ニューヨークのイベント情報を紹介するメディア『WHERENYC』より

ジャパン・ソサエティーが開催した生きた菌を摂食できる日本のプロバイオティクス・スーパーフード、納豆イベントのレビュー

REVIEW: NATTO: JAPAN’S PROBIOTIC SUPERFOOD EVENT AT JAPAN SOCIETY, MAY 23, 2018 - MAY 23, 2018

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(アン・ヨネタニさんがニューヨークで設立した納豆の製造・販売会社「NYrture(@nyrture)」のインスタグラムより)

「納豆に興味を持った方々がこんなにも大勢来ていただけたことを大変うれしく思います。」

微生物学者であり起業家/納豆メーカーであるアン・ヨネタニ氏は、彼女の友人で同じく日本人とアメリカ人のハーフであり元ニューヨークタイムズのフードライターのSho Spaeth氏と共に出席したジャパン・ソサエティーの開催する納豆を紹介するイベントでのスピーチでそう始めた。

2016年に両者が出会った時、Spaeth氏はヨネタニ氏の持つ納豆をアメリカに普及させようという強い情熱に困惑したという、刺激臭の強い発酵した大豆をアメリカの一般大衆に受け入れてもらうのは非常に難しいだろうと考えていたからだ。

しかし彼女ほど納豆業界にとって望ましい広告塔はいなかった。その聡明さと、オタク気質を孕んだ楽しい性格でヨネタニ氏は "納豆のチアリーダー" となった。
納豆は日本では一般的に食べられる発酵食品だが、フィラデルフィアで育った日系アメリカ人の彼女はそれを見かけることはなかったそうだ。彼女が最初にそれを試したのは彼女が日本を訪れた時であり、その時に恋に落ちたという。

その後ヨネタニ氏は日本で5代続く老舗の納豆メーカーの下で作り方を学んだ。彼女が言うにはまず何よりも質の良い、そして納豆に適した品種の大豆を使うことが重要だという。

ヨネタニ氏が設立したNYrtureは納豆をアメリカだけでなく世界に広める事を社是としており、アメリカはついに納豆を受け入れる準備が整ったと彼女は語る。

「近年スーパーフードという言葉を多く耳にしますが納豆は特にその健康効果が高いと言われています。大豆はもちろんのこと、納豆にはビタミンKが非常に含まれていることから骨を丈夫にし、血液をサラサラにすることで心臓血管の状態を改善し、消化を助けてくれます。」

「納豆はネギと醤油、時には生卵と混ぜてご飯と共に食されることが一般的ですが私個人はほとんどなんにでもかけています。チーズのように考えてみてください、皆さんが料理にチーズをかけるように納豆をかけてみてくだい。」

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(アン・ヨネタニさんがニューヨークで設立した納豆の製造・販売会社「NYrture(@nyrture)」のインスタグラムより)

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(アン・ヨネタニさんがニューヨークで設立した納豆の製造・販売会社「NYrture(@nyrture)」のインスタグラムより)

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(アン・ヨネタニさんがニューヨークで設立した納豆の製造・販売会社「NYrture(@nyrture)」のインスタグラムより)

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(アン・ヨネタニさんがニューヨークで設立した納豆の製造・販売会社「NYrture(@nyrture)」のインスタグラムより) (その他の納豆料理の写真が気になる方は NYrture公式HPNYrture公式インスタグラムからどうぞ。)
また納豆初心者は黒豆を使った納豆から試してみることを彼女は推奨する、これは通常の納豆よりも臭いが強くなくチョコレートに近い風味が特徴だ。また納豆特有のネバネバした質感は特に好みが激しいためそれを希釈、あるいは取り除いてくれるような食材と組み合わせることでより食べやすくなるという。



今回の試食会では伝統的なスタイルの納豆巻きの他に伝統にとらわれない型破りな納豆料理、黒豆納豆のパフェ、納豆イタリアーノ、納豆パーニープーリー(インドの定番おやつとして有名な小ぶりの揚げ菓子)などが口直しのワインと共に供された。

私個人としては伝統的なスタイルの納豆巻きが特に気に入った。納豆らしいネバネバとした質感と独特の臭い、微かな苦味は私の口にあったようだ。

納豆を普及させることは難しい課題だろうが、このような健康的な食品が日本国外で人気を博すことになればそれは素晴らしいことだ。

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ダウ・ジョーンズ社が発行する国際的な影響力を持つ日刊経済新聞『ウォール・ストリート・ジャーナル』より

オクラに匹敵するテクスチャーを持つ納豆、この日本の発酵大豆はアメリカで定着するのか?

One Dish Too Far: Japanese Fermented Soybeans With a texture rivaling okra, is natto poised to catch on in America? - June 14, 2018

フード・ジャーナリストとしてそれなりのキャリアを持つ人間として私は "それが何であっても、どんなものでも食べる" ことに誇りを持っている。

唐辛子の粉をまぶしたバッタの揚げ物が詰められたタコス?

問題ない。

あの悪名高い臭いの果実ドリアンから作られたアイスクリーム?

