オーストラリアの日刊紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』より

3人に2人のオーストラリア人が宗教は世界に良い影響よりも悪い影響を与えていると考えていることが調査で明らかに

Ipsos global poll: Two in three Australians think religion does more harm than good in the world - October 12 2017

世論調査会社Ipsosによる23カ国17,000人以上を対象にした調査で宗教が社会に与える影響についての意見がほぼ真っ二つに分かれていることが判明した。全地域の回答者の49%が「宗教は世界に良い影響よりも悪い影響をあたえていると思うか」との質問にYesと回答、だがオーストラリア人は国際平均を上回る63%がYesと回答した。

「オーストラリアは世界で最も宗教に対しマイナスのイメージを持つ国の一つだ」とIpsos社会研究所のデビッド・エリオット氏は語った。オーストラリアよりも否定的な見方が多かったのはベルギーだけで(68%)ドイツとスペインがオーストラリアと同レベルだった。


(Yesと答えた人の割合)




だがその一方でオーストラリア人の84%の人々が異なる宗教的信念を持つ人々が自分の周囲にいても「まったく不快ではない」と答えておりこちらは平均以上のシェアを持っていた。

「人々の多くが宗教に対し否定的な見解を持っていますがそれを理由に異なる信念を持つ個人を恐れたり嫌悪したりはしていません。」とエリオット氏は指摘する。

「そういった意味ではオーストラリアは世界で最も寛容な国と言えるかもしれません。この寛容はオーストラリアが多文化社会であることの反映でしょう、もしくは宗教は悪であるとの認識が身の回りの出来事ではなく世界中で問題になった事件によって引き起こされたからなのかもしれません。」

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今年7月に発表された2016年の国勢調査によるとオーストラリア人の29.6%が「宗教なし」と答えその割合は5年前の22%から増加した。宗教的信仰を持っていると答えた人の数は人口の約60%、宗教上の所属を示さなかった人は9.6%だった。

しかしIpsosの調査では「宗教は自分のよりどころである」との質問にYesと答えたオーストラリア人は27%のみで、英国の23%より多かったもののアメリカの49%と比べ大きく下回っていた。日本は「宗教は自分のよりどころである」と感じた人が14%と最も少なかった。





国の「道徳的な生活」における宗教の重要性についても意見が分かれた。調査対象となった23カ国の半数以上が「宗教的慣習は自国の国民の道徳的な生活の重要な要素であるか」という質問にYesと答えたがオーストラリア人のその割合は約10人に4人にすぎず、3人に2人がYesと答えたアメリカ人よりも遥かに少なかった。

また世界の6人に1人が相手が宗教者ではないことを知った後その人に「失望する」と答えたがオーストラリア人のその割合は8人に1人だった。

また人々が宗教的であればより良い市民になるかとの質問に対してYesと答えた人の割合もオーストラリアは25%と米国の45%やロシアの44%、インドの62%よりも遥かに低かった。なお世界平均は32%だった。

宗教は世界に良い影響よりも悪い影響を与えていると考える人の割合が最も少なかったのは日本で26%、それにロシアと韓国の36%が続き米国も39%と世界平均を下回っていた。

海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース


cooterbreath 今日学んだ事:オーストラリア人の2/3は地獄に落ちる。

Powwa9000 私は宗教なんてどうでもいいと思ってるし他の人がどんな宗教的信念を持っていようが気にしない。ただ宗教は悪い方向に進むと科学的進歩を阻害し明らかに他の人を憎むことにつながるものだとは思ってる。

ThatChrisFella 人々が聖書を信じることを阻害するためにNASAが世界中に偽モノの恐竜の骨を隠してきたと(最近まで)信じていた人を私は知ってる。 彼女は同じ理由でNASAが地球規模で起きた洪水に関するすべての証拠を隠したと思ってた。 数年後には彼女は教師になる。そして彼女は学校のカリキュラムに従うと主張しているがとても信じられん。

