスバルが提供する152kW[207PS]のボクサーエンジン、オートマの場合はそれより5kWほど出力が落ちる。トルクも同様で212Nm[21.6kgm]オートマの場合は5Nmほど落ちる。出力もトルクもそれほど大きい車ではない。

興味深いのは燃料を噴射する方法が2通りあり、エンジンのRPMが低い時には昔ながらの吸気ポートに噴射する「ポート噴射」、RPMが高い時にはエンジンの燃焼室に直接噴射する「筒内直接噴射」と状況によって使い分けることで全体的なスロットルレスポンス性能と燃費性能向上を図っていることだ。

トヨタ86の走行性能


このトヨタ86にしてもスバルBRZにしても知っておかなければならないことがある、

十分だと言ったら十分なのだ

200馬力と聞いてあざ笑う人もいるだろうが常にエンジン性能をギリギリまで使い切れる車などそうは存在しない。私はマニュアルトランスミッション・ジハード主義者などではないし最近の性能の良いオートマに満足している。だがこのトヨタ86に関してはマニュアルで運転すべきだ。ただオートマの方が燃費性能がかなり高いことだけは伝えておこう。



シフトレバーもクラッチペダルも感触は素晴らしい。車のサイズの割りにホイールベースが長いので安定した乗り心地になっており、日常的に使えるスポーツカーだと言える。電動パワーステアリングは絶妙に調整されており、ステアリングギア比は完璧で、どんなコーナーを曲がってもリニアリティの良さを感じることができる。

トヨタ86の価格

このトヨタ86の最も良い所はグレードもオプションも構成が簡単な所だ。選択肢は一つだけ、買うか買わないかだ。(アメリカではグレード/パッケージなどはありません)価格は$27,120、車体の色は7色から選べ、インテリアは黒一色。ヘッドユニットをオプションで選べるが失望した出来なので止めておこう。

トヨタ86の評価


GOOD
2017年版のトヨタ86はコンパクトでスポーツカーらしい外観、優れたハンドリング性能、高い回転数で一日中走れるエンジンを搭載している。また硬めのサスペンションであるにもかかわらず、トヨタは比較的快適な乗り心地に仕上げている。

BAD
ダッシュボードのヘッドユニットは基本的な機能しか持っておらず、ナビゲーション、Android Auto、Apple CarPlayなどはない。典型的な2プラス2クーペらしく後部座席と貨物スペースは最小限だ。

総合評価 7.6 / 10
昔からよく「速いクルマでゆっくり走るのとそうでないクルマでぶっ飛ばすのとでは後者の方が楽しい」と言われるがこの車に関してはその理論は正しい。トヨタ86は持つ能力を限界まで引き出すことができ、何よりそうすることが楽しいと感じられる車だ。

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース

Mister Mood "マニュアルトランスミッション・ジハード主義者"
今年1番の名言だ。

Admiral Ackbar アッラーシフトバーーール!!!

BEyondDaBliz 彼はこの車に関してはマニュアルがベストだと言ってるだけで、仮にオートマを選ぶ人を見たとしても自動車愛好家と違って口から泡を吐くような事はしない。彼のレビューにはいつも好感が持てる。

PussMag ホンダ・プレリュード、ホンダ・インテグラ、日産・240SX、三菱・エクリプス、マツダRX8あたりから乗り換えるのにピッタリだ。

eduardoig17 割高に感じるのは私だけだろうか?

私も同意権だよ、なぜこんな車に27,000~30,000ドルも支払わなければならないか理解できない。スポーツカーっぽい見た目だからか?

jalene150 それと保険が高いことも忘れちゃいけない。

onehorsepower 時にはシンプルな方が良い場合があるのさ。

Random Videos あのヘッドユニットはまるで2005年からやってきたみたいだな。

trent ryan もっとパワーが欲しいと思わないなんて車好きとは言えないな。

Rick James これ以上パワーが必要ないだなんて冗談だろ? 27,000ドルもするんだから200馬力じゃ全然足りないよ。

A5 Kobe かなりガッカリだよな。

Gaston Maqueda トヨタ86にこれ以上パワーなんて必要ない。必要なのは人々がもっとライトウェイト・スポーツカーというコンセプトを理解することだ。

matt k 内装はどうにかならないのかね、20年前の車じゃないんだからさ。

Dominik Heidrich トヨタ86/スバルBRZのパワーステアリングがどれほど優れているかをいくら賞賛してもしきれない。パーフェクトなフロントシートと共にあらゆる状況で完璧なドライビングエクスペリエンスを与えてくれる。 私の2013年製ドイツ仕様GT86に搭載されたヘッドユニットはビデオのよりも少し良い物だし、こっちはデュアルゾーンエアコンもあるけどね。

bikeboy0012 私ならマツダロードスターの方を選ぶな。

GrexTheCrabasitor サイオンFR-Sを所有しているけどもっとパワーがあればっていつも思うけどなぁ

Alexander Sell スポーツカーを謳っておきながら馬力不足なのはいただけないな。

IsaakHunt 私が見たトヨタ86のレビューでパワーが十分だなんて言ってるのは初めて見たよ。ほとんどのレビューではあと20~30馬力出力が高ければ大幅に改良されるのにって意見ばかりだった。

Mexside619 この車をオートマで購入する輩はどうかしている。

Kswan423 もしコイツにV6エンジンを積んでいたなら日産370zなんてイチコロだったのに。マツダロードスターと同じ「スポーティー」カーなんていう土俵に立つことになっちゃってるのが残念だ。

Scot Mcphee もっと馬力があったとしてもこの車の良さは損なわれないはずだ。他社製のターボやスーパーチャージャーキットがそれを証明している。

Kristoffer Pence トヨタ86/スバルBRZは偉大なスポーツカーだ。人々がこの車が速くないということに不満を持っていることも分かるが、それはこの車の目指しているものをきちんと理解していないからだと思う。

この車のパワーは重量とのバランスから言って完璧だ。日常での運転でそのパワーを持て余すこともなく性能に対し十分だよ。

この車は速く走るために作られたんじゃなくて、信じられないほど軽快で扱いやすいスポーツカーになるように設計されている。私はこの車が設計され、開発された理由を尊重し理解するのではなく、直線でのスピードの欠如について不平を言っている人が多いことをとても残念に思う。

QlisBbsa "速いクルマでゆっくり走るのとそうでないクルマでぶっ飛ばすのとでは後者の方が楽しい"
真理だな。

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