米国のデジタルメディア「VICE」より

日本で数少ない黒人のスターとなったコメディアン『アイクぬわら』

Meet The Black Comedian Who Has Become Japan’s Most Unlikely - 28 Sep 2017
以下は動画の翻訳ですが一部VICEの文章版の記事からの情報を補足として追加してあります。 Meet The Black Comedian Who Has Become Japan’s Most Unlikely - news.vice.com


日本は世界で最も外国人の受け入れに関して評判が悪い国のひとつでだ。それもそのはず、日本の人口のわずか1.3%が外国生まれであり、黒人ともなるとその数はさらに少ない。

だが最近、とある一人のナイジェリア系アメリカ人の姿が目に入ることはこの国でありふれた光景になろうとしている、彼は毎日日本のテレビに出演しているからだ。

『アイクぬわら』は日本ではかなり目立つ顔だ。彼は人気お笑い芸人グループの一員であり、今ではコマーシャルにも出演するほどの人気となっている。

アイクはもともと日本の東京の外資大手証券会社ゴールドマン・サックスで働いておりそのために来日したが、日本のタレントエージェンシーに所属するために会社を辞めた。そして彼はほぼ一夜にして日本のテレビのセレブレティとなった。

彼が人気となった理由の一部は、彼が必要なときにいつでも日本語と英語の切り替えができるためだ。


(※動画の1:03~2:00は日本語での会話です) 人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
デクスター・トーマス(米国コルネル大学の博士課程で日本のヒップホップ史を研究): あ、これで有名になったなっていう瞬間は?

アイクぬわら: 有名になったっていうことじゃなくて... 「あ、ちょっとだけ注目されてるな」っていう気持ちになったことは何回もある。

デクスター・トーマス: じゃ最初は?

アイクぬわら: 最初は~... ん~ やっぱりその、東京ディズニーシーのアナウンスのモノマネだね。


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
「Ladies and gentleman, boys and girls, welcome to Tokyo Disney Sea」

アイクぬわら: それがメチャクチャ盛り上がって、その次の日にツイッターにアップロードされたの、その動画が。 その動画のリツイートが20万。

デクスター・トーマス: 20万回も?!


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応) アイクぬわら: それで、普通に電車なんか乗ると

「おわっ?! 東京ディズニーシーの人だ!!!」
「東京ディズニーシーの人!!!」
と指差されながら回りから声をかけられる。

「...どうも、東京ディズニーシーの人です」みたいな
どういう紹介のしかたやねん。

デクスター・トーマス: ふふ。

アイクが日本のコメディに出会ったのは全くの偶然だった。アメリカのシアトルで育った彼は子供の頃からコンピューターサイエンスに夢中で小学校の頃からプログラミングを学んでいた。

大学に入ってもその道を歩んでいたが、ある日シアトルのチャイナタウンにある日本のビデオ屋で流されていた日本のお笑い番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』に映った高田純次、世界で最もがさつで下品で非常に奇妙で理解し難いコメディアンの一人である彼の映像に釘付けになった。

アイクぬわら: こう思ったね、彼はドラッグでもキメているんじゃないかと。そして大好きになった。


アイクが店員にそのDVDを借りられるか、他に同様のDVDはあるかと尋ねると、店員は快く何枚かのDVDを差し出した。「ところで日本語は理解できるの?」と店員が尋ねるとアイクはこう答えた「全然!」 DVDを抱えて家に帰ったアイクは夢中になってそれらを見たという。

それまでまったく日本文化に触れたことのなかったアイクだが、日本のコメディのスタイルは彼にしっくりと来たようだ。

アイクぬわら: 見ていて直ぐに "すごい!面白い!" から "すごい!自分もやってみたい!" と思うようになったよ。 だから日本の東京のゴールドマン・サックスに勤めようと思ったんだ。


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
アイクはそれがさも自然な選択であるかのように語った。コンピューターエンジニアとして働いた彼はその間に日本のコメディー番組を見漁り独学で日本語を学んだ。そして来日してから5年ほど過ぎた頃に日本のコメディアングループのオーディションに参加し現在のコメディアンとなったという。


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
デクスター・トーマス: ところでだ、君はコメディアンだけど、同時に人々は君に対し様々な事を求めてくるよね?

