アメリカ合衆国のビジネスや技術ニュースの専門ウェブサイト『Business Insider』より

F-35のデモチームのパイロットがこれまでに公開されてこなかった新しい、そして凄まじい動きを披露する様子がカメラに捉えられる

An F-35 demo team pilot was caught on video showing off some awesome new moves - Jan. 12, 2019

F-35A flight (cropped).jpg By U.S. Air Force photo by Master Sgt. Donald R. Allen - http://www.dvidshub.net/image/935698/aerial-refueling-f-35-lightning-ii-joint-strike-fighters-eglin-afb-fla#.UZyEMrVU8QY, パブリック・ドメイン, Link

2019年航空ショーに向けてアメリカ空軍はF-35A ライトニング IIのデモンストレーションを行うデモチームを昨年12月に発表した、そしてその新チームの デモパイロットであるアンドリュー・オルソン大尉(Capt. Andrew Olson/)がアリゾナ州フェニックスのルーク空軍基地でその航空ショー向けのテスト飛行を行っていると思われる様子が撮影され話題を呼んでいる。

2019年1月10日木曜日にインスタグラムでその様子を収めた4つの動画が公開されると瞬く間に注目が集まった。それらはユーザー名 "56th FW IG" によって最初に投稿されたが後に "@andyo_dojo"、件のデモパイロットのオルソン大尉が自身のアカウントでその動画を再投稿している("dojo" はアンドリュー・オルソン大尉に割り当てられたコールサイン)。


最初の動画でオルソン大尉は驚くべき一連の操縦制御っぷりを披露している。

垂直方向にピッチアップ(急激な機首上げ)したF-35はループを完成させるのだがその過程が凄い。ある時点ではF-35の機首が機体の進行方向と反対の方向を向き、またある時点では失速しまるで空中に浮かんでいるかのような挙動を見せつけている。

アメリカ空軍は2017年のパリ航空ショーで初めてF-35Aのデモンストレーションを行って以来デモ飛行を繰り返し行ってきたがそこで披露する曲技飛行の内容に制限をかけてきた、そして今回のそれはこれまでに見られなかった動きだ。

他の動画では高いAngle of Attack(迎角:主翼が受ける気流の角度)の状態のままでの飛行や失速ギリギリのスロースピード・パスなども披露している。



これらの動画はオルソン大尉を含む新しいF-35Aデモチームのデビュー飛行であり、2019年3月30日から31日にかけてフロリダ州のオーランド・メルボルン国際空港で行われるメルボルン航空ショーで披露されるプログラムの内容のヒントとなりそうだ。

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海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース


ParaFalcon What the fuck

randytc18 なにこれすごい。

Nominomicron SF映画とかのクライマックスで後ろから迫ってくる敵に対し、
「もうアレを試すしかない!」「そんなの無茶よ!」「見てろよ!」
みたいな会話の後に唯一勝機を見出せるクレイジーなスタントをする場面があるだろ?

まさにそれ。

ughilostmyusername 何か明らかに物理学の法則に反してるっぽい動きをしているんですけど...

CorybFeliciano スターフォックス 64でこの動きをしたことあるわ。

Ray こりゃまた凄まじい操縦だな...
航空機がこんなことできるとは思わなかったわ。

I_ARE_GRUNT 正直F-35の能力には懐疑的だったがここまでの飛行性能を持っていたとは驚きだ。

Corinthian あんな空中ドリフトがどうして可能なのだろう?

aether28 あれは飛んでいるのではない、スタイリッシュに落下しているのだ

That wasn’t flying! That was… falling with style.
(あんなの飛んだことにならないよ。あれは...スタイリッシュに落ちただけだ)

トイストーリーの終盤でバズ・ライトイヤーが空を飛ぶシーンより

spf57 というかそもそもこんな風にゆっくり動くことは不利にしかならないのでは? もちろん方向を変える能力が凄いってのは理解しているが、しかし遅いということはロックオンされやすくなるということでは?

