テクノロジーメディアサイト『GIZMODO』より

ディズニー、コミックの実写化映画で数十億ドルを稼ぐも原作コミッククリエイターには5,000ドルしか支払っていなかった

Report: Disney Is Only Paying Comics Creators $5,000 for Work It's Adapted for Billions - 2021/08/09 - 一部英紙ガーディアンの記事 より補足



マーベルスタジオとDCエンターテインメントのコミック実写化映画の背後には必ず原作コミックの作成者チームがいる。数十億ドルを動かす映画やテレビ番組の基礎を築いてきたのは彼らの生み出したアイデアだ。

しかし残念ながらそれはクリエイターが相応の報酬を得られることを意味しない。それどころか実際に払われるのは文字通り雀の涙だ。

アメリカンコミック2大出版社であるマーベルとDC、さらに他の大手コミック出版社に属するほとんど全てのコミッククリエイターは一般的に創作した個人本人ではなく創作を指揮・監督した雇用主が著作権を有する「職務著作」という契約の下で働いている。

その創作物が後に巨額の利益を生み出すエンターテインメントフランチャイズに成長したとしてもコミッククリエイターたちは著作権を有していないためその利益の一部も受け取ることはできない。受け取ることができるのはあってないような報奨金だけだ。

その状況に対するコミッククリエイターたちの不満の声は最近ますます強くなっているが、聞こえてくるのはコミック会社からも映画スタジオからも素っ気なくあしらわれたという話ばかりだった。

そんな中英紙ガーディアンは9日、マーベルコミックスを抱えるディズニーとDCコミックスを抱えるワーナーブラザーズの内情を明らかにする記事を公開した。



たとえばマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は200億ドル以上の興行収入を稼いできたが、ガーディアンの情報筋によると、マーベルではコミックが実写映画に採用された際には基本的に原作コミッククリエイターらに映画のプレミアへ招待する他は一律5,000ドルの小切手を渡すだけなのだという。

2014年の映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の 原作コミックを手掛けた作家のエド・ブルベイカーはアーティストのスティーブ・エプティングを含む作成者チームとともに、自分たちが作り上げたキャラクターたちがMCUの複数の映画に出演したにもかかわらずほとんど何も受け取ることができなかったと語っている。

またブルベイカーは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のプレミアイベントに参加するためにタキシードを着て参加しようとしたところ招待リストに自分の名前が入っておらず、彼の作り出したキャラクターを演じたセバスチャン・スタンに連絡しようやく中に入ることができたという件についても語った。



マーベルでは1回限りの小切手とプレミア招待のほかに、クリエイターにキャラクター使用料を保証する「特別キャラクター契約(special character contract)」を用意しているがこの特約を結ぶためにはクリエイター自身が申請をする必要がある上に申請が通る保障もない。

特約の存在自体も十分に周知されておらず、実際一部のクリエイターはマーベルがこのような特約を用意していることすら知らなかったとガーディアンに語っていた。

さらに申請用紙にはそのキャラクターが特別手当を獲得するのに十分なオリジナリティを有していない場合はマーベルはクリエイターにそれを告げる権利があり、そこで下された決定は最終的なもので不服申し立てはできないとの警告が添えられている。



一方のDCコミックスでも同様の特約が用意されているが、2015年には作家のジェリー・コンウェイが特別キャラクター契約を結んでいたにもかかわらず突然これを反故にされる事件が起きた。

コンウェイによれば同社は彼のキャラクターであるパワーガールはスーパーガールの派生キャラであり、したがって契約の対象外であると遡及的な決定を下してきたのだという。

彼はもはやパワーガールの使用料を受け取っていないとガーディアンに語った。同紙はDCコミックスにコメントを求めたがこれに応えることはなかった。

これらはすべて明確で透明性のある手続きが確立されていない事が原因だが、強力な組合が手助けしてくれる俳優や監督などとは違い、コミッククリエーターたちにはそのような後ろ盾はなく、彼ら自身の手で対処することを余儀なくされている。

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海外の反応

twitter, reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース


米GIZMODOメディア傘下のニュースブログ『io9』
「ディズニー、コミックの実写化映画で数十億ドルを稼ぐも原作コミッククリエイターには5,000ドルしか支払っていなかった」
twitter.com


「忘れないでほしい、ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーの一員であるロケット・ラクーンを始めとする数々のキャラクターを生み出してきたビル・マントロは事故で回復が絶望的な脳損傷を負い一日中ケアが必要な状態になった。そしてロケット・ラクーンが出演する映画『アベンジャーズ:エンドゲーム』が数十億ドルを稼ぐ中、彼の兄弟は彼の医療費のためにGoFundMeで寄付を募らなければならなかったということを」
twitter.com


Dee Dial 「コミック業界は非常に好調だと思っていたんだが。なぜその作者がそのような貧困にあえいでいるんだ?」

Campbell 「欧米のコミック業界は死にかけだよ、あらゆる場所でマンガはコミックを超える売れ行きを示している、そしてますます多くの人々がコミックから距離を置き始めたことでな」

Cley Faye 「成長すればするほど、ディズニーが好きでなくなっていく」



FakkoPrime We made $22.5 billion off your IP. Here’s your 0.00000022%. Thanks!!
(君のキャラクターIPで225億ドルを稼ぐことができた。これがお礼の0.00000022%だ。どうもね!!)

