防衛省が映像を公開した28日以降の韓国軍レーダー照射事件に対する海外メディアの報道まとめ


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韓国軍レーダー照射事件に対する海外メディアの報道まとめ(海外の反応)


アメリカ合衆国のニュース専門放送局『FOXニュース』

日本が韓国の軍艦にロックオンされたとされる件のビデオを公開

Japan shows video of alleged radar lock-on by SKorea warship - 2018/12/28



アジアの隣国間で騒動がエスカレートしている最中の金曜、日本の北部海岸沖で日本の軍用機に韓国の軍艦が火器管制レーダーでロックオンしたとされる問題で日本はこれを証明するためにビデオ映像を公開した。

日本の防衛省がそのウェブサイトに公開したP-1哨戒機から撮影されたとされる13分の映像には、日本側のクルーが韓国の駆逐艦に対し(レーダー照射の)釈明を要求するも返事がなかった様子などが映されている。



日本は先週の金曜日に能登半島沖の日本の排他的経済水域内で韓国の駆逐艦が搭載された火器管制レーダーで日本の航空機を対し繰り返しロックオンしたと主張、火器管制レーダーによるロックオンは敵対的行為と見なされており、実際に火器を使用する直前の行為とされている。

日韓関係は1910年から1945年までの日本による朝鮮半島の植民地支配の間に行われた "comfort women(慰安婦)" への性的虐待や朝鮮人強制労働などの日本の残虐行為に関連する補償問題をめぐり過去数年で最悪の状態まで悪化している。

今回のレーダー騒動はそこにさらなる緊張を追加した形だ。



「韓国海軍船、船体番号971、こちら "JAPAN NAVY(日本海軍/海上自衛隊)" 。そちらのFCアンテナが我々に向けられたことを確認した。その行動の目的は何か。」

哨戒機の乗組員は3つの異なる周波数を使用して英語で韓国の駆逐艦に数回尋ねたが駆逐艦は沈黙したままだった。

乗組員はその後も通信を続け次第にその声は緊張を僅かに増し始める。

今回公開されたビデオは北朝鮮の船の近くを航行する灰色の駆逐艦の映像から始まっている。それから約6分後には哨戒機の乗組員の1人が口にした「FCが検出されました」という言葉を聞き取ることができる、そしてそれは駆逐艦から来たものであることがわかる。



韓国政府は日本側の主張に対し、同国の軍艦は遭難した北朝鮮の漁船の救助中に光学カメラを使用しただけだと述べそれを否定した。

岩屋防衛大臣は金曜日に記者団に対し、自衛隊が適切に行動したことを国内外の人々に知らせるために映像とデータを公開することを決定したと語った。

「このような事件が日本と韓国の間で決して繰り返されないことが最も重要である」と述べ日韓関係は地域の国家安全保障にとって極めて重要であると付け加えた。

 「日本と韓国との間では難しい問題が残っているが、それらの問題を克服し両軍間の相互理解と交流が進むこと期待している」

この記事はAP通信が提供した記事をそのまま掲載したもの。

同様に米国の日刊紙である 『ワシントンポスト』 や 『ボストン・グローブ』、 タイ王国の 『バンコック・ポスト』 など複数の報道機関がこのAP通信が提供した記事をそのまま掲載している。

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フランスの国際ニュース専門チャンネル『France 24』

レーダー照射騒動、日本と韓国の間で燃え上がる

Weapons radar row flares up between S. Korea and Japan - 2018/12/28



日本と韓国の間で起きている騒動は金曜、韓国の軍艦が火器管制レーダーで日本の哨戒機をロックオンしたという日本側の主張を裏付けるとした動画を日本が公開したことでさらにエスカレートした。

韓国はこの映像の公開を非難し、日本側の主張を再び否定している。



先週、韓国の駆逐艦が韓国の東海岸沖の日本海上を飛んでいた日本の哨戒機に火器管制レーダーを向けたと日本が主張して以来 両国の緊張は一気に高まった。

韓国政府はこの駆逐艦は単に南北の海洋国境近くを漂流していた北朝鮮の漁船を捜索していただけと主張し、日本側の主張を否定している。

木曜日には緊張を和らげるために双方の国防当局がビデオ会議を開催、「誤解を取り除くために真実と技術分析について意見交換をした」と韓国国防相は述べたが、翌日の金曜日に日本の防衛省はそのウェブサイト上で日本側の主張を裏付けるとされる哨戒機から撮影された13分間のビデオを公開した。

