HTV搭載導電性テザー実証実験 (ビデオの3分8秒くらいから実験のシュミレーション映像が見れます。)
以下Wired傘下のArs Technicaが今回のニュースを取り上げていたのでそれをご紹介します。
Japan’s fishing line experiment in space fails to make a catch
By Ars Technica2017年1月末に打ち上げられた宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機は ISSにクルー達が必要とする食糧、水、実験器具など総重量5トンの物資を 届けるミッションを無事成功させた後、ISSで発生した廃棄物を搭載し係留を解除した。 だが地球の大気圏に再突入し燃え尽きる前にもう一つのミッションが「こうのとり」には存在した、 スペースデブリを取り除くための革新的な技術実験に臨むことだ。
KITE (Kounotori Integrated Tether Experiment:導電性テザー実証実験)と呼ばれるこの実験では ISS離脱から大気圏再突入までの期間を利用し「こうのとり」から 20キロの重りを先端取り付けた長さ700メートルのテザーを軌道上で展開、 テザーに電流を流すことで重りに対しブレーキとなる力を発生させられるかを確かめる予定だった。
このテザーは釣り糸を製造している企業の協力を得て制作されておりアルミニウムとステンレス鋼でできていて、 電流を流すことで地球大気の上部の地磁場との干渉でテザーにローレンツ力という力を発生させることができるという。 将来的にはこのローレンツ力をスペースデブリが動く方向と逆向きに発生させることでスペースデブリの 軌道を飛ぶ速度を減速させ、地球の大気圏内に落とし燃え尽きさせようとしたのだ。
非常に低コストなことが利点で、また必要な電力も最小限で済むことから電力補給の必要もない。 10㎝以上のスペースデブリが約2万個あると言われているのでもし実現するのなら大いに役立ってくれるだろう。
ただ残念ながらテザーの展開は失敗し実験時間も短かったことから原因究明も難航しそうだ。 「こうのとり」は6日に大気圏に再突入し燃え尽きた。
海外の反応
ColdWetDog クールなアイデアだ、是非もう一度挑戦して欲しい。宇宙では何事も難しいから失敗は付き物だ。
Wheels Of Confusion 失敗したのはとても残念だ。スペースデブリを除去する方法としてはかなり有望なものだと思えるからな。
Coriolanus なんだろう、今日コーヒーを飲んでいないせいかな? 記事で書かれていることが良く理解できない。 伝導性のテザーは大気中のプラズマと相互作用することでテザーに電荷(電気を帯びた粒子)が流れるようになり、 その電荷がスペースデブリを引き付けるってことでいいのか? 良く分からなくなってきたぞ。
VillageCatDad テザー自身がプラズマから電子を収集し電流を発生させる、 それが地磁場との干渉で推進力を得ることになり衛星からスペースデブリを操作可能になる。 今回の実験では先端に付けた重りにその力が働くかをテストしていた。 スペースデブリと接続させるのは今後の実験で行われる。
Eric Berger ビンゴ! 君が正しい。
amarant 電気自体が推進力になると? そんなの可能なの?
Marc GP イオン推進とかあるでしょ。
Maury Markowitz
"ただ残念ながらテザーの展開は失敗し"
失敗したのも仕方ないね、今までテザーを宇宙空間で展開することに成功した事例はないし。
60年代のアジェナ標的機やジェミニ宇宙船以来100%の確立で失敗してる。
cpragman テザーを使った実験が失敗した数なんて数え切れないよな、それだけで記事が作れるよ。
Statistical 100%ってことはないぞ、wikipediaによると半分ぐらいは成功しているみたいだ。
Abraham42 なんでそんなに失敗が多いの?
SymmetricChaos 通常の重力の下では問題ないが微小重力下ではテザーを伸ばす力が働かない。 微妙な潮汐力だけでは不可能だ。
alastairmayer 3Dプリンタで使用されるような押出機構なら可能かもしれない。 フィラメントを溶融させたものを押し出すアレだ。
SymmetricChaos テザーの先端に小さなロケットを搭載するとかは? まぁ伸ばした状態を維持することができないか。
Fatesrider
問題は重力がないことで巻き取られているテザーを伸展させることが難しいからだ。
テザー先端に推進力を持った装置を搭載するとテザーが伸びきった後に衛星本体に
望ましくない運動量を与えることになる。
またテザーを伸ばした状態のままにすることも難しく今後の課題となっている。
テザーを振り子のように回転させることで安定させることができるかも知れないがやはり衛星本体に影響がでるだろう。
Edgar Allan Esquire 電気を流すことで伸縮する形状記憶型の素材も考えてみたがテザー自体が 電場や磁場を発生させているので意図しない結果を招くかもしれない。
HiggsForce それにテザー先端と衛星とが異なる軌道にいるので一方は他方より速く進んでしまう。 やはり回転させるしかないと思う。
redtomato そんなに宇宙空間にテザーを展開させるのが難しいなんて知らなかったよ。 でも考えてみれば他にも難しくさせている要素がありそうだ。 金属は真空状態ではくっついてしまうし、気温も超低温だから収縮してしまう。 ホント宇宙開発は難しいことだらけだ。
ZenBeam テザーは衛星からエネルギーを送ることで推進力を生むことができ、衛星の軌道を調整することが可能だ。 また衛星の軌道を下げることにより衛星にエネルギーを供給することもできる。
Statistical 今回の実験はスペースデブリ除去じゃなくて推進力を得られるかどうかの実証実験だ。 実際に除去できるようになるまではまだまだ時間がかかるだろうね。
Fatesrider JAXAのやろうとしたことは記事を読む限り実現可能そうな理論だ。 テザーが実際に展開していればうまくいったと思うよ。
markstewart なんか最近JAXAの失敗ばかりニュースになってないか? 英語圏に伝わってくる情報が限られているせいかも知れないが
Ryan B. 2009年に終了した月周回衛星は成功していたよ。 最近のはちょっとわからないな。
Shazbot 地上と地球低軌道を結ぶ軌道エレベーターが完成したら起こしてくれ。
ISSがある限り、補給船は何度も飛ぶ。チャンスはまだある。
返信削除こういう事は失敗しても気にするな
返信削除失敗から学んで次につなげればいい
駄目なことは一度の失敗であきらめてしまうこと
あちゃー失敗してたか
返信削除でもそうだな、補給のたびに実験して確立してほしいな
よく分からないけど紐が伸びなかったせいで失敗したのか?
返信削除次は軽トラのアンテナみたいに伸縮性の棒でやってみたらどうよ。
>>クールなアイデアだ、是非もう一度挑戦して欲しい。宇宙では何事も難しいから失敗は付き物だ。
返信削除まさにこれ!!
>>なんか最近JAXAの失敗ばかりニュースになってないか?
X線天文衛星ひとみの異常回転による故障分解・・・原因特定済みで代替機を2020年打ち上げ予定
SS-520による衛星軌道投入の初挑戦失敗・・・通信不良のみでロケット自体は正常に機能
こうのとりによるスペースデブリ除去実験失敗・・・主目的であるISSへの荷物搬入には影響なし
これはオマケみたいな物だから今回は失敗だったが次回以降のこうのとりの打ち上げのたびに実験をして実用化に結び付けてほしい