米国アリゾナ州のFOX系列のテレビ局『KSAZ-TV』より

合成麻薬のフェンタニルの過剰摂取が18〜45歳の米国人の死因の第1位に

Fentanyl overdoses become No. 1 cause of death among US adults, ages 18-45: 'A national emergency' - December 16, 2021

フェンタニル：主に麻酔や鎮痛、疼痛緩和の目的で利用される合成オピオイド。合成ヘロインとも呼ばれ麻薬及び向精神薬取締法における麻薬に指定されている



フェンタニルの過剰摂取が18歳から45歳までの成人の死因の第1位に急浮上したことが米国政府の分析で判明した。

2020年から2021年の間に18歳から45歳までの約79,000人（2020年には37,208人、2021年には41,587人）がフェンタニルの過剰摂取で死亡したという。

フェンタニルは極少量でも人を死に至らしめる可能性のある合成オピオイドであり、同量でヘロインより50倍の効果があることから流通しているヘロインに混ぜ物として混入しているとも言われる。

アメリカ麻薬取締局（DEA）によるとフェンタニルの主な供給元となっているのはメキシコと中国とされている。



なお米国疾病予防管理センター（CDC）のデータによると、2020年1月1日から2021年12月15日までの間にCOVID-19によって死亡した18歳から49歳までの米国人の数は53,000人となっている。

「これは国家の非常事態だ。何千何万ものアメリカの若者がそれがもたらす深刻な影響を十分に理解しないまま毒殺されている」

「違法なフェンタニルが薬物による死者の大幅な急増を引き起こしていることは広く知られている。この大惨事への新しいアプローチが必要だ」

フェンタニルの危険性の啓発活動を行っている団体『Families AgainstFentanyl』の創設者であるジェームズ・ラウは声明でこう述べ、アメリカ人の命を救うために不法フェンタニルの国際的な製造業者と密売業者の根絶の必要性を訴えた。



フェンタニルの過剰摂取は18〜45歳のアメリカ人の死因の第1位に

1位：フェンタニルの過剰摂取
2位：自殺
3位：新型コロナ
4位：自動車事故



左上）2021年のフェンタニルを含めた全ての薬物過剰摂取による死亡者数は過去最高の10万人を超える見込み
右上）8.57秒に1人のペースでアメリカ人はフェンタニルによる中毒で死亡している
左下）フェンタニルによる死亡者数の推移
右下）アメリカでは毎日175人がフェンタニルによる中毒で死亡している
Families Against Fentanyl


2020年にはフェンタニルの過剰摂取はCOVID-19、自動車事故、癌、自殺などの他の主要な死因を追い抜き18〜45歳の死因の第1位に。

さらにアメリカ人全体の死因でもフェンタニルの過剰摂取は自動車事故、銃による暴力、乳がん、自殺などの主要な死因を追い抜いたことがCDCのデータの分析で判明した。

フェンタニルによる死亡者数は2019年4月から2021年4月までの2年間で32,754人から64,178人に倍増。

2021年の最初の5か月だけで42,600人を超えるアメリカ人がフェンタニルの過剰摂取によって死亡している。これは2020年の同時期と比較すると1か月あたり1,000以上の増加だ。

フェンタニルを含めた全ての薬物過剰摂取による死亡者数は2020年4月から2021年4月までの間に28％増加、2021年の死亡者数は100,000人を超えると予想されている。

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海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース


Timeless Beauty 「私は暴力犯罪の数で定期的にトップ5に入る都市でしばらく救急救命士をしていたことがある。かかってくる電話の約60-70％が合成オピオイドの過剰摂取に関連したもので、暴力事件に関連したものは月に1回とかその程度だったと思う。この国の薬物汚染は人々が知っているものよりもはるかに悪い状況だ。それは何十年もここにある静かなパンデミックだ」

quabbicoo 「ペンシルベニア州最大の都市フィラデルフィアのケンジントン地区の現状をアメリカ人全員が直視してくれたらと、あの場に20分間立つことでどれほど酷いことになっているかを実感してほしいと思わずにはいられない。合成オピオイドが一体どれだけ米国社会を汚染しているかが一目でわかるはずだ。ケンジントン地区の様子を映した動画がYouTubeにアップロードされているけど動画ではその深刻さを十分に映し出すことができていない」 関連記事： 『米国で最も危ないストリート』の動画がヤバすぎる(海外の反応)