アイクぬわら: 日本ではコメディアンは何でもできるし、してくれると期待される。人々はただのエンターテイナーとして見てくるんだ。だからナレーションの仕事もしたし声だけの仕事もした。メインはコメディだけど歌ったりもしたよ。


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応) 人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応) 人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)

デクスター・トーマス: おつかれ。おじゃましますよ。

アイクぬわら: ああ、ごめんなさいね、楽屋じゃ靴を脱いでもらわなきゃならなくって。

デクスター・トーマス: Yeah、 ふふ... 慣れたもんだ、問題ないさ。
それにしても... 自分で髪のセットをするんだね。

アイクぬわら: そう、いつも自分でするんだ。なんていったらいいかな? ほら、日本の人は黒人の髪をどう扱ったらいいかわからないから...

デクスター・トーマス&アイクぬわら: (笑)

デクスター・トーマス: これが君の過ごす毎日の光景なんだね。

アイクぬわら: そう毎日だ、月曜日から金曜まで。


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応) 人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
昨年以来、アイクは『おはスタ』と呼ばれるテレビ番組の主要なホストの一人となった。それはつまり、日本の多くの大人が彼をコメディアンとして認識する一方で、日本の子供たちはアイクを『ブルーズ・クルーズ』のスティーブのような存在として見るということだ。(※ブルーズ・クルーズ:アメリカの子供向けテレビ番組、スティーブはそのメインホストのお兄さん)

デクスター・トーマス: この『おはスタ』という番組はただの子供番組ではない?

アイクぬわら: そうだね、これは言うなれば日本の『セサミストリート』だ。日本で最も有名な子供たちのためのテレビ番組だよ。


(日本の民族グループ構成) 人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
だがいくらアイクが有名人だからといって、それは偏見に対処する必要がないという意味ではない。日本は世界で最も民族的に均質な国のひとつであり、こと多様性に関しては評判が悪い国だ。


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応) 人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
デクスター・トーマス: 黒人として日本に住む感じはどうだい?

アイクぬわら: 君も黒人だからわかると思うけど、電車に乗って席に座ると自分の隣の席が空いたままになる、誰も座ろうとしない、そんな経験をしたはずだ。

デクスター・トーマス: 確かに私も経験したね。

アイクぬわら: だよね。でも私は日本人が人種差別主義者だとは思わない。ただ彼らは知らないんだと思う(どう対応したらいいのかを)。

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アイクは日本で最初の人気セレブレティとなった黒人ではない。近年で最も有名になった黒人タレントはナイジェリア出身のボビー・オロゴンだ。だが彼はアイクとは違い、ばかげた面白いことをする黒人というある種のステレオタイプを演じる事で人気を博していた。 そしてアイクの『おはスタ』でのピエロのような格好を見て、彼もまたそのようなステレオタイプのキャラクターの枠に収まる事を強制されているのではと見えるかもしれない。

だが彼は自身がどのように見られているかについてよく考えており、道化師を演じながらも昼間のニュース解説パネルに挑戦するなどより多面的な役割を果たしている。

デクスター・トーマス: 日本のテレビに黒人として出演する事に対して責任感というものを感じている?

アイクぬわら: ...黒人としての責任感というものではないかな、ただ良い機会だと思っている。黒人は全て同じようなキャラクターではない事を日本の人々に見せる良い機会だと。コンピューターテクノロジーというバックグラウンドはそれに役立っていると思うよ。


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
アイクは自分をコメディアンだと見ている、そう聞くと人々はこの『おはスタ』という子供番組に彼が出演する事は彼のコメディアンとしてのキャリアを傷つける、とまでは言わないまでも彼の目指すゴールから気持ちをそらせることになるのではと思うかもしれない。

だがアイクは彼が子供向けのテレビ番組に出演する事はとても重要だと言う


人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)
アイクぬわら: 子供番組に毎日出演する事はとても大きな意義があると思う。

デクスター・トーマス: それはどうして?

アイクぬわら: 子どもたちは成長しやがて大人になる、そして子供の頃から黒人を見てきた彼らは世の中に"違う人"がいることを当たり前と思ってくれるかもしれない... わかるだろ?

デクスター・トーマス: 小さな子供たちがテレビに映る君を見て
「この人は... うん、ただの面白い、普通にいる人だ」
そう思ってくれることを期待している?

