香港で発行されている日刊英字新聞『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』より

中国が日本の戦艦の旭日旗の掲揚を容認した理由、それは日中関係が "より近くなる" 時代の到来の兆し

Why China letting Japan’s warship fly the rising sun flag is a sign of the ‘closer’ times - 22 Apr, 2019 - by Julian Ryall

(上の写真は昨年10月に韓国政府が日本の自衛艦に対し旭日旗の掲揚自粛を申し入れたことを伝えた韓国の英語テレビ放送Arirang Newsの映像 から引用したもの)

・今週日曜日に日本の護衛艦が中国山東省の青島港に到着した、世界十か国から集まった各国の艦艇と共に中国の国際観艦式に参加するため

・"rising sun flag"、白い背景の上に赤い太陽と光線が描かれた旗は、依然として大日本帝国の侵略の象徴であるとアジアの多くの地域で考えられている



中国で23日に開催される国際観艦式に参加するため日本の護衛艦が中国山東省の青島に到着した。

同国の軍艦が中国を訪れるのは7年ぶりの出来事であり、不確実性が高まっている時代に両国がその立場の相違を狭めようとしていることを証明する動きだと専門家は述べている。

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今週日曜、日本の海上自衛隊の護衛艦「すずつき」は青島港に到着、韓国やロシア、インドを含む10カ国から集まった各国の艦艇と共に中国海軍創設60周年記念の国際観艦式に参加する予定になっている。

注目すべきは日本の護衛艦が3つの旗を掲げて港に到着したという点だ。同艦はその艦首に日本の国旗、艦橋の上に中国の国旗、そして艦尾に海上自衛隊の軍旗である "rising sun(旭日旗)" を掲げていた。

旭日旗は国際的に日本の "現代の" 海軍の軍旗として認識されているが、それにもかかわらず白い背景の上に赤い太陽と光線が描かれたこの旗は、依然として20世紀前半の大日本帝国による侵略と占領の象徴であるとアジアの多くの地域で考えられている。



昨年10月の韓国の国際観艦式では参加を予定していた日本の軍艦が自衛艦旗である「旭日旗」を掲げないように韓国側から求められ日本政府がこれを拒否、参加を見送りすでに悪化していた日韓関係にさらに油を注ぐ事件が起きていた。

今回中国側が旭日旗の掲揚を容認したことについて日本の国営放送局NHKは、"中国の海軍能力に対する警戒感が高まる中、各国の軍隊と共に積極的に国際協力する準備があることをアピールしたい思惑" がある中国は日本に国際観艦式への参加を求めた際に物議をかもしているこの旗の掲揚自粛を要求しなかったと報じている。



「(韓国人が強い怒りを向けた旭日旗の掲揚について)中国が何も言わなかったという事実は韓国人がどれほど極端に走っているかを物語っている」
テンプル大学日本校教授で国際関係の教授であるRobert Dujarric氏は、日本が実効支配し同国では尖閣諸島と呼ばれる釣魚群島の領有権をめぐって日中が激しく対立を繰り返した2012年から続いている冷え切った関係が改善することを両国ともに望んでいると述べる。

彼はこの対立はまだ解決されていないと認める一方で、両国はこの問題を避けながら関係を改善する道筋を模索していると語る。



「日本の安倍晋三首相は常に中国との良好な関係を望んでいました、もちろん日本と米国との関係に影響を及ぼさない範囲でですが」

「一方で中国側も、習近平国家主席は国の領土や権力の拡張を目指すexpansionist(拡張主義者)ではあるものの、日本との関係をこれ以上悪化させることを望んでいません」

「彼としても日本とは適切な関係を維持したいと考えているのです」



日本と中国は政治面では冷めた関係にあるが両国の貿易面は堅調だ。そして中国の指導者たちは、現在の貿易摩擦問題で揺れる米中関係と同様に、経済を混乱させるあらゆる事態を回避することに非常に熱心であると彼は付け加えた。



さらに習近平は6月に大阪で開かれるG20に合わせ来日する予定になっており、日本の護衛艦が旭日旗を掲揚することに何の要求もしないという北京の決定は習近平がこの公式訪問に置く重要性を示しているとRobert Dujarric氏は続けた。

また米国との貿易摩擦問題により起こり得るさらなる問題へのリスクヘッジという意味でもこれが円滑に進むことを確実にしたいとの思惑があるとのことだ。

そして今回中国側が旭日旗の掲揚を容認したことについて彼は、韓国がかつての貿易/安全保障のパートナー(※日本)に向けて示している "増大する敵意" を浮き彫りにするのにも役立ったと述べる。



「韓国人が強い怒りを向けたあの旗はMSDF(海上自衛隊)の軍艦旗として世界中で認められています」

「そしてそれに対し中国が何も言わなかったという事実は韓国人がどれほど極端に走っているかを物語っていると言えるでしょう」

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