アルファロメオの新型SUV「ステルヴィオ」のレビュー

Alfa Romeo Stelvio review: will Alfa's SUV pass the test? by Auto Express


アルファロメオ、イタリアを代表するこのブランドが新モデルを投入した。だがそれは4ドアサルーンでもなく、2ドアロードスターでもなく、アルファロメオ初となるSUVだ。このステルヴィオという名前はアルプス渓谷に存在する同名の自動車愛好家の間で有名な山の急斜面につくられたジグザグの道路から付けられた。最近は誰もがSUVを求めるのでアルファロメオもその流行に乗っかった形だ。

この新型SUV ステルヴィオと新型4ドアサルーン ジュリアの2台はアルファロメオというブランドのイメージを刷新するフラッグシップとしてスタイリング、そしてなにより品質と走行性能にフォーカスして開発された。ベースとなる新型ジュリアを190mmジャッキアップさせたこのステルヴィオにはガソリンエンジンとディーゼルエンジン、それぞれ出力の違う複数のエンジンが用意され、価格は37,000ポンド(約547万円)からとなっており、ジャガーF-PACEとポルシェ・マカンと真っ向からぶつかる位置にある。

アルファロメオ ステルヴィオのエクステリア/インテリア


アルファロメオが今までに販売してきた車のスタイリングを振り返ってみると その多くが我々の心を掴んで放さない何かを持っていたが、この新型ステルヴィオを見て皆さんはどう感じるだろう?

私個人としてはとても素晴らしいと思う。人によってはグリルが少し大きいだとか、両側をゆびで摘んだ様な、あるいは口をすぼめた様な顔に見えるだとか言うかもしれないが全体的に見てこのデザインは上手くいっているように思う。いずれにせよ現在市販されているSUVの多くが似たり寄ったりなデザインになってしまっている中でこのステルヴィオは他のSUVとは違う個性を持ちその存在を際立たせているのは間違いない。



車のルックスにこだわると使い勝手が悪くなるというのがよくありがちだ。だがこのステルヴィオは個性的なデザインでありながら実用性は損なわれておらず、トランクの大きさは競合車と比べても遜色ない。具体的にはポルシェ・マカンより少し大きくジャガーF-PACEよりは少し小さい。トランク内部には出っ張りが少ないので荷物が載せやすく後部座席を倒せばこのクラスの車としては十分な広さがある。



後部座席には身長6フィート(182.88cm)ある大人でもぎりぎり大丈夫な広さがあるが後方にかけて傾斜するこの車のデザインのせいで頭部のスペースは若干窮屈さを感じる。



このステルヴィオの運転席に座ってみれば今までのアルファロメオからどれだけ変容を遂げたかがはっきりと理解できるだろう。ダッシュボードはドライバーを包むようにデザインされ、こだわりぬかれたディテールは一々胸を打つ。ステアリングホイールなどはあまりにも美しく思わず見惚れてしまうほどだし手触りも心地良い。アルファロメオのエンブレムが浮き出て見えるエンボス加工が施されたシート、革張りのインパネ、どこをとってもアルファロメオらしさに溢れイタリアの美意識がそこかしこに感じられる。

柔らかい質感のプラスチックがいたるところに使われ全体的にしっかりとした造りになっており品質が格段に向上したことを実感できる。私がこのインテリアで特に気に入っているのがエントリーモデルのガソリンエンジンバージョンからハイパフォーマンスモデルのクアドリフォリオにいたるまで全てのモデルでスタート/ストップボタンがステアリングホイールに装備されている事だ、とてもグッと来る。

アルファロメオ ステルヴィオのエンジン/走行性能


エンジンは197馬力と276馬力の2.0Lガソリンエンジン、178馬力と207馬力の2.2Lディーゼルエンジンから選択可能だが最高出力503馬力の2.9LツインターボV6エンジンを搭載したクアドリフォリオモデルは来年まで待たなければならない。ステルヴィオ・クアドリフォリオの0-100km/h加速時間は4秒以下でニュルクブルクリンク最速のSUVになるはずとアルファロメオは主張しており、それを信じるならばこれが発売されたと同時にドイツ車は立つ瀬がなくなることだろう。

