金融・ビジネス情報サービス大手『ブルームバーグ』より

米国の新生児の約半数は婚外子、文化がシフトしていることを示す

Almost Half of U.S. Births Happen Outside Marriage, Signaling Cultural Shift - 2018/10/17

国連の報告書によれば婚姻を結んでいない親から生まれた婚外子の数は世界的に増加しているという。

国際連合人口基金が発表した最新の年次報告書によると1970年には10%だった米国の新生児に占める婚外子の割合は現在40%であり、欧州連合(EU)ではこの数字がさらに高い。



figure via bloomberg.com
婚外子の数はEU/米国で増え続けている
米国の新生児に占める婚外子の割合は現在40%

(日本は2015年時点で2.3%)
国連人口基金の経済および人口統計の上級顧問であるミヒャエル・ヘルマン(Michael Hermann)氏はインタビューの中で、特にEUに関しては加盟国の多くが有するジェンダーバランスのとれた保育を支援する福祉制度がこの数字に寄与していると語った。

具体的には充実した公的医療制度、有給の育児休業制度、早期教育プログラムや税制優遇措置などであり、未婚であっても仮に結婚した場合にパートナーから得られる支援以上の公的支援が約束されているのだ。

米国とEUのデータが示すこれらの割合は婚外子の親はシングルマザーであるよりもむしろ一緒に住んでいる未婚のカップルのほうが主であることを示していると報告書は述べている。



米国のNPO女性政策研究所(Institute for Women's Policy Research)のケリー・ジョーンズ所長はこれらのデータは結婚、出産、女性の労働に関する社会的/宗教的規範が変わったことを示唆していると語り、婚外子の増加は出産時期が遅くなって来ていることと密接に関連していると指摘した。

「近年女性の職業的地位は男性に近いものになってきている。女性が母親になる時期が遅れてきているのは出産が女性のキャリアに与える影響を考慮すると合理的な判断の結果であり、それがこの婚外子増加の傾向に寄与している。」

実際アメリカの女性の初出産時の平均年齢は現在27歳で1970年の22歳から上昇している。
伝統的な西洋における結婚観、結婚し子供を産むという人生の流れは変わりつつあるとコロンビア大学公衆衛生大学院の教授であるJohn Santelli氏は語る。

「結婚せずに同棲するカップルがやはり結婚する前に子供を産むというのは世界的で長期的な傾向です」

米国の結婚率は下がり続けており晩婚化も進んでいるため結婚せずに同棲するカップルの数は着実に増加し続けている。この変化は特に35歳未満のカップルに顕著な傾向であるが、結婚せずに同棲する同居カップルの増加はすべての年齢層にわたって見られる。

さらに結婚歴にかかわらず、より多くのカップルが生涯子供を持たないことを選択しており米疾病対策予防センター(CDC)によれば米国の出生率は過去30年間で過去最悪を記録している。



その一方で国連人口基金のヘルマン氏は婚外子の増加は出生率の低下を緩和することに貢献していると語る、仮に結婚する前に子供を産むという社会的変化が緩やかだった場合出生率の低下はより厳しいものになっていたはずであるとのことだ。

「この傾向は続くでしょう、そこに疑いはありません」と彼は語った。

「我々はもう(伝統的な西洋における結婚観が普遍的に存在した)50年代には戻れないのです。」

スポンサードリンク

海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース


invadrzim この記事を書いた人は肝心なものを見逃している、それは結婚式をあげるのにも子供を持つことにも共に大金がかかるってことだ。学生ローンに、高騰し続ける家賃に、高額な医療や保険に、その他色んなものに苦労している若い世代にゃ結婚して子供を持つ余裕なんざないのさ。

