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日本のLGBT漫画『弟の夫』のレビュー、日本人親子とカナダ人ゲイとの“家族の物語”

My Brother’s Husband review – a Canadian gay man about the house by Rachel Cooke - Tue 9 Jan 2018

"文化庁の賞を受賞したマンガアーティスト田亀源五郎が描く感動的で複雑な物語、日本の東京に住むシングルファーザーが予期せぬ訪問者に扉を開く。"

日本のLGBT漫画『弟の夫』の英紙ガーディアンによるレビュー(海外の反応) img via: theguardian.com 東京に住む若い夫婦・弥一と夏樹は離婚を決意、二人で話し合った結果 一人娘の夏菜は弥一が育てることに合意した。ここまではただの現代的な話だが、そこに突然弥一の弟・涼二の結婚相手だったクマのようなカナダ人男性・マイクが現れたことで物語は動き出す。

涼二は弥一の双子の弟でずいぶん前にカナダへ移住し疎遠になっていた。その弟が亡くなり、パートナーだったマイクは涼二が生前に語っていた日本をその目で見るために日本を訪れたという。



弥一ははるばる日本まで来たマイクを歓迎すべきなのは理解しているが、ゲイに対する偏見をぬぐえずどう接すべきかに戸惑ってしまう。風呂上がりに半裸でいるといるのはどうなのか、マイクのパートナーだった亡き弟と瓜二つの自分がそんな恰好をすることの意味を心配したり、まだ小さい娘の夏菜に叔父が男性と愛し合い、しかも結婚までしたことをどう説明すればいいのかと不安に思い、マイクの口から出る言葉に嫌悪感を覚える自分にいらだちを覚えるのだ。

だがその一方で、マイクは愛した伴侶を失った直後という悲しみの中にあっても予想外に良き客人であった。娘の夏菜もマイクを嫌に思うどころか、それまでその存在を知らなかった叔父と、彼と同性愛結婚をした新しい叔父に興味津々で学校の友人に自慢するなど彼らを受け入れていた。
弥一とマイクの間には彼らの性的指向と同様に大きな違いが横たわる。カナダでは寿司を天ぷらにする料理があると聞き、その味も食感も実際に味わってみなければ理解できないではないかと思う一方で、とても口に合いそうにないとも思う。だがマイクのことを、マイクの口から語られる弟のことを知るうちに、そこにあるのは結局のところ古典的なステレオタイプであると考えを改め始め、両者は次第に打ち解けていく。

夏菜の友人の母親が、マイクがゲイであることを知り娘の側に近寄らないよう求めれば、弥一はほとんど無意識にマイクをかばい立てた。共に過ごすうちに、亡くなった弟を通して打ち解けていくうちに、弥一は家族を家族たらしめるものとは何かを見つめ直していく。やがてそれは高校時代に両親を交通事故で亡くした時も、弟が死んだと聞いた時もどこか漠然としか感じられなかった悲しみを、ようやく今になって感じとることに繋がっていく。

日本のLGBT漫画『弟の夫』の英紙ガーディアンによるレビュー(海外の反応) img via: theguardian.com 日本の文化庁の賞を受賞し、その作品も複数の言語に翻訳されているマンガアーティスト・田亀源五郎が描く漫画『弟の夫』がいよいよ、米国の人気コミックアーティスト・アリソン・ベックデル ら複数の賞賛の声で花道を飾られイギリスに到着する。

彼らがこの作品を賞賛する理由を見つけるのは難しいことではない。それはこの作品が非常に感動的であるというだけでなく、非日本人の、外国人の読者にとって想像以上に魅力的な話だからだ。

日本では同性愛者は未だにその正体を隠して生活しなければならないでいる。そして田亀源五郎が紡ぐ複雑ではあるが巧みなストーリーは、そんな秘密を持って生きなければならないことの、そしてそれがもたらす家族関係への影響に迫ろうとしている。



涼二は他国で自分の性に正直でいられるようになったが、それは同時に兄に対し自分の気持ちを伝える機会を失わせやがて関係を疎遠にしてしまった。互いを分かり合うことなく、そしてもうそうすることもできなくなった弥一にとってマイクという存在はどう映るのか。彼の気さくさは、彼の持つ何事にもオープンな考え方は、突然開かれたブラインドを通して眩しい日差しが部屋を満たすように、影に隠れてしまっていた弥一の気持ちを照らし出す。

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海外の反応

theguardian.com, amazon.uk, amazon.comのコメント欄より: ソース , ソース , ソース


Kharin この作品は大好きな作品だ。

fudanshi801 田亀氏の他の作品は全く好きになれなかったがこの『弟の夫』は特別だ。今年中に第2巻が発売されることをとても嬉しく思う。それは心温まる物語であり、時折心痛める物語であり、読むことが喜びとなる1冊だ。読み終わるころにはきっと大柄のカナダ人と結婚したくなっているだろう。だが残念、彼は私のハズバンドだ!!

