150年の歴史を持つ米国のオピニオン誌『The Atlantic』を発行するアトランティックメディア社傘下のニュースサイト『Quartzy』より

美容業界で韓国が躍進するも未だにアジアの真のリーダーは日本

DESPITE THE BOOM IN K-BEAUTY BRANDS, JAPAN IS STILL ASIA'S TRUE BEAUTY LEADER - March 13, 2018

photo via styleunderpressure.com
近年韓国の美容ブランドの躍進は目覚ましくそれは世界を占めているかのようにさえ思えるくらいだ、だが実際は日本の美容ブランドと互角の勝負をしているという。

最近のK-beauty(韓国の美容)製品の普及具合を考えるとそれは信じられないかもしれないが、 J-beauty(日本の美容)ブランドはその前から世界中に広まっており、また中国の消費者は一時的に韓国の美容ブランドに夢中になったものの結局は日本の美容ブランドに戻っているのだ。



中国のラグジュアリーニュースを伝えるメディア『Jing Daily』によると、世界で14番目の規模で33社の化粧品会社を抱える韓国の美容コングロマリット『アモーレパシフィック』は2017年の最終四半期に純利益が76%も減少したという。同社によると、この減少は中国市場での大幅な利益の減少が大きく影響しているとのことだ。

その一方で調査会社『L2』からの最近の中国の美容に関する報告によると、2017年の日本のブランドの売上は韓国ブランドよりも速いスピードで増加しているという。中国での強い需要もあって資生堂は17年12月期業績予想を上方修正、その売上高は1兆円を初めて突破した。

調査会社『L2』も中国のメディア『Jing Daily』も他の日本の美容ブランドであるドクターシーラボやファンケル、DHC、ポーラに言及しており中国だけでなくアメリカでも口コミで人気が高まっているという。『L2』はまた中国のモバイル特化型越境ECアプリ「小紅書(RED)」ではそれらの日本の美容ブランドが最も多く言及されていると指摘する。

勢いを得るJ-beauty(日本の美容)ブランド
cbinsights.com
『The Business of Fashion』
日本の美容ブランドの新たな夜明け
https://www.businessoffashion.com/articles/professional/a-new-dawn-for-japanese-beauty-brands

『Premium Beauty News』
Cosme Tokyo(日本最大の化粧品専門展)はJ-beautyの波に乗る、次の美容業界のトレンドは日本?
http://www.premiumbeautynews.com/en/cosmetokyo-rides-the-j-beauty-wave,12908

『WWD Beauty Industry News』
パリに14の日本の美容ブランドを扱う期間限定ショップが開設
http://wwd.com/beauty-industry-news/beauty-features/paris-gets-a-healthy-dose-of-j-beauty-10877429/

『Huffpost』
J-beauty VS K-beauty、この二つのトレンドの違いとは
http://www.huffingtonpost.co.uk/entry/japanese-beauty-korean-beauty_uk_5a7afa8de4b0d0ef3c0b4977

『Marie France Asia』
日本の美容ブランドのベストセラーであるコーセーコスメポートがシンガポールでついにデビュー
http://www.mariefranceasia.com/beauty/whats-new/beauty-news/new-j-beauty-brands-kose-cosmeport-singapore-290340.html#item=1


韓国の文化はK-popから韓国ドラマ、K-beautyにいたるまで近年アジアの時代精神(ある時代に支配的な知的・政治的・社会的動向を表す全体的な精神傾向)を支配してきたがそれはいつのまにか飽和状態になり反動が生まれてきているようだ。

「韓国の美容ブランドは美容外科手術をたくさんした有名人を起用していますが、年を取るにつれて私はもう彼らの提示する価値観に、 女性とはどうあるべきかという価値命題に賛同できなくなってきています。」とロンドンに住む29歳の中国人リタ・チェンさんは『Jing Daily』に語った。



ここでK-beautyの歴史を振り返ってみよう。フランスのブランドは長い間世界の美容業界を支配してきた。そして1990年代にはその一部の製品を韓国で製造するようになったのだが最終的にはより労働単価の低い国へ製造拠点を移すことになる、美容に関する研究室や製造施設を韓国に残して。

