1877年創刊のアメリカ合衆国・ワシントンD.C.の新聞『ワシントン・ポスト』より

アメリカ人は日本との関係を好意的に見ている。なぜか? 理由は中国。

Americans like their relationship with Japan. Why? China. - By Adam Taylor April 18 2018

国際問題の研究を行うシンクタンク『Chicago Council on Global Affairs』より
日米関係とアジア・太平洋地域の安全保障に対するアメリカ人の見解
American Views toward US-Japan Relations and Asia-Pacific Security


国際問題の研究を行うシンクタンク 『Chicago Council on Global Affairs』 より引用
アメリカ人の他国に対する感情
(国やそこに住む人々に対する感情。100に近ければ近いほど好ましく0に近ければ近いほど好ましくない、50は特にどちらでもない。)

- アメリカ人は日本に対して広く好意的 -
過去の調査と同様に、アメリカの国民は引き続き日本を好意的に見ている。アメリカ人の10人中8人以上(86%)が米国と日本はパートナーと呼べるような間柄であると回答しており、上の図が示す通り日本は平均62と評価されオーストラリアの71に次ぎ2番目にアメリカ人から好感/親近感を持たれる国となっている。


最新の世論調査によるとアメリカ人は日本に対して広く好意的であり、その大多数は東京とワシントンの関係がそのまま維持されることに、あるいはその関係が強化されることに賛成しているとの結果が出た。

日米関係がアメリカ人にとって今まで以上に重要なものなった要因とは何か? それは日本の隣に位置しその影響力を拡大させている国、中国と思われる。

国際問題の研究を行うシンクタンクである『Chicago Council on Global Affairs』が3月に行った世論調査によれば、 "ますます強大になっていく中国" を前に米国は日本との関係を変えるべきかどうかとの質問に43%が "米国は日本との関係を強化すべき" と答え、46%が "今までと同じ関係を維持すべき" と答えた。

国際問題の研究を行うシンクタンク 『Chicago Council on Global Affairs』 より引用
日米同盟に対する意見
(東アジア地域で力を増す中国に対しアメリカは:左=抑止のために日米同盟を強化すべき、中=米中関係改善のために日米同盟を軽視する/重要視しない方向に進むべき、右=日本との同盟関係に変化を起こさないべき)


米国と中国との関係を改善するため、日本と米国との同盟関係を軽視すべきだと思っていると答えたのはアメリカ人10人に1人だった。

同シンクタンクが10年前の2008年に同じ質問をしたときには32%のアメリカ人が中国との関係を強化すべきであると答え、54%は現状維持が望ましいと答え、9%が軽視すべきだと答えたことを考えるとその変化は顕著だ。

今回のアンケートはトランプ大統領が日本の首相をフロリダ州のリゾート・マー・ア・ラゴで歓迎した火曜日に発表された。

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日米両国の首脳は自国でのスキャンダルや低い支持率に直面し、さらに貿易に対する考えで大きな不一致もあるが、東アジアにおける日本の役割についての見解は多くの面で一致している。最も顕著なものは軍事面だ。トランプは日本のアメリカへの軍事依存を批判してきた、そして安倍首相は日本の平和主義憲法を変えることを望んでいる。

また両首脳は地域に脅威をもたらし続ける中国を批判してきた、そしてその見解は米国の大半の市民も共有している。同シンクタンクの世論調査ではアメリカ人の62%が中国は軍事的に台頭してきていると見ている
国際問題の研究を行うシンクタンク 『Chicago Council on Global Affairs』 より引用
軍事力は増えているか減っているか
(水色=増大している、灰色=変化なし、紺=減少している)


ただし中国を "米国が直面する重大な脅威" とみているのは39%に過ぎない、78%が重大な脅威と感じる北朝鮮と比較すると中国の台頭を極めて深刻に考えているアメリカ人はまだそう多くはない。

