ギズモードやライフハッカーなどを抱えるアメリカのオンラインメディア企業ゴーカー・メディア傘下の自動車情報サイト『Jalopnik』より

アキュラNSX 2019年モデルはさらに素晴らしい車に

The 2019 Acura NSX Has Been Made Even Greater - 2018/08/24 - (同サイトの 関連記事より一部補足)

ジェネレーションX(アメリカで1960年代初頭または半ばから1970年代に生まれた世代)にとって “NSX” という文字は特別な意味を持っている、ホンダにとってのそれは “New Sports eXperimental,” という意味だったが、我々の世代にとってのそれは "思春期の子供が抱く夢"、その代表だった。

そして数年前、そのアキュラNSX(ホンダNSX)の新型を試乗する機会を与えられたのだが、そのときの私の心は穏やかではなかった。ホンダ/アキュラが2007年にNSXの新型を製造すると発表してから、その後コンセプトカーを発表してから、最終的にデビューするまでに何年も、何年も、何年も待たされたからだ。

ホンダが開発に手間取っている間に競合他社は新型を続々と投入、せっかくの新型NSXのデビューにもかかわらずそれはすでに時代遅れになってしまっている可能性があったからだ。



だがしかし、実際はそうではなかった。

It was goddamn amazing.
(それはクソ素晴らしかった)

そして今、ホンダはそれがさらに良くなったと言っている。

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photo via hondanews.com
これをお読みになっている読者の諸君はこう思っていることだろう、 "こいつは573馬力ものパワーを持っている、そりゃあ素晴らしい以外の何物にもならないだろうさ" と。確かにそうかもしれない。だがこのNSXは特別なのだ。

近年は "常識はずれな馬力" を持った車がいくつも存在している。だがそれらが実際に運転するドライバーに与える印象は、 "Oh, 私がさっきまでいた場所がもうあんなところに" で終わってしまうものが少なくない。それらの車はドライバーの感情に訴えかけることはあってもその奥の奥にある魂を震わせることはない。
一方で、NSXのそれは絶対的にスペシャルなものだ。それは単に速いのではなく、ドライバーをウキウキさせる何か、気分を引き立たせ気分爽快にさせる何かを持っている。

だから私はホンダがすでに素晴らしいこの車をさらにいじくるとの噂を聞いた時に心配をした。その "何か" が失われるのではと危惧した。だがどうやらそれは悪い方向へは行かないようだ、つい先ほどカリフォルニア州で行われたイベントでホンダはNSXの改良モデルを発表、この車をより楽しいものにするために細部にわたって数々の改良を加えたと述べた。変更点は例えば以下のとおりである。



シャシーの改良は多岐に及びスタビライザーの剛性はフロントが26%、リアは19%高められ、リアのトーリンク・ブッシュは21%、後輪のハブは6%強化された。

前後輪と後輪左右の駆動力を自在にコントロールするSH-AWDシステムに3つのモーターが加わった次世代の4輪駆動システム『スポーツハイブリッドSH-AWD』パワーユニット、磁気粘性ダンパー、電動パワーステアリング、スタビリティ・コントロール・システムを制御するコンピューターのソフトウェアには調整が施された。

よりグリップ力のある新開発のオールシーズン・タイヤが装着されあらゆる状況下で従来よりもハンドリングが向上。


どれも良い、いや素晴らしい改良に聞こえる。まぁ実際はエンジニアでもない限りこれらが意味するところは全く理解できないのだが。ホンダが言うにはより速くなっただけでなく、よりドライバーを夢中にさせる車になったという。



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2019モデルではエンジニアらがドライバーの意思にNSXがより反応するよう改良するためにシャシーのコンポーネントやタイヤなどを変更、ソフトウェアにチューニングを施し、毎日の運転からサーキットまでのあらゆる状況でのパフォーマンスの向上を実現。

限界時にはNSXのバランスやコントロール性が向上、微妙なアクセル操作でより正確にアンダーステアやオーバステアを調整することが可能に。


かつて私が新型NSXを試乗した時、ホンダは試乗を終えた私にオリジナルの、2006年製のNSXの試乗もさせてくれていた。それはドライバーの入力に対し正確に反応する車だった。ドライバーと対話する車だった。ドライバーと一つになる車だった。アナログ形式でドライバーとコミュニケーションを取るその最高峰がオリジナルのNSXだった。

そして新型もまたドライバーと一つになる車だった、ただしそこには対話はなく、車の方からドライバーと一つにならないかと申し出てくる車になっていた。ドライバーをその快適さで、豪華さで、テクノロジーで包み込みモーターとエンジンが組み合わさるようにドライバーと車をハイブリッドにするのだ。

そのサポートは自分の運転技術が向上したように錯覚させる。どんなコーナーでもこの新型NSXは適切なパワーを供給し、それがレーストラックであっても一般道であっても、例え道路上にゴミが転がっていようとも地に張り付くような安定感を与える。この車が呼び起こす自信にドライバーは夢中にさせられる。
かつては運転の才能のある人間にしか体験できなかったドライビングエクスペリエンスを普通の(ただし裕福な)人間でも味わえるようにしたのがこの新型NSXだ。

その経験を得るための代償としてテクノロジーのスーツで身を固めなければならないわけだがそれを良しとするかは人それぞれだろう。ただ私は即座に、簡単に、迷いなく、それでいいと答える。



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ただしその価値命題、つまりは支払う対価にふさわしい価値がそこにあるか、他社と比べて同社が提供する価値はどうなのか、そのブランドに対して支払う価格として適当なのかといった議論抜きにこの車を語ることはできないだろう、特にホンダ/アキュラという会社の場合は。

