米国の4大ネットワークの一つ「FOX」のニュースチャンネル『フォックス・ビジネス』より

日産の元会長カルロス・ゴーンに保釈の可能性

Former Nissan Chairman Carlos Ghosn may be released on bail - 2018/12/20

左から
ダゲン・マクダウェル
(Dagen McDowell:Fox Businessのキャスター)

ジェイムズ・フリーマン
(James Freeman:ウォールストリートジャーナル紙の論説委員長補佐【Assistant Editorial Page Editor】)

マリア・バーティロモ
(Maria Bartiromo:元CNBCの人気キャスターでFOXに移籍)

リズ・ピーク
(Liz Peek:金融を専門とするジャーナリスト/コメンテーター)



マリア・バーティロモ: ではさっそくですがカルロス・ゴーン氏の話題に移りましょう、なぜならおそらくですがジェイムズ・フリーマンさん、どうやら東京の裁判所が欧米からの怒りの声、米国のような資本主義の国々からの怒りの声に耳を傾けたようですから

私は日本はそんな資本主義国家の一団に属していると思っていました。ですが明らかにそうではない、未だにカルロス・ゴーン前会長とグレッグ・ケリー前代表取締役の二人が独房に入れられているのですから。



ジェイムズ・フリーマン: ハハハ。まぁそうですね、しかし妥当な決断/結果と言えるでしょう。検察が要求した勾留延長に対し東京の裁判所が認めない決定をしたというのは極めて異例なことです。日本の行政が世界中からの反発を前にしてそうした、と見るのは妥当な考えでしょう。

我々米国を含め世界中の国々の多くの人々が「Wow, 本当に日本には我々の考える "デュー・プロセス(適正手続き)" というものがないんだ」と口にしました。

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ジェイムズ・フリーマン: カルロス・ゴーン氏は今日まで、およそ一か月間にわたり拘留され続けています。そして未だに拘留を解かれていません、なぜなら今回日本の裁判所が検察に対し勾留延長を認めない決定を言い渡しても、裁判抜きにこれ以上彼を拘束し続けることはできないと告げても、検察が判決に対して控訴する間は拘留し続けることができるからです。

これもまたアメリカ人からしたら見慣れぬ、奇妙な日本の司法の側面の一つです。非常に憂慮すべき事態と言えるでしょう。

そしてそれはグレッグ・ケリー氏、カルロス・ゴーン氏と共に拘留され続けている彼にとっても大変気掛かりなことでしょう、


マリア・バーティロモ: 彼だけでなくアメリカの市民にとってもそうです。


ジェイムズ・フリーマン: グレッグ・ケリー氏には脊椎管狭窄症という持病があり手術を必要としています。すぐにでも釈放し適切な治療を受けさせなければ脊椎の疾患が悪化し後々まで残る問題を引き起こす可能性があります。

ですがお構いなし、これは我々の司法の基準からは考えられない劣悪な処遇と言っていいかもしれません。

もちろん我々の価値観を他の国に無理やり押し付けるようなことはしてはいけませんが、世界中の誰もが適切な "デュー・プロセス(適正手続き)" を受ける権利を持つべきと私は考えます。


マリア・バーティロモ: その通りですね。



マリア・バーティロモ: この一連の事件が最初に起きた時に私は真っ先にこう聞きましたよね、起訴前から長期間独房に拘留するなどどこの第三世界の司法制度だと。最初の2週間は一切の起訴も無しに彼らは拘留されていたのです。

(※日本における一般的な逮捕後の流れは逮捕〜勾留〜起訴〜起訴後勾留)

外国人が心底怖がる「勾留地獄・日本」の真実 _ 国内政治 _ 東洋経済オンライン _ 経済ニュースの新基準より引用
https://toyokeizai.net/articles/-/215509?page=2
悪名高い「人質司法」
日本で警察が誰かを逮捕すると、書類送検まで48時間勾留することができる。そこから検察は、24時間以内に捜査を行うことになっているが、捜査が長引きそうであれば、裁判官に対して勾留請求をすることが可能だ。起訴前に勾留できる期間は最大20日間に上る。

