シアトルで建設中のAmazon本社ビルにホームレスのためにシェルターが併設される。

New Amazon Building In Seattle Will Include A Homeless Shelter by The Two-Way - May 10, 2017

Amazonはシアトルに建設中のAmazon本社ビルに65家族収容できるホームレスのシェルターを併設すると発表した。同社によるとホームレスとなった女性や子ども、家族の支援を行っている非営利団体「Mary’s Place」に4万7000平方フィート以上のスペース、つまり現在建設中の複数棟あるビルの内のひとつである6階建てのビルの約半分を提供するという。

Amazonは2014年にオフィスのキャンパス拡張のため中古ホテルを買収、2017年に解体する予定でいたがホームレスが問題となっていたシアトル市のためにそのホテルを一時的にMary’s Placeにホームレスのためのシェルターとして提供していた。新しいビルのスペースは恒久的なシェルターとして活用され、ホームレスとなった女性や子ども、家族の計200人が利用可能になる。

Amazonの本拠地がある米ワシントン州シアトル市ではホームレスが深刻な問題となっており、昨年の統計によるとキング郡とシアトルは全国で3番目にホームレスの人口が多かった。米国住宅都市開発省の報告によると2016年のシアトルとキング郡のホームレスの数は10,730人に達し、ワシントン州では2015年から2016年の間に1,408人のホームレスが増加、これは全国で2番目に多い数字で2015年にはシアトル市が非常事態を宣言する事態となっていた。


Inhabitat.comより引用
Amazonのような企業は何千人もの収入の高い人員を雇っており、それが周辺地域の住宅価格を押し上げ、この問題を悪化させているとの指摘が数多く出ており、9月に発表された国勢調査データによると平均収入は1年間に10,000ドル上昇したという。

また長年にわたりAmazonは市の他の大企業に比べ慈善活動に非積極的であると批判されてきた。

2012年にはシアトル・タイムズがキング郡で生活に困った家族や学生の支援を行っているシアトルのNPO法人United Way of King Countyへの企業の寄付額を公表、マイクロソフトは400万ドル、ボーイング社は310万ドル、ノルトストロムは約32万ドル寄付していたが、Amazon.comはゼロだった。

今回の新本社ビルにホームレスシェルターを併設する計画はその評判を変えるための努力というわけだ。

Amazonのこの発表はシアトルの市長がMicrosoftの共同設立者Paul Allenの財団が市のホームレスの家族や子供を収容する新しい施設を建設するために約3,000万ドルを費やすとの約束を得たと発表してちょうど2週間後の出来事だった。

Amazonのこの伝統的でないアプローチによって市のホームレス家族の一部が、同市の住宅市場を高騰させる原因となった技術者達と同じ屋根の下に収容されることとなる。同社はスペースを共有することで従業員がMary's Placeをボランティアしてサポートする機会が増えるだろうと語っている。

またAmazonはプレスリリースと同時に同社のYoutubeチャンネル「Amazon News」でビデオを公開したが一部の人からは「わざとらしい」との批判が出ている。

Amazonが公開した動画とその翻訳

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2016年にAmazon.comはオフィスのキャンパス拡張のため買収したホテルをホームレスとなった女性や子ども、家族の支援を行っている非営利団体「Mary’s Place」に提供した。ホテルは2017年に解体予定だったが一時的な住宅として200人が利用、だが当初の予定通り解体される運びとなった。

Amazonの人
「こんにちわMarty、お元気ですか? 今日はあなたに特別な贈り物があります、我々Amazonからのとても特別なものです。どうか受け取り、開けてみてくれませんか?」

Mary’s Place理事
「本当に?」

Amazonの人
「ええ。」

(箱を開け中に入っていた手紙を読む)

Mary’s Place理事
「Dear Marty、Amazonはこの素晴らしいニュースをあなたと共有できる事にとても興奮しています。我々が建設中のビルの一部を... これ本当ですか?」

Amazonの人
「ええ。」

Mary’s Place理事
「非営利団体「Mary’s Place」にささげる事となりました。これまでの一時的なものでなく恒久的な住宅としてです。あなた達を喜んで迎え入れたいと思います。」

(ハグする2人)

