米消費者情報誌『コンシューマーリポート』より

最も信頼性の高い自動車ブランドはどこか?

Who Makes the Most Reliable Cars? - October 24, 2018

なぜ人は中古車ではなく新車を買うのか? それはより故障する可能性が低く長持ちし、最新のテクノロジーと高度な安全機能を備えているからだ。しかし誤ったモデルを選択した場合期待外れに終わることもありえることを我々コンシューマー・レポートの調査結果は示している。

この自動車信頼性年次調査はコンシューマー・レポートが会員から50万台以上のデータを収集し、そのデータから現在市販されている車のトラブルを抱える可能性を予測するものである。

我々はかねてより新車を買う場合は新型モデルやモデルチェンジが行われた車をすぐに購入することは避け、1~2年ほど待つことで初期ロットに起こりがちなトラブルに各メーカーが対処する時間を与えた方が賢明であると推奨してきたが、今回の調査はその考えが正しいことをより強固にする内容となっている。



自動車ブランド信頼性ランキング2019

以下の自動車ブランド信頼性ランキングは各ブランドのラインナップの信頼性スコアの平均に基づいたものになっている。

今年のランキングで最も順位を落としたのはビュイックであり、同社のSUVエンクレイブが平均以下の信頼性になったことが強く影響し前回の8位から19位へと順位を落とすことになった。一方で最も順位を上げたのはマツダであり、CX-9とロードスターの信頼性向上が前回の12位から3位へと順位を大きく上げることに寄与した。

なおこのランキングの対象となるためには2台以上のラインナップを販売していること、また十分なデータが収集可能であることが求められるためアルファロメオやフィアット、ジャガーや三菱といったブランドは対象となっていない。

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(※左から2つ目の "昨年からの変化" はどれだけ順位を上げた/落としたかを表しています。MINIとジェネシスは今年からランキング対象になったため該当データなし、" - " は変化なしを表しています。)

順位 昨年からの変化 ブランド (モデル数) 最も信頼性が低いモデル 信頼性スコア平均 最も信頼性が高いモデル
1 1 レクサス (6) IS 78 GX
2 1 トヨタ (14) タコマ 76 プリウスC
3 9 マツダ (6) CX-3 69 ロードスター
4 2 スバル (6) WRX 65 クロストレック
5 2 キア (8) Cadenza 61 セドナ
6 1 インフィニティ (4) Q50 61 Q60
7 3 アウディ (6) A3 60 Q5
8 3 BMW (7) X1 58 i3
9 N/A MINI (2) クーパー 57 カントリーマン
10 - ヒュンダイ (5) アイオニック 57 サンタフェXL
11 2 ポルシェ (3) カイエン 54 911
12 N/A ジェネシス (2) G90 52 G80
13 6 アキュラ (3) MDX 51 ILX
14 3 日産 (11) ヴァーサノート 51 マキシマ
15 6 ホンダ (9) クラリティ 50 フィット
16 - VW (8) アトラス 47 パサート
17 3 ベンツ (7) Eクラス 47 GLS
18 3 フォード (11) マスタング 45 トーラス
19 11 ビューイック (5) Enclave 44 Encore
20 2 リンカーン (4) MKZ 43 コンティネンタル
21 3 ダッジ (5) ジャーニー 40 チャージャー
22 2 ジープ (4) コンパス 40 レネゲード
23 5 シボレー (16) トラヴァース 39 インパラ
24 7 クライスラー (2) パシフィカ 38 300
25 1 GMC (8) Sierra 2500 HD 37 Yukon
26 1 ラム (3) 3500 34 2500
27 6 テスラ (3) モデルX 32 モデル3
28 1 キャデラック (6) ATS 32 XTS
29 6 ボルボ (3) S90 22 XC60
詳細は以下の通りである。なお各自動車メーカーは地域別にグループ分けされており各地域の信頼性の高かったトップから紹介する。

アジアの自動車メーカー


レクサス
レクサスとトヨタは今年も信頼性予測ランキングでトップ2を飾りこれで6年連続のトップとなっている。今年はレクサスのモデルは全て平均以上の評価を受けた(なおモデルチェンジを迎えたばかりのLSセダンに関しては十分なデータを収集できなかったため評価対象外となっている。)


トヨタ
タコマは昨年に続き駆動システムとトランスミッションに問題を抱え続けたため同社のモデルの中では最も信頼性が低いモデルとなった。リニューアルされたカムリは先代モデルよりも信頼性がわずかに下がったがそれでも平均以上を維持している。