結婚しないで同居をしている人の言い分はこうだよ、「まぁいつかは結婚したいけど今はまだちょっと金銭的に余裕がないから...」

YeOldSaltPotato 結婚するだけなら申請書類を提出して州によって値段は違うが50~200ドルほど払えばできるけどな。

getswole717 結婚しないほうが政府からより多くの援助を受けることができるからな。

J0127 結婚したらWICの資格を失うからしないっていう人を実際に知ってるわ。
(WIC=Women, Infants, and Children:低所得の妊婦または育児中の女性、乳児、5歳以下の子どもの栄養を維持するための食品や牛乳などを提供する食料配給プログラム)

grammeofsoma 例えば妻の収入が貧困ライン以下だが夫の収入と合計した場合に福祉給付の対象にならない程度の額になってしまう状況だった場合、その家族が離婚を選び、だが一緒に住み続けるという選択をするのは不思議なことじゃない。そのほうが彼らの子供のためになるから :(

Challenger108 昔は結婚することに経済的なメリットがあった、そして何より人々は宗教上の理由で結婚し、それを当然とする社会に適応するために結婚していた。

だが今はずっと結婚しないでいても、子供を持たなくてもその人の人生は尊重される。それこそ結婚なんてものは余裕ができたらすればいいといった程度のものになっていて宗教や社会はもはや結婚の意思決定プロセスに全く介在しないものになっている。そういった意味では確かに結婚や出産に関する社会的/宗教的規範はだいぶ変わったと言えるだろう。

Humble_Errol_Flynn 今は結婚したら税制面でメリットがあるんじゃないの?

DidntGetYourJoke 税金での恩恵を受けられるのはほとんどの場合夫婦のどちらかだけが働いている世帯に限られるよ、共働きの世帯(今日の夫婦の大部分がこれにあたる)で収入に大きな差がない場合逆に結婚していないカップルよりも税金を多く取られる。

bicycle_mice 私が5年付き合っているパートナーとの結婚を延期した理由の1つがまさにそれ。結婚した場合私たちの総税負担は大幅に増加する。いつかは結婚すると思うけど毎年何千ドルも余分に税金を取られるってのは結婚生活の喜びの一部を差し引かれることにほかならんのだ。

ohmyashleyy うちも『Marriage Penalty(※)』のせいで結婚しないでいた方が税金が安くなる状態だったわ、 トランプが公約通りに減税案を通したんで変わったが。

Marriage Penalty:マリッジ・ペナルティー、結婚に対するペナルティ。

一般的に結婚に伴うカップルの税負担の変化のことを指す。結婚することで所得に適用される税率が独身時代よりも高くなり税負担が増えることをマリッジ・ペナルティー、その逆をマリッジ・ボーナスと呼ぶ(ペナルティーには結婚することでそれまで受けることができた福祉が受けれなくなることも含む)。

アメリカでは結婚することで節税が可能だが実際は夫婦の総所得や所得差で税負担が変化する仕組みになっている。一般的に中所得階層にはマリッジ・ボーナスが働き、低所得層・高所得層にはマリッジ・ペナルティーが働くと言われる。



アメリカの確定申告では以下の5つから身分を申告する必要がありそれぞれ適用される税率や基礎控除額などが変わってくる。

- 申告身分の種類 -

・独身 (Single)
扶養家族いない独身

・世帯主 (Head of Household)
扶養家族がいる独身、独身よりも税負担は軽い

・適格未亡人 (Qualifying Widow)
直近に配偶者を亡くした人

・夫婦合算 (Married Filing Jointly)
・夫婦個別 (Married Filing Separately)
結婚したカップルでどちらかを任意で選択可能。

一般的に『夫婦個別申告』に適用される税率表が最も高く、続いて『独身』、『世帯主』、『夫婦合算・適格未亡人』の順になっている。



夫婦個別申告は日本と同様に夫婦で別々に申告・納税するもの。

一方でアメリカでは夫婦合算での申告を選択することが認められておりその場合には低税率が適用され基礎控除額も高く設定されている。ただし両者の所得の合計が課税対象となるため所得が高ければ高いほど税率が引き上げられる累進課税の仕組みから共に一定額を稼ぐ共働きの夫婦の場合税負担が大きくなることがある。

また低所得層のカップルが結婚した場合も世帯所得が一定を超えると結婚するまでは満額で受け取ることができた勤労所得税額控除などの低所得層向けの給付や控除が減額されることから負担が大きくなることがある。



