ギズモードやライフハッカーなどを抱えるアメリカのオンラインメディア企業ゴーカー・メディア傘下の自動車情報サイト『Jalopnik』より より

トヨタ・カローラ・ハッチバック2019年モデル(カローラ・スポーツ)はカローラを再び気になる存在にした

The 2019 Toyota Corolla Hatchback Made Me Give a Crap About a Corolla - 7/18/2018


新型カローラ・スポーツ(北米ではカローラ・ハッチバック)は車に移動手段としての価値以上のものを求めない合理的な人々だけが購入するような "悲しくなるほどに退屈" な車ではない。だが車好きにとって夢のような車、というわけでもない。

しかしこのハッチバックは過去のカローラから長い間失われた何か、かつてこの車を万人に受け入れられる存在にした普遍的な魅力を復活させたように思える。



もし過去20年の間に、どの時点かに関わらず、誰かが
「新しいカローラが発売されたぞ、きっと君も何かしらの興味を持つはずだ」
と私に言ったとしよう。

その言葉を信じカローラを見に行った後、私はその人物に対し
「この薄汚れた嘘つきめ!!」と口汚く罵ったはずだ。

しかし今日、この新型カローラ・スポーツを運転した後に、誰かが同じことを言ってきたら私はその人物にこう言うだろう、
「あなたは信頼できる正直な人だ」

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この新しいカローラを過去20年のカローラと決定的に違うものにしている最大の要素、それはハッチバックであるということだ。アメリカではカローラは90年代半ばの第6世代以来ハッチバックバージョンが発売されたことはなく久しぶりの復活だ。

そのハッチバックは、かつてトヨタが『liftback(リフトバック)』という名で広めようとしたこのタイプの車は... そう呼ぼうとしたのはおそらくトランクのドアが大きく持ち上がることをアピールしたかったからではなかろうか。

話を戻そう、そのハッチバックは長い間カローラのラインナップの中でまさにスイートスポットと呼べるものだった。実際にラインナップの中にあった当時、それは実用的で経済的で少し運転するのが楽しい、そんな魅力がひとまとめになった素晴らしい車だった。そしてそれは一時、文字通り街中にあふれていた、至る所でカローラ・ハッチバックは走っており、そうなるに相応しい実力を持っていた。

サイドにストライプの入った鮮やかなイエローのハッチバックに乗っている男性が、その小さいながらも実用性が高い車のハンドルを握りながら満足そうにしている様子がそこかしこで見られた。人々は車の後ろに大きなドアがあることがどれほど素晴らしいことかを実感し、全てにおいて優秀だったそれを愛した。



だが最終的にトヨタは信頼性が高く、安全で、だが極めて退屈というまるで トランクルーム のようなカローラのセダンタイプのみを販売するようになる。私たちのほとんどがカローラについて考えるときにイメージするのがそれだ。いや、そもそもカローラについて考えるなどという事自体人々はしなくなっているが。



だがそんな状況は終わりを迎えた、新しいカローラの "形" がなぜ大事なのかをわかってもらえただろうか。さらにこの新型カローラ・スポーツではトランスミッションにマニュアルを選ぶことが可能になっている、この時代にマニュアルを用意するという事もまた中々に大事である。今回はマニュアル車を試乗することができなかったのでそちらはいずれ別の記事で触れようと思うが、しかし私はそれが存在していることを嬉しく思う。

まぁ前置きはこのくらいにしてとにかく新型カローラ・スポーツの話に移ろう。語るべきことは多いのだから。

新型カローラ・スポーツのデザイン


私はトヨタの最近のデザインテーマ、いわゆるデザインランゲージというものに厳しい意見をぶつけてきた。私が近年の自動車のデザインを揶揄して名付けた『Cybaroque(※)』の典型であるトヨタのデザインは、折り目やら角ばった縁やら偽物のベントやらとにかく様々な装飾が施され、その結果として複雑すぎてごちゃごちゃとしたものになっていることが多い。その最大の犠牲者は新しいプリウスだろう。

(※Cybaroque="Cyborg" + "Baroque"/サイボーグ+16世紀半ばから18世紀初頭にかけてヨーロッパに広まった装飾を多用したスタイルであるバロック様式。この記事を書いた記者の造語。)

しかしこの新しいハッチバックのカローラはその大部分において問題を感じない範囲に抑えられている。装飾過多だったこれまでの車からだいぶ落ち着いたものになっており、まだ少々ごちゃごちゃとした複雑なデザインは残っているがだいぶスッキリとしたため見栄えは悪くない。


photo via jalopnik.com サイドとその全体的なバランスは引き締まっているし、横から見た際のAピラーからボンネットの折り目にかけてのラインはかなり良いように思える。Cピラーの手前の後部ドアで少し上に向かってラインが蹴り上がっている所も素敵なタッチだと思えるし、ハッチ&バンパー付近の稲妻のようなラインも中々に面白い。