Frank9567 宗教の名の下にどれだけ多くの戦争が起きどれだけ多くの命が奪われてきたか、どれだけ多くの子供たちが宗教組織に属する小児性愛者にトラウマを植えつけられてきたかを考えてみよう。しかもたとえ我々が特定の神や宗派を信じなくともそれらは我々の生活を妨害する。私は宗教が悪影響を持つと考える人が3人に2人だけであることに驚くよ。

flintzz 日本は最も宗教的ではない国でありながら宗教は良い影響を与えていると考えているという... 奇妙だ。

Terry_Pie 日本が宗教に否定的でないことは驚きじゃないよ。日本人は神社で祈り、教会で結婚し、寺で葬式をするような人たちだもの。

vulpix420 アブラハムの系譜の宗教から強い影響を受けていない国だからだろうね。日本人の宗教に対する認識とそれに関する経験は我々とかなり異なる。

ArvinaDystopia そりゃ宗教は遠くにあれば無害に見えるからだ。キリスト教もイスラム教も彼らにとっては遠くにある存在さ。

Thagyr 理由の一つは神道にあると思う。現在日本で働いているんだがここでは新年の初めに厄を払うための破魔矢を新しいものに交換するために神社に行く、ということを習慣としている人であっても自分は宗教的ではないと普通に言う。

宗教的ではないのに宗教行事を慣習とする理由、それは日本における神々はキリスト教の神のように常に遍在しているわけではなく、祈るためには拍手をして鐘を鳴らして注意を喚起しなければならない存在だからだろう。

キリスト教の神はいつでもどこにでもいる、だから人々は毎日祈りをささげる。だが日本の神々は会いに行く存在だから宗教的な慣習が生活の中に溶け込んでいても自分は宗教的であるという意識が芽生えにくい。だがたまにしか神に祈らなくてもそれは神道的に間違っていないのだ。

また日本の神々は全てがご利益のある存在ではなく畏れ敬う存在でもあり人々は厄災が降りかからぬよう祈り、彼らを怒らせぬよう努め、環境や神聖な場所に敬意を払う。

そういった考えが「調和を維持する」という一般観念を社会にもたらし、それは日本社会の中核に浸透している。宗教は拠り所ではないがその概念を拠り所と感じているから宗教を否定的に見ないのだろう。

Lazaras そういった宗教なら持つことができそう。

OPsuxdick もし日本に働きすぎて死ぬような労働環境、高い自殺率、女性が抑圧されるような慣習がなければ世界で最も好ましい国になると思うわ。私は日本人の考え方やマナーはとても素敵だと感じる。

eltanquesisley 自殺に関しては話が大きくなりすぎていると思うけどね、主にsuicide forest(自殺の森)なんかの話のせいで。実際にはベルギーやポーランド、ロシア、韓国などと比べて自殺率は低い。まぁ日本のが低いとは言わないけどさ。

ただ日本では自殺が多いという外国人が持つ認識は日本の過酷な労働環境 + 社会的抑圧 + 自殺の森とかの話が組み合わさった結果だと思う。

Zagorath 日本の自殺率は2017年時点で10万人あたり15.4人で世界で26位になっている。(ソース:wikipedia

アメリカとニュージーランドは12.0-12.9人、オーストラリアとカナダは10人、英国は7.4人だ。だから我々オージーに比べて日本は1.5倍、英国人と比べるとほぼ倍。自殺率が高いことには違いないかな。

magkruppe 多文化社会でない事もマイナスかな。日本にどれだけ長くいようとも日本人は外国にルーツを持つ人を日本人とは見なさない。その点アメリカはどの人種の人であってもアメリカ人になれる、ここはアメリカのとてもいいところだと思う。でももちろん日本にはそれ以外にいい所がたくさんあるとも思ってる。

Ua_Tsaug 私は今日本に住んでいるからわかるけど彼らの多くが宗教を含む行事や儀式が家族や人間関係にとって良いものだと思っている。 それに加えて宗教に厳密に従う人は少なく、人が仏教徒であろうとキリスト教徒であろうと皆本当に気にしない。生活における宗教の役割が他の文化の人々と全く違う。

fuzzybunn 日本は宗教を否定的に見ていないが他の宗教の人が周囲にいることは不快、かといって自国の宗教を拠り所としていない。これはつまり宗教を良いとも悪いとも思っていないってことなんだろうな。

“鳥居” by tablexxnx is licensed under CC BY 2.0

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