かかって来いだ。



しかし10年ほど前、私は日本の名物である納豆、大豆を発酵させた食べ物に出くわした。その臭いを例えるなら、臭いの強烈なチーズを冷蔵庫から取り出し一時間以上放置したようなものといったら伝わるだろうか?

だがそれよりも際立っているものがある、テクスチャー(質感)だ。ぬるぬるネバネバした食品にオクラがあるが、そのオクラのヌルネバ具合を1から10のスケールで1と表現するならば、納豆は11になると想像してもらいたい。

私は最初の一口で吐き気を催した。言うまでもなく二口目はなかった。

だが今、私が決して予想していなかったことが起こっている。その納豆がニューヨークでファンを獲得し始めているのだ
アジアンマーケットには日本から輸入された複数の種類の納豆が普通に陳列されている。ニュージャージー州エッジウォーターのミツワマーケットプレイス(日本食料品スーパーマーケットを中心とするアメリカ合衆国のショッピングセンターチェーン)では2ダースほどの納豆が大から極小まで大豆のサイズに基づいて分類され並んでいる。

さらには地元のブランドの納豆までもが出てきた。ニューヨーク在住の微生物学者のアン・ヨネタニ(Ann Yonetani)氏はNew York Nattoという納豆を手作り販売する会社を2年前に立ち上げた。その彼女が先月、ニューヨークで日本文化の発信を行う米国NPO『ジャパン・ソサエティー』で納豆の試食会を開いた。

ヨネタニ氏は納豆を食べることが人によっては困難を伴うことを否定しなかった、特にフィラデルフィアで育った日系アメリカ人である彼女のように日ごろから納豆を食べ馴れていない人にとってはそうだ。しかしジャパン・ソサエティーで開かれた試食会で彼女は発酵食品としての納豆がもたらす健康上の利点と、ピザからデザートまでの幅広い料理に使用する独創的なアイデアについて語った。

アメリカはついに納豆を受け入れる準備が整ったと思います。

彼女はそう言った。だが私にもついにその準備ができたのだろうか?



それを調べるために私はかなりの量の納豆を試してみた。まずはミツワマーケットプレイスで販売されている市販の納豆だ。今回はこの独特な臭いは乗り越えることができたがヌルネバは未だに耐えがたかった。私が箸を使って納豆を持ち上げるたびにネバネバとした糸がまとわりついてくる。

だがジャパン・ソサエティーのイベントで提供されたものは遥かに抵抗の少ないものだった。それは主役というよりもスパイスに近い使われ方をしていた。

例えばココナッツミルク・ヨーグルトとハチミツ、新鮮な果物、黒大豆で作られた納豆で構成されたパフェからは納豆特有の臭いやヌルネバをほとんど感じられなかった。なるほど、これならなんとか食べられる、だが...

(ジャパン・ソサエティーのイベントで提供された納豆料理)

もちろん私は納豆だけでなく他の文化圏の食べ物について語ることには一定の配慮が必要であることを認識している。私が "slime(スライム/粘液、slimy=ねばねばした/ぬるぬるした)" と呼ぶこれを日本人は "neba neba" と表現し、彼らはそれをこの食べ物の重要な特性と考えている。

私からすれば食べるのにそれなりの勇気を必要とするバッタも、メキシコなど世界の様々な地域では一般的な食べ物だ。

私が納豆に抱く嫌悪感はかなり主観的なものだ。そこでより広い視野から物事を見るために私は究極の専門家、Travel Channelの人気番組『Bizarre Foods(世界のゲテモノを食べ歩く番組)』のホストであるアンドリュー・ジマーン氏に話を聞いた。彼ほど食の抵抗感から程遠い人間はいないだろう。そんな彼ですら、人間は "踏み込むことができない領域の食べ物" をそれぞれ持っていると語る。

奇妙なことに、彼の "踏み込むことができない領域の食べ物" はアメリカの朝食の定番、温かいオートミールだという。

「私は世界中の様々な料理を口にしてきましたが、オートミールに関してはスプーン一杯すら飲み込むことができません。どうしても受け付けないのです。」



それは私の納豆をめぐる食の旅の終着点、帰結でもあった。

私は納豆が日本では朝食として好まれていることを、焼き魚や野菜、味噌汁と共にしっかりとした朝食の一部として食べられていることを学んだ。

そこで私は『Panya Bakery NYC』、ニューヨーク市マンハッタンのダウンタウンの地区イースト・ヴィレッジでその様な日本の朝食を提供するレストランへと足を運んだ。

同店のマネージャーであるサチ・クリス氏(Sachi Kriss)は、料理は食事の中心である米を補完することを意図していると私に説明した。

私はそこで出された朝食の一品一品を楽しんだ、納豆を除いて。やはりどうしても最初の一口以降箸が進まなかったのだ。

だが私と同じように納豆を苦手とする人も、あるいは私の話に怖気づいた人も心配する必要はない。 サチ・クリス氏は私が再びこの店を訪れた際には納豆の代わりに別のものを用意すると言ってくれた、日本人以外の顧客のほとんどにするのと同じように。

「私は皆さんがそれを食べることを正直期待していません。」

彼女はそう言った。

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