アイクぬわら: そう、ありふれた人間だと感じて欲しい。そう変わってくれることを願っているんだ。今までは黒人を見るとこんな感じだったろ?
「あっ! 黒人だ! 白人はよく見るけど... わぉ、黒人だ!」みたいな。

まるで... そう、ポケモンかなんかを見つけたみたいに。
「レアポケモンだ!!!」みたいな。

デクスター・トーマス&アイクぬわら: (笑)

人気黒人芸人『アイクぬわら』が語る黒人が日本のテレビに出演する意味(海外の反応)

海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース


Darrick Ayers 彼を尊敬するよ。彼は黒人が日本を訪れやすいように、日本人に受け入れてもらえるよう尽力している。

lazypinoy100 黒人が流暢な日本語を話していることに強い違和感が。

Bryant Mitchell しかも黒人2人が日本語で会話しているのがシュール。

•Murray• •HeleneJ このデクスター・トーマスっていう人は他の番組でも見たことがあったから日本語を話していてビックリした。外国語の中でも最も習得が難しい言語だろうに。

David Boucard 彼は東アジアの研究をする博士候補者であり、彼は日本のヒップホップに関する本を書いている。彼の仕事と研究は日本語を中心としたものだろうから当然だね。

Mersh 日本に移り住もうとする黒人はしっかりと日本語を学び日本社会に溶け込んでいくもんだよ、彼らは日本の文化が好きで移り住んでいるから。一方でヨーロッパに来る黒人はギャングになるという...

PanQuakes スーツを着て「やぁ、オバマだよ」と言えば私も日本で通用する気がしてきた。

J P yes we can!

Never Hi 黒人で日本語を話すことができれば日本の有名人になれる?

A turtle さて、身体を黒塗りにするか。

Bizzozeron いい話だったがなぜ一々日本には多様性がないなどという話を差し込む?

ほとんどが白人であるヨーロッパ諸国は数多くあるし中国などはそのほとんどが同じ民族で構成されている。全ての国が米国や英国、またはそれに類する西欧諸国と同じ基準で考えるのはおかしい。

Fadile Waked 私も日本に住んでいるけど彼が言ったすべてに同意するよ! それは人種差別問題ではなく、黒人や白人関係なくただ外国人で相手のことをよく知らないからそういった対応をするというだけだ。

They call me $-money 日本が均質的な社会であり続けることを望む。それは外国人の多くが日本に行きたいと考える理由だ、"彼らの"、他者の文化を体験したいんだよ。

AwkwardRenegade グローバリズムは間違いなく文化伝統に対する脅威であると確信してるわ。

MrRebelliousNerd1 日本オタクの夢を体現した男。

Troy Woo 日本は黒人が好きだと思ってたんだが、マンガやアニメにたくさん登場するし。

Versace Vanja 他人種を魅力的に思うことと受け入れることは別物だよ。

Troy Woo でもそういった気持ちがまずないと受け入れもしないんじゃ...

Sean McDonagh 日本人は人種差別主義者だと思ってたんだが。

Brian Aguirre 実際ほとんどがそうだよ。

anthony lockwood 日本の女の子や日本人は黒人が好きではない。残念ながらそれが事実だ。日本人がデートするのはほぼ白人男性か白人女性だ。

Rashad 外国人嫌いといったほうが正確。

AlexForSale それが正当化されるかどうかはわかないが、日本はアメリカなどにある極左的な文化相対主義とは対極にある国だ。

日本政府は日本は誇るべき最高の社会であり、その文化は厳格な移民法によって保護される価値があると言っている。それを異国嫌悪と呼ぶのは簡単だがアメリカの人口の大半がメキシコ人に、フランスやドイツの人口の大半がイスラム教徒になった時同じ様に彼らをそう呼べるだろうか?

善意の下で国が崩壊しては意味がない。国とその国民は誰がその国にいるべきか、その国が何であるかを決めるあらゆる権利を持っている。

Josh Sinclair 電車の席に関してはロンドンでも起こるぞ、ロンドンは世界で最も多様な都市のひとつであるにもかかわらずだ。

AwkwardRenegade 正直何処の国でも起こると思う。

TheMakoyou 隣に座りたがらない理由の8割は体臭か香水だから。外国人=匂いがきつそう。日本人は体臭が少ない民族だから気になるのです。(※日本語)

Marie Anette "でも私は日本人が人種差別主義者だとは思わない。ただ彼らは知らないんだと思う。"

これはとてもよく理解できる。ルーマニアで育った私は人生のほとんどで黒人に会ったことがなかった。初めてに黒人の人を見た時は思わずじっと見てしまった、あまりにも珍しい存在だったから。 信じてもらえるかわからないけど本当につい最近まで黒人の人と話すことさえなかった。民族の多様性がほとんどない国に住んでいるとそういうことがよくあって今考えるとちょっと奇妙だ。ここ数年でかなり変化したけどそれも首都か、他の大都市くらいかな。

私の今の仕事は世界中の多くの人々と接する仕事でそれを嬉しく思っている、世界が広がった気がするから。

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