日本側はその映像には哨戒機が火器管制レーダーを何度も照射された場面が含まれていると述べている。



これに対し韓国国防省は金曜日の声明で以下のように述べている。

「その一方的な映像の公開に我々は深深刻な懸念と遺憾を表明する」

「繰り返し述べたように、そのクァンゲトデワン級駆逐艦は通常の救助活動に従事していただけであり火器管制レーダーを使用しなかったという事実に変わりはない」

「それよりむしろ、日本の哨戒機が人道的な救助任務に当たっていた我らの船舶に対して、脅すような態度で低空飛行を行ったことに強く失望せざるを得ない」

そして映像は旋回する飛行機から船舶の様子を映しているだけであり、日本側の主張を裏付ける証拠としての有効性はないとしてこれをはねつけた。



両国は戦時の残虐行為に対し日本が法的責任を受け入れないこと、韓国が支配する離島への日本側の申し立てなどでの対立から衝突しており、今回のいさかいはすでに緊張関係にある両国の関係をさらに複雑にしている。

この記事はAFP通信が提供した記事をそのまま掲載したもの。

同様に香港の日刊紙である『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』や トルコの『Daily Sabah』、 マレーシアの『Malay Mail』 など複数の報道機関がこのAP通信が提供した記事をそのまま掲載している。
ロシアの通信社『スプートニク』

必見:韓国船が飛行機をレーダーでロックオンしたとされる件の動画を日本が公開

WATCH: Japan Shares Video of South Korean Ship Allegedly Locking Radar on Plane - 2018/12/28



日本の防衛省は金曜、韓国海軍艦艇が日本海でパトロール中にあった日本の航空機に火器管制レーダーでロックオンしたという主張を裏付けるためビデオ映像を公開した。

13分のビデオは12月20日に日本の海上自衛隊のP-1哨戒機が大韓民国海軍のクァンゲトデワン級駆逐艦と大韓民国海洋警察庁の警備艦の参峰を偵察した際の映像を映している。

哨戒機が韓国の軍艦付近で低空飛行を行うとそれに続けてミサイルや砲弾を撃つ際に標的の位置を特定するために使用される火器管制レーダーを照射され事態は急速にエスカレートする。



火器管制レーダーの照射を確認した哨戒機は韓国の軍艦からひとまず離れ、後にクァンゲトデワン級駆逐艦に対しコンタクトを試みる。

「韓国海軍船、船体番号971、こちら "JAPAN NAVY(日本海軍/海上自衛隊)" 。そちらのFCアンテナが我々に向けられたことを確認した。その行動の目的は何か。」

哨戒機の乗組員は英語でこう口にしている。

哨戒機の乗組員は複数の異なる無線周波数を使用して英語で韓国の駆逐艦に対し通信を行ったが駆逐艦は沈黙したままだった。



韓国の国防省はこのビデオの公開を受け、この映像を「一方的」とし「客観的な証拠と見なすことはできない」と付け加えた。

事件以来、韓国政府は日本側の主張を否定しており、この駆逐艦南北の海洋国境近くで遭難した北朝鮮の漁船を捜索していたと説明している、とAFP通信は報じている。



「繰り返し述べたように、そのクァンゲトデワン級駆逐艦は通常の救助活動に従事していただけであり火器管制レーダーを使用しなかったという事実に変わりはない」

「それよりむしろ、日本の哨戒機が人道的な救助任務に当たっていた我らの船舶に対して、脅すような態度で低空飛行を行ったことに強く失望せざるを得ない」

韓国の国防省はこう声明で述べている。



今回の映像を公開する際に日本側は自国の哨戒機は "駆逐艦から十分に安全な高度と距離で飛行していた" と強調していた。

またこの映像は、今回の事件に対応するため木曜に日本と韓国の関係者の間で開かれた実務者協議のちょうど翌日に公開された。

岩谷防衛大臣は金曜、記者団に対し自国の軍が適切に行動したことを証明するために映像の公開を許可したと述べたとAFP通信は報じている。




ロンドンに拠点を置く24時間ニュース専門チャンネル『Sky News』

日本:このビデオが韓国によるレーダーロックオンに対する我々の主張を「証明」している

Japan: Video 'proves' South Korean radar lock claims - 2018/12/28



日本の防衛省は、韓国の軍艦が搭載された火器管制レーダーで日本の航空機をロックオンという主張を証明するとの映像を発表したが、韓国はその内容を「一方的」として棄却した。

(※後は防衛省が公開した映像が掲載されているのみ)
米国南部アーカンソー州の新聞『Arkansas Democrat-Gazette』

日本がレーダー照射を裏付けるとする動画を公開

Japan says video shows radar target - 2018/12/28



(※AP通信が提供した記事をそのまま掲載した後で以下を追記)

