イギリスの大手一般新聞『ガーディアン』より

修道僧ですら我慢できなくなる、仏教の僧侶が外国人観光客のレビューに激怒したことを謝罪

‘Even monks get impatient’: Buddhist priest sorry for anger at tourist reviews - 27 Jul 2018



今週、ホテルレビューサイトに投稿された否定的なレビューに対し日本の僧侶が怒りに満ちた反応を示したことが話題になり、訪れる際に事前にそこがどういった場所なのかも調べない外国人観光客への批判が高まっている。

『赤松院』は2004年に『紀伊山地の霊場と参詣道』として世界遺産への登録が決定した高野山に建つ宿坊であり人々に古代仏教寺院に滞在する機会を提供している。だが一部の訪問者は本来そこで得られる価値以上のものを勝手に期待しているようだ。それが提供されなかったことに不満を持った外国人観光客らが世界最大の宿泊予約サイト『booking.com』に残した批判的なレビューに赤松院の僧侶が激怒したことがソーシャルメディア上で物議を醸している。



This photo of Sekishoin is courtesy of TripAdvisor

あるレビューは宿坊の食事が "質素でベジタリアン" であったこと、そしてその寺院の伝統などの説明が不足していたことに対する不平を書き込んだ。すると赤松院の公式アカウントはこの場所は修練の場であること、西洋人だからといって特別な扱いを受けることはないことを指摘しさらにこう付け加えた、 「そんなにも僧侶の生活に興味があるなら頭を剃ってその一員になるべきだ。」

また別のレビューは真冬であるにもかかわらず寝室の外に暖房がないことに文句を言い、そこで出された "奇妙" な食事は "今までに味わった食べ物とはまったく違う" と書き込んだ。赤松院の公式アカウントは
“Yeah, it’s Japanese monastic cuisine you uneducated fuck.”
「そうだ、日本の精進料理だからな、この無教養のクソ野郎が。」
米国生まれで日本に約15年間住んでいる赤松院の真言宗僧侶、ダニエル・キムラ(Daniel Kimura、30歳)は我々ガーディアンの取材に対しそれらの否定的なレビューの返信は自分が行ったと認めている。

同氏は非常に汚い罵り言葉を使用したことを深く反省し今後返信する際には "トーンダウン" することを誓う旨をすでに書き込んだと語った。

しかし彼はまた "まるでそこが未開な場所であるかのように傲慢な反応を見せる旅行者" に絶えず対処しなければならないことに不満を抱いているとも述べている。
ダニエル・キムラ氏によると2004年に高野山が世界遺産に登録されて以来欧米の観光客が急増しているという。

「彼らは一言も日本語を覚えずにこの場所を訪れ、なんの苦労もなく価値ある何かが与えられることを期待しています。私としてはほんの少しでいいから学んでから来て欲しいと感じています。」

「我慢しがたいものがあります、たとえ僧侶であっても。」

「観光客の中には6つ星ホテルレベルのものを期待してここに来る人もいます、それは全くの間違いです。」

「この場所に来ようとしている人たちには禁欲的な修練の場では贅沢は期待できないと説明しようとしているのですが... ここには必要最小限のものしかなくそれはこの場所の必然です、そして当然観光客であってもそれは同じなのです。ですがそれを理解していない人たちに対処しなければならないのです。」

今週初めにカナダのジャーナリストがTwitterに不満を持った観光客とダニエル・キムラ氏のやり取りのスクリーンショットを投稿するとそのツイートは15,000回以上リツイートされ、35,000人のユーザーが "like" した。なお当時のやり取りはbooking.comから削除されている。
カナダのフリージャーナリスト - Melissa Martinがツイートした一連のやり取りのスクリーンショット ‏



- 利用者のレビュー -

評価:7.5
高野山奥の院のすぐ側の快適なホテル

良い点:
高野山奥の院のすぐ側という好立地。食事も良く広々としていて快適な部屋。

悪い点:
ホテルというよりも本物の寺院体験といった感じ。


- 高野山公式アカウントの返信 -
君が一体何を期待していたのか全く見当もつかない...
ここは正真正銘本物の寺院だ。ホテルではない。我々は君の荒唐無稽な期待に責任を負うことはできない。






