コミック・ブックに特化したカナダのニュースメディア『コミック・ブック・リソーシズ』より

2020年北米グラフィックノベルの売上が30%近く急増(マンガのおかげで)

Adult Graphic Novel Sales Jumped Nearly 30% in 2020 (Largely Thanks to Manga) - JAN 15, 2021

米国で日本のマンガが爆売れ、数字で見る米国のマンガ人気(海外の反応)

- 2020年のグラフィックノベルの売上が前年比で29.1%増加、その成長の80%をマンガの売上が占めた -



2020年北米グラフィックノベルの売上が2019年と比較して30%近く急増した。その理由は主に日本のマンガ人気だ。

アメリカの市場調査会社NPDグループの最新の報告によると2020年の北米グラフィックノベルの販売数は1,620万冊で2019年より29.1%増加。

中でも顕著だったのがマンガで2020年の北米でのマンガの売上は前年比で43.7%も増加した。

これはグラフィックノベルカテゴリの29.1%の成長のなんと80%がマンガの売上に起因していることを意味する。



2020年に最も売れた作品は英国のアーティストであるチャーリー・マケシーの作品「The Boy, The Mole, The Fox, and the Horse」だったがトップ10リストの大半を日本のマンガ、特に堀越耕平の「僕のヒーローアカデミア」が占めた。

トップ10リストのうち5つを「僕のヒーローアカデミア」の1~3巻と23~24巻が占め、吾峠幸治の「鬼滅の刃」の1巻と伊藤潤二の「うずまき」がそれぞれ5位と10位に入った。

2020年のグラフィックノベル売り上げトップ10は次のとおり:

1. The Boy, The Mole, The Fox, and the Horse - チャーリー・マケシー
2. 僕のヒーローアカデミア(1) - 堀越耕平
3. Strange Planet - ネイサン・W・パイル
4. 堀越耕平のマイヒーローアカデミア(2) - 堀越耕平
5. 鬼滅の刃(1) - 吾峠幸治
6. 僕のヒーローアカデミア(24) - 堀越耕平
7. 僕のヒーローアカデミア(3) - 堀越耕平
8. Stranger Planet - ネイサン・W・パイル
9. 僕のヒーローアカデミア(23) - 堀越耕平
10. うずまき - 伊藤潤二



コミックスとグラフィックノベルの違い:

アメリカン・コミックは一般的に「グラフィックノベル」と「コミックス」に分けられ、グラフィックノベルはコミックよりもシリアスで大人向けであり子供向けの作品群と区別するために「グラフィックノベル」または「アダルトグラフィックノベル」と呼ばれる。

これらの用語は厳密に定義することができておらず日本のマンガも業界によってはグラフィックノベルに含まれたり別物として扱われたりする。

また日本では「アメコミ=スーパーヒーローもの」という認識になっているがアメコミの売上の大半を占めているのは6~18歳向けの「kid-oriented(子供向け)/juvenile(少年向け)」作品でスーパーヒーローものは全体の10%以下、さらに近年は人気が下降傾向にある。

米国では日本のマンガは少年向けフィクションに次いで2番目に人気のジャンルになっている。



カテゴリ別・米国のコミック&グラフィックノベルのシェア
カテゴリ別・米国のコミック&グラフィックノベルのシェア シェア:
41% - 少年向けフィクション
28% - マンガ
10% - スーパーヒーローもの (非少年向け)
3% - 少年向けノンフィクション
3% - 10代後半向けフィクション
3% - ファンタジーもの (非少年向け)
2% - SFもの (非少年向け)
2% - その他一般 (非少年向け)
8% - 他

前年との比較:
少年向けフィクション - 前年比25.9%増
マンガ - 前年比20.1%増
スーパーヒーローもの - 前年比9.6%減
少年向けノンフィクション - 前年比24.4%増
10代後半向けフィクション - 前年比39.3%増
ファンタジーもの - 前年比18.9%増
SFもの - 前年比16.0%減
その他一般 - 前年比32.9%増
他 - 前年比6.0%増

2019年10月7日のICv2カンファレンスで米市場調査会社NPDグループが発表したデータより(ソース)
米国の出版業界情報誌『パブリッシャーズ・ウィークリー』より

アニメのストリーミング配信がマンガの売り上げを伸ばす

Streaming Anime Lifts Manga Sales - May 07, 2021

米国で日本のマンガが爆売れ、数字で見る米国のマンガ人気(海外の反応)