デザインに関しては斜め後ろからのアングルが最も主張が強く、どことなくロボット・アニメ風のハッチ部分に取り付けられたリアウイングも嫌いではない。

テールランプのデザインも特徴的でいい感じだ。バンパーからリアリフレクターを通ってトヨタのロゴの部分でつながる折り目の流れも結構いい感じである。


photo via jalopnik.com ただデザインのいくつかイラっとさせられた。その後部センターにあるロゴだがその位置、その窪みからハッチを開けるノブがそこにあるように思えるがそこにはない、本能的に掴みそうな場所であるにもかかわらずだ。ハッチのハンドルはそこよりも下の切れ目部分にある。いったい何人の人間がハッチを開けようとしてリアビューカメラを引き抜いてしまうだろう。


photo via toyota.com また衝撃や振動を和らげる緩衝装置であるバンパーをその半分は装飾のためのフェイクであるフロントグリルの中に隠しているのだが、その中途半端さがいただけない。ご覧の通り、こう見ると実に不格好である。フロントの装飾部分はプラスチック製で壊れやすい。本来はちょっとした接触事故などからそれらを守ってくれるバンパーがその装飾の中にあるというのはどうなのだろう?


photo via toyota.com カラーリングに関しても語っておくべきだろう。私が試乗したの車は "Oxide Bronze" という色で落ち着いたカラーだがあまり他では見られないものであり個人的には好きな色だ。ただもっと楽しく、大胆な原色の選択肢があればとも感じた。今のところそれは赤と青の二つしかない。まぁ今後増える可能性はあるが。

ここはやはりストライプのオプションも追加すべきではなかろうか?

新型カローラ・スポーツのインテリア


トヨタはインテリアで良い仕事をした。シートはレザーと布の両方を使用しておりツートンカラー調のルックスになっている。レザーを節約するためなのかもしれないが結果として座席は見栄えが良くなっている。



ダッシュボードのレイアウトとデザインは理にかなっている。コントロールの大部分は「アレはこの辺りにあるはず」といった期待通りの場所に設置され、操作しやすい位置に置かれている。

インテリアに使われている材質もかなり良い感じだ。縫い目は実際に縫ったものでプラスチックの型で造られた偽造品ではない。至る所に柔らかい質感の資材が使われ硬すぎたり脆いと感じるものはない。



室内の空間も全体的に見て良いと思えるものになっている。後部座席もかなり広々としていてまともなレッグルーム、足元の空間もある。唯一の問題点はハッチバックの肝ともいえるトランク部分だ。



ハッチバックの利点とは大きく開く後部ドアであり物の積み降ろしを簡単にできることだ。この新型カローラ・スポーツももちろん後部座席が折りたためるようになっており大きな荷物を積めるようになっている。だが荷台部分はハッチバックにしては少々狭い。また荷台部分の入口と床の高さは同じで平らになっているのが普通だがこのカローラ・スポーツは荷台部分が入り口部分よりも少し高くなってしまっている。

それは荷台の床下にスペアタイヤが収納されているのが原因で数インチほど荷台の縦のスペースを不必要に奪ってしまっている。そのスペアタイヤはフルサイズですらない、これは無くした方がよかっただろう。



新型カローラ・スポーツの走行性能


悪くない。 ただ私が感じる不満の多くがCVTに由来するためまだ試していないマニュアルでは全く変わってくる可能性はある。



興味深いことにこの新型カローラ・スポーツのCVTは "発進用ギア付きCVT" であり加速専用のギアが搭載されている。その言葉だけを見るとパフォーマンス指向の車になっているように思えるが実際はそうではない。これはシートに身体が押し付けられるような加速を実現するためのものではなくあくまで効率を高めるために存在している。簡単に説明すればCVTは低速時にベルト効率が悪くなる問題があり、その伝達効率を向上させるために新たにギアを追加したのだ。

効率を高めるために採用された発進用ギアだが加速においても多少貢献してくれている。だがいわゆる "CVTらしい感覚" は残ったままであり、自動車ジャーナリストという仕事柄何度もCVTを運転してきたため馴れはしたが相変わらずこれを好きにはなれない。



1987ccの直列4気筒エンジンの出力は168馬力、トルクは151 lb-ftとなっており加速は良い、だがやはりCVTであるため音は良くない。マニュアルバージョンではずっと良くなるはずだ。



走行モードはノーマル、燃費優先のECO、そしてスポーツの3段階ありスポーツではスロットルレスポンスが少し良くなるがその変化はそれほど劇的ではない。

ハンドリング性能は良くとても機敏に動く。前輪にはストラット式サスペンション、後輪にはダブルウィッシュボーン式リヤサスペンションが採用され、この車の小さいサイズと最小限のオーバーハング(前輪の車軸中心線から車両最前部、後輪の車軸中心線から最後部までの距離)は軽快な走りに貢献している。