今回試乗している車は残念ながらクアドリフォリオモデルではなく207馬力の2.2Lディーゼルエンジンバージョンだが大抵の人にとってはこのエンジンがベストな選択肢となるだろう。197馬力バージョンは2017年後半に導入される予定だ。

276馬力の2.0Lガソリンエンジンに比べて非力だと思われるかもしれないがトルクがあるおかげで運転はより楽しめるし燃費もこちらの方が優れているのでやはり多くの人がこのエンジンに落ち着くだろう。



今私が走っているようなヘアピンカーブの多い道ではカーブを抜けた後にアクセルを踏み込むたびにトルクのありがたみが感じられる。反応が早くなにより楽しい、間違いなくこの207馬力の2.2Lディーゼルエンジンがベストエンジンだ。アルファロメオによるとこのエンジンの燃費は59mpg(約20.9km/L)でCO2排出は145g/kmだという。SUVでありながらこれだけ高い燃費性能が発揮できる理由はこの車の重量にある、いや重量のなさにあると言った方が適切だろう。

事実ステルヴィオはこのクラスの中で最も軽量な車になっている。それはボディーパネルを含め様々な所にアルミニウムを多用している事、そしてプロペラシャフトにカーボンファイバーを使用している事に起因する。カーボンファイバーにした事で従来の物より15kg軽量化することに成功、これはハイパフォーマンスモデルだけがそうなのではなく全てのモデルで採用されており、アルファロメオの軽量化への徹底的なこだわりが垣間見える。

そしてこの軽量化は運転する楽しさに繋がっている。固めのサスペンションによってボディーロールは最小限に抑えられ、ステアリングは驚くほどシャープで軽い。コーナーを攻めるのが物凄く楽しくとてもSUVだとは思えない。ジャガーF-PACEやポルシェ・マカンほどのシャープさはないが限りなくそれらに近い。

ただこのステルヴィオのステアリングの反応の速さには最初驚き戸惑うかもしれない、だがそれに馴れてさえしまえばこの車の運転に喜びを感じられるようになるだろう。

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ステルヴィオは4WDバージョンの選択も可能だ。新しくなったアルファロメオの4WDシステム「Q4」は通常走行時は後輪に100%の動力を伝え、車が路面状況が悪いと検知した場合50%対50%に動力を振り分ける。トランスミッションにはBMWやジャガーでも採用されているシャープで滑らかに切り替わるZF製8速オートマチックが全てのモデルで標準で付いてくる。



またオプションでパドルシフトを装備可能なのだがその価値を見くびらない方がいい、きっとあなたに歓喜をもたらしてくれるはずだ。ジャガーを始め多くの自動車メーカーが安っぽく醜いプラスチック製のパドルシフトをステアリングホイールの後ろに付けているがアルファロメオはアルミニウム製のものを採用しステアリングコラムに設置している。その違いは歴然だ、ギアを変える行為を格段に楽しくしてくれる。このような高い品質を感じさせてくれる工夫は長い間アルファロメオには見られなかった。

アルファロメオ ステルヴィオの難点


ただその高い品質への追求がこの車の全てにおいてなされていれば良かったのだが残念ながらプラスチック製のレバー、特にシフトレバーなどに使われている鋭い角度がついたパーツは触り心地が悪い。そしてこのステルヴィオが持つ問題はそれだけではない。アルファロメオの車のダッシュボードの品質が全体的に向上したのは喜ばしい事だがいくつかイラッとする箇所がある。



センターコンソールのプラスチック製のボリュームダイヤルはかなり安っぽい造りになっている。しかもその横にあるインフォテインメントシステムを操作するダイヤルはそれ以上に粗悪な造りだ。これらのダイヤル、そして特にショートカットボタンを見ればアルファロメオがアウディのセンターコンソールを真似たのは明らかだが、その品質はアウディには遠く及ばずぐらぐらと不安定な挙動をする。



インフォテインメントスクリーンも悪くはないのだがメルセデスのSUV GLCに搭載されているものやBMWのiDriveシステムの方が遥かに直感的に操作でき、それらと比べると洗練されていないと感じてしまう。今までのアルファロメオからすればかなり進化したといえるがもう少し力を入れてくれていればと思ってしまう、実に残念だ。

