アメリカのテクノロジーブログ『Engadget』より

ポストモダンな日本食体験、日本の役立たずなガジェットの世界

Postmodern dining with the Japanese art of useless gadgets - 03.19.2018

日本には "chindogu(珍道具)" という言葉があることをご存じだろうか、これはは楽しくもくだらない酷いアイテムを指す日本語だ。コンセプト自体は天才的のような気もするが、それを形にした段階で色々と台無しになってしまっている、そんな珍発明品のことだ。

もしあなたが幼児用の上下一体型の衣服にモップを装着して赤ん坊に床を綺麗にしてもらおうという"ベビーフロアモップ" や 雨水を貯めるための逆さまになった傘 を見たことがあるなら、あなたはこの珍道具の世界をすでに垣間見ているということだ。



『Japanese inventions(日本の発明品)』と検索すると大抵こんなのが出てきます。


そして英国最大の寿司チェーンである『ヨー!スーシ(YO! Sushi)』は、この日本文化が持つ馬鹿げた一面を褒め称えようと一風変わったキャンペーンを開始した。私もこれに招かれたので行ってみた、そこでは、自分自身を辱める数々のゴミみたいなガジェットとそれを用いた試食が待ち構えていた。

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ヌードル・クーラー(麺冷やし機能付き箸)



まず出てきたのはお箸用のアクセサリーだ(なんとUSB充電が可能!)。手持ちサイズの電動扇風機が搭載されており2つのプロペラが穏やかで心地よい風を送ってくれる、これから自分が食べようとしている食べ物に...

個人的にこのガジェットのいかにも3Dプリントで作りましたといった感じのルックスは好みだ、90年代の頃に考えられた未来的な道具っぽさが良い感じに出ている。でだ、肝心のこの道具の目的は何だろう?

もちろん熱々の麺を冷まして食べやすくすることだ。だが問題は、突然その重さが3倍になった箸を扱うことは難しいということだ。 それと半分くらい食べたところでスープがぬるい温度になるくらい冷やされてしまう。

それは実に強烈で、まさに珍道具らしい一品であり、この "珍道具の世界を味わう食事会" に相応しいスタートである。


ヌードルスプラッシュ・ガード(麺のつゆの飛び跳ねを防ぐガード)



このプラスチック製の輪っかは、サラリーマンの白くパリッとしたシャツを綺麗にに保つための道具だ。ラーメンを食べるときにつゆが飛び跳ねることがよくあるがそれを防いでくれる、服に染みができると恥ずかしいがこの凹状の襟が食べる者の衣服を守ってくれるのだ。

だが待ってほしい、これを装着している時点でもうすでにそれ以上に恥ずかしい気持ちでいっぱいなのはどういうことだろう?

このガジェットの珍道具たるゆえん、役に立たなさ具合はそのガードできる範囲の狭さにある。確かに口元から飛び跳ねる雫は防いでくれるかもしれないが、麺を口に入れた時にまだ残っている、ぶら下がった状態の麺が落とす雫などはガードしきれないというなんとも中途半端な効果しかない。それとよくよく考えるとなぜこの道具は私の額までガードしているのだろう?


ワサビ・スティック



もはやどう反応していいのかわからない発明品が出てきた、要は"スティックのり"のワサビ版だ。考えようによっては便利なのかもしれない、寿司が乗った皿が運ばれてきたらこれをその皿の縁にこすりつけるだけでいいのだから。

また少しワサビを追加したいと思って箸でやろうとすると上手く均等に塗ることができなかったりするが、これだと目の前にあるサーモンの寿司にささっとこすりつければいい、箸よりも多少コントロールしやすい。

ただ明らかに再利用性において問題がある。正直に言って、他人が使用した後のこれは使いたくない。だが珍道具という観点から見ればこれは実にその精神にのっとっていると言えるだろう。珍道具愛好家たちが珍道具界の公式サイトと認めるchindogu.comの 珍道具10ヵ条 の第3条には『珍道具とは、道具は有用でなければならないという常識から解放されたものである』と書かれている。



ちなみにこのchindogu.comによれば珍道具とは基本的には問題解決のために生み出されるものであり、それが醸し出すユーモアはその問題を解決するにあたり複雑にしすぎたり奇抜すぎるアイデアを取り込んだりした結果生み出される副産物に過ぎず、最善を尽くして完成した瞬間に「そもそもこの問題を解決する必要があったのだろうか?」と自問してしまうようなほぼ全く役に立たない道具と定義している。


ナプキン・ハット



どうみてもトイレットペーパーだ。確かにオレンジ色でオシャレではある、だがやはりトイレットペーパーであることに変わりはない。

目の前に出されたカボチャと豚カツのカレーではナプキンとしていつでも使うことができるが、アレルギー性の鼻炎やお涙頂戴映画でも活躍してくれるだろう。

まさに珍道具の中の珍道具だ。頭に乗せているだけで紙が下りてくる、私の視界はほぼ常にこの紙で塞がれる。それと、これはヌードルスプラッシュ・ガードよりもはるかに恥ずかしい。




image by Luke Dyson for YO! Sushi / via chroniclelive.co.uk 『ヨー!スーシ(YO! Sushi)』はこれらの珍道具の適用できる範囲をよく理解している、のだろうか? よくわからないがとりあえずこのキャンペーンはロンドンの2つの支店とニューカッスルの別の1つ支店で3月の19日から25にかけて行なわれる。特定の料理を注文するとこれらの特定の「ガジェット」が提供される。残念ながらこれらの珍道具は持ち帰ることはできず購入することもできない。

だがそれは正しい行ないだ。珍道具10ヵ条第5条はこう言っている。
『珍道具とは売られるべきものではない、たとえ冗談であっても。それが売れるという事は、それが役に立つということなのだから。』

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