オーストラリアの公共放送局『ABC』より

日本語で教えるオーストラリアの公立小学校

The Australian school teaching in Japanese - 2018/08/22


子供 「誰ハリーポッターゲームある?」(※日本語)
(誰かハリーポッターのゲーム持ってる?)

- 1人を残し手を挙げる

子供 「絶対ありません」(※日本語)
(うちにはないよ)

イライザ 「どうして?」(※日本語)

子供 「でもなぜなら私の母さんでゲーム、iPadで...」(※日本語)
(でもお母さんの持ってるiPadでそのゲームはできる)

イライザ 「パールさん、私の家に行く、挑戦して」(※日本語)
(パール、私の家でやってみない?)

子供 「いいえ」(※日本語)



ジョン・ウェブスター校長 私の名前はジョン・ウェブスター、ここクイーンズランド州ブリスベン・にあるウェラーズヒル州立学校の校長を務めています。徹底的な調査の末にここで我々は2014年からバイリンガル・プログラムを開始しました。



イライザの母サラ・プレスコット 私の名前はサラ・プレスコット、この学校に通うイライザの母です。娘は2014年からバイリンガルプログラムに参加しています。



イライザ 「日本語話せるときは簡単と思う」(※日本語)
(日本語を話している時は簡単だと思う)

「でも新しいの言葉を勉強してるの時はちょっと難しい」(※日本語)
(でも新しい単語を学ぶのは難しかったりする)

「でもわかったら簡単です」(※日本語)
(でも一度理解してしまえば簡単)

ジョン・ウェブスター校長 バイリンガルの子どもたちはそうでない子供たちよりもより良い将来の展望、より良い健康転帰を持つことがあらゆる調査で示されています。 (健康転帰:疾病の予防や治療の結果として生じる健康状態)



ギラード・ツッカーマン (言語学者、日本名・佐藤幸永) 子供のころから一つ以上の言語を使いこなすネイティブバイリンガルになることにはさまざまな利点があります。例えばバイリンガルの人は1つの言語しか使えないモノリンガルの人よりも認知症になる時期が4.5年遅れるとされています。

また言語を聞き分ける能力に優れるネイティブバイリンガルは例えば近くで工事が行われてい場合聞こえてくる騒音などに気を散らされない、集中力を切らすことなく自分の仕事に集中できる傾向にあります。

仮にあなたが母国語として2つの言語を話すことができるネイティブバイリンガルとして育った場合、あなたは単一の言語しか話せない自分よりも賢い存在になれているということです。



ジョン・ウェブスター校長 ウェラーズヒル州立学校学校に通う子供の90%以上はここの1年生になるまで日本語を全く経験してこなかった子供たちです。



ナタリーの母クリスティーナ 私はクリスティーナです、うちの子供二人はウェラーズ・ヒルでバイリンガル・プログラムを受けています。大きい方の子である娘のナタリーはこのプログラムが始まった最初の年にウェラーズヒルに入学しました。

率直に言って少し怖かったです。もちろん期待感もありましたがやはり最初は不安でした、このプログラムが娘に何をもたらすのかをその段階ではほとんど予測することができなかったので。



子供をウェラーズ・ヒルに通わせる母Courtney Czechowski 私はここウェラーズ・ヒルに娘を通わせているCourtney Czechowskiです。昨年のちょうど今頃このプログラムを受け始めたのですが、娘は日本語の授業を気に入ったと言っていたものの英語を話す学校に通わせた方が良かったのではとも思いました。

ですが1年経った今、娘は好きな科目に日本語を挙げていますし日本語を学び話し練習することに熱心なのでそんな姿が見れて嬉しいですね。

ハシモト・タク先生 このクラスには日本語の先生と英語の先生の2人の先生がいます。彼らは半日ごとに交替します。



イシイ・トモ先生 私は日本語を担当しています。一緒にクラスを担当するもう一人はオーストラリアのカリキュラムを英語で教え、私は日本語の読み書き、数学、科学、地理を日本語で教えています。


ハシモト・タク先生 英語と日本語を子供たちは同時に学んでいくわけですが英語の授業で教える言葉の中にはいくつか、直接日本語で教えるわけにはいかない単語があったりします、日本語に直接翻訳するとその年齢の子供に適したレベルの単語ではないものになってしまう単語などですね。

