イギリスの大手一般新聞『ガーディアン』より

インタビュー:大坂なおみ「心機一転、新たなスタートのように感じます -毎回毎回プレーするたびに興奮します」

Naomi Osaka: ‘This feels like a fresh start – I’m excited every time I play’ - Sat 19 Jan 2019 - by ガーディアン紙やニューヨークタイムズ紙に寄稿するイギリスのフリーランス・スポーツジャーナリスト - Simon Cambers

- 人を和ませるような《おかしみ》で知られる世界4位の彼女だが、全豪オープンのタイトルを前にしてもプレッシャーとは無縁なようだ -



昨年の全米オープン決勝戦の直後、大坂なおみは全米に放送されるテレビ番組に出席していた、それは新たにチャンピオンとなった者がトーナメント後に負う伝統的な責任/慣習のようなものだ。

20歳にして大坂なおみはグランドスラムのタイトルを勝ち取る、それは日本のテニスプレーヤーとしては男女を通じて初の快挙だった。セリーナ・ウィリアムズを相手に掴んだ勝利は、彼女の才能と大きなプレッシャーの下でも冷静さを保ち続けることができる能力の証明であり、対戦相手が感情のメルトダウンを起こしたのと対照的に彼女は一貫して自分らしさを保っていた。



彼女はアメリカのコメディアン/女優であるエレン・デジェネレスが司会を務める人気トーク番組『エレンの部屋』にもゲストとして呼ばれた。そこでエレンは彼女にいくつもの質問を投げかけたが大坂なおみはそれらの全てに上手く答えていた、その時間が必ずしも "楽しいだけ" ではなかったにもかかわらずだ。

関連記事:大坂なおみが出演した米トーク番組の翻訳、海外セレブも大坂に夢中?!(海外の反応)
https://kaikore.blogspot.com/2018/09/naomi-osaka-on-us-talk-show.html




そして今日の試合後、21歳になった彼女は全豪オープンのメディアセンターにある小さな部屋でまゆをひそめながらその思い出を振り返った。

「Yikes,」
(※ショックを受けた時、怖かった時、嫌な思い出を思い出した時などに出す言葉。うわ!うへ! オェ~!)

「あの時は本当に緊張でどうにかなりそうでした、なにしろステージに呼ばれるまでエレンと顔を合わせることもできなかったので... そしていざステージに上がるとそこからはずっと変な気分でした、いつも見ている彼女が目の前にいる、テレビかコンピュータの画面を通してしか見たことない人物が目の前にいるのですから」
番組後半にはエレンの「現在夢中になっているセレブがいるか」との質問にマイケル・B・ジョーダンと答えるとエレンはおもむろにスマホを取り出し彼に連絡を取り始めた、そんなエレンのからかいに戸惑いっぱなしの彼女だったが、最終的には楽しい時間を過ごせたと彼女は語る。

それ以来、いや、実際はそれよりもずっと前からかもしれない、人々は大坂なおみの性格、特にその人を和ませるようなユーモアに夢中になっている。

スポーツ選手の中にはテレビインタビューや記者会見で、記者からの質問にいわゆる "お決まり" の返答だけをする選手がいたりする。しかし毎回毎回礼儀正しくもありきたりな言葉を並べる彼ら彼女らとは対照的に、大坂なおみは常に誠実で、時に大笑いしてしまうほどに面白い。

今週土曜日に台湾の謝淑薇(シェイ・スーウェイ)を相手に逆転勝利しベスト16に進出した試合の直後のインタビューも彼女らしさで溢れていた。記者の一人がとあるやり取りについて質問した、試合中に大坂なおみがコートに倒れる場面があったのだがそこで主審は彼女に「Are you OK?」と声をかける、すると彼女は「No」と答えるのだ。

「ファンからの声に対する大坂なおみのこの返答、実に大坂なおみらしさに溢れている」

(※全豪オープン公式アカウントより。この動画では聞こえ難いですが大坂なおみが倒れた直後に誰かが「Are you OK?」と声をかけ、大坂なおみは起き上がりながら「No」と答え、その後冗談だとばかり手を振っています。なお "ファンからの声" となっていますが実際は観客ではなく主審の声だった模様)


「あれは面白かったですね」

彼女はそう答えた。

「彼は ‘Naomi, are you OK?’ と声をかけてくれました。まぁ実際大丈夫だったのですが、もしここで私が ‘No’ と言ったらどんな反応をするか見てみたいなと思ってしまったので...」

彼女が今の地位に上り詰めるずっと前のとある記者会見でもこんな場面があった。彼女は大阪で生まれた人は皆、彼女と同じように "Osaka" と呼ばれると記者団に語る、そして記者の反応を見ながらしだいに微笑みだす彼女の様子を見て我々はそれが冗談だと気づくのだ。
大坂なおみはすでに日本でもヒーローとなっている、まだ錦織圭ほど有名ではないかもしれない、しかし全米オープンで優勝して以降、今回の全豪オープンの前夜に結ばれた全日空とのスポンサー契約を含め新たに4つの大口スポンサー契約を結んでいる。

それは単に彼女がグランドスラムで勝利したからだけではないだろう、"彼女らしさ" がそれらを呼び込んだはずだ。しかし彼女は必ずしもそれが良いことだとは思えていないようだ。



「ある意味ではですが、私はそんな "自分らしさ" を出さずに済めばいいなと思っています」

彼女はそう語る。

「というのも、私は他のプレイヤーに本当に感心しています。彼らはちゃんと話ができています。まじめで理路整然としている、話がそれることもない。私はその逆な対応ばかりしている気がします。もっと真面目になれたらどんなにいいだろうと思ってしまいます」

