“NRC Commissioner visits Fukushima Dai-ich Site Emergency Response Center”2014 by Nuclear Regulatory Commission is licensed under CC BY 2.0

東日本大震災の津波から6年、福島の浄化作業が行き詰まる。

Dying robots and failing hope: Fukushima clean-up falters six years after tsunami by theguardian.com

ミッションのわずか5分の1程度しか達成できなかった、サソリ型ロボットをモニタリングしていたエンジニアたちは敗北を認めた。

2017年2月16日、損傷した福島第一原子力発電所の原子炉2号機の調査のために送られた放射能レベルを測定するカメラとセンサーを装備した60cm長の東芝製ロボットは、 6年前のメルトダウンによって溶融した燃料とみられる堆積物によって行動不能となった。

福島第一原子力発電所のオペレーターである東京電力は本来の目標である原子炉圧力容器真下の調査を諦め、溶融した燃料の正確な位置および状態を調べる別の偵察任務で少しでも失敗を解消しようと試みた。本来のミッションは失敗に終わったが、最終的に燃料残骸を除去する方法を決定するのに役立つ貴重な情報が得られたという。

10時間を予定していた探査の僅か2時間後に起こったサソリ型ロボットのトラブルは、福島第一原子力発電所の廃炉がいかに困難であるかを物語っている。過去に例のないこの問題に専門家たちは「状況は我々の理解を超えている」と述べている。


“原町区雫字東坊志, 福島県南相馬市でボランティア ” by Hajime NAKANO is licensed under CC BY 2.0 2011年3月11日の午後にマグニチュード9の地震と津波に襲われたことで起きた このチェルノブイリ以来世界最悪の原子力災害の浄化には30年から40年かかると予想されている。 通産相の最新の報告によるとその費用は21.5兆円(1890億ドル)と見積もられた。 原発事故による数万人の避難者の補償を含むこの数字は、3年前に発表された見積もりのほぼ2倍だ。 東日本大震災で起こった津波は約1万9000人の犠牲者を出し、福島第一原子力発電所周辺の住民16万人が退避した。6年後、当局によって安全とみなされた地域には少数しか戻ってこなかった。

ロボットは人間が立ち入ることが不可能な場所で貴重なデータを得るのに十分な時間を費やすことができるが常に目に見えない放射能によってダメージを受けている。今回のサソリ型ロボットは 原子炉圧力容器の下のレールに沿って移動、溶け出した燃料やその他の破片の塊でブロックされ行動不能に陥り操作ケーブルを切断して放棄されることとなったが、その直前に計測された放射線の線量計は福島第1原発2号機の格納容器内のレール上での放射レベルが1時間に250シーベルトであることを示していた。 (※毎日新聞によると最大毎時210シーベルト ソース

サソリ型ロボット以前の9日にリモートコントロールされたカメラを使用しての調査では ほぼ同じ場所、格納容器内の放射線量は1時間に650シーベルトで、その線量は1分以内に人間を命を奪うのに十分なものだった。

福島第1原発所長の内田俊志氏は 今回の調査で東電は溶融燃料の状態に関する「限られた」情報しか得ることが出来なかったと敗北を認めた。

これまでのところ、我々はロボットを使った実験がうまくいかなかったので格納容器内の状態を垣間見ることしかできなかった。しかし、現時点では別のアプローチは考えていない。」と彼は福島第1原発に取材に来たGuardianや他のメディアに答えた。

その一方で原子炉2号機よりも放射線レベルがさらに高い他の2つの原子炉の探査作業は始まったばかりだ。数週間後に小さな防水ロボットを原子炉1号機に送る計画があるが、より重大な損傷を受けた原子炉1号機には何の予定も入っていない。

東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの益田直宏氏は、溶けた燃料を取り除く方法を決める前に、別の探査機を派遣して欲しいと我々に語った。 調査が失敗したにもかかわらず東京電力は今年の夏に政府当局に相談した後、2021年に溶融燃料の抽出を開始すると主張している。

しかしグリーンピース・ドイツの上級原子力専門家であり日本を拠点として活動するShaun Burnie氏はこの廃炉スケジュールが「決して現実的ではなく、信頼できるものではない」と述べている。

「原子炉2号機は1号機と3号機に比べ解決のための技術的な難易度は低いと考えられていた。 だが原子炉2号機の最新の探査の失敗はそれが前例のない未知の領域であるという現実をよく表している」

未だにその場所や状態がはっきりと分かっていない大量の融解した核燃料を除去するための現行のスケジュールは安倍晋三首相と原子力産業界の考えた日程だ。その判断は現場を無視し正しい工学と科学に基づいていない。」とShaun Burnie氏は語る。

日本の原子力規制局議長の田中俊一氏も東京電力の廃止ロードマップに固執するという楽観論を共有していないようだ。「あのような楽観的な結論を出すのはまだ早い、現時点では我々はまだ暗闇の中にいるようなものだ。」と彼は語る。

「状況はコントロールできていない」‘The situation is not under control’

我々ガーディアンが5年前に初めて福島第一を訪問して以来、表面的には多くのことが変わってきたように見える。

当時は津波の残骸数多く残っていた。ホース、パイプ、建材が地面を覆い、高い放射線レベルの中で数千人の労働者が原子力災害の現場に秩序を持たせるために奮闘していた。

東日本大震災から6年後の今、原子炉建屋の損傷は修復、強化され、原子炉4号機の燃料棒貯蔵プールから1,300以上の使用済燃料棒が安全に除去された。地面には雨水浸透するのを防ぐための特殊コーティングが施されている。

福島第1原発に近づく前に放射線から身を守る防護具に着替えなければならなかった労働者は現在、原発のほとんどの地域で簡易な防護服と外科用マスクを着用している。数千人の契約社員を含む6,000人の労働者は、今は2015年にオープンした「休憩所」で暖かい食事を食べ、休憩を取ることができる。

