この人は宮本茂、もしあなたが過去30年間の間にビデオゲームをプレイしたことがあるのなら 彼の作ったゲームの名前を必ず聞いたことがあるはずだ。 ドンキーコング、ゼルダの伝説、スターフォックス、そしてもちろんスーパーマリオのことだ。
宮本氏はゲームをデザインする時いつも他のゲームデザイナーがすることとは違うものを目指していると言う。 この映像、1998年のインタビューで彼がなぜオンラインゲームに注目しないのかを語っている。
宮本茂: それがトレンドなので、僕はトレンドの方を見ないようにしようとしてる。
そして今度は最近行われたインタビューの映像だ。 2016年に発売された「スーパーマリオ・ラン」についてなぜ小額課金を取り入れなかったかについて語っている。
宮本茂: こうなっているからこうなんですって割と...嫌いなんですね。僕らはどうしたいのか。
(英語字幕:皆がこうするべきだと言うんですが、僕はそうやって指図されるのが嫌いなんですね。 自分達がどうしたいのかが重要なんです。)
宮本氏はゲームに革新をもたらしてきた、だが彼はいったいどうやってそれを可能にしたのだろうか?
宮本茂: やっぱり達成感だと思うんですね。 で達成感には色んなことがあるんだと思うんですけども まぁ1つはクリアーするっていう、あの、え~っとボスを倒すとかゴールに行くという達成感もあるんですけども
(英語字幕: まずゲームに大切なのは達成感だと思う。 何かを成し遂げたんだと感じられることが必須で、 それによって満足感が得られるわけです。 )
ストーリー
1981年、宮本氏が最初に割り当てられた業務の一つは「レイダー・スコープ」という筐体ゲームに替わる新しいゲームを作ることだった。 このゲームはアメリカであまり受け入れられず2000台も売れ残ってしまっていたのだ。 そして彼が作り上げたのが「ドンキーコング」だった。
宮本氏は「ポパイ」の三角関係、悪者、ヒーロー、苦しんでいるヒロインから発想を得てゲームにしようと考えたが 任天堂はポパイのキャラクターを使用する権利を取得できず、代わりにゴリラ、大工、その彼女に入れ替えた。
そしてその大工は後に配管工となり、名前も「ミスター・ビデオゲーム」から「ジャンプマン」に、 最終的にシアトルにある任天堂の倉庫の大家であるイタリア系アメリカ人、マリオ・セガールから名前を取り「マリオ」となった。
そしてこのビデオゲーム開発はビデオゲームのお話とキャラクターがプログラミングの前に設計された最初のケースの1つだった。
宮本茂: ビデオゲームって元々技術者が作っていたんですね、プログラマーとかハードウェア技術者が作る。 でそれを僕ら、まぁそのデザイナー、デザイナーって言うか、まぁ僕は工業デザイナーだったんですけども そしてアーティストとかいう そういう人たちがリードして作るようになったのが僕の世代だと思います。
そのアプローチの変化はビデオゲーム開発に重要な変化をもたらすことになる。 ドンキーコングが発売された1981年当時の北米におけるゲーム市場は崩壊寸前であった。 多くの異なる家庭用ゲーム機で飽和状態にあり、 家庭用コンピュータのブームもありなぜゲームをするために別のデバイスが必要なのか、 多くの人々に疑問を投げかけた。 家庭用ゲーム機は投売りされ、生産も停止し終わったかに見えた。
そこに登場したのが「スーパーマリオ・ブラザーズ」や「ゼルダの伝説」など 任天堂のゲーム機でしか遊べないストーリーなどの完成度が高いゲーム達だ。 ゲーム市場はかつてない盛り上がりを見せることとなった。
宮本茂: で、そのために僕は、その、動機を作るために何をしたらいいのかっていう状況を見せる。 マリオなら右へ右へ走っていけばゴールがある。 ドンキーコングならさらわれた彼女を助けるためにそこまで登っていくっていう。
(英語字幕: 私がゲームをデザインする時、考え抜かなければならないのがプレイヤーに状況を見せる事、何をするべきなのか伝えることです。 マリオなら右へ動き続ければゴールへとたどり着く、ドンキーコングなら登り続ければさらわれた彼女を助けることができる。 )
単純明快さ