韓国はそれを利用して今の繁栄を築いたのだ、今では技術的にも科学的にも革新されヨーロッパのブランドよりも安価な美容製品を世界中に販売している。

「私が韓国で育ったときにこの国にあった国産のスキンクリームはすべてピンク色のトイレットペーパーの色合いで、アメリカのSCジョンソン社のグレード芳香剤のような臭いがありました」と語るのは韓国のポップカルチャーに関する本の著者でありニューヨークタイムズ紙などにも寄港するライターのEuny Hong氏だ。

  「どの韓国人もお金に余裕がある人はフランスやアメリカの化粧品、そして日本の資生堂を使っていました。」

今では『Peach & Lily』や『Soko Glam』などのEコマースから、ウォルマートやターゲットの大型スーパーなどでも韓国の美容製品は売られるようになったが当時はそのようなものだったという。

また美容液を顔にしみこませるシートマスクは韓国の美容ブランドが発明したと一般的に信じられているが、実際は彼らは一般に普及させただけで発明をしたわけではない。

彼らがシートマスクを大々的に売り出すよりずっと前から、様々な国の美容品を扱うフランスの美容専門店『セフォラ』が韓国製のシートマスクを米国で売るようになる前から日本のSK-IIのフェイシャル トリートメント マスク(パック)はAクラスのハリウッドのセレブのお気に入りになっていた、特にレッドカーペットの上を歩き至近距離から写真を撮られる前の準備として。


この6枚入りで95ドルもする、しかもそれぞれ一回の使い切りであるSK-IIのシートマスクは大部分の人にとって特別な機会にしか使えないほど高価な代物で、しかも最近はより手ごろなシートマスクが様々なチャンネルで販売されているが、今もSK-IIシートマスクの玉座を揺るがすような製品は出てきていない。



このSK-IIシートマスクに代表されるように、日本の美容ブランドは1つの製品に数十年を費やし他社の製品にはない「高品質」を作り上げていると中国の美容業界でトップとして働くSang Ying氏は語る。

「中国の消費者はこれまで以上に品質にこだわり始め、良い製品により多くのお金を使うようになってきた、そして日本の製品はより高い品質であると認識されている。」

また先述したロンドンに住むリタ・チェンの話のように、K-beautyのブランディングとマーケティングのアプローチにも間違いがあったようだ。

韓国の美容ブランドは韓国のティーンエージャーの女の子が憧れるような有名人をマーケティングキャンペーンに使い女性は若さが何よりも大事といったコンセプトを主張する傾向にある。

だが資生堂やSK-IIのような日本の名高いブランドは若い女性から高齢の女性までカバーし、その人が持つ魅力を引き出し自信を与えるような広報戦略をとっている。



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  SK-IIはハリウッド女優で現在48歳のケイト・ブランシェットをスポークスパースンに起用し世界各国でキャンペーンを行っている。また中国では20代後半の未婚の女性は「売れ残り娘」や「負け犬女」と呼ばれ肩身の狭い思いをしているがSK-IIはそんな女性たちを対象としたキャンペーンも始めている。

韓国の美容ブランドが持つコンセプトは特に中国の高い教育を受けた女性にとってますます共感できないものになっているのだ。





中国での日本の美容製品への回帰は韓国の美容製品の飽和状態だけが原因ではない、韓国と中国の外交的な関係の結果でもある。韓国は2016年には中国の美容市場の38%を占めたが、中韓関係が悪化し続ける中でその数字は減少しているのだ。

中国の女性は国と個人の両方のアイデンティティに共鳴するブランドを探しており、SK-IIや資生堂などの日本のブランドはそんな彼女らにとって望ましいブランドとなっているようだ。

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海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース


Saltykelp 中国に住んでいる人間だけど確かにここの人たちは『日本』と『品質』とを同義に考えている節がある、一方で韓国の製品はトレンディだけど息が短い的な?

