一世紀以上の歴史を持つイギリスの自動車雑誌『Autocar』より

トヨタ・スープラ 2019年モデル、ポルシェ・ケイマンのライバルのプロトタイプの実車レビュー

Toyota Supra 2019 review | Cayman rival prototype driven | Autocar - 2018/09/18 - (一部 Autocarの同じ記者によるレビュー記事より補足)


新型スープラの車内へようこそ。長年待たされたがついにこうしてプロトタイプを試乗することができた、実に興奮するではないか。

さて、何がお伝えできるかというとだ、まず何よりこの車が実際に製造/販売されるまでにはまだ9か月、あるいはもう少し時間がかかるようだ。そのため詳細は、例えば馬力や車重の具体的な数字はまだ公表されていない、というかかなりの部分において詳細はまだ不明なままだ。最終的な完成車が披露されるのは来年1月にデトロイトで行われるオートショーになるだろう。

まぁ今までの情報を含めて簡潔に言ってしまえば、この新型トヨタ・スープラはBMWとの共同開発車でありBMWの新型Z4と基本プラットフォームを共有している、だが両社はドライビングという観点においてそれぞれ独自のものを追求するとしている。開発費を抑えつつもいかにして独自のカラーを持たせるか、どこまで共有すればいいのかを開発者らが必死に考え抜いた結果がここにある一台というわけだ。

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そしてこの新型は "スープラと名乗るならこうでなくてはならない" というところの最低限は抑えている。3リッター6気筒のフロントエンジン、そして後輪駆動。ただしトランスミッションに関してはZF製パドルシフト付き8速ATとなっておりおそらくマニュアルトランスミッションは提供されないだろう。トヨタが公表した数少ない具体的な数値の一つである前後重量バランスは50:50、こちらは素直に喜べる情報だ。リミテッド・スリップ・デフ(LSD)も当然のことながら搭載されている。

またこれも言っておいた方がいいだろう、この車の開発を指揮した人物はあのトヨタ86のチーフエンジニアだ。あの車の優れたハンドリング性能を考慮すれば期待ができるというものだ。

まず乗り込んだ時に感じたのは、ところどころ布で覆われ隠されていたにもかかわらず、インテリアが明らかにBMW寄りのものになっているという事だ。ステアリングホイール後方のレバー類もシフトレバーもドライビングポジションも他のBMW車に見られるものになっている。ステアリングホイール自体はBMWのものよりも若干細めの作りになっている。




今はレーストラックで走っているが一般道でもこの車を走らせてみた。乗る者を引き付ける走りをしつつもとてもスムーズな乗り心地で日常的に使える快適なスポーツクーペといった印象だった。BMW・M4と同じサイズのタイヤを履いているにもかかわらずそちらよりも乗り心地が良い。

ライバルとなり得る車はポルシェ・ケイマン、アルピーヌA110、そしておそらくBMW・M2といったところだが、この新型スープラを開発するにあたりトヨタが一般道での使用に特に注力したと語る通り、高速道路でも街中でもそれらのライバルよりも成熟した乗り心地を提供している。
エンジンもとてもスムーズで素晴らしい。 馬力に関してはまだ具体的な数字は発表されていないが運転してみた感覚では330~350馬力ほどに感じる。パワーバンド、エンジンが得意とする回転域はとても広く6気筒であるため回転数の上昇も非常に滑らかだ。

またスポーツモードにするとサスペンションダンパーがより硬めに、ステアリングホイールもより重めになり、 スロットルレスポンスはより反応が良くなる。まだ調整の余地があるとトヨタが語るかなり太めのマフラーエンドの内側にあるフラップも解放され中々にいい音を奏でてくれる。




車重に関しては1500kg前後になると言われていたが実際そのように感じる。

トヨタが公表した数少ない具体的な詳細の一つにこの車の重心の低さがある。興味深いことにあのボクスターエンジン、低重心に寄与することで知られる水平対向エンジンを搭載したトヨタ86よりも重心は低くなっているという。

エンジン・シャシー・電子部品などを取り付けて車両とするためのベースとなっているボディシェルにはカーボンファイバー素材は使われずスチールとアルミニウムで造られているがボディ剛性はあのカーボンファイバーを多用したレクサス LFA と同等になっているとのことだ、大したものである。


レーストラックを走ってみた感覚としてはこの新型スープラは "レーストラックのための車" ではなく "レーストラックでも楽しめるロードカー" であるように感じる。だがステアリングは滑らかで正確、反応も良くブレーキは強力で扱いやすく素晴らしい。自分の操作と車の挙動の一体感も気持ちがいい。

スタビリティ&トラクションコントロールをオフにすることも可能だそうだが今回試乗しているのはプロトタイプであるため残念ながら完全にオフにすることはできなかった。だが何よりフロントエンジン後輪駆動のスポーツクーペらしい絶妙なバランスが素晴らしいと感じられた。

この車はポルシェ718ケイマンやアルピーヌ・A110ほど機敏ではないがそれらとは違う個性を持っている。コーナーに入るときに感じる僅かなアンダーステア、出るときに感じる僅かなオーバーステア、そのバランスが絶妙で非常に気持ちがいい。私が最も評価するハンドリングが良い車にアストンマーティン・V12ヴァンテージSやトヨタ86があるがそれに近い気持ちのいいバランスをこの新型スープラは持っている。