アメリカの市場調査会社NPDグループの最新の報告によるとマンガ人気は2021年も続いているようだ。2021年第1四半期の米国での印刷版マンガの販売数は2020年の同時期と比較して360万冊増加した。

「2020年はパンデミック下にあったにもかかわらずマンガの売上は過去最高の伸びを記録した。だが2021年はさらにとてつもない伸びを示している、このような数字は実際に見たことがない」

米国のコミック出版社で日本の出版社からライセンス供与を受けたマンガの英語版を刊行するセブンシーズ・エンターテインメントのセールスおよびマーケティング・マネージャーであるLianne Sentar氏はこう述べた。

同じく日本のマンガの英語版を刊行するViz MediaのKevinHamric氏はほぼ全ての出版社が同じようなマンガの好調な売上を報告していると語った。

「2020年のマンガの売上はパンデミックが発生する前は好調なスタートを切ったものの4月までに過去最低に急落、しかしそこから市場は急速に回復し右肩上がりになっている」

「2021年はこれまでをはるかに凌駕するペースで売上を伸ばしており、ここ数週間は2020年のホリデーシーズンよりも好調な数字を出している」
北米のポッカルチャーマガジン『ICv2』より

2021年4月のグラフィックノベル売上トップ20 - NPDグループ調べ

APRIL 2021 NPD BOOKSCAN - TOP 20 ADULT GRAPHIC NOVELS - May 7, 2021

米国で日本のマンガが爆売れ、数字で見る米国のマンガ人気(海外の反応)

- 私にはマンガをください!-


2021年4月の印刷版のグラフィックノベルのトップ20は全て日本のマンガが独占、米市場調査会社NPDグループが発表した4月4日から5月1日までのグラフィックノベルの売上がコチラ。

常に複数巻がランクインしていた「僕のヒーローアカデミア」だが今月は2巻と26~27巻の3つのみ。代わりに劇場版公開で注目が集まった「鬼滅の刃」が9つもランクインした。

米国で日本のマンガが爆売れ、数字で見る米国のマンガ人気(海外の反応)



北米のポッカルチャーマガジン『ICv2』より

2021年5月のグラフィックノベル売上トップ20 - NPDグループ調べ

MAY 2021 NPD BOOKSCAN - TOP 20 ADULT GRAPHIC NOVELS - June 4, 2021

米国で日本のマンガが爆売れ、数字で見る米国のマンガ人気(海外の反応)

- 今月もマンガがグラフィックノベルのランキングを独占 -


2か月連続で印刷版のグラフィックノベルのトップ20は全て日本のマンガが独占、米市場調査会社NPDグループが発表した5月2日から5月29日までのグラフィックノベルの売上がコチラ。

トップ20のうちの8つが「鬼滅の刃」に。これはアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が5月の第1週に興行収入で全米1位を獲ったことが間違いなくこの作品に関心を呼んだからだろう。

2021年5月のトップタイトルは「進撃の巨人」の第33巻だった。ここに来て人気が再浮上しているのはいよいよ完結が迫っているからだと思われる。

米国で日本のマンガが爆売れ、数字で見る米国のマンガ人気(海外の反応) "April 2021 (4/3/21 – 5/1/21)" と書かれているが "May 2021 (5/2/21-5/29/21)" の誤植

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海外の反応

9gag, reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース , ソース , ソース





「鬼滅の刃のマンガの販売部数、米国のコミック市場全体の販売数を超える」 2020年の鬼滅の刃の販売部数は8,234万部。2020年の米国のコミック市場全体の総販売数はまだ公開されていない。 ただしcomicbook.comによると2019年の総販売数は前年比120万冊減の8,320万冊だったため2020年は約8,200万冊と推定されるとのこと



「DCコミックスのアメコミ・スーパーヒロイン、スターファイヤーの同性愛者でゴスロリな娘が主人公のグラフィックノベルが登場、『I Am Not Starfire』についてもっと知ろう」



右)問題のグラフィックノベルの作者



「はぁそうですか、どうしてそんなことになったんでしょうね」







今どきアメコミなんて誰が買うんだみたいなことを言うと必ず「でもコミック全体の売上は伸びている」とか反論してくるのが笑える。コミック全体の売上にはマンガの売上が含まれていることに言及しないのはもちろん、マンガの売上がなければその "全体の売上" も悲惨なものになるのにね