「質問に対して、冗談を挟まずそれに集中することができればどんなに素晴らしいことだろうと思います、というのも、どういうわけかそれができないからです」

「ジャーナリストの方々の中にはそれこそ何年も前から知っている人たちがいます、そしてついその人たちを友達のように考えてしまうのです、なので気が付くと冗談を言ってしまう、誰もがそんな自分を理解してくれているわけではないのに」
その獲得賞金の総額が800万ドル近くにのぼるため、もはや大坂なおみは平均的な21歳とは違う存在になっている、「私は自分が "普通" なのかよくわかりません」彼女がそう語ったように。

そう、彼女はもはや普通の存在ではない。彼女はスーパースターであり、これから先にいくつものグランドスラムのタイトルを獲得するかもしれない存在だ、そしてそのうちの一つは今回のメルボルン大会かもしれない。今と昔とで違うのは彼女が追う側から追われる側になったところだ。

グランドスラムでの勝利がプレッシャーの解放になる選手もいる、逆に試合に出るたびに "勝って当たり前" を期待されるのではと余計なプレッシャーを抱えてしまう選手もいる。しかし彼女に関してはそんな心配は杞憂なようだ。



「私は何よりもこのグランドスラムを楽しんでいます」

「多くの人が全米オープンの前と後ではどう違うかと私に尋ねます。ですが私としては違いをほとんど感じていないというか、むしろ心機一転、新たなスタートのように感じます - 毎回毎回その試合に興奮します」



「プレッシャーは感じません」

「伝わるかどうかわかりませんが、ナーバスにはなります。トーナメントの最初のラウンドでは本当に緊張しました、ですがそこから後は本当に気分良くプレーできています。ここまでのところ本当に良くプレーできていますし、私にとってはグランドスラムはやはりエキサイティングな時間という感覚が強いんです」

全豪オープンも2週目に入るが、そこで何が起ころうとも彼女はいつもの "自然さ" を見せてくれそうだ。

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海外の反応

Youtube, twitter.comのコメント欄より: ソース , ソース , ソース


上の記事を書いたイギリスのフリーランス・スポーツジャーナリスト - Simon Cambers

「"ある意味ではですが、私は私らしく在らない方がいいと思う"」

「大坂なおみがその正直で、愉快な、本当は真面目にやりたいと口にするインタビューについて語る」


テニス専門のウェブメディア『Tennis TourTalk』などに寄稿するフリーランスのスポーツジャーナリスト - Michael Dickens Simon、大坂なおみの魅力が伝わる素晴らしい記事だった、彼女の言葉の引用の仕方もいい。そしてとても共感できる内容だ。実際彼女は "conversationalist(楽しい・面白い・興味深い話ができる人)" だ、昨年のワシントンDCでのシティ・オープン、そこでのインタビュールームで私も実感したよ。

上の記事を書いたイギリスのフリーランス・スポーツジャーナリスト - Simon Cambers She is great. Hope she never changes
(彼女は素晴らしい。彼女が変わらないでくれることを願っているよ)

Lyn Knott わかる。ナオミが彼女らしさを見せてくれることが、自然体である様が大好きだ!

上の記事を書いたイギリスのフリーランス・スポーツジャーナリスト - Simon Cambers Exactly!!

@NewWorld 彼女はジャーナリストたちと親密な関係を築いてきたって言えるのかもな。そういった意味でも彼女は特別な存在だ、そしてその人との接し方も。

上の記事を書いたイギリスのフリーランス・スポーツジャーナリスト - Simon Cambers そう、彼女は表裏がなくとても誠実だ。そして今感じていること、思っていることを率直に話す、そこが素晴らしい。

shonar 彼女が自分らしくあることに負い目を感じているとはちょっと悲しい話だ。

上の記事を書いたイギリスのフリーランス・スポーツジャーナリスト - Simon Cambers もちろんその必要はないと伝えたさ、それこそが人々が君を愛する理由だとね。

Cornish Bird 本当に親しみのあるキャラクターだよ彼女は。

Christina True.

Syahrul Munajat ‏ She's so cute

nicholas mamah プレーはもちろん、彼女の所作すべてがエンターテイメントだ。いつだって見ていて楽しい。





SOWETO あの試合中の "No" の場面には思わず笑顔にさせられたわ。

NaomiRafalover Tennischamp 今年の全豪オープンで最も楽しい瞬間があそこだった。

🇩🇪TennisFan 🎾 ただ正直心臓が止まるかとも思ったけどな。そしてすぐさま口にしていたコーヒーを吹き出しそうになった。また別の素晴らしい瞬間を見せてくれてありがとうだナオミ。

Seun あれは足を変に捻るのを避けるために転倒することを選んだんだろう。とても賢い、そして冷静なとっさの判断だ。

m b だろうね。

Y 🙆🏾‍♂️ga ♈️ ⛲️b 🌿n’ 🚿 ‏Naomi, you’re the best.

Rahmayani Hamilton 彼女のユーモアのセンスが好きだ。娘も大ファンだよ。

Grace London 笑わせてもらった。そして苦戦したものの最終的にはなんだかんだで勝利してしまった。あの場面でユーモアを見せられるそのメンタルが彼女の強さなんだろうね。

deepak mahajan 彼女の存在はテニス界に吹いた新鮮な息吹だ。彼女がグランドスラムで優勝した後もスランプに陥ることなく一貫して上々の成績を残していることが嬉しい。ファンだった選手が次々に引退していく中、また引退しそうな中、もうお気に入りの選手は現れないかと思っていたが... 少なくとも次の10年は女子テニスを楽しめそうだ。

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