核兵器は数百万人の命を救った、だがそれも簡単に変わる可能性がある

Nuclear weapons have saved millions of lives, but that could easily change by Dr. Peter Vincent Pry - 05/10/2017 (ピーター・プライ博士は連邦議会EMP委員会の議長を務め、下院軍事委員会とCIAで勤務した。)

アメリカ人は核兵器と核兵器の運用について考える人を嫌う。これは核兵器、核戦略、核戦争の事を長年考えてきたプロとしてはっきりと言える。

人命は何よりも尊ばれるものであり、国は国民に奉仕するために存在する。大量破壊兵器は国民の正邪を判断する分別をもって民主社会の精神に反するものであると認識されている。大量の人々の生命を脅かす核兵器は私たちの社会にとって非常に有害であり、ほとんど誰もそれについて考えたいとすら思わない、事実考えている人はごく僅かだ。

だがそれとは対照的に全体主義国家と権威主義国家は核兵器を誇りに思い核兵器を祝う。ロシア、中国、北朝鮮は核ミサイルを目抜き通りに持ち込みパレードを行う。彼らは核戦争とそれに勝利する自国を映したプロパガンダ映像をテレビで放送し、その敵国として映し出されるのは大抵が米国だ。

冷酷なエリートによって統治された社会や軍事独裁政権、独裁者やイデオロギーが最も尊ばれ国民が消耗品と見なされているような国で核兵器は愛されている。そういった国では支配者側だけでなく国民でさえ核兵器を愛している。核ミサイルパレードに飽きる事もなければ民間防衛訓練に嫌気が差す様子もない。

"核兵器保有国とその同盟国が関わったあらゆる外交は核外交であり、1945年以来続いた平和は核平和であった"

核兵器や戦争について考えることを拒否しても脅威が消え去ることはありえない。欧米諸国は1945年以来軍縮を通して核兵器を廃絶するふりをしているが、それもまた考えない事と同じである。

核兵器は根絶される事などない、それは国際社会における永続的な事実だ。ここに至ってもそれを認めないなどということは許されない。悪い連中は核兵器を手放す気などない。彼らは私たちに核兵器を禁止するよう奨励するが自分達の核兵器は保持し続ける。

実際、核兵器は現代世界に存在する最も恐るべき軍事技術であり、地政学的チェス盤の上で最も強力な駒である。核兵器は国家安全保障の中心であり、その基盤でもある。

イギリスの国際政治学者コリン・グレイ氏は冷戦時代に核兵器は戦争、平和、外交においてすべてを覆い隠すほど重要であると正しく理解していた。コリン・グレイが理解していたように我々も理解しなければならない、核兵器は非常に強力であり、国際関係の地理概念を形作り、所有するだけで戦争、外交、平和に大きな影響を与えるということを。

その意味では1945年以降の核兵器保有国とその同盟国が関わったあらゆる戦争は核戦争と呼べるものだった。核兵器保有国とその同盟国が関わったあらゆる外交は核外交であり、1945年以来続いた平和は核平和であった。

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1945年以降の米国最大の勝利と米国最大の敗戦は、核勝利と核敗北だった。

最初の核勝利は広島と長崎に20万人の犠牲者を出した。だが同時にそれは日本を戦艦ミズーリのデッキ上で降伏させる事に繋がり、彼らの故郷に侵入した場合予想された100万人以上の犠牲者を救うことになり、第二次世界大戦を終わらせた。

次の核勝利は朝鮮戦争を停戦で終わらせた事だった。アイゼンハワー大統領が米国の戦術核兵器の優位性を示し脅したことでその結果に結びついた。

次の核勝利はソビエト連邦に屈辱的な後退をさせた事だった。キューバミサイル危機でジョン・F・ケネディ大統領がソ連のフルシチョフ首相に対し、ソ連1に対し米国5というICBMの優位性と、目には目をという不退転の決意を示したことで勝利した。