この作品の問題は同性愛者であることでもゴスロリであることでもデブであることでもない。

想像力の欠片もない陳腐なストーリー、繊細さのないあまりにも雑なアートワーク、そしてキャラクターをしっかり構築することもなければ成長も描かない一方で、美徳シグナリングにだけは情熱を費やしている所だ。

virtue signaling/美徳シグナリング: 自分がウォークであることを周囲にアピールすること。自分の道徳の優秀さを周りの社会に知らせる行動。

woke/ウォーク: "目覚める" を意味する "wake" の過去・過去分詞形。最近では社会的不公正/人種差別/性差別などの問題に "目覚めた人"、"政治的に覚醒した人" といった意味合いで使われる。



マンガ家は物語を語ろうとする。だが欧米のコミックはアジェンダ(その人が広めたい自分が正しいと思っている思想)を売り込もうとしてくる。 アジェンダ:日本では「取り組むべき検討課題」や「行動計画」のように訳されているが「その人が広めたい自分が正しいと思っている思想」「重要だと思っている解決または達成したいこと」といった意味もある。



馬鹿げたアメリカのLGTBQプロパガンダはさておきだ。

今日のアメコミはこの業界から芸術性がいかに失われたかをよく表している。物語にしてもキャラクターにしてもアートにしても、彼らはただ既存のものにオリジナリティの欠片もないストーリーを混ぜて作っているだけ。キャラクターなんて実際の人間の写真をなぞって描いているようにさえ見える。

アメコミの全体的な品質がどうしようもなく落ちているんだよ、そこに秘められた思想やイデオロギーやアジェンダだけの問題じゃない。



日本:「キャラクターをできるだけ魅力的に、できるだけ深みのあるキャラにしよう」

アメリカ:「キャラクターをできるだけ醜く、できるだけ浅いキャラにしよう」



日本が存在してくれて本当に助かった、じゃなければ今頃この業界は "woke" なゴミだけの世界になっていたところだ



(画像は1989年からマーベルコミックに登場する若手ヒーローチーム『ニューウォーリアーズ』の最新版のヒーロー&ヒロイン。あまりにも批判が多かったため制作中止になった模様)



そんな、一体どうしてこんなことに...

ちなみにこちらは実際に去年マーベルコミックから出版されたものになります。この顔を見てよlmao(爆笑) !!!



アメコミを20年読んでいる私からしたらこのニュースには少しも驚かない。

アメコミの品質は大幅に低下した、一方の鬼滅の刃のようなマンガは期待をはるかに超える品質だ。



lalaford 「日本のマンガの方がよっぽど "多様性" に溢れているという。人種的な意味ではなくジャンルや発想的な意味でな」

arcoflight 「欧米のコミックに対して常々思ってきたことだけど、話は急ぎ過ぎてる割りには終わりが見えないし、悪役は常にリサイクルされるし、リブートされまくるしでキャラクターの死には何の意味もない。マンガにだって問題を全く感じないわけではないけどコミックスと比べたらメディアとしてはるかに優れている」



また最初から語り直すリセットや同じキャラを使って別展開を描くパラレルワールド、数え切れないほど繰り返されるそれらに私はもううんざりしている。キャラクターを実際に死なせるということがどうしてできないんだ?

死なせなくても彼/彼女の物語を終わらせて二度とそれに触れないということがどうしてできないのだ?

それでいて新しいキャラクターはただただくだらなくて "woke" っぷりが酷いとか。



私は別にアメコミ好きでもマンガ好きでもないが、兄弟が後者なので彼に時々マンガを何冊か買ってあげることがある。

どちらの世界もあまり知らない部外者の視点から見た場合マンガは本当に購入しやすい、なぜならわかりやすいからだ。マンガ本はコミックに比べて大きくて分厚いしそれぞれの作品がひとまとめになって棚に並んでいる。

どこにワンピースの98巻があって、どこに暗殺教室の27巻があるのかがすぐにわかる。各作品の第1巻にはカバーの所に推薦文や宣伝文句が書かれているからそれを見れば簡単にそれがどんな作品か理解することができる。

アメコミの場合は彼にプレゼントしたくてもどうやって買えばいいかわからない。もちろんレジの人間に聞けばわかるだろう、だが詳しい人間に尋ねなければ買えないなんてことがそもそもありえないだろ。

それとマンガのジャンルの多様性の豊かさにはいつも感銘を受ける。スーパーヒーローものしかないアメコミと違って。

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