簡単にまとめるとカップルが結婚することで以下のようなことになりがち。

・働く夫+専業主婦=税負担が軽くなる(マリッジ・ボーナス)
・共働き=累進課税により税負担が重くなる(マリッジ・ペナルティー)
・低所得層=結婚するまでもらえた低所得層向け給付金/控除が減額し負担増(マリッジ・ペナルティー)

なおトランプ大統領が個人所得税に関する改正法を通したため現在は基礎控除額が増額されるなどして多少改善している。

Milnario 多くの人が "家族" を形成するが "結婚" しないという道を選んでいる。なぜか? それはもちろんマリッジ・ペナルティーが原因だ。

君のパートナーが何らかの理由、例えば子育てなんかで働くことができなかったり低い給与の仕事しかできなかった場合様々な支援を受けることができる、無料のヘルスケアなんかがその最たるものだ。

そんな状態でも彼女らと一緒に暮らすことは可能だ。法的に夫婦であると認められなくても子供は君のことをお父さんと呼んでくれる。パートナーに自分の車を使わせることもできるし自分の口座を使わせることもできる。教会で結婚式を挙げてもいい。

法的に結婚することはいつでもできる、それをする必要に迫られたとき、例えば相続などの問題ができたときにすればいい。もし人生をやり直すことができたら私は法的に結婚しなかっただろう、婚姻証明という紙切れのために毎週数百ドル余計な費用がかかっているからな。

法的に結婚することにはもはやインセンティブはなく人々はそれを理解しているんだよ。

PastelNihilism 私が結婚しないのはまさにそれが理由、ただでさえ病気の母を抱えているのに結婚しようものなら彼女のために毎月$714も払って今よりずっと糞な保険に入らなきゃならなくなる(アメリカの公的医療保険は低所得者、低障害者、高齢者向けのみ)。

cowheart アメリカの出産費用は$9000〜17000もする。だが母親が結婚していない場合は州の公的保険に入ることで負担を軽減することができる。私が知っている人で結婚する前に出産した人の大部分はそれを利用した、それが唯一金銭的に可能な方法だったからだ。赤ちゃんが生まれた後に結婚した人もいたな。

emeraldaer 妊娠した女性が全員州営保険に加入できるわけじゃないぞ、収入が貧困ラインより少しでも上なら加入できない。

cowheart 貧困ラインは申請者に状況によって変わる。通常は州の最低賃金よりわずか上が貧困ラインだが女性が妊娠していたり子供がいた場合はそれを考慮してくれる。うちの州だと妊娠中にメディケイド(米国の公的医療保険制度の一つ)を申請すると妊娠に関する医療負担分のみ給付を受けることができたりする。

Krytan 米国の新生児の約半数が婚外子とはいうがこれ絶対クラスによって割合が違うから。大学卒業者と高校を終了していない人、高所得者と低所得者でその数字は大きく変わるはず。文化の変化というよりも貧富の差による社会構造の変化によるものだよ。

el-toro-loco 高学歴高所得エリートは子供を作らず低学歴低所得は後先考えず子供を作る、その結果頭のいい人間は徐々に淘汰されバカだけが残るイディオクラシー(idiocracy/idiot【バカ】+democracy【民主主義】)の序章を我々は目にしているのだ。

Thugsassy 昔は結婚もせずに子供を産むなんて馬鹿な行いだって考える風潮があったのを覚えてる。今じゃそんな意見は全く耳にしなくなったな。

Over21FakeID 文化的変革が起きているのは間違いないがそれは決して良い変革ではない。

mercilessmilton 婚外子の増加が出生率の低下を緩和してくれているのかもしれないけどさ、伝統的価値観の崩壊を加速させるこの変化はむしろ社会の崩壊に向かうものだと思う。

BiznessCasual この変化の先にどんな未来が待っているかは恐ろしくもあり興味深くもある。

Also, lol@Japan.
(それと、日本には笑ったw)

c0ldphuz10n このグラフでの日本の存在感は異常。でも日本の方がより健全な社会である気がするよ。

スポンサードリンク

“Baby Faith” by Cary and Kacey Jordan is licensed under CC BY 2.0