ルワンダのラジオ局「KT Radio」などを抱えるメディア企業「Kigali Today Ltd」傘下のニュースサイト『KT Press』より

日本の伝統技術がアフリカ・ルワンダの支線道路建設に使われる

Japanese Technology To Be Used For Rwandan Feeder Roads - March 02, 2018

"Do nou" テクノロジーはすでにアフリカのケニヤなどで使われている。(ktpress.rwより)

ルワンダは現在、日本の古代の技術 "Do nou(土のう)" 技術を用いた幹線道路につながる支線道路の建設を助成する資金を日本から受けている、建設に必要とされるものは袋と土および砂利だけだ。

この「Do-nou」とは土を麻の袋で包んだものを意味する日本の言葉だ。100年以上前から日本で用いられてきたこの道路建設技術は、土木工事用のジオテキスタイル素材(好ましくは麻)を使用した土壌補強技術である。(ジオテキスタイル:土木工事における道路などの補強・排水などに使用される繊維シート)「Do-nou」はシンプルながら強い耐荷力を持ちコスト面でも優しい。

今週木曜日、日本国政府は『地域で利用可能な物質ベースのアプローチを採用した道路改善を通じての持続可能な青少年雇用計画』プロジェクトを実施するため294,992ドルを提供する助成契約を日本の認定NPO法人 Community Road Empowerment(CORE)との間で締結した。


ルワンダの首都キガリの日本大使館で資金提供契約を結ぶ日本の大使(右)とCOREのプロジェクトマネージャー中島氏。 (ktpress.rwより)

このプロジェクトは今後12ヶ月間に4地区(Rulindo、Gakenke、Nyamasheke、Rusizi)で実施され、今後3年間で少なくとも12地区に到達する予定となっている。

「日本は今後3年間にわたり、毎年4つの地区が恩恵を受けれるようこのプロジェクトに資金を提供していきます。 "Do nou(土のう)" 技術の最大のメリットは非常に安価かつ容易に入手可能な素材を使っている点で、このプロジェクトを通じて農村部の他地域への接続性を向上させ青少年の雇用を創出します。」とルワンダの宮下孝之日本大使は署名式で語った。

"Do nou" テクノロジーを利用したこのプロジェクトでは少なくとも168人の青少年が訓練要員として雇用され、さらに彼らが農村部の青少年55,000人を指導する。また各地区に3〜10キロメートルの道路ネットワークを構築し、全国で毎年16000人以上の住民に恩恵をもたらすという。

COREのプロジェクトマネージャーの中島ケイ氏は「このプロジェクトを通して若者にDo-nou技術を使った未舗装道路整備スキルを提供するほか、若者の失業を減らすためにもこの技術を使った将来の建設プロジェクトを担う建設企業を設立するよう促していきます。」と語った。


建設中のDo-nou技術を使った道路(ktpress.rwより)

Do-nou技術を若者に訓練することを担当するエンジニアのJacob Kiplagat氏は、この技術の学習には短時間しか要さないと述べている。

「誰かを訓練するのに必要な時間は5日から1週間ほど、この技術の使い方を学ぶために必要とされる学歴はありません。幹線道路につながる新たな支線道路は国の定めた国道網の基本計画内で建設される予定です。」とKiplagat氏は語る。

ルワンダは近年国内インフラの向上に注力しており国内開発事業への支出を前年の4340億ルワンダ・フランから262億多い4,602億ルワンダ・フランに増加している。


「土のう」はシンプルながら強い耐荷力を持ち水や土砂の移動を妨げることができることから日本では昔から水害時の応急対策や土木工事全般に使われてきた。



土のうを使う道路整備手法を確立したのは京都大学大学院工学研究科の木村教授だ。 (ソース:PDF)

この技術は道路整備だけでなくダムの堤防、水路と橋の建設、洪水対策用の堤防、頻繁に浸水する地域の歩道、建物の基礎、地滑りを防ぐためなどの保持壁の建設など多岐に適用される。

これまでにこの技術を使った支線道路建設は25カ国で実施されてきた、現在はケニア、ブルキナファソ、ウガンダなどアフリカ諸国でDo-nou道路が建設中だ。

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(左上から)補修前の道路、通行困難な区域の泥と水を除去し土嚢を敷くのに十分な深さまで掘る。土嚢を詰めロープで結び並べぎっしり詰めていく。murram - 熱帯アフリカの路面に使用されるラテライト(粘土質の土)を敷き詰め隙間を埋める。土嚢の上に5cmの厚さになるまでmurramを敷き詰め木槌でたたいて固める。右下は補修後の道路。 ( corekenya.orgより)

2018年1月に行われた、カメルーンで過激派組織ボコ・ハラームと闘うカメルーン軍を支援する米国部隊の24人とカメルーン空軍15人が参加したDo-Nou道路プロジェクト。

雨季にドロドロになる道を土嚢を使った土木技術で補強する事で米国の補給車両が通行しやすくし、またカメルーン空軍がこの技術をカメルーン空軍基地の他の部分で活用できるよう、その技術を地域の人々に伝えるために実証する事が目的。
アメリカ陸軍のサイトArmy.milより)
“積み重ねられた土嚢” by 日本語版ウィキペディアShift is licensed under CC BY 3.0

ケニヤの田舎の道路状況を伝える2010年ごろのニュース



日本の認定NPO法人Community Road Empowerment(CORE)により補強されたケニヤの田舎道( skyscrapercity.comより , photo by kijana

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