一部のコンシューマーレポートの会員からは車内で音声認識によるウェブ検索などが可能なマルチメディアシステム「Toyota Entune」に関する不具合報告があり、また8速オートマチックトランスミッションのギアの切り替えにも普通ではない挙動が見受けられたとの報告があった。

これはトヨタのような信頼できるブランドでさえ自動車を再設計した際には不具合が起こりうることを示している。


マツダ
SUVのCX-9とオープン2シーターのマツダ・ロードスターにあった問題は解決されたがCX-3はクライメートコントロールの問題のために平均以下と評価された。


スバル
インプレッサはリニューアルされたばかりであったこともあり昨年は問題を抱えていたが今年は平均以上の信頼性になっている。今年リニューアルされたクロストレックは販売初年度のモデルとしては平均よりも非常に高い信頼性評価を受けている。スバルで唯一平均以下と評価されたのはトランスミッションに問題を抱えるWRXのみであった。


キア
ヒュンダイの傘下にあるため生産車種のほとんどがヒュンダイの同クラスの車種と主要部品を共有化しているキアだがSUVでもハイブリッドでもヒュンダイよりも高い信頼性を有していた。新型のスティンガーハッチバックの評価は平均的なものだったがCadenzaセダンは平均より遥かに悪く、オーナー達からはクライメートコントロールの温度自動調節センサーの不具合、エンジン冷却に関する不具合の報告が多く寄せられていた。


インフィニティ
Q50セダンとQX60 SUVの信頼性評価が平均にまで改善されたことで順位を上げた。


ヒュンダイ
SUVのTucsonの1.6リッターターボ4気筒エンジンと7速デュアルクラッチトランスミッションが主な原因となって不具合を起こしている。またハイブリッドのアイオニックも平均以下となりトランスミッションとエンジンに対する問題が指摘された。


ジェネシス
G80は平均以上の信頼性との評価を受けたがG90は車載エレクトロニクスに関する不具合が多く報告されたことで平均以下となった。


アキュラ
過去数年間にわたりアキュラは新型のオートマチックトランスミッションやインフォテイメントシステムを採用してきたためトラブルが頻発していたが現在はMDXを除きほとんどのモデルでそれらを解決した。


日産
リニューアルされた新型リーフとマキシマは平均以上の評価を受けた。一方でタイタンとヴァーサノートの2つのモデルが平均以下となり、特に後者はエンジンに関する問題が含まれていた。


ホンダ
オデッセイはインフォテインメントシステムやドアの施錠/開錠などで問題を抱え平均よりもかなり低い信頼性との評価を受けた。またCR-Vと新型アコードもインフォテインメントシステムや振動でインテリアの一部から異音が聞こえるなどの問題を抱え平均的にまで落ちた。燃料自動車のクラリティーも電気系に関する不具合報告が多く寄せられ平均よりもかなり低い信頼性との評価を受けるに至った。

アメリカ国内の自動車メーカー


フォード
アメリカ国内のブランドでは最も信頼性評価が高かったフォードだが、これまで信頼性が高いとされてきたフュージョンでは画面がフリーズするなどといったインフォテイメントシステムの不具合により平均以下に低下、またマスタングとエクスプローラーはクライメートコントロールとボディハードウェア(※)に問題があったため平均以下となった。

(ボディハードウェア:電動ウィンドウ、ドア、ドアのロック機能、トランクのドア、ミラー、シート調整機能、安全ベルト、サンルーフなどハードウェアでのトラブル )


ビュイック
リニューアルされたSUVのエンクレーヴが採用した新型9速トランスミッションに関連する問題の報告がオーナーから多数寄せられ平均よりも遥かに低い信頼性との評価を受けた。


リンカーン
コンチネンタルはリンカーンのラインナップの中で唯一平均よりも遥かに高い信頼性との評価を受けたがその他のラインナップはすべて平均を下回った。


ダッジ
フィアット・クライスラーグループの中ではダッジが最も信頼性が高かった。  チャージャーは平均以上に向上、グランド・キャラバンは平均となった一方でチャレンジャーはトランスミッションに問題があったため、またその他の2車種も複数の問題を抱えていたため平均以下となった。


ジープ
グランドチェロキーとレネゲードの信頼性は平均に向上、チェロキーとコンパスは平均以下だった。


シボレー
リニューアルされたトラバースはエンクレーブと同じトランスミッションとインフォテイメントスクリーンに関する不具合を抱え平均よりもはるかに低い信頼性となった。