だが海岸線から丘の上をさらに進むとスチール製のタンクの列が並んでおり、中には廃炉作業の大きな敵である汚染水が溜め込まれている。現在タンクには約90万トンの汚染水が貯蔵されており、その量はすぐに100万トンに達すると見込まれている。

東京電力は地下水が原子炉地下に進入するのを防ぐため、245億円のコストをかけて凍土遮水壁を建設したが完全に防ぎきることは出来なかった。

東京電力の広報担当である岡村雄一氏は、凍土遮水壁は30メートル下の深さまで土壌を凍結させているが、毎日150トンの地下水が原子炉地下に浸透していることを認めている。

原子炉建屋内の水位が急激に上昇するのを防ぐため、5つの区画が意図的に開かれているという。 「徐々に開かれた区画の壁を閉ざさなければならないと考えている。今年の4月までに流入する地下水を1日約100トンに抑え、2020年までに汚染された水をすべて排除したい。」と岡村氏は述べた。



廃炉の批評家たちは安倍晋三首相が2020年の東京オリンピックを招致する際に「状況はアンダーコントロール(統御)されています。」と述べたことを批判している。

元バブコック日立株式会社の原子力技術者であった田中光彦氏は、 安倍晋三首相や他の政府当局者が 原子炉の再始動に対する国民の支持を得ようと 廃炉の厳しさを意図的に軽視したと非難する。

「安倍首相は東京オリンピックを招致するために海外に行った時に福島の状況はアンダーコントロールされていと演説したが、日本国内に向けてそんな発言をしたことはなかった。この国に住む人々はそれが全くコントロールされていないということを知っていたからだ。」と田中は語る。 そして彼は最後にこう語った。 「安倍首相のような地位にいる人がそう何度も繰り返せば、それは真実として受け入れられるようになる。

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース

FuriousWombat 事実を冷静に評価することで結論に至ることができる。原子力エネルギーに頼ることを考え直すべきだ。

Moosetasticols 約2,000メガワットの発電能力を持つ原発の廃炉費用見積もりは1890億ドルだ。 大型2MW風力タービンの平均コストは3-4百万ドル、ここは400万ドルとして1890億ドルからこの値段を割ると47,250基、総発電容量94,500メガワットの風力タービンを作ることが出来る。 それは原子力発電所47,5基分に相当するだろう。

Gtardkgb Moosetasticols でも風力発電所は醜いんだよな。風力発電のプロペラは郊外の風景を台無しにしてる。

john doe Moosetasticols 原発の継続的に、毎日安定して信頼性の高い発電が可能である点を無視している。 それにバッテリー容量を考慮してコストを変更する必要があるよ。

nanite2000 風力発電、およびその他の再生可能エネルギーは必要な時に必要な量の電力を常に発電できるわけではないからね。 それに発電された電力を効果的に蓄える技術も存在していない。 あと47,500台の風力タービンをどこに設置するかって問題もあるし風力タービンを安定的に回せる場所なんて限られているからね。

Herman Prahran これこそがドイツが危険な原子力発電を段階的に廃止している理由だ。 後1つでも大きな原発事故が起きたら原子力発電業界は終了するだろう。

clevercountrymember HermanPrahran 申し訳ありませんが、千年に一度の最悪の巨大地震に襲われた原子力発電所の事故の結果、何人の人々が命を奪われたかを思い出させてください。確かその数字はゼロじゃありませんでしたっけ? 津波の結果として19,000人が亡くなってしまったが原発事故自体は誰の命も奪ってないですよ。

Herman Prahran 日本の国土の大部分が人の住まうことのできない地域になっていたかもしれなかったんだぞ。

johnny68 160,000人が住んでいた家を放棄せねばならなかった。それはヨークやポーツマス(イングランドの都市)の人口より少し少ないくらいだからその大きさが分かるだろ? それに放射能の影響は10年、20年、30年後に現れてくる。しかも廃炉作業はまだ始まったばかりだと言うじゃないか。

D8569LZ 福島第一原子力発電所を運営する東電によると2011年3月の震災の2年前に津波防御施設を改善する必要があると認識していたが、対策を講じなかったとか。まぁ驚く様な事じゃないね。

mrhodes D8569LZ 福島にあったのは第一世代の原子炉であり耐用年数の限界に近づいていたが、彼らはお金を使うのを避けるためにそれを使い続けていた。そしてそれは日本の原子力インフラの約半分が同じ状況だ... でもそれは世界の他の多く、特に米国も同様だ。

Mike5000 原子力発電というのは民間企業が数十年利益を上げ、腐敗した政治家が補償し、納税者が何万年もかかる廃棄物の保管費用と廃炉費用を支払うことだ。

pabloz 原子力エネルギーを安全と信じる人は、世界の技術大国でさえもこの大災害に対応できていないという事実ついてもっと学ぶべきだ。 安全上の懸念だけじゃない。政府の助成金なしでは原子力発電はこれまで利益を上げてこれなかった。また災害の補償や復旧に膨大な資金が必要だということもだ。

Malcontent1121 高レベルの放射線の中で活動できるロボットを送る技術を人間が持っていないということに驚きを隠せない。そんな状態でどうやって原子炉容器内に入ってメルトダウンした燃料を取り出すっていうんだ?しかも彼らはそれがどこであるかを知らないって...

sorencamusjames このような状況は人間が対処できる能力の限界を完全に超えている。 福島の原発を廃炉にすることに比べれば人を月に送ることなんて学校での理科の実験のように思える。コストの見積もり自体馬鹿げている。彼らはこれから何兆ドルもかけることになるはずだが、それでも失敗するだろう。

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