米国のニュース専門のチャンネル『CNN』より

北朝鮮のミサイル実験を軽視する一方で韓国に敵意を抱くトランプ

Trump sours on South Korea as he downplays North Korea missile tests - August 8, 2019



北朝鮮が2週間の間に4回もミサイル実験を実施したにもかかわらずドナルド・トランプ大統領は興味なさそうに肩をすくめるだけだった。

それどころか彼は朝鮮半島に対するフラストレーションを同盟国の韓国に向けている。

韓国は米国が提供する保護に対し "virtually nothing(事実上何も)" 支払っていない

トランプ大統領は水曜、自身のTwitterアカウントで韓国は米国が提供する保護に対し "virtually nothing(事実上何も)" 支払っていないと韓国政府を非難した。

その後トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し米国と韓国は「契約を結んだ」と述べ、今後韓国はこれまでを大幅に上回る額の在韓米軍経費を支払うことになると述べた。

トランプ政権が在韓米軍の駐留経費の負担増を韓国に迫り認めさせたのはこれで今年2度目となる。



米国の保守系新興放送局「ワン・アメリカ・ニュース」のキャスター - Jennifer Franco
北朝鮮がミサイル実験を実施してからいくばくも経っていない中、トランプは韓国は米国が提供する軍事的な防衛のために "より多くの金" を支払うことになると述べた。

大統領は韓国政府との良好な関係をアピールしているが、長年にわたって米韓関係は「非常に不公平」であると主張していた




‏ "We've been helping them for about 82 years and we get nothing, we get virtually nothing,"
(我々は韓国を約82年間助けてきたが我々は何も得ていない、実質的に何も支払わなれていない)

トランプはこのように "誤り" を含みつつ述べ、将来的に韓国にさらなる負担増を迫ることを示唆した。

"They've agreed to pay a lot more and they will agree to pay a lot more than that."
(韓国はこれまでよりも多く支払うことに合意したが、今後はさらに多く払ってもらう) ※太平洋戦争が終結したのは1945年で今から74年前

トランプは韓国よりもキム・ジョンウンに敬意を持っている

トランプはここ数カ月の間、韓国に対しこれまで以上に厳しい態度を見せていると我々の取材に対し2人の米国当局者は語った。

北朝鮮がミサイル実験を繰り返すなど攻撃的な姿勢を見せ始めているが、トランプ大統領は北朝鮮の挑発行為を抑制するのは韓国の役割と見なしており、韓国政府はその役割を十分に果たしていないとの認識を持っているという。

北朝鮮のミサイル実験を見逃す一方で韓国政府を批判し、韓国が米国の安全保障の傘の下にとどまりたければもっと金を払えと迫るトランプ政権の対応にアナリストらは米韓の間に楔を打ち込む(仲間割れさせる)ことを狙う北朝鮮の思惑通りに事態が進んでいるとの懸念を示している。

同時に、韓国に対するトランプの "取引" 的なアプローチは、米韓同盟という韓国だけでなく米国自身の利益につながる戦略的なパートナーシップにトランプがコミットする気があるのかという疑問を提起している。



「米韓同盟は朝鮮戦争の血にまみれた試練の中で形作られた」

米国の保守系シンクタンク『ヘリテージ財団』の上級研究員であるブルース・クリンナー氏はこう述べる。

「その変わることのないモットーは “Katchi kapshida(같이 갑시다)” 、つまり “we go together(我々は共にある)” であり "we go together, if we are paid enough(我々は共にある、十分な支払いが行われれば)" ではない」

クリンナー氏らはアジア地域における米国の国益を守るためには米軍の基地、アクセス、武力侵略を阻止するのに十分な駐留部隊、強力な後続戦力、韓国や他のアジアのパートナーとの強力な同盟関係が必要だと述べた。



「キム・ジョンウンは特に米韓同盟を弱体化させることに焦点を合わせている」

米国の新保守主義的なシンクタンク『The Foundation for Defense of Democracies(民主主義防衛財団)』の上級研究員であるデビッド・マックスウェル氏はこう述べる。

「キム・ジョンウンが取り組んでいる主要な戦略の1つが米韓同盟の打破だ」



同盟関係に対するトランプの評価/認識は「70年にわたって米国大統領が引き継いできた慣習を完全に崩すもの」であるとマサチューセッツ工科大学の政治学教授であるヴィピン・ナラン氏は語る。