新型スープラは一般道に適した車として造られていながら高速で走るレーストラックでも柔軟さと安定感を発揮する、ハンドリング性能に優れ「次はもっと攻めた走りを」といった感覚を呼び起こしてくれる。まさにトヨタ86以来のピュアスポーツクーペだ。

ここしばらく販売台数ばかりにフォーカスし退屈な車ばかり造ってきたトヨタだが、どうやら "走る楽しさ" というものを再発見したようだ。

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海外の反応

Youtube, reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース


andrewjaekim この新型スープラの直6エンジンの音の素晴らしいこと!

darthvader9840 BMWに感謝だな :')

Inner Hammer BMWの直6エンジン車よりもいい音出してて笑ったw

TassieLorenzo たぶんトヨタはレクサスのLC500やLFAで培った音に関する技術をこの新型にも注ぎ込んだんだろう。

notanonymous ちょい待ち、いま "販売されるまでにはまだ9か月" とおっしゃったか?!

Richard Hoang トヨタがFT-1コンセプトを発表したのは2014年、BMWと共同開発をすると発表したのは2012年だぜ? まだ待たなきゃいけないという事実に眩暈がするぜ...

LostStaberinde02 情報のチラ見せをしすぎると最終的な完成車の発表でのインパクトが薄れると思うんだが...

Lentriox この車はスープラと呼ぶに相応しくない。

gmax876 なんかスープラの進化版というよりトヨタ86の進化版といった印象。

Chicha 17 同意。この車にスープラらしさを感じない。

Pilot SuperSport "スープラらしさ" とは一体...?

jack snell ワイパーハンドルとかモロにBMWだしな...

SwaffyX BMWのバッジを張って "Z4.2" とか呼ぶべき。

Blake Swan 信頼性までBMWにならないことを祈る。

EDGEDAZZA しかもマニュアル無しですよ。

Tinter Trailers 残念ながら諸君の愛したスープラは死んだ。

Matt Maran Motoring なんかとても良さそうじゃない。誰もが望んでいた "よりパワーのあるトヨタ86/BRZ" って感じ?

M2D6 トヨタ86のシャシーはあらゆる面において優れたシャシーだった、もし適切なパワーさえあれば伝説的な車になっていたはず。特に同じセグメントの車と比べると明らかに非力だったせいで余計にそのパワー不足が目立ってしまった。そういった意味ではそのトヨタ86のチーフエンジニアが指揮し300馬力のエンジンを搭載したこの新型スープラは大いに期待できる。問題は価格がどうなるかだ。

Flamma the undefeated Syrian gladiator スープラというブランドが台無しになってしまったことが残念でならない。この車の姿かたちだけをとってもスープラとは思えない。

Reto 'Aadiyat 4代目のA80型スープラ(日本国内においては2代目、1993年-2002年)はそもそも特段優れた車というわけではなかった。フロントヘビーだしサスペンションは柔らかすぎたしボディロールもシャーシの剛性も酷かった。そんなA80を特別なものにしたのは2JZエンジンと改造のしやすさだ、それ以上でも以下でもない。

A90、つまりは新型スープラはA80よりもハンドリングにおいて、速さにおいて遥かに優れたものになっておりしかもよりいい音を奏でるものになっている。開発責任者を務める多田哲哉氏は単にスープラを復活させたんじゃない、彼はそれを進化させ新しい方向へと導いたんだ。

H0wcan-Sh3slap 個人的にはパワー、乗り心地、ハンドリング、その全てにおいて優秀っていう最適なバランスのスポーツクーペになったことを評価したいんだけど、なんかそう考えているの私だけっぽい?

amazing2019 この新型スープラに大して否定的な意見ばかり見受けられるのは何でなんだい?

darthvader9840 4代目スープラ(日本国内においては2代目、1993年-2002年)はトヨタ車のご多分に漏れずその極めて高い信頼性で知られていた。一方でBMWは最初の4~5年はいいがその後はあまり評判がよろしくない。

そして新型スープラにはBMWのエンジンが使われる、これはとてもいいエンジンなんだけど人々はこれまでのスープラが持っていなかった(と皆が信じる) "壊れるかもしれない可能性" を恐れているってのが一つ。あとはおそらく高額であることだ、この辺は新型ホンダNSXの時と同じだな。一応4気筒エンジンバージョンもあるみたいだからそっちはもうちょっとお手ごろになるはず。

個人的には信頼性に関してはそれほど心配する必要はないと思っている、そして何よりスタイリングが超好みだ。ただやっぱお高いんだろうなぁ...

SolHiemis 後はマニュアルの選択肢がおそらくないであろうことも一因だ。こう書くと必ず誰かが「でも最近のオートマは素晴らしいしより速く走ることができる~」的なことを言ってくるが、シフトを操作する感覚、自分の手で動かしていると感じられる喜びの欠如は加速がコンマ数秒早くなった程度じゃ埋め合わせることなんかできんのじゃ!

Lewgreg95 個人的に尖った鼻部分が好きになれない。

pardonmeimdrunk 私たちのような車好きの人間のためにトヨタがまたスポーツカーを作ってくれたことを我々は感謝すべきと個人的には思ってる、この手の車は会社にとってあまり直接的な利益に繋がらないからね。これから先スポーツカーはどんどん市場から消えていくだろう、だからこそ今も熱狂的な車好きの言葉を聞いてくれる企業のことは応援すべきだ。

DNY Motorsports マツダもトヨタにならって RX7を復活させてもいいのよ?

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