イギリスのタブロイド紙「デイリー・メール」より

Amazonの配達ドライバーが過酷な労働条件に悲鳴

Amazon delivery drivers complain about bad work conditions _ Daily Mail Online - 2017/12/10

デイリー・ミラーのDan Warburton記者がAmazonのドライバーの1日に密着、白いバンに乗り込み自分自身でドライバーが受けている耐え難いプレッシャーを経験した (Image: Roland Leon/Sunday Mirror)

イギリスの日刊タブロイド紙「デイリー・ミラー」の最新の調査によるとAmazonの配送ドライバーは一日に200個の荷物を配送し、最低賃金よりも安い賃金で働かされ、ペットボトルで排泄せざるを得ないような環境に置かれているという

デイリー・ミラーのインタビューに答えたドライバーによると彼らは1日の配達ノルマを達成するためにイギリスの法定労働時間の最大11時間/日よりも長く働き道路の法定速度も破らざるを得ないという、しかもそのノルマは渋滞や道路閉鎖、天候などの現実の道路交通事情を一切考慮していないとのことだ。

英国運輸省の執行機関であるドライバー&ビークル・スタンダードエージェンシー(The Driver and Vehicle Standards Agency)はドライバーが直面する過酷な状況を訴える声を受けてAmazonの配送現場の労働環境を調査することを誓った。

2015年に自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリである「ウーバー」のドライバーたちが労働条件の改善を求め同社を訴えた事件を率いた法律事務所のLeigh Dayは、Amazonが委託している代理店から虐待を受けたと主張する7人のドライバーを代表している。

Amazon.ukが直接配達ドライバー達を雇用しているわけではない

Amazonはドライバー達を直接雇用していないが複数の代理店を通じて募集されたドライバーはAmazonの倉庫から荷物を運び、Amazonが開発した配送用アプリを使用し、Amazonが決めた配送ルートに従っている。Amazonが契約するそれらの配送会社には配達商品の量やルートの決定権がないとのことだ。法律事務所Solabyte Meaby and CoのSteven Eckett氏はAmazonは英国の雇用法から逃れるために代理店を利用していると指摘する。

ある労働者はデイリー・ミラーに次のように語った。「Amazonは契約する配送業者のすべてのマネージャーに"配達ドライバーにペットボトルに尿を足すのを止めるよう指示しろ"といった内容の電子メールを送った。」Amazon倉庫の警備員がそこを出入りする配達ドライバーたちの車両に尿入りのペットボトルが保管されいるのを目撃しAmazonに報告していたという。「だがそんなことをせざるを得ないほどドライバーに対する配送割り当てが多いのだ、そしてそれを決めているのはAmazonだ。」

Amazonはルートはトラフィック・パターンや速度制限を考慮した「洗練されたソフトウェア」を使って計算していると述べている。しかし一日に最大200個の荷物を配達するドライバーは交通渋滞や制限速度や天候などの現実の道路状況を考慮しないその「洗練されたソフトウェア」が決めた通りに全ての荷物を配送することはほぼ不可能だと主張している。またドライバーの多くが昼食をとらず、トイレ休憩さえできずペットボトルで尿を足し、1日のノルマをクリアするため夜遅くまで働いているという。
またAmazonと契約関係にあるイギリス・ケント州に本拠を置き英国全域で活動する国際宅配便サービス「プロスペクト・コマーシャル・リミテッド」のドライバーの複数がイングランド・シェフィールドにあるAmazon倉庫からの仕事について懸念を表明している。

ドライバーは毎日、法定労働時間11時間を超える12時間~14時間働いているが一日当たり£103(約1.57万円、固定給)しか受け取っておらず配送バンのレンタル費と保険のために£200(約3万円)を週に支払っているという。一部のドライバーは燃料代なども支払うと(一部が後に払い戻されるものの)週に160ポンド(約2.4万円)しか残らないという。

Dan Warburton記者も割り当てられた配達ノルマを達成するのは"肉体的に無理"と語る (Image: Roland Leon/Sunday Mirror)

Amazonの広報担当者はデイリー・ミラーに次のように語った。「当社は当社が業務委託する配送業者によって契約された人々が公正に補償され、尊重され、安全に運転され、適用されるすべての法律および運転規則が遵守された環境で働けることを保証することに努めている。」