車重は約3,060ポンド(1388kg)でフェザー級ではないが重すぎると感じることはない。

レーストラックで走る機会は得られなかったがそこそこ曲がりくねった道を走ることはできた、そしてその走りは驚くほど魅力的だった。ブレーキの効きも良かった。

ブレーキ制御により内輪に制動力を付与しコーナリングをアシストするアクセル・コーナリング・アシスト(ACA)や電子制動力配分装置(EBD)などの助けもあったのだろうがその効果を語れるほど激しく攻めることができなかったのでそれはまた別の機会で触れるとしよう。

乗り心地はかなり快適だが高速道路では少し騒音が気になった。

燃費に関しては私が運転したカローラが生産前の車だったためEPA(米国環境保護庁)の公式な結果はまだ入手できていない。ただ1週間ほど、馬鹿みたいに高速道路と都市部を走り回ったところ燃費は平均で29から30mpg(12.3~12.8km/ℓ)と優秀な数字を残している。



新型カローラ・スポーツの装備

自動車産業は日進月歩に発展しているがこの新型カローラ・スポーツはそんな時代に人々が求める機能が全て詰め込まれている。 プリクラッシュセーフティやレーントレーシングアシスト、レーダークルーズコントロールなどの最新の安全技術が詰まった『Toyota Safety Sense』はもちろんキーを取り出さずにドアを施錠&解錠できるスマートエントリー、USBポート、使い難くないインフォテインメントなど山積みだ。



新型カローラ・スポーツの評価

私は気に入った。それは心揺さぶるわけでもなく、私の心の睾丸をつかむこともなかったが、かなり魅力的な車に仕上がっている。

そしてトヨタの優れた信頼性実績と合わせて考えると、この新型カローラ・スポーツは日常的に使うオールラウンドな車を求める層にとって非常に魅力的な選択肢になるだろう。



おそらくほとんどのバイヤーはこのカローラ・スポーツとホンダ・フィットとの間で悩むことになるだろうがどちらも甲乙付け難い。カローラ・スポーツはよりパワフルだがフィットの方が室内の空間において勝っておりまた柔軟性、使い勝手においても若干優れていると言えるかもしれない。

どちらを選べばいいかは難しい選択だ、最終的には個人の美的感覚、その好みが決め手になりそうだ。

まぁ私は試乗した今でもこの新型よりも70年代後半の鮮やかなイエローにストライプの入ったカローラ・リフトバックの方を選ぶだろうが、オッサンのたわごとと思って笑って流してほしい。

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海外の反応

Youtube, jalopnik.comのコメント欄より: ソース , ソース


Acc0rd79 売れそう、特に若い人たちの間で物凄く。
車高がやたらと低かったりタイヤが "ハ" の字みたいに斜めってるカローラをやたらと見ることになりそうだ。スタンス系?だっけか?
(スタンス系:足回りをかっこよく決めている車)

N2LADIES55 63歳だが買うつもりだぞ。

jcriley76 41歳だが予約済みさ。

mark p もうすぐ58になるけど購入する意欲に満ちている。今乗っている2011年製カローラ・セダンを気に入っているがハッチバックが出るっていうしこの機会に買い替えるつもりだ。

Patrick Humphrey 28だけど若者だからって皆が車をスタンス系にしたいと思っているわけじゃないから...
でも残念ながら私の住むサンディエゴのカーシーンは今このわけのわからないナンセンスな流行に侵食されているのだ...

maplefreak64 エンジンは北米では2リットルの非ターボ。
日本では1.2リットルのターボとハイブリッド。
それぞれの国で仕様が異なるようだがどれがベストなんだろう?

sic22l ヨーロッパだと1.2ℓターボ / 2.0ℓNA / ハイブリッドと一通り揃うみたいだ。

Graham Jefferson あの優秀だが退屈な車の代名詞だったカローラがついにいい感じのルックスを手に入れたか!
不満があるとすればフェイクのエキゾースト・ポート(排気口)とAndroid Autoが使えないことくらいかな?
「もちろんこれらはフェイクですとも」 photo via jalopnik.com

Jimbo このカローラ・スポーツの購入を真剣に検討していた、Android Autoがないことを知るまでは。だがなぜかAppleのCarPlayには対応しているという...
愚かなことだ、実に愚かなことだぞトヨタ!