最初の核敗北は南ベトナムからの米軍の撤退をニクソン大統領に決意させた事だった。大統領補佐官のロジャー・スウィーリングゲンによるとジョンソン大統領は北ベトナムを侵略し、占領し、解放し、この紛争に勝利する唯一の手段である核兵器を使うことを恐れた。それは中国との核戦争を意味していたからだ。

次の核勝利は史上最も強力な全体主義帝国を平和的に倒した事だった。核兵器の飛び交う第三次世界大戦を起こさずにワルシャワ条約機構とソ連を崩壊させ冷戦に勝利した。ソ連が戦車、航空機、砲兵、兵隊に多くの数値的優位性があったにも関わらず、ソ連の西欧への侵攻を阻止し、45年間平和を維持したのも核勝利と言えるだろう。

だがそれ以降米国は核敗北を続けている。

ロシアは戦火を交えることなくクリミアを併合し、NATOを弱体化させるために3年間ウクライナを痛めつけた。ソ連崩壊後、核兵器を所有していたウクライナはそれを放棄するのと引き換えにアメリカ、ロシア、イギリスの三ヵ国と協定を結び、ウクライナが外国から侵略を蒙ることがあった場合にそれらの国がウクライナを守るために戦うことを誓約する四ヵ国議定書に調印したが、それは全くの無意味だった。

オバマ大統領のイランとの核合意、中東の米国同盟国を攻撃し続けるイランに対する8年間に及ぶ宥和政策、これらも核敗北だ。

そしてこれから来るかもしれない核敗北とは、 北朝鮮による電磁波(EMP)攻撃によるアメリカの文明の終結、テロリストによる都市への核攻撃、 または対立により引くに引けなくなったロシアや中国による先制核攻撃だ。

このような核兵器の悪夢は我々が思考し、実際に行動しなければ起こりうるのだ。

ロバート・モンロー米国海軍中将は 米国防衛原子力局(Defense Nuclear Agency:アメリカ国防脅威削減局の前身組織)を復活させ、核兵器の影響を理解し被害を軽減するための徹底した作業を再開するよう求めた。

米国議会のEMP委員会はEMPとサイバー攻撃に対する米国の電力網やその他の人命を守る重要なインフラストラクチャーの強化を求めている。

そしてトランプ大統領は米国の核抑止力を近代化しようとしている。

それはやらなければならない事なのだ。

海外の反応

thehill.comのコメント欄より: ソース

fanofhawking 実にナンセンスだ。米国の外交政策は核戦争が勝ち得るものであるという誤解に基づいている。

核兵器に関する歴代の米国の大統領の考えがどんなものだったのかは分からないが、トランプが核兵器をアメリカの外交政策の単なる一つのツールとみなしていることは明らかでそれはとても危険なことだ。

dan 実際、核戦争に勝算があると考えているのはロシアも同じだ。それは彼らの戦略外交政策に核兵器を先制使用する権利が含まれていることからも、昨年モスクワに何百万人もの人々が避難できる核シェルターが完成したことからも明らかだよ。ピーター・プライは絶対的に正しい。

amightywind 米国の核抑止力は積極的に維持されなければならない。 テニスボールよりも小さな球から発せられる力はまさに驚異であり、脅威でもある。

Don the Con 日本を侵略する必要はなかっただろう。彼らはすでに敗北していた。

a_b704 日本には降伏の機会がたくさんあったが彼らはしなかった。 まぁなんにせよ結果から見ればトルーマンが2つの都市を破壊したことは彼らにしても我々にしても最善の結果となった、違うか?

dan もしアメリカが日本に核兵器を使用していなければソビエトが日本を占領し、日本は北朝鮮のような国になっていたかもしれない。

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By United States Department of Defense (either the U.S. Army or the U.S. Navy)derivative work: Victorrocha (talk) - Operation_Crossroads_Baker_(wide).jpg, Public Domain, Link