アメリカのニュースチャンネル『CNN』より

キムジョンウンは暴君だ、朝鮮半島の平和に向けた話し合いはそれを変えることはない

Kim Jong Un is a tyrant. Talk of peace in Korea doesn't change that - April 27, 2018

朝鮮半島を襲った核の脅威、それが無かったとしても今日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が手を携える姿は、終日かかった話し合いを経て敵対していた両国のリーダーが共同声明を発表した光景は、感情を刺激するのに十分だっただろう。

北と南、この二つの国は1945年に第二次世界大戦が終わった後に悲惨な内戦と国際紛争の舞台となり、過去70年の間に十分過ぎるほどの暴力と悲劇を経験してきた。

ゆえに北朝鮮と韓国が「今後朝鮮半島で戦争が起こることはない。新たな平和の時代が幕を開けた」と述べた時に、最終的に平和と朝鮮戦争を終結を目指す『板門店宣言』と名付けられた共同宣言を聞いた時に、楽観主義が心を支配してしまったとしても、安堵の気持ちに包まれてしまったとしても、それは自然なことだ。

板門店での声明や政策に関する約束事などのややこしい内容をすべて避け、キム・ジョンウンがどういった指導者なのかという事実を脇に置いた場合、この象徴的な瞬間を前にドナルド・トランプのような短絡的な考えを持ってしまっても仕方がないかもしれない。

朝鮮戦争が終わる! 米国とそこに住む偉大なる人々は、現在韓国で起きていることを非常に誇りに思うべきだ!

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それは歴史的な会談であり、楽観論が出てくるのも致し方無いことだ。しかし我々は朝鮮半島の平和構築のためには依然として解決すべき無数の問題が残っていることを無視してはならない。そしてそれは北朝鮮が依然として残虐な独裁国であるというものだけではない。



朝鮮戦争が勃発してから対話の糸口すら掴めない状況が続いていた韓国と北朝鮮は1972年に『南北共同声明』を発表、それ以来交渉を重ね数多くの合意がなされてきたが、今回の合意もそれらと大きく変わるものではない。  

1991年に両国は朝鮮戦争を終結に導く「平和体制」を共同で確立すると『南北基本合意書』で合意したが、そのわずか2年後に北朝鮮の核問題に対する衝突で終了した。

今回の新しい『板門店宣言』に記されているほとんどすべての詳細は過去に失敗した取り組みの焼き直しだ。離散家族の再会も、北朝鮮の "あいまいな" 核廃絶宣言も、両国の鉄道インフラをつなぐ約束も過去に合意されたものでありそこに実行性があるかは不透明だ。

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またキムジョンウン総書記とムンジェイン大統領が会談をした場所にあったテーブルは小さなテーブルだったが、それはこの首脳会談をソウルや平壌で開かれるような盛大なセレモニーよりもリーダー同士の親密な集まりにしたかったことを反映したものであり、両国の和解をよりアピールしたい両国の狙いがあった。

だが1953年から続く停戦協定を更新、変更、廃止するならばそのテーブルを大幅に大きくする必要がある、そこに米国と中国がいなければならないからだ。
ではロシアはどうするか? ソ連は停戦協定の当事国ではなく、ロシアは今回の『板門店宣言』へ向けた動きからも取り残されている。その一方でロシアは北朝鮮の対外関係において重要な役割を果たしておりこの国に大きな影響力を持っている。だが果たしてドナルド・トランプは核を含む朝鮮半島問題に関し、ウラジーミル・プーチン大統領の席がそのテーブルにあると主張するだろうか?

また日本に関してはもしトランプ政権が在韓米軍の撤退を気まぐれに決めようものなら、沖縄に駐留する米軍の重要性はさらに増し、その任務や拠点の拡大に対する圧が強まるだろう。そしてそれは常に敏感な問題となっている。

さらに米中の朝鮮半島に対する思惑には大きな隔たりがあるだけでなく、この半島国家には大国の力に依拠してきたがゆえに国内政治に干渉され続けてきた歴史があるため代理戦の舞台となる可能性もある。北朝鮮の今後に対する米中の考えのすり合わせが必要となってくるだろう。

まだある。今日の合意には南北の『市民団体』間のより多くの交流を求めているが、北朝鮮はその名にふさわしい独立した組織を持っているのだろうか? 現段階では首脳会談の具体的な内容や全体的な方向性についての情報がないが、それは朝鮮労働党を介した組織かそこに徹底的に言いなりとなっている組織、例えば金日成・金正日主義青年同盟 のようなものになるだろう。

そしてキムジョンウンは今回の会談で大衆イメージ作り替えたが、この男は依然として独裁者だ。北朝鮮の核問題が解決したところでこの国が圧政国家であることに変わりはない。国際社会はそれを許すのだろうか?

韓国政府は北朝鮮の悪名高い強制収容所や刑務所に関する広範な研究を行ってきたが結局のところそこには踏み込めないだろう。国内に存在する2万人近くの脱北者たちはそれを声高に非難するだろうが、それは朝鮮戦争を終結させるために払う代償としては小さいのかもしれない。だが脱北を望む人たちを支援してきた人々はすでに懸念の声を上げている。

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