別に日本と中国の関係が良いとかはないだけどね、未だに昔の戦争の事とか引きずってるし。ただ半日ドラマの合間にSKⅡや資生堂のCMを何度も見たんだけど個々の人たちは結構割り切って考えているのかもしれない。

Piglet55 2017年に韓国のブランドの売り上げが減少したのは主にTHAADの問題によるものだろうな。

PositiveShake なんか最近日本と韓国の美容ブランドを比較する記事が多くね? しかも韓国のブランドを下に見るような、日本の製品の方が品質において優れているといった内容が多い。

penduh 確かに。しかもその多くが中国メディアだったり中国人のライターが書いたものが多い気がする。

SuspiciousUnicorn なんだろうね、中国と韓国の間の不安定な関係のせいだろうか? 特に韓国のTHAADミサイルシステム配備で緊張が一気に増したし。中国ではメディアツールとして使われているからもし政府が何かに満足していなければメディアはそれを反映するだろうし。

OneMoreDay8 マーケティングってのはかなり大きな役割を果たしている。K-BeautyはK-popやK-ドラマとのパッケージに大きく依存しているけどこれは間違いなくもろ刃の刃だ。長期的な戦略をとらずに流行させることにとにかく注力した結果だろう。少なくとも私は年を取るにつれSK-IIに向かってる。

mizliuNC15 私の両親は台湾出身だからスキンケアを日々の日課としているんだけど3年前に私が韓国のブランドのものを使い始めたらお母さんが日本のブランドではなく韓国のブランドを使いだしたことに失望された(母は資生堂の大ファン)。

今でもうちに来て化粧台を見るたびにお母さんはジト目で見てくるわ。

tinthasa うちのタイ人の母も私が韓国製の美容製品を使っていることにあきれ顔になってる。韓国のソルファスじゃなくて日本の肌ラボを使えってしょっちゅう言ってくる。それに最近タイじゃK-beautyには落とし穴があるだとかJ-beautyに比べてステロイドとか有害な成分が多く使われているとかいった風評が大きくなってきてるね。

nebbalish 私は中国人だけどうちの母は逆に日本の製品を使うとジト目で見てくるわ。歴史的な問題から日本の製品なんか使ってらんないってさ。でも正直言って中国の大部分の人は日本のスキンケアをたくさん買ってもいいって思うくらいその辺のことを乗り越えてるというか忘れているというか、そんな感じ。

TheAdurn 中国人は高級なブランドや製品を欲しがる傾向にあるので驚かない。最もよく知られているk-beautyブランドと比較しても日本の資生堂やSK-IIは圧倒的に高級なイメージを持たれてる。

IAmPorkHorse シートマスクって韓国のメーカーが作ったんじゃないのね、初めて知った。

mtggeekgirl アメリカに住む非アジア人だけどJ-beautyとかまったく聞いたことなかったわ。スキンケア自体最近になってようやく始めたんだけど、アメリカ製の美容製品があまりにひどかったんで韓国製のものを使いだした。明らかに肌の調子が良くなった! 一生のお世話になりそう。

LMB83 SK-IIのフェイシャル トリートメント マスクがどれだけスゴイかの噂は色んなところで聞いてきたけどなかなか手が出ない... でもいつか、これに大金を惜しげもなく使うと決めてる。

sheerdazzle 韓国の高級な美容ブランドはまだ始まったばかりじゃない、もうちょっと長い目で見てあげてよ。ソルファスとかThe History of Whooとかの韓国ブランドのカウンターが私の住むシンガポールに出始めたのはほんの5年前とかだし、日本の美容ブランドなんか私が覚えている限りずっとこの国にあったもの。

4_seasons_in_one_day 韓国ブランドが現在苦労していることは日本人や中国人の顧客を長期的なリピート客に変えることだね。顧客の信頼を築くには時間がかかる。

katerunka ブランド同士じゃなくて国同士でどちらが "true beauty leader" かみたいな戦いが繰り広げられているとは知らなんだ。

4_seasons_in_one_day んなもんないって、メディアがかってにあおってるだけさ。

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“SK-II R.N.A.超肌能緊緻活膚霜_抗老乳霜15” by stellahyc910 is licensed under CC BY 2.0