Grindelwald Supporter shameful
(恥を知れ)

Darth Wooper still wears a mask I'm sad, but not even slightly surprised. 🙁
(私は悲しいよ、でも同時にほんの少しも驚いていない)

skim This is why I don't like "universes". Nobody gets paid except the owner of the universe.
(これが私が "ユニバース" が嫌いな理由だ。その世界の所有者以外は誰も正統な報酬を受け取れないんだから)

Madhex12 これはディズニーだけの問題じゃない、マーベルやDCはこの100年ほどの間ずっとクリエイターに対して酷い扱いをしてきた。

StankyHankyPanky69 Highway robbery
(ぼったくりさ)

コミックにおけるクリエイターの権利や環境については依然として取り組む必要のあるものが残っている。一部の分野では大きな進歩が見られたがまだまだ改善の余地がたくさんある。彼らがすぐにその必要性を理解することを願っているわ。

politirob それは単なるコミック業界の問題ではなくアメリカの問題だ。この国の企業はクリエイターや労働者をゴミのように扱っておきながら何の罰も受けないで済んでいる。

EqualContact クリエイティブな仕事に就いている人間は団体交渉がとても苦手なのがねぇ。中にはその重要性を理解できていない人もいる。ソースはそんな業界で働いている私自身。

Copywrites 問題はディズニーにはない。問題はこれらのクリエイターがマーベルと署名した契約の方にある。

Worthyness 結局それなのよね。作品もキャラクターもコミック作家のものではなく出版社のものになってしまう。独立系のコミック会社が業界内で立ち上がったのはそのためだ。

Nickjet45 でも彼らは創作したすべてのキャラクターが会社に属することを明記した契約に署名したわけで。新しいキャラクターを作るために雇われたと言っていもいい。そんな彼らが給料に加えて5000ドル以上のボーナスを受け取るべきか?

Whatsapokemon 彼らの仕事はコミックを作ることであってその対価はちゃんと支払われている。彼らはすでに作品に関する権利を放棄している。それをどうするかは出版社次第だし映画化で成功したとしてもそれは出版社の手柄だ。

dew22 そういう慣習なのだから仕方がない。マーベル/DCのために描くということはその全てが出版社に属すということだ。

ソフトウェア会社と同じさ、仕事で書いたコードはすべて会社のものであり会社は対価として給与を払う、そのソフトウェアがどれだけ利益をあげてもコードを書いた人間に分配されることはない。

happyhappypeelpeel ソフトウェアのコードはそうだろうけど、コミックに関してはそのクリエイターがいなければ生まれ得なかったものを映画で使いました大ヒットしましたって話ならちゃんと対価が支払われるべきだと思う。

まぁクリエイターと契約した段階ではその人が創作したものが成功するかしないかなんてわからないし一々特別な契約を結ぶなんて会社側からしたらやってらんないんだろうけど、何かしらクリエイターを手助けする事はしてほしいかな。

ElDuderino2112 この件に関してはそもそもクリエイターたちはマーベル/DCのIPを使って新たな作品を作れと委託されたわけで、彼らには作品に関し自分たちの権利を主張できる立場にない。それが職務著作だ。

それが良いとは言わないが、後になって契約に文句を言うなら最初から署名すべきではない、作品が後に巨大な利益を生んだからといって契約に書かれたこと以上のものを要求する方がおかしい。

chartingyou そりゃ契約した以上はそれを守るべきだとは思うが、最初から契約がクリエイターに不利すぎるというか。

アメコミ業界の大手がどこも職務著作でしかクリエイターと契約しないという状況がね。クリエイターが何か素晴らしいアイデアを持っていてもそれを世に出そうと思ったら職務著作で契約するしかないってどうなの?

もうちょっとクリエイターに有利な契約にすることはできるはずだろ。





日本の場合、原作使用料は日本文藝家協会の『著作物使用料規定』によってその上限は1000万円と定められている。相場は200万円から400万円ほど、そのうちの何割かが出版社から原作者に支払われる

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