- 利用者のレビュー -

評価:7.1
興味深い

良い点:
朝の儀式は興味深かった。

悪い点:
あまり歓迎されていない印象。まるで本当は来てはいけなかった場所に踏み込んでしまったかのように、スタッフの人たちとコミュニケーションをとるのが難しかったように感じた。


- 高野山公式アカウントの返信 -
ただの気のせい。君に対し不公平な扱いも差別もしていない。






- 利用者のレビュー -

評価:6.7
わざわざ訪れる価値無し

良い点:
寺院とその景観は素晴らしい。

悪い点:
とても高額。この場所のスピリチュアルな側面に興味がなければ行く価値無し。朝の "儀式" には失望した。というか儀式と呼べるものではない、ただ3人の僧侶が己のためだけに何か祈ってただけ。


- 高野山公式アカウントの返信 -
本気か...?
当寺院は高野山で最も高くない宿坊なんだが...
それと朝の宗教的な儀式に関して君は全く理解できていないようだ、焼香し感謝をささげる機会だったのだが。






- 利用者のレビュー -

評価:7.5
全く問題ない、だが提供される価値に対して割高な気が

良い点:
部屋は快適広々。

悪い点:
スタッフは皆冷たい。夕食と朝食は質素でテキトーな調理。


- 高野山公式アカウントの返信 -
なぜ我々がフレンドリーである必要がある?
君のような人たちは何を目的にここに来たのだ?
宿坊というものに対するその歪んだ視点は何だ?



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海外の反応

theguardian.comのコメント欄より: ソース


scralpal "you uneducated fuck. (この無教養のクソ野郎が)"
誇張してるんだろうと思ってたらホントに書いてあって笑ったw

LeonInJapan Booking.comのレビュー欄を見たんだけどこのダニエルっていう坊さん、否定的なレビューのほとんどに反論しているけどどう考えても良いPRにならなそうなことばかり書いてるな。

seaseafuss ロックな坊さんがいたもんだ。

Kampungman 寺院でハンバーガーが出ることでも期待しているかのようなレビューがあることに驚きを隠せない。精進料理は菜食主義だ、それはしばしば質素なものである。

Charliedaz 前に一度フランスの18世紀の城に泊ったことがある。レビューサイトで1人のアメリカ人がその城の家具が古臭いだの、エレベーターが無いのが不満だのといった文句を書き連ねたレビューを楽しく読ませてもらったぜ。

ajchm 中世の城にエアコンがないだの修道院にエレベーターがないだのといったレビューも見たことあるわ... 現代の快適さを求めるなら他にいくらでも行くとこがあるだろうに、古い歴史を持つ場所で同じものを期待する方がどうかしてる。それと価格に対してもっと現実的になれと言いたくなるようなレビューも少なくない。

旅行者の不平不満で私が直接聞いたことのあるもので一番強烈だったのはディズニーランド・パリのホテルでアメリカ人のカップルが朝食がアメリカン・スタイルでないのは何事だとスタッフを怒鳴りつけていたやつだな。

MsDimple 中国のレストランでナイフがないことに文句を言っていたイギリス人見たことあるわ。

owenludd 先月トルコに旅行してきた。帰りの飛行機で隣の人に旅行はどうだったと聞くと彼はこう答えた。
「悪くはなかったよ、でも何であんなにも大量のモスクがいたるところにあるんだ?」
私は本を読むことにした。

darkdeer 観光客の中には本当に頭のおかしい連中がいる。ヨセミテ国立公園で驚くほど美しい滝があったんだけどアメリカ人女性が勝手にそこに上りながら何で手すりがないんだと文句を言っていたのを見たことがある。

AliceBelvoir 寺にリッツカールトンレベルのものを期待するのは間違っている、だが僧侶があのように反応するのもまた間違っている。

comfortablynumb88 このお坊さんのイライラもわかる気がするけどね。

Kate Morgan 去年インドに行ったときにインド料理に文句ばかり言っているカップルと出会ったわ。仕舞いには「まともなフレンチオニオンスープが食べれる場所がどこにもないなんて信じられない。」とか言ってた。何しに来たんだかねぇ。