Ashley Sharp イギリスだとAndroid Autoに対応してるぞ。その内アップデートで使えるようになるんじゃね?
(※日本では両方とも非対応)

Huy Thai フェイクのエキゾースト・ポートに関しちゃBMWやメルセデスベンツ、さらにはポルシェでも見かけるからそこまで問題には感じないかな。Android Autoに関しては同意、なぜAmazonのアレクサにすら対応しているのにAndroid Autoに非対応なのか... トヨタは時々変なことをする。

superchan7 スタイリングが車のサイズ感に与える影響が興味深い、先代モデルであるカローラiMよりサイズは大きくなっているのに小さく見える。
(※カローラiMは北米でのトヨタ・オーリスの名称であり、その後継モデルである今回の車は欧州ではオーリス/日本ではカローラ・スポーツ/北米ではカローラ・ハッチバックの名称になっている。サイズは全長で+45mm、全幅が+30mm拡大。)

Christopher Calder フロントもリアもデザインが好きになれん。

Claire Kennedy エクステリアもカラーも好みだ、インテリアは特に価格を考えるといい感じ。
...そしてやはり買うならマニュアルか。

Mark Baum 3ペダル万歳!

Stryker Trailwood 過去40年に発売されたカローラの中で一番ルックスがいい。ここまで良くなっていることにショックを受けている、特にカムリやアヴァロンがどうなってしまったかを考慮すると。

Tom Boyle "最初の一台" にピッタリな車だわ。

Toyota of Naperville これだけの装備が揃っていてしかもハッチバックだもんな、これまでのと比べてとても大きなアップグレードだ。GAZOO Racingバージョンがどうなるかが気になるぜ。

uralsmol 本当にいい感じのルックスになっていてちょっとびっくりした。

DesertHorse 確かにハッチバックになったことでカローラは幾分良くなっただろう、だがハッチバックは所詮トランクの入り口がデカくなっただけに過ぎない。カローラ・ワゴンよ、カムバック!

SlothLovesChunk 11代目のカローラ・セダン(2013年 - )やカローラiMから一気に、かなり良くなっていると思う。それにしてもこの記者が競合する対象にホンダ・フィットだけを選んだのはなぜだろう? どちらかというとホンダ・シビック・ハッチバックの方がライバルになると思うんだが。

knappsterbot シビック・ハッチバックは見た感じも使い心地もハッチバックっぽくないからとか? 車の後方にかけてなだらかなラインになっているシビックよりも四角に近いフィットの方がこのカローラ・スポーツのライバルになりそうな気がする。

aramid そりゃまともな目を持っている人間ならあの車を選ばないからだろ。現行のシビックのスタイリングはカローラのマーケティングにおける最高のプラス材料になっているはず。

SlothLovesChunk 新型シビックはそれでも結構売れてるけどね。デザインランゲージに関しちゃトヨタの方が酷い、主要な自動車メーカーの中で最悪だと思う。それもまた主観に過ぎないがな。


Christopher Judd Dizon はい決まった、次に購入する車が今決まりましたよ。

Travis トムス(主にトヨタ車向けのアフターパーツなどの開発・販売を手がける日本の企業)でもいい、Gazoo racingならもっといい。彼らが手掛けるこの新型カローラがどうなるか楽しみで仕方がない。カローラのパフォーマンスバージョンが最後に出たのはいつだったか、だが再びそれが見れそうなことが嬉しい。

Chris_K_F drives an FR-Slow 全力で支持する。トムスバージョンのルックスはさらに素晴らしいじゃないの!

My Weird Garage OK、黙って俺の金を持っていけ。とにかくレクサスに使われている4気筒ターボを乗っけるだけでもいい。

LandyYachty このセグメントの中では特に秀でるものがないように思えるのだが。

Sesquipedalian Loquaciousness 1つだけあるぞ、トヨタのバッジだ。そしてそれだけで大勢の人は他のハッチバックではなくこの車を選ぶ。トヨタは文字通りそのセグメントに納まる車を作るだけで顧客を獲得できる。 “Toyota Tax(トヨタ税)” とはよく言ったものだ。

(Toyota Tax:トヨタの信頼性に課せられる税金的な意味。トヨタ車は競合車と比べ価格が高いがそこには確かな信頼性があり、その信頼性のために、トラブルフリーになるために余分にお金を払ってでも購入する人が大勢いることから。)

LandyYachty そりゃもちろんそうなんだけどさ、カローラや4Runner(ハイラックスサーフ)、シエナの信頼性の高さは異常だ。販売台数当たりの苦情の数で最も少ないのがそれらだというデータもある。ただ例えばフォルクスワーゲン・ゴルフやマツダ・アクセラなんかは遥かに運転するのが楽しい車だし、シボレー・クルーズなんかはもうちょっと安い。シビックにしてもインプレッサにしてもそれぞれの良さがある。ハッチバックを買おうと思ったらやっぱりその "ハッチバックらしさ" が重要なわけで、それは信頼性よりも重要なファクターだと思うんだ。

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