ちなみにこの手のことに詳しくないんで、"無知" だの "これだから素人は" だのとフルボッコにするのはやめてださい。

ckfinite 君は正しい。これらの操作、挙動は実際の空対空戦闘では滅多に使用されない。

Fnhatic "滅多に" じゃねぇ、"絶対に使用されない" だ。

petaboil ドッグファイトの時代ならこういった曲芸にも意味があっただろうが、現代の空中戦は視認距離外からレーダー誘導AAM(空対空ミサイル)を使用して攻撃する視認距離外戦闘が全てだ。なので圧倒的に無意味。

CarnivalLaw 航空機史上最高のドッグファイト能力を有するも、それが使われることは決してないという皮肉。

sokratesz そもそも航空機での戦闘訓練の多くはいかに効率よく飛ぶか、燃料を無駄にせずに作戦を遂行するかに力を入れているからね、基本的にこの手の空中機動は(コブラ を始め)実戦で用いるものではないんだよ。

eeninety2 んだ。これらが通用するのはトップガンの世界の中だけの話さね。

ToXiC_Games これって単にF-35のVTOL(垂直離着陸)性能を示すためのパフォーマンスなんじゃないの?

ckfinite 動画の機体はF-35Aだ。
いわゆるSTOVL(短距離離陸垂直着陸)機能を有するのはF-35Bで、それが機体前方に持つ空気を下に送るための大きな「リフトファン」も スラスト・ベクタリングと呼ばれるメインエンジンに搭載された「推力偏向ノズル」もF-35Aには存在しない。

Fnhatic これらはF-35の安定性と飛行制御システムの性能を披露するパフォーマンスだな。もちろん空中戦闘機動ではない。

Wilky510 これと同じ動きをF-16やタイフーン、Su-27がすることは不可能だ。Su-35などの最新のフランカー(現ロシア連邦の戦闘機であるSu-27および系列機種のNATOコードネーム)、もしくはF-22なら可能だろうがいずれもジェットエンジンの噴流の向きをノズルで変え推力の向きを偏向させるスラスト・ベクタリングを有している。スラスト・ベクタリング無しで似たような動きをしているのを見たことがあるのはスーパーホーネットくらいだ。

MickG2 この動画のやつだな。ただ似たような動きではあるがこの動画のF-35のように高度を維持することができていない。

Rabidonut この機動性ならミサイルも避けられるんじゃ? 直前に迫ったところでこの動きをしたらさ。

Otroletravaladna 1発目は避けられるかもしれんがこんだけ失速してしまったら簡単に2発目の餌食になっちゃうだろうがな。

CahkShlap こういったアクロバット飛行に詳しくないんでこの "凄さ" がいまいちピンとこないんだが。

Aydrean 飛行機は翼の上面に沿って流れる気流が翼上方の圧力を低下させ、下方との間に圧力差を生むことによって揚力を生じさせている。そして翼の迎え角が大きくなりすぎると翼の抵抗が急増し、それに伴い翼の表面を流れていた気流が剥離、揚力をほとんど生みだせなくなる、その現象を失速あるいはストールと呼ぶ。

この動画のF-35の何が凄いかと言うとこれらの曲技飛行がそのストール中に行われているからだ。迎え角が大きい状態で、しかも極端な低速飛行、翼が本来の機能を果たせない状態でそれを行っているから凄いという話。普通はこんなものは自殺行為だ、だがこのF-35はきちんとコントロールできている、その安定性が極めて高いことを示しているということさ。

SoyMurcielago この動きはいわゆる "Flat spin" ってやつ?

NikkoJT "Flat spin" はストールした航空機が水平を保ちながらコマの様にスピンする現象だから違う。

Aydrean ストールしつつスピードも失った状態からのこの空中機動、何と呼んだものか...

WarthogOsl F-22が同じようなことをした時は "pedal turn" と呼ばれていたな。

markcocjin 空中「あれ、家のカギ閉めたっけ? いや待て... ちょっと戻... あ、閉めてたわ。ごめん、行こか」機動と呼ぼう。

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