"世界の問題に対する責任を果たす能力がどれだけあるか" という質問に対しては、アメリカ人は日本の能力について概ね楽観的であり、合計で62%が十分あるいはかなり対処できるだけの能力を持っていると確信していると答えた。対照的に、中国に対しては同じ質問に41%が対処できると答えた。
国際問題の研究を行うシンクタンク 『Chicago Council on Global Affairs』 より引用
世界の問題に対する責任を果たす能力があると確信できるか
(紺=大いに、水色=かなり、薄い灰色=それほど、濃い灰色=全くない)

アメリカ人の62%が日本には世界の問題に対する責任を果たす能力があると確信していると答えた。これは2015年から4ポイント上昇している。一方でEUは2015年の66%から3ポイント下がり63%、米国は82%から14ポイント下がり68%となった。


個人レベルでは、アメリカ人の64%が日本の安倍首相を好意的に見ており、中国の習近平国家主席を好意的に見ているのは32%だった。

"中国と日本はライバル関係にあるか、あるいはパートナー関係にあるか" という質問に対しては65%がライバルと答えており、米国と中国の49%と比べ日中の関係が悪くなっていることをアメリカ人も意識しているようだ。
国際問題の研究を行うシンクタンク 『Chicago Council on Global Affairs』 より引用
次の二国はライバルかパートナーか?
(現段階での印象。紺=おおむねライバル、水色=おおむねパートナー)


東アジアにおける責任に関しては、アメリカ人の46%が日本が東アジアでより多くの責任を負うべきと答えた。その数字は韓国と中国とほぼ同じ割合だったが、米国とロシアの数字は24%と低かった。
国際問題の研究を行うシンクタンク 『Chicago Council on Global Affairs』 より引用
東アジアにおける責任
(以下の国は責任を:水色=もっと負うべき、灰色=今までと同じに、紺=軽減すべき)




日本が今以上に何をできるかについて尋ねると、アメリカ人の49%が地域の脅威に対処するために日本が軍事力を増大させることを支持すると答え、14%がこれに反対した。

また39%が国際法に沿った形であれば日本が独自の作戦行動を行うことを支持し、19%はそれに反対した。ただしこの件に関しては大部分のアメリカ人がこの質問に対して意見を持たなかった。
国際問題の研究を行うシンクタンク 『Chicago Council on Global Affairs』 より引用
日本は地域の安全保障の役割を強化すべきか
(注:多くのアメリカ人は答えるのに十分な知識を持っていないと述べていた)
(上から:
・国際平和維持活動への日本の参加を支持するか
・地域脅威に対処するために日本が軍事力を増大させることを支持するか
・日本が世界中の軍事作戦に対し今まで通り軍を派兵せず金銭的な支援を続けることを支持するか
・日本が不安定だったり紛争の可能性があったりする地域でより広い範囲の軍事作戦に従事することを支持するか
・国際法に沿った形であれば日本が独自の作戦行動を行うことを支持するか。)


またアメリカ人の一定数は日本により多くの軍事的な役割を期待しているが、必ずしもそれは日本で広く共有されているわけではない。日本の憲法を改革しようとする試みは一貫して議論の余地があり、最近の世論調査では大多数の日本人がそれに反対している。さらに憲法を変えるためには安倍首相は国民投票を実施し国民からの同意を得なければならない。



最後に、日本に対するアメリカの支持はこの地域に対する深い知識の結果から来たものとは言えないかもしれないと指摘しておく。同シンクタンクは実際に日本を訪れたことがあるアメリカ人は7%に過ぎないとしている。

日本が国際的に何ができるのかについてのそれぞれの質問で、少なくとも3分の1の回答者は、答えることができるほど十分にな知識を持っていないと答えていた。

なおこの『Chicago Council on Global Affairs』が行った世論調査は、世界100カ国以上に拠点をもち、グローバルに展開するマーケティング・リサーチ会社GfKが2月20日から3月6日までの間に実施したものであり、1,037人の成人から有効回答を得たものである。

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