「2019年は奇妙な年だ」

ナラン氏はこう語った。

「大統領は韓国よりもキム・ジョンウンに敬意を持っている...我々の正式な同盟国よりも」
「米国は韓国からほんの僅かな支払いしか受けてこなかった、そして今、我々は韓国の米国への支払いをさらに増やすための協議を始めた」

トランプ大統領は水曜にこうツイートした。

ドナルド・トランプ大統領公式Twitterアカウント
韓国は北朝鮮から自国を守るために米国により多くの金を支払うことに同意した。
(※韓国は今年2月に米軍駐留経費の負担増で米国と合意している)

過去数十年の間、米国は韓国からほんの僅かな支払いしか受けてこなかった、だが昨年、私ことトランプ大統領の要請で韓国は9億9000万ドルを支払った。

そして今、我々は韓国の米国への支払いをさらに増やすための協議を始めた。

韓国は極めて裕福な国であり、彼らは今、米国が提供する軍事的な防衛に貢献すべきとの義務を感じている。

両国の関係は非常に良いものとなっている!




ストックホルム国際平和研究所によると韓国はGDPの約2.6%を防衛支出に費やしており、その割合はほとんどのNATO同盟国のものよりも多い。なお米国は防衛に約3.2%のGDPを費やしている。

韓国はまた長年にわたって駐留米軍の経費の多くを負担してきた。

その上でさらなる負担を強いるトランプの行動は米韓同盟を弱体化させかねないと民主主義防衛財団のマックスウェル氏らは懸念を示す。

「トランプの同盟関係に対する態度、韓国に対するこれらの要求、同盟関係を傷つけかねない複数の悪材料が同時に襲う最悪の事態になりつつある」

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北朝鮮のミサイル実験は決して安保理決議違反ではない

トランプは北朝鮮に対する防衛の必要性に言及して韓国にさらなる負担増を求める一方で、韓国と日本に対し脅威をもたらす北朝鮮による最近のミサイル実験を "何でもないこと" として片付けている。

キム・ジョンウンが「格好の標的となる部隊にとって逃れようのない苦痛を引き起こす」と述べた7月30日の新型ミサイル発射の後、トランプは8月2日にこの北朝鮮の行動に関し「国連の安保理決議違反かもしれない」とツイートしつつ「彼が行った合意には違反していない」と続けた。

さらに現地時間火曜早朝に北朝鮮はこの2週間で4回目となるミサイル実験を実施、米韓合同軍事演習を始めた米国と韓国への警告である国営メディアを通じて述べた。

さらに北朝鮮外務省のスポークスマンは米韓合同軍事演習は南北や米朝間の合意の「重大な違反」であると述べ、米国が「敵対的な軍事緊張」を強めていると非難した。

マーク・エスパー国防長官の補佐官は水曜、「そのような挑発的な言葉の使用は何の役にも立たない」と述べながらも、キム・ジョンウン自身は「実務レベルの協議を再開させる約束をした」と述べた。

補佐官はまたトランプがそれらのミサイル実験に対し「これは決して違反ではない。我々は彼らの言葉に耳を傾けるが、彼らが同意したことを忠実に守るよう求める 」と述べたと発表した。



『ヘリテージ財団』のクリンナー氏はトランプが2018年6月にシンガポールでキム・ジョンウンと初めて会って以来、米国と同盟国が12の軍事演習をキャンセルし他の演習にも様々な制限を設けるなどした一方で、北朝鮮は独自の軍事演習に何の制限も設けなかったと指摘する。

トランプや他の米国当局者と同様にエスパー国防長官も北朝鮮のミサイル実験を軽視している、新型と見られる2発の短距離弾道ミサイルに対しても「過剰反応」しないと火曜に発表した。

翌日、北朝鮮のミサイル実験が「北朝鮮との議論のための環境に水を差したか」と記者に質問されたマイク・ポンペオ国務長官は「NO」と述べ、米国は「今後数週間以内に協議を行うことを計画している」と続けた。



米国とは対照的に英国は火曜、北朝鮮による複数の弾道ミサイル発射に対し「深く懸念している」と述べた。英国外務省のスポークスマンはミサイル実験は「国連安全保障理事会決議の明らかな違反であり、同地域の我々のパートナーと世界の安全に重大な脅威をもたらす」と述べた。