クライスラー
 クライスラー300の信頼性は平均に向上したがパシフィカは平均以下に落ちた。画面がフリーズ/何も表示しなくなるといった不具合の他にナビやラジオでも問題が起き、またトランスミッションの制御をするトランスミッションコンピューターの不具合が低評価につながった。


GMC
GMCが展開する8車種のうち3車種は平均以上の信頼性との評価を受けたがSUVのアカディアなどではインフォテインメントや車載エレクトロニクスで問題を抱え平均より低い評価を受けた。


ラム
一つ前の世代の1500と2500は平均的な信頼性との評価だったがそれらに続く3500は平均以下となった。


テスラ
モデルSはサスペンションの問題やドアハンドルが隠れるようになっているギミックの不具合などで平均以下に落ちた。今年から販売開始されたモデル3は平均との評価だが、モデルXはガルウィングドアやセンターディスプレイ画面などで問題が多発し平均よりも遥かに悪い信頼性との評価になった。


キャデラック
GMの高級ブランドであるキャデラックは信頼性が平均以上となったのがXTSのみで苦境に立たされたいる。

ヨーロッパの自動車メーカー


アウディ
同社のモデルは全て平均以上の信頼性スコアを獲得しているが過去に比べると若干下降気味となっている。


BMW
リニューアルされたX3は冷却材の漏れを含むクライメートコントロールでの問題、および自動調整機能付きシートでの問題などから平均以下に、またX1もサスペンションの問題やステアリングホイールの振動、ブレーキの摩耗が著しく早いといった問題から平均以下にまで低下した。


ミニ
クーパーは平均に、カントリーマンも平均以上に向上。


ポルシェ
ドイツのパフォーマンスブランドであるポルシェは信頼性において各モデル間で非常に大きな差が生まれた。カイエンは最も信頼性の低いモデルであり、911は平均よりもはるかに信頼性が高かった。


フォルクスワーゲン
新型アトラスは特にクライメートコントロールでの不具合が顕著で平均よりもはるかに悪い信頼性との評価になった。ゴルフとリニューアルされたティグアンは平均だったがGTIは前回に続き平均以下だった。


メルセデスベンツ
Cクラスクーペとセダンは平均にまで改善、ただしGLCとEクラスは平均以下となった。Eクラスに関しては会員から車載エンターテイメントとエンジンに関する問題の報告が多数寄せられた。


ボルボ
XC60には クライメートコントロールや振動でインテリアの一部から異音が聞こえるなどの問題の他にインフォテイメント画面がフリーズするといった不具合の報告が会員から寄せられた。XC90でもインフォテインメントシステムの不具合報告が多数寄せられ、S90ではそれら以外にエンジンから異音がするといった不具合が起きていた。

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海外の反応

jalopnik、 reddit.comのコメント欄より: ソース ソース ソース


Black64 ボルボが最下位かよ!
昔はボルボって信頼性が高かったと思うんだが、どうしちゃったの?

StrawoftheMonkey ボルボは中国のコングロマリット『浙江吉利控股集団』の傘下の大手自動車メーカー『吉利汽車 』に買収されたからな、旧スウェーデンのボルボとは哲学を共有できていないんだろう。

吉利汽車は主に中国のマーケット、中国の消費者に焦点を当てていて中国の消費者は自動車の外観やブランドを信頼性よりも重視する傾向にある。我々が良い車を想像するとき信頼性の高さやどれだけ長く持つかを連想するが、中国では彼らなりの良い車の定義があるのさ。

zryn3 最近のボルボのエンジンはかなり複雑な造りになっている&何もかもをインフォテイメントスクリーンで操作するにもかかわらずプロセッサーの性能が求められるパワーに対して貧弱すぎる。ブレーキ関連でも複数のモデルで問題を起こしてた。

wes_andersoup まぁぶっちゃけ昔は信頼性が良かったなんて事実はない。

dolphs44 XC60に乗っているがインフォテイメントやその他エレクトロニクス系で問題が起きるのは確かだ。運転席のポジションを記録してくれるシートメモリー機能で誤作動が起きてシートとステアリングホイールとの間に挟まれて圧死しかけることが2回あったよ。