Emily Haston 日本に住んでいた時に高野山を二回訪れた。ぜひまた訪れたい場所だ。

大阪の近くで教師として働いていたんだが湿気の多い不快な夏の暑さを避けるには絶好の場所だった。お寺に泊るのは本当に素晴らしい体験だ、ベジタリアン料理で初めて満足できたのもこの場所、味もプレゼンテーションも好みで堪能できた。友好的な地元の人たちにも出会えた、会話に花を咲かせるのも楽しかったし町も案内してもらった。散策も、カフェも、そして夕日も素晴らしかった。私の日本滞在でのハイライトが高野山だ。

ああ、それとこのダニエルっていうお坊さん?
よく言ってくれた!

Metro 昨年高野山を訪れた。そこで食べたベジタリアン料理は確かにこれまでに食べたどの料理とも違っていたけど不満は全く感じなかった、むしろ異国情緒を感じることができたし思い出深いものになった。文句を言う方がどうかしている、もっとなじみ深いものが食べたかったら周辺にいくらでも店があるんだし。未知を楽しめない人は目的地周辺にマクドナルドやスタバがあるかどうかをまず確認してくれ、無かったら行こうと思わないでくれ。

Breconian1 日本で不味い飯を探すことはかなり難しいと思うんだが、ってか一度もハズレを引いたことなんてないぞ。

SwanseaPeacefulguy 同意。サービスに関しても同様だ。どこ行っても自分の国のそれよりはるかに優れてる。赤松院

Worminator まぁお寺の精進料理って日本人の舌でも味気ないと感じることがあるそうだからねぇ。そんなお上品な味に慣れれば堪能できるようになるんだろうけど、私が食べた時も「...代わりにお好み焼きとか出してくんないかなぁ...」とか思っちゃったし。

ID886317 日本の禅寺を訪れる喜びのひとつは、その経験の唯一性にある。料理は美しく盛りつけられているし、見慣れない料理だから最初に何から手を付けていいかもわからなかったけど、その小分けされた料理の一つ一つが魅力的な味とテクスチャーで驚くべき満足感を提供してくれた。

それに高齢な私たち夫婦のためにそのまま床に座るのは辛かろうと高座椅子などを用意してくれたりと色々気を使ってもらった。それらは楽しい経験だった。私はぜひ一度試してみることをお勧めするよ。

hanstyo 25年ほど日本に住んでいる、高野山にも何度も行ったことがある。毎回というわけではないがほぼ楽しい経験ができた。

今回の件で一番の問題はBooking.comを始めとするホテル予約サイトにこれらの宿坊が載せられていることだ。宿坊は部屋を埋めるためにホテルと同列に扱われる場所に宣伝を出している、事情に詳しくない顧客が間違った期待を持って訪れることに文句を言える立場にない。しっかりと金をとっておきながら(しかも決して安くはない)客に英語しか話せないだの何だのと文句を言う方が傲慢というものではなかろうか。

kumano 高野山に行くという事は非日常を味わいに行くことであり、質素堅実、厳しい生活に身を置くことで訪れる前には気づかなかった何かに気づけるようになること、それらが肝だと思うのだが。

MarieLibere まあ、私は多くの観光客が "無教養の~野郎" とは言わないが、その多くが無知であり、しばしば出発する前に目的地について学ぼうとすらしないほど愚かであるのも確かだと思っている。 自分たちが行こうとしている国の場所を地図で指し示すことができないのも少なくない。文化的な配慮など期待する方が無茶だ。

格安航空の普及は誰もがどこにでも行くことができることを意味し、Airbnbなど民泊の普及はいくらでも安く滞在できることを意味する。そこにかつてあった財政上の障害はもはやないのが現代だ。一方ですべての目的地はどこもが似たように見えてしまう、そのため観光客は非日常を求めさらなる奥地へと進み、その無知からさらなる問題を起こすのである。

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“web_japan08_038.jpg” by sodai gomi is licensed under CC BY 2.0