アメリカ・フロリダ州の日刊紙『マイアミ・ヘラルド』より

仮想通貨業者CEOが顧客資産1.9億ドル分の仮想通貨を暗号化したまま死亡、パスワードを知る唯一の人間だったため仮想通貨出し入れが不可能に

Bitcoin investors may be out $190 million after the only guy with the password dies, firm says - FEBRUARY 04, 2019

死亡したクアドリガCXのCEO兼共同創設者であるジェラルド・コットン氏 - photo via foxnews.com
金庫室のロックの組み合わせを知る唯一の人が死亡したために銀行があなたの普通預金口座を凍結したと想像するとわかりやすいだろうか? カナダで仮想通貨交換業者を介し資産運用していた投資家はそんな困った立場に直面している。

デジタル通貨専門のニュースサイト『CoinDesk』によるとカナダのデジタル通貨交換業者『クアドリガCX』のCEOが昨年12月にインドで死亡したとのことだ、そして彼は同社が顧客のため保有する仮想通貨約1億9000万ドル相当の口座へのパスワードを持った唯一の人物だった

(※同紙では約1億9000万米ドルと書かれていましたが実際は約1億9000万カナダ・ドル(約159億円))
クアドリガCXのCEO兼共同創設者であるジェラルド・コットン氏は孤児院を設立するためにインドを訪れたていたが12月9日にクローン病(※)の合併症で死亡したと同社は1月14日にFacebookに書いている。
クローン病(指定難病96)
口腔(口からのどまでの空洞部分)から肛門までの全消化管の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患、厚生労働省より特定疾患に指定されている




CBC Newsが報じるところによると、ジェラルド・コットン氏の妻であるジェニファー・ロバートソン夫人は木曜にノバスコシア州最高裁判所に債権者保護の申し立てをした際に、同社はその暗号化された顧客資産の大部分にアクセスできない状態にあると述べたという。

1月31日に裁判所に提出された文書によれば同社は115,000人の投資家から預けられたビットコインを含む仮装通貨約1億9000万ドル相当をいわゆる「コールドウォレット」と呼ばれるオフライン管理に移しており、その出し入れのためのパスワードはコットン氏のみが知っていたという。さらにコットン氏はパスワード残しておらず、同氏のコンピューターは残されていたものの専門家でも暗号の解読はできなかったとのことだ。

また提出された文書は、失われた仮装通貨を回収する試みしている間は投資家からの訴訟から法的に保護されることを求めている。
コールドウォレット:
仮想通貨の「財布」の役割を果たすウォレットをオフラインの状態で管理すること。仮想通貨の取引はインターネット介して行われるが、コールドウォレットはネットワークに繋がっていないのでハッキングなどの不正アクセスの危険性を大幅に下げることができることからセキュリティレベルが最も高い保管方法とされている。
クアドリガCXの問題に対し投資家から不満の声が上がっているとCBCニュースは伝えている。アルバータ州カルガリーに住むElvis Cavalic氏はCBCの取材に対し 「我々は全く情報を知らされない状態に置かれている」と憤りを口にした。

「最悪の事態も覚悟しなければならないかもしれません」

CNN によると死亡したクアドリガCXのCEOは30歳。同社は約1億9000万カナダ・ドル相当の仮想通貨を引き出せない状況に陥っているだけではなく、返済すべき現金7000万カナダ・ドルも支払えない状況にあり、従来型の銀行から資金を調達することも困難だという。

スポンサードリンク

海外の反応

gizmodo.com, reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース


TMcFly 実はこのCEOは生きていて、新たな名前と身分を手に入れ高らかに笑っているのであった、なんて映画みたいなことになっていたりして。

handsomechandler いわゆるケイパー(泥棒・強盗)ムービーにありそうな展開だな。だが上手くいくのは第2幕まで、第3幕からは「なんでこんなことに!」な展開が待っているのだ。