マサチューセッツ工科大学のナラン氏は今回北朝鮮が発射した新型ミサイルは「非常に印象的」であり、低空飛行や軌道の変更が可能な点、誘導能力、さらに固体燃料であることから迎撃が困難であると述べた。

「これは思いもよらないミサイル防衛にとっての悪夢に化ける可能性がある」

ナラン氏はこう指摘する。

「これを重要視しないということは北朝鮮がミサイル能力を向上させているという事実を直視しないということだ。それは同地域のミサイル防衛、米国のミサイル防衛にとって極めて重大な問題だ」

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海外の反応

twitter.comのコメント欄より: ソース , ソース , ソース


Cheryl Gage #IdiotInChiefTrump(最高位の馬鹿トランプ) のことだから東京に核が落とされても「キムのことだ、きっと事情があったのだろう」とか言うのだろうよ。

JOSH "北朝鮮が2週間の間に4回もミサイル実験を実施したにもかかわらずドナルド・トランプ大統領は興味なさそうに肩をすくめるだけだった"

そりゃそうだろう、北朝鮮の脅威も同盟国もトランプにとってはどうでもいいことなんだから。

Eric Hanke 韓国から用心棒代を取り立て理由にはなる程度には気にしているご様子。

Lensky もう米国は誰の味方なんだかわからなくなってきたな。

Ms. Beaverhausen ‏ いかにもトランプらしい。やるべきことは韓国にまかせて手柄は独り占め、そして失敗したら韓国が悪いと責め立てるわけだ。

Darlene ‏ どうかしている、この男はすべての同盟関係を台無しにする気か。

Actual__Wizard 同盟国をいびり、しかし敵国の傍若無人な行いには見て見ぬふり。相変わらずの天才っぷりに涙が出てくらぁ。

Evil Wilma Eighty...two...years.
SMH SMH:Shaking My Headの略語で頭を横に降っているため息をつく、あきれている状態を表す

ordcharlemont ‏ "韓国を約82年間助けてきたが"

大韓民国という国ができたのは1948年8月15日。
さすがは大統領、算数もお手の物ですな。

Trisha Cleary ‏ 算数って難しいからね!

Ben Borhart ‏ 第二次世界大戦が終結した年と勘違いしたわけでもなし、いったいどこからこの数字は出てきたんだ...?

Mike Billips ‏ 82年前っていうと1937年だから...日中戦争?
日本はこの時点で朝鮮半島を支配、後に米国は中国を支援し始めたが... 太平洋戦争へと繋がる日本への制裁にしろ韓国の独立にしろ1940年代の出来事だしどういう理屈だ?

Schenck ‏ 助けてきた?
我々は我々の都合で、朝鮮半島が共産圏に属してしまうのを避けるためにその一部を占領したのだ。何が助けてきただ。

Mockingbird 韓国を助けてきたが何も得ることはなかった、ね。だから今度は北朝鮮を助けるのかな?

aceoaces すまんな韓国よ、トランプにとっては君たちよりもロケットマンとの関係の方が重要なのだ。

Linda Williams ‏ トランプはマジで同盟というものを勘違いしていないか?

😱 😱 😱 😱 😱 😱 😱 😱 ‏ 韓国は普通に土地の利用代を米国に請求してもいいと思う。

Baz Nicholas ‏ 本当に見事に北朝鮮の手のひらの上で踊らされているなこの男は。

boomer golden ‏ トランプが自身をコントロールするよりもキムがコントロールした方が幾分かマシかもしれん。

Darlene9731 ‏ 北朝鮮の脅威は無くなったと吹聴しておきながら韓国に駐留費の負担増を認めさせるために北朝鮮の脅威を説くとはこれ如何に。

Real-Person ‏ トランプがアホであることを証明する発言がまた一つ追加されたか。

私はどうしてこんなにもたくさんの人たちが彼の...
もうなんと呼んだらいいのかもわからないが、たぶん "狂気" が一番近い言葉だろう、それを買っているのか理解できないよ。

Jon Farrington 米国の大統領が同盟国である韓国から金をゆすり取る一方で、同盟国だけでなく米国をも脅かす核を作り続けそのための運用システムを構築し続けているキム・ジョンウンを称賛している。これは狂気だ。

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