「弊社の配送業者は賞与、インセンティブ、燃料払い戻しとは別に控除前に1時間あたり最低£12(約1800円)をドライバーが確実に受け取れるよう努力している。」

Amazonの配達ドライバーを取り巻く環境

GMB(全国都市一般労組)の主張によるとドライバーの多くが基本的な労働者の権利、最低賃金や休日給与などが守られていないという。またドライバーが荷物の配達に十分な努力をせずにAmazon倉庫に戻った場合、あるいは何らかの理由で就労できない場合、罰金を科されるか将来のシフトが拒否されるリスクがあるという。

このため代理店と契約している1日ごとに給金が支払われるドライバーはしばしば休憩を取れずに非常に長い労働時間を過ごすことになる。ウーバーのドライバーように、Amazonの代理店が契約するドライバーの多くが自営業の独立系請負業者として扱われており、高価な配送バンレンタル契約と燃料費を考慮すると結果として得られる時間単位の給金は非常に低くなる可能性がある。

(※参考:日本では配達ドライバー1人が1日に運ぶ荷物は全国平均で150個ほど、都内のドライバーになると200個を超えるといわれているそうです。ソース

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海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース


JollyMrRogers UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス:アメリカ合衆国を中心とした国際貨物運送会社)で働いている配達ドライバーだけど忙しい時は1日に300とか小包を配送する。大変だけどちゃんとした給料が出ているからやっていける。

TheTreesMan UPSにはちゃんとした労組があるからな。

lowflyingmeat カナダではAmazonの荷物の配達はほとんどFedExやUPSが請け負っていてドライバーの時給は20~25USドル、労組の下できちんと保護されている。でもAmazonはカナダでもこの記事のようにドライバーを自営業扱いする別の配送会社に頼り始めた、きっとFedExやUPSのコストが高いからだろうな

HOLYREGIME てっきりAmazonはUPSとかの大きな物流/配送会社にだけ委託していると思ってたけど他の配送会社にも委託していたんだな。

rattleshirt&freedoms_stain 彼らはAmazonへの注文に応じて物流業務サービスを提供するAmazon Logisticsという会社を作った。英国ではそこで雇われている人の大部分が「自営業」という扱いになっている。

photoresistor ほとんどが契約ドライバーで本当にトイレ休憩もできないらしい。このハフィントンポストの記事(ソース:英語)によると個人の配達員が配達先の家の目の前でウンコしていったらしい。監視カメラにミニバンの助手席からウンコするドライバーの映像が残ってたとか。

daydreamweaver この前Amazonに注文したら子供を乗せた女性が彼女の自家用車と思われるミニバンで配達してきてビックリしたわ。ほんと物流版のウーバーって感じ。車を持っていたらあなたも配達員になれますよ的な。

HauschkasFoot "子供を乗せた女性が"
そりゃまた尿入りペットボトルが大量に作られそうだ。

Orval だがこれがAmazonの当日配送を可能にしている。

daydreamweaver 家の前に突然改造したキャデラックが停車し黄色いベストを着た男性が出てきて「なんじゃ?」と思ったらAmazonで注文したエッセンシャルオイルを渡してきた。なんか笑った。

ImAJewhawk 彼らはベストを着る必要もない。Amazonには制服はないしAmazonのIDと首からIDをつるすためのひも以外ドライバーにも何も提供しない。その彼はおそらく自分でそのベストを買ったんだろう、変な人に思われないように。

doyourjob 彼らはAmazon Flexの配達ドライバーだね。Amazonが作った当日配送用の請負会社だ。

Dantes7layerbeandip 家の前に白いミニバンが止まったと思ったら夫婦と子供3人が飛び出してきて女性はまるでリレー競争のようにAmazonで注文した荷物を私に押し付け、男性が子供を抱えて道路の溝でおしっこをさせ、それが終わるとまた勢いよくミニバンに乗り込み去って行った。何を言っているかわからないだろうが私も目の前で起きた事が信じられなかった。

placidkiwi Amazon Flexは車を持っているならアプリを通して簡単なバックグラウンドチェックと簡単な講習を終えたら誰でもすぐに配送のシフトを申し込める。本当は配達する時は同乗者がいちゃいけないんだけどその辺のチェックはあまあまなんだろうな。