AndrewLBailey 今ちょうどリーアム・ニーソンかマット・デイモンが犯人を追跡し始めたあたりやな。

scrawl 死を偽装する、なんて話は普通は一笑に付すが、仮装通貨の世界は怪しいことだらけなうえ管理体制があまりにもお粗末なだけにもしかして本当にと思わせるな。

ikarli インドならいくらでも偽装できそうだしな。

UberOmega 今頃南の島ですよ。

pedal-force 何百億ドルも顧客から資産を預かっておきながらこの事業継続計画ゼロっぷり... このCEOもこんなアホみたいな運営を許した会社もどうかしてる。

scrawl 本当にコレ。しかもこのCEOは慢性の持病持ちだったわけだろ? ジーザス...

armo_man 一人の人間にパスワードを預けるとか正気の沙汰じゃない。

SilverHoard 普通は万が一の事態に備えて秘密鍵を複数人が所有する "マルチシグ" という仕組みを採用して管理するのものだ。これはビットコインの取引を行う際に複数の署名がなければできなくする仕組みで、例えば5人中3人の署名が必要みたいにすることで秘密鍵を持つ人間に何かあっても対処できるようにする仕組みだ。これは基本中の基本だよ。 。

sold_snek これ今後もパスワードがわからなかったらこの160億円は使い物にならなくなるってこと? そんなんあり?!

NaabKing そういう仕組みですので。

bladerunner これってつまり金を動かそうと思ったら一々このCEOから許可を得なければならないってことだよな? そんなんで企業活動が成り立つのか?

BakaPenguin ウォレットとはつまり口座のようなものであり、セキュリティを高めるためにネットワークに繋がらない場所に置いたウォレットをコールドウォレット、そして取引のために常時ネットワークに接続された環境に置いたウォレットをホットウォレットと呼ぶ。

彼らは運用する分をホットウォレットに置きそれ以外はコールドウォレットで管理、そして必要に応じてホットウォレットに補充するといったことをしていたのだろう。それならばホットウォレットで利用可能な資金を超える取引が生じるといった事態にならない限り直接承認を必要としないはずだ。

Cultural_Bandicoot やべぇ... 皆が何を言っているのかわからねぇ...
さすがにそろそろブロックチェーンとは何かを学ばなきゃならんか...

almightySapling ビットコインに投資する人間はこれから学ぶべき、自分のビットコインが他人のウォレットに入っていた場合、それは他の誰かのビットコインなのだ。

pleem 決して仮想通貨取引業者を信用してはならないことを人はいつになったら学ぶのだろう、あとどれだけ同じような問題が起これば学ぶのだろう。

MajorBoogimos こんな嘘みたいな話があってたまるか! この会社ど素人の集まりかよ!

FormerFireJuggler "専門家でも暗号の解読はできなかったとのことだ"
“password” は試した?

Tyler2191 さすがにそんなパスなわけなかろう、 ‘o’ を ‘0’ に置き換えないなんて素人のやることさ。“passw0rd” ...これで完ぺき、ハッカーもビビるで!

Intactual とりあえず "guest" で試してみるべき。

Ps5Face Username (admin) password (admin)

DeZXu ちなみにこのクアドリガCXという会社はカナダで最大かつ最長のデジタル通貨取引所だ。カナダ人にとってはこの会社はデジタル通貨への最も簡単な入口でその取引量もこの国で最大規模だった。経営はしかりしていたしその歴史、規模から、そしておそらくカナダ企業という点も影響しただろうが、カナダ人が最も信頼するデジタル通貨取引所だったわけだ。

Kirkaiya 何千何万という顧客の資産を預かる企業が、その資金へのアクセスを一人の人間に限定し、かつその人間が死亡または何らかの理由により連絡が不可能になった場合に対する基本的な備えを怠っていた場合、それは犯罪的過失とでも言うべきではなかろうか。

スポンサードリンク