今回公開された映像は哨戒機が韓国の駆逐艦からのレーダー照射を複数回検出したことを示している、しかし一方でパイロットは駆逐艦の火器が哨戒機向けられていないことを確認している。

韓国国防省のスポークスマン、Choi Hyun-soo氏は、この映像は日本の主張に一切の証明を与えるものではなく、むしろ北朝鮮の漂流船の救助活動を行っていた韓国の軍艦に対し "threatening low-altitude flight(威嚇的な低空飛行)" を行ったことを示したと述べた。




イギリスの軍事と軍需産業情報に関する週刊誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』

日本、韓国の駆逐艦が日本の哨戒機に火器管制レーダーを向けたと非難

Tokyo accuses South Korean destroyer of directing fire-control radar at Japanese MPA - 2018/12/31



日本政府は12月20日に日本海(東海)にて巡回任務にあたっていた日本の海上自衛隊(JMSDF)の川崎P-1海上パトロール機(MPA)に韓国海軍の駆逐艦が火器管制レーダーを向けたとしてこれを非難した。



12月28日、東京の防衛省は能登半島沖で韓国海軍のKDX-I級駆逐艦と大韓民国海洋警察庁の警備艦『参峰』の近くを複数回にわたって飛行するP-1哨戒機の13分間の映像を公開した。この時、韓国側の船舶はいずれも日本の防衛省が漁船と2隻のゴムボートと説明したものの近くに位置していた。

同省は声明の中で、現地時間の15:00時頃に日本の排他的経済地帯内で起きた件の最中に、P-1哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から一定間隔で連続して複数回オランダのシグナール社の射撃指揮レーダー『STIR 180』による照射を受けたと述べた。



さらに同省は、レーダー照射の意図を確認するための試みとしてP-1が "韓国海軍船、船体番号971" に対し国際VHFの(156.8MHz)と国際的に使われる緊急用周波数(121.5MHzと243MHz)の3つの周波数を使用して英語で3回呼びかけたたことをこの映像は示していると語った。

これらの呼びかけに対する返答は日本の防衛省が公開した映像では聞こえなかった。



日本政府は「このような事件が起こったことは非常に遺憾」であり、「このような事件の再発を防ぐためにも韓国側の対応を強く要請する」と述べた。

一方で韓国の国防省は12月28日の声明の中で日本側の主張を否定、日韓両国が相互の誤解を払拭し防衛分野での協調関係を発展させる方法を模索する実務レベルのビデオ会議を行った翌日に日本がこの映像を公開したことに対し「深い懸念と遺憾」を表明した。
以上が2019/01/03の15:00時点で、 2018/12/28に防衛省が映像を公開した以降に英語圏の主要な報道機関がこのレーダー事件に関し触れた記事のほぼ全て(韓国もしくは日本に拠点を置く報道機関は除いている)。

英語圏および英語で記事を配信する報道機関の複数がこの件を報じたがそのほとんどが上記のAP通信(世界的な通信網を持つアメリカ合衆国の大手通信社)およびAFP通信(AP通信、ロイターに次いで世界第3位の規模を持つ)が提供した記事をそのまま掲載しているだけにとどまっている。

ロイターに至っては28日の映像公開の記事すら存在しない模様。



ちなみに朝鮮日報 などが報じた2001年から04年までの小泉純一郎内閣で内閣総理大臣秘書官を務めた小野次郎元参議院議員が「作戦行動中の軍艦に訳もなく接近するのは極めて危険」と海上自衛隊の行動を批判するツイートをした件について触れている英語圏のメディアはUPI通信社のみ。

ただしUPI通信社はアメリカ合衆国の通信社であるものの韓国の統一教会の創始者である文鮮明が設立したメディア・コングロマリットに2000年に買収されているため翻訳の対象とはしていない。

『UPI通信』

専門家ら、日本のレーダーに関する主張を批判

Experts criticize Japan's radar claim - 2018/12/31

https://www.upi.com/Experts-criticize-Japans-radar-claim/6061546244800/




なお当サイトが2018/12/28に投稿した前回の記事『韓国軍レーダー照射事件に対する海外メディアの報道まとめ(海外の反応)』も、一部英語で記事を配信する韓国の報道機関の記事を翻訳したが、今回の投稿と同様に 防衛省が映像を公開するまでの間に英語圏の報道機関がこのレーダー事件に関し触れた記事の大半を紹介した。

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