Ztscar これか．．． このような現実があることなど想像もできなかった。

maxwelldbarna 残念ながらそれは閑散期の映像だ。夏はこんなもんじゃない。

thebirdsandthebrees フィラデルフィアの街が中毒者で溢れるのは春と夏だ。冬の間は大半の者はバスでフロリダのような暖かい州に行くからな。

DeusEx-Machinist フロリダ州デイトナビーチもケンジントン地区と同じ有様さ。あの場所を訪れる人の大半は高速道路付近しか見ないから知らない人も多いけど、人々が「ビーチサイド」と呼ぶ一体は薬物中毒者だらけでゾンビドラマの『ウォーキング・デッド』みたいな世界になっている。

airaflof オクラホマ州のメリディアンアベニューも、というかオクラホマ州の多くの場所がこんな悲劇でいっぱいさ。この地域じゃホームレスとオピオイドがとても大きな問題になっている




siskulous 「米国のフェンタニル危機が酷いものであることは知っていたが、「フェンタニルの過剰摂取が死因の第1位」であるという事実を素直に受け止められないでいる」

greenestgoo 「つまりアメリカの老人はコロナで死に、若者は薬物で死ぬと。この世には悲しみしかないのか」



dd-2020 「これが(1971年にリチャード・ニクソン大統領が始めた取り組みである) "War on Drugs (麻薬戦争)" に勝利した先に見える光景なんです？」


Beagle_Knight 麻薬カルテルの側から見るとそうだな

masivatack おう、102対0で麻薬の大勝利や

83-Edition 勝利だぞ、違法なフェンタニルを輸出してきた中国とフェンタニルを依存性がなく健康被害がない鎮痛剤として普及させてきた米国の製薬会社のな

brokenarro12 大手製薬会社が再びCOVIDに勝った瞬間であった




Deathbysnusnubooboo 「中毒死と自殺が死因の第1位って話だけどその割には深刻にとらえられていないというか、かなり見過ごされているよな。 しかも悪化の一途をたどっているってんだから恐ろしい話さ」

Excelius 「中毒死と自殺はしばしば密接に関わっている。死んだ人がメモか何かを残さない限り、偶発的な過剰摂取による死亡か自殺を意図したものかを判断することは極めて難しい。一命を取りとめた人に話を聞けば多くの者が自殺しようとしていた、または死のうが生きようがどうでもいいと思えたほど自暴自棄になっていたと答えるだろう」

「『それは薬物の過剰摂取だったのか、それとも自殺か？』という記事では専門家が薬物の過剰摂取の多くが無意識的な自殺であると指摘している」


Agressive_Loafing 自殺は他の死因ほどニュース性が高くないからな、それに麻薬との戦争を終わらせたいと思う人は誰もいない。

somethingimadeup 誰も麻薬との戦争を終わらせたいと思っていないだって？ そんなわけ．．．あるな

tea_n_typewriters 中毒死や自殺は "当人の問題" という意識が人々の間で強すぎて関心がもたれないのだと思う。

chappersyo 多くの人が因果応報と考えているからだと思うわ、そうなったのはお前自身のせいなんだから我々が気にすることではないって感じに。

EminemsMandMs 個人的に主な原因の1つはアメリカの文化というか美意識にあると考えている。

基本的にアメリカ人のそれは他を頼らず、自力を尽くして物事を成し遂げることを良しとする文化だ。人事を尽くしてこそ成功はつかめるのでありその努力が基準に満たない者はそれ相応の結果を手にすることになるといった具合に。

米国は「働きなくして対価無し」（No work，No pay）の社会だ。それは全てのことに対しても言えることかもしれないけど問題を無視し続けても解決するどころか悪化するだけだ。

ますます多くの人々が薬物の罠に陥りやすくなっている今、我々はその罠に陥った人々に救いの手を差し伸べなければならない。そしてそうでしなければ最終的に問題は拡大し、悪化する一方だろう。特にこの国の文化の下では人々は中毒者を軽蔑し、無視しがちなのだから。

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