ですので日本語の似たような言葉に言い直す必要があります、そんな二か国語を同時に教える難しさによく苦労しますね。



ジョン・ウェブスター校長 このプログラムを通じて発見した興味深いことの一つに日本の数学を教えることで英語の数学の理解力も向上したというものがあります。



イシイ・トモ先生 Soroban(ソロバン)はabacus(ソロバン)を指す日本語で私のクラスでは頻繁にこれを使います。子供たちの論理的な思考を育む助けになります。

例えば、565を5で割ったらいくらになるかと子供たちに問えば彼らは数秒で答えられるようになります。 オーストラリアの学校では数学に電卓を使うのが一般的、それも普通の電卓ではなく三角関数などを扱える電卓
イシイ・トモ先生 「願いましては、6円なり、1円なり、8円なり、4円なり、6円なり、2円なり、2円なり、9円なり、9円では。」(※日本語)

生徒 「最後のは9?」(※日本語)

イシイ・トモ先生 「はい、イライザさん」(※日本語)

イライザ 「47円です。」(※日本語)



イライザの母サラ・プレスコット 娘がこのプログラムに参加して1年半ほど経過しましたが今では自然に先生と日本語を話します。それは本当に驚くべき光景でした、自分も他の言語を学んできましたがその自分の経験とは対照的だったので。学び始めてから1年半ほどの自分を思い返すととてもではありませんが今の娘の日本語を使いこなすレベルには及びません。



ジョン・ウェブスター校長 プログラムを開始した2014年から4年経ちますが今では学校を歩くと所々で日本語が聞こえてきます。子供たちが英語で会話していたと思ったら日本人の先生が近づくとすぐに日本語に切り替える、そして私が日本語で会話する彼らに近づくとやはり自然に英語に切り替える、そんな光景がよく見られるようになりました。



カノン(日本人) 「私の名前はカノンです、今はイライザの家でホームステイをしています。」(※日本語)



(UNOらしきもので遊びながら)

イライザ 「あなたの番」(※日本語)

イライザ 「ふふ、速い。」(※日本語)

イライザ 「私、一番好きな乗り物はストームライダー(東京ディズニーシーにあったアトラクション)。」

(※日本語) カノン(日本人) 「ああ、水?」(※日本語)

イライザ 「そう、水のヤツ、高い」(※日本語)



イライザの母サラ・プレスコット 学校のイベントで2週間ほど日本を訪れました、基本的にはいくつかの都市を回り3日間日本の一般的な家庭にホームステイするという内容のものです。



イライザ 「ホームステイは凄く楽しかった。 なぜならたくさん面白い遊び物やった」(※日本語)

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ナタリーの母クリスティーナ 娘のナタリーは日本を訪れた時にホームステイをする機会に恵まれたのですがこのビデオでもわかるように娘を温かく迎い入れてくれたホストファミリーの方々と本当にの素晴らしい時間を、大切な思い出としてずっと残るような時間を過ごすことができたようです。

伝統的な日本の家に泊ってやはり伝統的なお風呂に入ったり、複数人で共用するベッドルームで布団で寝たり、畳の上に座って家族と一緒に食事を食べたり、それがどれだけ素晴らしい経験だったかを何度も繰り返して話していました。



ナタリー 「私のホームステイの家族は、お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さんと、弟だった。 私はホームステイでたくさんのおにぎりとカレーを食べました。」(※日本語)



ジョン・ウェブスター校長 これまでにも様々なことをしてきましたがバイリンガル・プログラムは私が学校に導入したことの中で最も素晴らしいことだったと思います。

なぜならこのプログラムを通して子供たちが、親御さんたちが喜ぶ様が見て取れるのですから。日本語を同時に教えることで生まれるプラスの効果は本来の英語での教育に最早欠かせない構成要素となっています。



子供をウェラーズ・ヒルに通わせる母Courtney Czechowski 別の文化や他の国を理解することが早い段階でできるという事は本当に喜ばしいことだと思います。



イライザの母サラ・プレスコット 子どもたちのカリキュラムにこのような文化的経験が埋め込まれていることは今日の世界情勢を鑑みた場合とても大きな価値があると思います。

それぞれの集団が対等な立場で扱われるべきという考えがより当たり前になっていくだろう世界でそのような経験は子供にとってとても貴重なものになるはずです。その経験、そこで培った価値観はきっと今後の人生に役立つと信じています。



ジョン・ウェブスター校長 ここウェラーズヒル州立学校のバイリンガル・プログラムはこれから先ずっと、それこそ退職してもその先でも子供たちの人生をより良いものに変えることでしょう。 それは素晴らしいことです。