bigpapaboogaloo 昨年の本屋でこれを見て十分面白そうと思ったので購入、あまりの素晴らしさに圧倒された。なんかもう色んな面で心にグサリときた、とても感動的な物語だった。

sevengoals 傑作。

Mummy kindle版を購入、星5つ。
私が今までに遭遇したことのない最高のアートワークと美しい物語を持つ作品。作者はエロティックなゲイ・マンガで知られているがこの作品はそのジャンルから離れた誰もが読める作品となっている。

作者は全ての性、全ての年齢層に適した美しい物語と同性愛についての心のこもったメッセージを作品で伝えている。心に触れる1冊であり、思わず大声で笑わせる場面もあったが、そのストーリーで語られた家族や愛、そして悲しみにどう対処すべきかといったものに、同性愛の人々がカムアウトする際に苦慮するであろう拒絶や孤独の痛みについても考えさせられた。

作中ではセクシュアリティに関連していないいくつかの文化的な違いが描かれているが、それらはむしろ主人公を理解するのに役立っている。主人公はマイクと生活する中で変化し学んでいくわけだが、主人公だけでなくマイク自身もまたその生活の中で心動かされているのがとてもいい。

アートワークはとても鮮明でよく描かれている、マンガファンはその点も楽しめるだろう。物語はアートワークと相まって読者の関心を引きつける。 それとフランス語版で3巻まで出ているとに気づいたので他の巻も英語に翻訳されることを願っている。

この作品は愛と、悲しみと、家族と、そして人生についての美しい物語であり何度も読み返すことになるのは間違いない。私は田亀源五郎氏がこれからも全ての年齢層を対象にした作品を描き続けてくれることを願っている。

Liam Tasker kindle版を購入、星5つ。
星5つを与えるにふさわしい素晴らしい作品。日本と欧米の同性愛を含む文化的な違いを日本側の視点から知れるのはとても興味深かった。誰にでも、強くおススメできる。

Maxy Barnard 最も心に触れるストーリー。
当初想像していた物語とは大きく違いったが、それは私が今まで読んだ本の中で最も誠実で、思慮深く、そして社会的意識の高い日常物語であった。想像したよりもはるかに良質な本。誰にとっても、どの国の人にとっても必読の作品だ。

Katy B チャーミングでありながら考えさせられる作品。
読む価値がある。1巻はリラックスした雰囲気の中で日本社会におけるLGBTがどういったものなのかを外国人から見てもわかりやすく描いている。

Stachystat 心温まると同時に悲しみで心締め付けられる愛すべき日常物語。続きが気になる。

Joda Cast 異文化とセクシュアリティが衝突する、洞察的で明るい素晴らしい物語。

Brian Bednarekon ステキで見事なストーリー。
ゲイであってもストレートであっても、この物語で描かれるキャラクターの感情に寄り添うことができるはず!!!

chathatgrlon とてもクリエイティブな作品だがとてもリアルな作品でもある。笑わせてもらったし泣かせてもらった。 I loved it.

Michael Hillon 読むのが楽しくとても強く感情移入させられる。読み終わるまで席を立つことができなかった。

D. J. Bigbeeon 公衆の面前で何度か泣きそうになった。とてもシンプルで直接心に訴えかけるような何かがある。強くお勧めします。

Moriya 正月に東京に帰国したときに買った。 この漫画は同性愛者の結婚についてだけでなく、家族の絆について、人はそれぞれ違っていることを理解しようとしない人々による不必要な同調圧力について、そして家族や愛する人を失った時の悲しみに対処する方法もまた人それぞれであることについて描いている。私はこの興味深いストーリーが、個々の人々の個性を無視して互いを抑圧しあう英国でついに販売された事を非常にうれしく思う。

Francisco Rodriguezon 愛とその喪失を非常にうまく描いている。大人が読むべきグラフィックノベル。

Mariner Blakeon それは美しく、少し悲しい物語だった。自分が理解していないものを受け入れることを余儀なくされることは難しい、それが未知のものであるなら恐ろしいものだ。 この物語のコアは主人公がそれらを苦心しながら受け入れる様だ、また芸術的に見ても美しい。

『弟の夫』はNHK BSプレミアムの「プレミアムドラマ」枠で2018年3月にテレビドラマとして実写化予定です。
佐藤隆太×把瑠都『弟の夫』制作開始! _ プレミアムドラマ _ NHKドラマ

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