Mary’s Place理事
「私たち「Mary’s Place」の過去20年間の努力の結果が今、結ばれました。」

Amazonの人
「これがその家の鍵です。ようこそMarty。」

Mary’s Place理事
「ああ、なんて素晴らしい事でしょう...8番街ブランチャード通りに移れるんですね!」


Amazonはシアトルで建設中の本社ビルに「Mary’s Place」のための恒久的な住宅を用意します。Amazonの従業員、および「Mary’s Place」の家族は2020年に引っ越します。


海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース

Loughla いいね、これで倉庫の奴隷従業員は安く暮らすための素敵な場所を手に入れた。

13speed 給料はペリカならぬベゾスで支払われるわけですね。(ジェフ・ベゾス:Amazon CEO)

derpyhuskygirl ホームレスの人たちがAmazonのロボットにスキャンされて所定の場所に自動的に収納されていく様は見ていて楽しいだろうな。

daneelr_olivaw いっそAmazonプライム・ビデオで中継して欲しい。

pjay321 ホームレスの"男性"は受け入れてくれないんだな。アメリカのホームレスの75%は男性なのに。

Dilbythedude 正直男性が95%とかだと思ってた。その数字マジ?

SirBruceMega 私もそれが気になった。でも残念ながらそういった扱いは一般的なんだよな。Amazonの取り組みは賞賛するけど...

andyoulostme まぁ男性が家族の一員だった場合は受け入れてくれるんだろ? 父親だけ受け入れないなんて事はないだろうし。

itsmuddy 私が子供の頃に母がシェルターに電話していたのを思い出すよ、父と一緒に入居できる場所を探すのにとても苦労していた。この国のホームレスを取り巻く環境は非常に残念だ。

gamma286 Amazonが他の地域から大量の従業員を雇い、シアトルの賃料を高騰させ、地元住民をホームレスに追い込む状況は全く変わらない。

Trisa133 Amazonを非難したって仕方がないと思うぞ。 米国経済は90年代後半から大規模な構造変化を経験した。必要とされる技術やキャリアを持った人は大金を稼ぎ、海外へのアウトソーシングやロボットによるオートメーションによって低熟練労働に従事する人は何百万人もの他の人と競争しなければならない状況に追い込まれている。

Amazonの有無にかかわらずこの流れは止まらない、彼らがいなかったとしても他の誰かが同じような事をするんだから。

gamma286 私が言いたいことはそういうことじゃない。シアトルは東と西が海と湖になっているせいで島に似た地形になっており陸地は有限だ。Amazonはシアトルのダウンタウンの中心近くに本社ビルを建設し従業員は仕事先の近くに住みたいと考え、そのために周辺の地価は高騰している。Amazonなら他の場所でも問題ないだろうにわざわざ過密地域に本拠を構えた事を問題視しているんだよ。

CantBelieveItsButter 私はシアトルの中心やその周辺に住んでいた。マイクロソフト社がレドモンドで行ったように郊外に本社を置くのではなく、Amazonはダウンタウンエリアの中心に置いた。4つの大学と市内の住宅地帯から5マイル以内の場所だ。家賃がどんどん上昇していったから毎年私の住居は大学から遠ざかっていったよ。もうだいぶ離れたのに家賃はまだ上がってる。ほんと勘弁して欲しいよ...

kjoygray75 実際に住むのはホームレスじゃなく従業員だったりしてな。

bradtwo 中国で似たような事してるよ。中国では従業員の給与から自動的に賃貸料を引き出すことができる。中には賃貸料が高すぎて給料で払いきれない場合もある、そうやって従業員に過剰な労働を強いているんだ 。

vaniusa 仕事を失ったらシェルター行きになる、たぶんAmazonの従業員はそんな考えが頭に纏わりつくだろうな。ストレスたまりそうだ。

kitmatthews こういったホームレス対策は企業じゃなくて国や自治体が対応すべきなんじゃないか?

smartse どこの企業とは言わないが、法人税を払おうとしない企業がありましてね...
そこがちゃんと支払えば国だって対応できると思うぞ。

cryptodude12345 国も2014年に公的住宅制度に5100万ドルを費やしてるよ。

tsajayj シェルター1つ作ったぐらいじゃ褒められん、何十億ドルという法人税から逃れているんだから。

jay1333 入居するにはAmazonプライム会員である必要があります。

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“Homeless” by Pedro Ribeiro Simões is licensed under CC BY 2.0