ナタリー 「たぶんお仕事は日本じゃない だけどいっぱい日本に行く」(※日本語)



ナタリーの母クリスティーナ 学年度の半分を別の言語で学ぶことは簡単なことではないかもしれません、ですがもしそれができれば、きっとこれからどんなことだってできる子に育ってくれると思います。

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース


Jimmy Mann-Mellor 一方そのころ、7年も日本語を勉強している私はまともに日本語でしゃべることしかできないのでした。

Bluey Lps 同じく、単語がスッと出てこないので変な間ができてしまう。

Sienna Anderson 日本語を学び始めて4年だが酷いもんですよ...

tuna - 7年も勉強してまともにしゃべれねーってことはないだろ...

Misumi in Exile 英語を母国語とする外交官が日本語や他のアジアの言語を実務レベルで使えるようになるためには、言語を教えることに熟練した教師が付いても少なくとも2000時間以上かかると言われている。つまり7年で日本語を使えるようになるためには毎日45分勉強しなければならないということ。

slaiyfershin 成人でも4年くらい勉強すれば同程度の日本語レベルになれるだろうが、何より子供たちがあのオージージャパニーズ(Aussie Japanese)で互いに、"普通に" 意思疎通できている事に驚いた。まるで全く新しい言語のようだしオーストラリア人はもちろん日本人でも理解できないんじゃなかろうか?

Haruhi Suzumiya 私は普通に子供たちの話す日本語を理解できたぞ、だから新言語ってことはない。あれはどちらかと言えばオーストラリア英語の音の強弱や高い低いが影響した関西弁とも関東弁とも違うアクセントのある日本語、つまり方言だ。

robotword 日本語の新たな方言の誕生ですな。

Jone Cuntapay オーストラリア弁???

Tone E ブリスベン弁かな?

CyPHeR オーストラリアだと日本語は第二外国語の選択候補の中でもけっこう人気があるから私なんかはオーストラリア英語のアクセントの日本語は割と聞き馴染みがあったりするけどね。

619legend1233 私の子供の頃にもこのプログラムがあればなぁ、要はアニメを字幕なしで見れるってことだろ?

Amuthan Vethanayagam 3か国語喋れるけど全く同じこと考えた。

David Douglas Stuart 何かを始めるのに遅すぎるってことはないんやで?

Kmouse The Awesome 子供たちのアクセントはアレだけど大学で2年間日本語を学び続けてきた自分よりも遥かに流暢なのが凄い。たぶん自分の方が日本語の単語を知っているだろうし漢字だって私の方が書けるだろうけど... こうも短期間でものにできるもんなんだな。

slaiyfershin 時制だったり文法だったりで間違ってたりするから流暢とは違うかな。

g g このくらいの歳の子供に複雑な日本語の文法を理解させるのは難しいだろうから仕方がないっちゃ仕方がない。まぁ大人と違って間違いや完璧でないことを気にしたりしないんだろうな。単に他の言語で会話するという行為自体に楽しみを見出しているのかもしれない。

そもそもこの年齢だとまだ英語の文法を学ぶ時期だしここまで喋ることができているなら十分スゴイ、きっと彼らの日本語能力は年齢と共に向上するはずだよ。

Jem 羨ましい。学校の勉強で唯一興味を持ったのが第二外国語なんだけどまともに教えてもらえなかったからなぁ。

fyoukim12 アクセントが悪いだのなんだのと言ってる人が多いけどそういうのは年齢と共に洗練されていくものさ、日本語の基本構造や単語の理解とかの方が学び始めでは重要なわけだしそれがある程度できていることは素直に感心していいと思うぞ。

Bouncybon これは素晴らしい。この子たちはきっと日本とオーストラリアの友好の懸け橋になってくれるはずだ。

Hillary Clintub 人には言語発達の段階において自分の話す言語とそれ以外を明確に分け始める転換点というものがあるらしく、それ以降は他の言語を学ぶのが一気に難しくなるとか何かの本で読んだな。

Zack R とても良い新たな取り組みだと思う。バイリンガル教育が単に他の言語を扱えるようになるというだけでなく知性の向上にもつながるってんだから間違いなく彼らの将来にとって有益なものだ。

Howsie

"「パールさん、私の家に行く、挑戦して」
(パール、私の家でやってみない?)

「いいえ」"


子供の頃のトラウマが蘇ってくる。

Tom Parker 子供は残酷やで...

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