oxslashxo たぶん物流センターが近くにある都市部だけの話なんだろうけどすげぇな。

GabbyJohnsonIsRight 制服がない人が配達するっていうけどうちに来る配達員はいつも制服を着てるんだけど。

kushbowls それはAmazonが契約している配送会社の従業員だね。ただ彼らもAmazonが規則や基準を定めている。

BeardedBitch 正直驚かない。家の近くにAmazonの物流センターが開設したんで申し込んだんだが返事が来たのが2ヶ月後、第一審査が通ったので面接の日付を後に連絡するとだけ書かれていてその後4ヶ月の沈黙が続いた。 そして申し込みから6ヶ月後、私は面接のためにいつ、どこどこに来てくれといった内容を伝えるメールを受け取る。

私は丁寧にお断りの返事を返した、6ヶ月も経ったんだ、私がその間に何度別の会社で面接を受けたと思っているのだろうか? それなのに面接はいつにするかといった電話があった。6ヶ月も待たせておいてこちらからの返事も無視するとはどういうことだろう? 応募者にもそんな扱い方をする企業だ、私はこの記事の労働環境を信じるよ。

ForeWarning それ全く同じ事が私にも起きた。Amazonの人事部はどうかしてるわ。

swr3212 それはAmazonの人事部じゃなくて倉庫で働く人を募集する人材派遣会社だよ。確か"Integrity Staffing"とかいう会社だったはず。

bonham43 数年前までその"Integrity Staffing"という会社で働いていたけど契約社員の人たちは給料は良くないし繁忙期には週70時間働かされ残業代も出ない。しかもクリスマス前に大勢を解雇しなくちゃならなかったこともあったなぁ。ああ、それと採用プロセスは確かにクソ。

Rayquaza2233 私も倉庫管理の業務をしている会社で働いているけど従業員のほとんどが人材派遣会社から派遣された人だ。正社員1一人に対し派遣社員20人といった感じ。

greenphilly420 Amazonの倉庫なんてマネージャー以外みんなその"Integrity Staffing"から派遣された派遣社員だよ。あそこは労働環境が酷いことで有名だ。

livelotus Amazon Flexの4時間シフトの仕事は4時間で72ドル与えられるがAmazonが考える配達可能な量の限界の荷物を渡される。そしてドライバーはそれを全て配達できないことを繰り返すと即解雇だ、もちろん不在とかは考慮してくれない。

Elektribe 不在とかドライバーの責任じゃないだろうに... ドライバーは配達先の人が不在でないことを祈るしかできないのにそれを全く考慮しないとか酷いな。

ballandabiscuit そういう立場の弱い環境で働かされる人は多いよ。私は以前小売りで働いていたんだけどそこでは毎月販売ノルマを達成できないと解雇される。その月に店に一人も客が来なかったとしても関係ない、販売員はお客が店に来てくれるかどうかをコントロールできないのにね。そのシステムのせいで良い人が何人も辞めさせられていたな。

whatevers_clever でも4時間で72ドルなら最低賃金よりだいぶ良くないか? 1日4時間シフト×2回を週に5日とかなら結構稼げそうだけど。

Labulous まず燃料代がある、これはもしかしたらある程度払い戻されるのかもしれんが。そして契約ドライバー向けの自動車保険がかかり福利厚生もない。

hi_there_im_nicole それに4時間というのはAmazonがその時間内で終わらせられると判断して決めているだけだ。1回の積み込みで配送できるルートが4時間なんだろうが実際は全ての荷物を配送しないとクビになるから残業しなきゃならん、もちろん残業代も出ない。

BBoySlim こんなのがまかり通っていいのかよ?

mechathatcher イギリスには最低賃金がある。でも企業が個人を自営業として契約すると最低賃金は存在しなくなる。これは「ギグ・エコノミー(インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方)」と呼ばれるものだ。新しい働き方なんてもてはやされているが実態はこんなもんだよ。

Inesophet なぁに、いずれそういった仕事はAIに取って代わられるから解決するさ。

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“Amazonの箱がパワーアップしていた” by Norio NAKAYAMA is licensed under CC BY 2.0