すでに $157,500という馬鹿げた値札がつけられているこの新型NSXだが、ホンダのプレスリリースによればさらに $1,500も値上げされるというのだから尚更だ。(これまではオプションだった装備 $4,700分が標準装備にはなる)

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海外の反応

jalopnik.com, reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース


Michael Ballaban 新型NSX:待ちに待たされたがゴージャスで最先端技術の詰まった正真正銘のれっきとしたNSXの後継のスーパーカー

新型スープラ:待ちに待たされているが見た目は平凡でBMWのバッジをトヨタのものに変えただけの車

どうしてこうなった。

Vintage Bones 価格もスーパーカー並みになっちまったけどな。それにスープラはマツダ・ロードスターや86/BRZの一つ上のクラスを目指している車だからその比較は妥当じゃない。

LJ909 素晴らしい車だと思うし今回の改良もいいと思うけど悲しいことに注目されていないのよね。

Errattik 新型NSXに対する不満を口にする人の大半がその高すぎる価格を問題視している、だからこそアキュラはそんな批判を和らげるためにも値段を下げる努力をすべきだと思うんだがまさか上げてくるとは...
そりゃ標準装備が増えてお得ではあるんだろうさ、でも期待していたものとは違ったよ。

XSC 多少安くしたって売り上げは変わらんだろ。そもそもの価格設定が間違ってる、日産GT-Rの初期の価格くらいで販売すべきだった。15万ドルって値札じゃ普通は他の車を選ぶ。

3ir まさにそれ。その価格帯だとポルシェGT3RSやBMW i8とかが相手になるもんな。

wardser アキュラに15万ドルも支払う人そう間はいねぇわな。

GVIrish その価格帯でも何かこう、その中で最速だとか、秀でるものがあればもっと市場から注目されてたと思うんだな。

q7272 パフォーマンスではGT-RやコルベットZR1に及ばず、さりとて高級感やブランドではポルシェ911ターボやアウディR8に及ばず...

viperquick82 サウスフロリダ州に住んでいるんだけど高級車がそこら中に溢れているのに、しかもアキュラのディーラーが近くにあるのに私は1台も新しいNSXを見たことがない。その販売数を見ると驚くべきことではない。

cookingboy サンフランシスコ・ベイエリアではフェラーラやマクラーレンが山ほど走ってる。ブガッティやパガーニも普通に見る。でも新型NSXが走っている所なんて一度も見たことがない。レクサスLFAすら見たことがあるのにだぜ?

ELONS_MUSKY_BALLS "日産GT-Rの初期の価格くらいで販売すべきだった"
オリジナルのNSXのファンのほとんどは金持ちじゃないが年代的に5~7万ドルくらいの車だったら買える程度の収入を得ている人間はそれなりにいるだろうしね。

ravengenesis1 問題はシンプルだ、ホンダはオリジナルのNSXを成功に導いた公式を忘れてしまった。新型NSXに注ぎ込まれたもの全ては人々がNSXに求めなかったもの全てだ。

PyroKnight NSXの "N" は "NEW" を指す。NSXの使命とはそれまでと違う新しいものになることだ。オリジナルのNSXがそうしたようにこの新型NSXもただ "NEW" であろうとした。

この新型に乗った人間は誰もが「これまでに運転したどの車とも違う」と感想を述べている、そういった意味ではその使命を全うしていると言える。もちろんかつてのNSXを恋しく思う人たちの意見は理解できるけど。

Errattik 個人的に新型NSXのスタイリングは大好きだし素晴らしいと思う。問題があるとすれば人々の期待との間に認識のズレがあったことだな。

新型NSXに期待していた人のほとんどが望んでいたのはオリジナルよりもそこそこモダンになったバージョン、つまりは高すぎない価格で400馬力ほどのパワーを持ちマニュアルの選択肢があり軽量で後輪駆動なスポーツカーだ。もし新型がそのような形であれば物凄く売れていたと思う。

でもホンダはそれとは逆に膨大な時間と大量の開発資金を注ぎ込み最新技術の詰まったスーパーカーを完成させた。結果として超クールな車になったがそもそもターゲットとしていたNSXのファンにとってそれは魅力的なものではなかった。

PyroKnight ホンダがそもそもNSXのファンを意識していたのか疑問だがな。

praetor47 っつーかここで文句を言っている連中の望んだ通りの車になっていたとして、本当に売れるかね? ここにいる連中は文句だけ言って結局買わない輩ばかりだと思っていたが。

q7272 多くの人がまさかスーパーカーになるとは考えていなかった、問題はそこにあるんだろうねぇ。

GVIrish なんかオリジナルのNSXが安かったみたいな勘違いをしている人が多いが昔と今じゃ物価が違う、当時のNSXの価格は現在で言ったら10万ドルくらいだぞ。新型ほど高価じゃないが決して安くはなかった。

問題はやはり競合車の中で埋もれてしまっていることだ。人はその走行性能だったり馬力だったりブランド力だったりを見ているがどれも中途半端だ。例えば20万ドル以下の車の中で最速だったらもっと売れていただろう。3万ドルほど今の価格よりも安かったらもっと売れていただろう。

frstha99 新しい時代のスーパースポーツを目指すというホンダの精神はいい、スーパーカー並みの価格になったことも問題ではない。ただスーパーカーのテリトリーに入るならば圧倒的に優れた車にすべきだった。

imped4now カッコいい、地球上に存在する車の中で最高のルックスを持っている。

Gnug725 個人的に一番の問題はルックスかな。アキュラのデザインラングイッジを踏襲しているのはわかるがここはむしろ独自のルックスにすべきだったと思う。

nipponbaseball やっぱ日本人に造らせなきゃダメだ、アメリカ人に任せたのが全ての間違いだった。

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