宮本茂の天才性は「スーパーマリオ・ブラザーズ」の第1面から読み取ることが出来る。 おそらくゲームの歴史の中で最も有名な第1面だ。 プレイヤーはゲームの仕組みをただプレイするだけで自然と理解できるようにデザインされている。 細かく見ていけばこのステージにどれだけ繊細な配慮がなされているか分かることだろう。キャラクターは通常画面の中央にいるものだがマリオは画面の左端に登場する。 右側に大きく開かれた空間からプレイヤーは右へ進めばいいと直感的に理解するのだ。 次に出てくるのが姿も動きもおそらく害意があると思われるキャラクター「クリボー」だ。 例えそのまま突っ込み死んだとしても心配することはない、たいしたペナルティもなく始めからプレイしなおせる。
次に画面に現れるのがはてなマークの書かれた金色のブロックだ。 とても好奇心をそそるデザインで一度そのブロックを叩けば報酬が得られる。 そしてそれは他のブロックを叩く動機となり次にブロックから出てくるのがキノコだ。
例えそのキノコを恐れ、避けようとしてもキノコは土管に跳ね返ることでこちらに向かってくるし 小さいマリオの状態ではブロックを砕けず、左に戻ることも出来ないので逃げ道がふさがれる。 それらによってキノコにぶつかることが保障され、キノコのおかげでマリオがでかく、強くなることが分かる。 このようにゲームの基本的なルールをなんの言葉による説明もなしにプレイヤーは理解できるのだ。
没入感
宮本茂: 後はなんでしょう? やっぱりそこに入り込んでしまうっていう、自分がヒーローになった気分になる、勇者になった気分になる、 本当に泣いてしまうとかそういう思いいれ。
ゲームへの没入間はコントロールによって増幅される。 キャラクターをより正確に操作できることができればよりストーリーにのめりこむことが出来る。 そして任天堂はコントローラーにおいて常にパイオニアであった。
左側に方向キーと右側にボタンという最も基本的なコントローラーを作ったのも、 ショルダーボタンを作ったのも、 360度動かせるアナログスティックを搭載したのも、 モーションコントロールを取り入れたのも任天堂が最初だ。
だが2016年発売された「スーパーマリオ・ラン」では初めて自分達がデザインしていないコントローラーでゲームを作ることとなった。 iPhoneのことだ。
宮本茂: 要は考えるんですけどね、考えてみんなと議論するんでけども... え~っと例えばスーパーマリオのゲームで言うと朴達はずっと面白いと思って作っているんですね、 でも段々と遊ばなくなっていく。 そうするとなぜ遊ばなくなっていくかというと難しいから。
(英語字幕: 時が経つに連れてマリオのゲームをプレイしなくなる人々が増えてきました。 そこで私たちは自分に問いかけました、なぜ彼らはマリオで遊ばなくなったのか? ゲームを実際に遊んでいる人たちもやがて遊ぶのを止めてしまう、 それは大抵コントロールが難しいからなんです。 )
2012年に発売されたゲーム機Wii Uは失敗しNintendo 3DSも 一つ前の世代より売れることはなかった。
だがアメリカにおけるモバイルゲーム市場は拡大を続け 2015年は2011年に対して5倍の1.64億人がスマートフォンでゲームを遊ぶようになった。 「スーパーマリオ・ラン」はゲームへの没入感ではなくゲームの遊びやすさにシフトしたと言えるのかもしれない。
宮本茂: そこをどんどん積み上げていったので結構初めて遊ぶ人から上級者まで色んな遊び方が出来ると思います。
(英語字幕: 最終的に初めて遊ぶ人から上級者まで誰もが遊べるものが出来上がったと思います。 )
そしてそれは宮本氏の考えるゲームデザイン哲学の原点でもある。 誰もが遊べる楽しいゲームのことだ。
海外の反応
Abrha Assad 宮本茂は生ける伝説だ。
illegal man 最近のゲームはロード時間が長すぎて嫌になる。それにゲームも遊んでいるというよりシーンを眺めているだけかのようだ。 その上オンラインを要求してくるし膨大な量のアップデートも大嫌いだ。
Nicholas Johnson 「スーパーマリオ・ラン」は左にスワイプで戻れたら最高だった。
Pat the NES Punk いいビデオだった。でもドンキーコングが発売された1981年にビデオゲーム市場が崩壊してたってのは間違いだ。 Atari 2600のおかげもあって盛り上がっていた、特にアーケードはね。