つまり、逮捕から考えると被疑者は最大23日間勾留されることになる。この間、被疑者はほとんどの場合、法律で決められている拘置所ではなく、長期の勾留には向いていない警察の留置場(代用監獄)に収容される。

長期間にわたって被告人を勾留し、自白を促すこうしたやり方は、法律業界では「人質司法」と呼ばれている。「このシステムは完全に法律に反して行われている。被告人は有罪と宣告されるまでは無罪と推定されるべきなので、勾留は標準ではなく、例外であるべきだ」と、谷口弁護士は語る。
マリア・バーティロモ: 皆さんにこの事件に関しどんなことが起きていたのかをもう一度思い出していただきましょう。

カルロス・ゴーン氏とグレッグ・ケリー氏は日産・ルノーの合併に向けて動き出していました。フランスの自動車メーカーのルノーとの合併/経営統合です。

そして日本政府(japanese government)はそれをよく思っていなかった。明らかに日産の内部の人間もそれをよく思っていなかった。
関連記事:海外メディア「カルロス・ゴーン逮捕は日産によるクーデター」(海外の反応) https://kaikore.blogspot.com/2018/11/carlos-ghosn-arrested-in-japan.html





マリア・バーティロモ: 特にグレッグ・ケリー氏に関しては顕著ですが、先ほど話にあった脊椎の疾患の手術のために米国にとどまる予定で取締役会にはビデオ会議で参加するとしていたところ直接出席するように言われ東京に留まるよう促されたという事実から明らかなように、彼はおびき出されたのです、彼を捕まえるために彼らは彼を騙したのです。彼らは同様にカルロス・ゴーン氏も騙しました。そして11月19日に逮捕し、今日まで拘留し続けています。

ちなみに、拘留されている両名共に家族と話すことは一切許されず、弁護士とすら話すことは一切許されていません。まさに "extraordinary(異常)" の一言です。



リズ・ピーク: "It's outrageous(非常識/言語道断です)"

そして人々は非常に驚きました、これが日本のような国で起きているということに、まるで中国で起きているようなことが日本で起きたことに。



ジェイムズ・フリーマン: 一つ明らかにしておきたいのですが、彼は今は実際に起訴されています、ゴーン前会長らはみずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した容疑で起訴されました。もちろん判決が出ているわけでもないのでそれが事実なのかどうかは現段階では不明です。

分かっているのは日産のCEO(西川廣人)は日産・ルノーの合併/経営統合に後ろ向きで当局と連携していたということ、その結果として今の状況があります。


ダゲン・マクダウェル: 有価証券報告書に役員報酬を計4,400万ドル(約50億円)過少に記載するなどそう簡単にできる事ではないと思いますが。


マリア・バーティロモ: 単独で、他と関わりを持たないで、役員会や報酬委員会もあるのに。


ジェイムズ・フリーマン: そうですね、ただ我々は別に彼が無実であると主張するつもりはありません、単に世界中の誰もが適切な "デュー・プロセス(適正手続き)" を受ける権利を持つべきだという話です。
デュー・プロセス(適正手続き)
アメリカ合衆国憲法修正第5条および第14条の
『何人も、法の適正な手続き(Due process of law)によらずに、生命、自由、または財産を奪われることはない』

政府・国家の権力が恣意的に行使されるのを防止するため手続的制約を課すものであり、 日本国憲法第31条の
『何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。』
もこれに由来する。

ここで言われている日本の司法では "デュー・プロセス(適正手続き)" が無視されているというのは 『起訴前拘留=正当な手続によらない国民の身体的拘束』などのこと。

なお2018年12月21日、東京地検特捜部はカルロス・ゴーン前会長を特別背任容疑で再逮捕している。

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