Aceswildfire 気の毒な話だがシートが君を殺そうとする様子を想像してなんか笑っちまったw

bontebyuntae 私のアコードはすでに空気圧モニタリングセンサーに問題が起きたしバックカメラのリコールも行われている。アンドロイド・オートが私のスマホを認識してくれないなんてこともある。そりゃ新モデルの初期ロットだからってのもあるんだろうけどホンダの信頼性を期待していただけに残念だわ。

ああ、それとマツダが一気にランクを9位も上げていたのには驚いた。

bontebyuntae 15/29位だから悪いって程じゃないが、トヨタと比べられていたホンダがこうなるとはねぇ。

zryn3 トップがレクサスとトヨタだからマツダは実質的に2位ってのにビビる。

SkyPL ちなみに私の国、ポーランドでの信頼性調査ではマツダ、メルセデスベンツ、キアがトップ3。オペル、フィアット、BMWがワースト3だったりする。

upsidedownfunnel 上位はほぼ日本が独占か...

ender89 毎年毎年トヨタ/レクサスが信頼性ランキングでトップとなることには何の驚きも覚えない。乗り始めた当初からすでに古かったカローラをさらに10年ほど乗り回したが全く問題は起きなかった。次もまた買うよ、例え退屈と人から言われようともね。

Wrench78 トヨタ/レクサスがワンツーフィニッシュを決めているのに、日産が14位でインフィニティが6位と差があることに違和感を覚える。

icemilkcoffee 今回の調査結果もそうだが最近の信頼性や品質評価で毎回アウディが上位に入っている、それが一番お驚きだ。信頼性っていったら日本の独壇場だがアウディがこれだけ品質を向上できているのだから他のメーカーにも可能性があるのではなかろうか?

V8-Turbo-Hybrid インフィニティの最も信頼性が高いモデルと最も信頼性が低いモデルが同じなのが笑えるw

EXLR8 Q50とQ60は別のモデルじゃないの?

tyfe Q60はQ50のクーペバージョンだからね。全く同じってわけではないがたぶん90%は同じ車だ。

skinny8446 Q50の評価が低いのはハイブリッドシステムが足を引っ張ったとかかね? Q60にはハイブリッドの選択肢がないし。

amazing2019 なんでテスラの信頼性はこんなにも低いのに人気があんのかね?

MexicanGuey なぜアウディやBMWのような車が人々に人気であるかと同じ理由だ、信頼性が高いわけではない、だがしかし楽しい車なのだ。

Somatikos アウディもBMWも信頼性ランキングで上位1/3に入っているのに何をぬけぬけとおっしゃいますかアンタは。

TemporaryEinstein テスラの信頼性が低い?
当然さ!
私がテスラのショールームに行った時なんか

・モデルS、2台中1台
・モデルX、2台中1台
・モデル3、3台中3台

に何らかの不具合があったからな。高額な車なのにインテリアが値段に対してチープな造りなのもがっかりしたわ。テスラが大好きだから買うつもりで見に行ったけど結局BMWにしたよ。

kayonetheus ダッジがシボレーより上なのは何でじゃ?

zryn3 GMの9T65 9速オートマトランスミッションに対するトラブル報告が多いからだってさ。シボレーを含む複数のブランド、複数のモデルで同様の不具合が起きている(ダッジはクライスラーのブランド)。

billywa アメ車、すべてのブランドが下位半分に入っている模様。

TheExplainer トランプが アメリカに輸入される車に最大25%の追加関税 をかけようとしているだろ?

すべての車がアメリカで製造されればこの差も少なくなるって寸法さ!

evilfacelessturtle (R.I.P Preston the Focus) 海外で製造される車の品質が高いのが悪い、不公平だ。
この自分たちの製品よりも高品質な製品の流入にアメリカの自動車産業は翻弄されておりそれは是正されなければならないのであーる。

ahre-fahrst-fahren USA USA USA

Serolf Divad 海外でアメリカの車が売れないのはそれらの国がアメリカにとって不公平な関税/非関税障壁を設けているからだとトランプ政権が主張しているが、この調査結果はその主張がどれだけ見当違いなのかを表しているな。

車を購入する際に最も気にするのはその車の信頼性だという人は多い。明らかに自国の車よりも信頼性の低いアメリカの車をいったい誰が欲しがるというのだ。

米国の自動車メーカーに自力で改善する余地がないなら、彼らを救う最善の方法は海外の競争相手に対する関税を引き上げそれにより国民に国内ブランド購入を強いればいいと、そんな短絡的な判断しかできない人間が大統領となっていることが今日のアメリカの不幸だ。

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