アルファロメオ ステルヴィオの総評

いくつか難点を挙げてきたが全体的に見れば品質は遥かに向上しているし、デザインも良く、車内は比較的広く、経済性に優れ、間もなくハイパフォーマンスモデルがラインナップに追加される予定で、何より運転するのが楽しい車に仕上がったのはアルファロメオがその持てる技術を最大限につぎ込んだことの証だろう。

このステルヴィオとジュリアの価格やこれらの車から感じる事が出来る思想はアルファロメオが再び偉大な、そして誰もが欲しがる車を作り始めたことを示していると言っていいだろう。我々の愛したアルファロメオが帰って来たのだ。

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース
※コメント欄の7割がこの動画のプレゼンターJamesさんへの批判コメントになっており車とは関係ないのでカットしました。AutoExpressの名物プレゼンターMattさんが別のイギリスの自動車情報サイトCarWOWに移籍したため彼がその代わりとなったのですがそのことに不満を持った人がバッシングしているためです。MattさんはCarBuyerでも活躍していたのですがそちらも似たような状況になっています。


BrainFuck10 フロントデザインは...なんか怒ったピカチューみたいだ。

Saloni Mude アルファロメオ ジュリアのスタイルはとても魅力的に見えたんだけどこのステルヴィオは失敗してる気がする。なんかフロントが変に狭くなったように見えるしリアはBMWの安い車種、もしくはヒュンダイのSUVみたいに見える。

trippinghard アルファロメオの車にこんな事を思うのは自分でもビックリだけど...
このステルヴィオのデザインは無理に作った感で一杯だ。SUVというブランドに足りていない部分を取り繕うために作られたとしか思えない。

リアデザインは嫌いじゃないけど他のデザインは全てジャガーF-PACEの方がいいと思う。アルファロメオ ジュリアの、特にクアドリフォリオのスタイルは自動車のデザインの中で一番好きなんだけどなんかこのステルヴィオは受け入れられない。

Dean フロントデザインはまぁまぁかな。リアは好き嫌い分かれそう。

Steve Rira アルファロメオの美しいデザインに心から敬意を表するよ。この車とジュリアのパフォーマンスの前じゃドイツ車なんて目じゃないね。品質やラグジュアリーさでは負けるかもしれないけど運転する楽しさ、パフォーマンス、そしてデザインはこちらの方が勝ってる。

それとジャガーが安っぽいパドルシフトを使ってるってのには同意するね。

Arnesh Bose 確かにジャガーがあの値段で安っぽいパドルシフトを使ってるのはどうかと思う。

A Han アレ本当にガッカリだよな。

Evan gantley 良いレビューだった。SUV市場の中で独特な存在感を見せれていると思うし私は好き。

Brian Woods レビューじゃ4WDをオプションみたいに言っているけどイギリスじゃベースモデル以外は全部4WDだぞ。

jedoside アルファロメオにはSUVに手を出してほしくなかったなぁ...

Joe この車を見ているとスバル・トライベッカを思い出すわ。

jwpampi なんかマツダっぽく見える?

Nemanja_GTI この車を褒めている連中の気が知れない、物凄く醜い車だ。

Anthony Tromp ジャガーF-PACEの方がいいかな。

Henry Rahardja ため息が出るほどに美しい。ただリアはちょっと大きすぎるかな? まぁそれでも美しさが損なわれてはないと思う。

Floris Klaver なーんかリアが重ったるい感じがするんだよなぁ。カバみたいな印象だ。

Top New Cars 個人的にはいい仕事してると思う。

BangAun Motovlog でも信頼性がなァ...

look uup そりゃ80~90年代は故障だらけだったけど今はそんなに酷くないってば。

Smooth Herb とはいってもアルファの信頼性に関しちゃ不安で一杯だ。いっそ5年後にもう一度この車のレビューをしてどの部品が壊れ、抜け落ちたかを教えて欲しい。たぶんセンターコンソールのノブがまず真っ先に取れると思う。車がエンジンをスタートさせるのを拒否することもありそうだ。

批判的過ぎると言う人がいるかもしれないけどアルファは人々にこの車を買っても大丈夫だと自信を持たせるために相当努力しなきゃいけないはずだ。アルファの信頼性に関する歴史はショッキングなものだったからね。

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