Mr. X いや1981年後半には崩壊し始めていた。特に1983年には酷い落ち込みようだったんだ。
Burhan Saleemi スマホのゲームは嫌いなんだけど。
bowser train 同じく
MR. IDONOTCARE まぁ「スーパーマリオ・ラン」は楽しいけどね。
Burhan Saleemi どうしようもないさ、PCやコンソールより影響力があって今や誰しもがスマホを持っているんだから。
continuous HUNGRY 俺はいつも3DSとiPhoneをセットで持ち歩いているよ。
PinguThePenguin 3DSに携帯電話の機能が付けばといつも思ってる。
Burhan Saleemi ゲームができるスマホを任天堂が作ればいい。
yungDK 君が言うのと似たような製品はすでに発売されているけどあまり売れなかったよ。
Burhan Saleemi そういえばソニーがXperia Playとかいうのを出してたな、さすがにもう時代遅れになってるから新しいのを出すべきだ。
King Midas なんだかんだ言っても忙しいゲーマーにとってスマホのゲームは便利だからな。 PCやコンソールの前に2時間もいれることなんてあまりないし、スマホはいつも持ち歩いているしゲームも安い。
Mr. X スマホのゲームなんてゲームと呼べない、ただの暇つぶしツールだ。
Nicholas Johnson スマホでファイナルファンタジーやドラゴンクエスト、逆転裁判ばかり遊んでる。
Arjan Singh 宮本茂にGTA5みたいなオープンワールドの三人称視点でストーリー重視のゲームを作ってもらいたいね。 UNREAL ENGINE 4 みたいな最新の技術を使ってさ。ただそれだけで任天堂を窮地から救えるだろうに。
Maxatrillion それまんまゼルダの最新作じゃないか。ただ場所が都市じゃなくて広大なファンタジーの世界で、 車の変わりに馬を、銃の変わりに弓をつかっているけど。
Wen Liang 任天堂を救うって、別に任天堂は後100年以上存続できるだけの資産があるよ。 内部留保溜が凄いんだ。それにこれからニンテンドー・スイッチが発売されるしこれからだよ。
Eirik Hauge インタビュー中の彼が嬉しそうで何より。
foda-se 字幕の内容が正確じゃないな。
FarryEntertainment いいビデオだったけどなんか最終的にアプリの宣伝みたいになったな。
Sayr
人々がマリオに飽きたのは予測可能な展開と派生作品が多いこと、そして今日の作品と比べ退屈だからだ。
特に2Dマリオはそうだ。たいていの人は3Dのマリオカートとかにしか関心を持っていない。
でもだからこそ新しい3Dマリオである「スーパーマリオ オデッセイ」に私の心は躍らされた。
こんなに興奮したのはマリオ64以来だ。
あのプロモーションビデオを見た時マリオが帰ってきたと震えた。
きっと偉大な作品になるだろう。
Labyrinth9000 なぜゲームキューブのコントローラーをスルーした。アナログスティック2個もついてたんだぞ。
たしかに、スイッチのマリオオデッセイのPVは興奮したなぁ。久々に買うことが確定したマリオゲーだったわ。
返信削除あれ見た瞬間スイッチも買うこと決めたし。
すごく今更なんだけど朴さんはいったい誰なんですか?
返信削除成金の人?
>宮本茂にGTA5みたいなオープンワールドの三人称視点でストーリー重視のゲームを作ってもらいたいね。
返信削除外国人には宮本さんが名越さんや小島監督とはまるっきり価値観が違うことを知らないんだろうな。
あの人がやりたいのは子供に難解な社会問題を考えさせたり、ゲームで人を殺すことを慣らすよりも
「ゲームをやって、時を忘れる」ことに重点を置いているんだよ。それこそCall of Dutyでナチスに
勝った戦勝国を褒めるよりも、虚構の世界で自由に動き回ることに意味があると思っている。
だからゼルダもオープンワールドに近づけたけど、本質はゲームで仮想体験をさせたい訳じゃない。
むしろ欧米人はゲームを現実のように近づけることを疑問視するべきだ。
それこそ映画の本業なんじゃないかと思うけどね。