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なぜマーベル映画は日本市場を支配できないのか、その理由

A Theory Why Marvel Movies Don't Dominate Japan - 2019/05/30



先に行っておくとマーベル映画は日本でも成功している、人気だと言って差し支えない。

しかし『アベンジャーズ/エンドゲーム』が世界中で興行成績ランキング1位を記録する中、どういうわけか日本でだけは2位にとどまっていた、アニメの名探偵コナンシリーズ最新作がそれを上回ったのだ。



(5月第1週の地域別・週末興行収入ランキング1位)
アメリカのスーパーヒーロー映画の人気が日本では他の国ほど高くないのはなぜなのか?

どんな理由があるというのか?

映画ジャーナリストの宇野維正がそれに答えてくれた。



我々Kotaku.comはマーベル映画のファンでもある宇野維正になぜアメリカのスーパーヒーロー映画が日本では他の国のようにモンスターヒットしないのかと尋ねた。

彼曰く、アメリカのスーパーヒーロー映画の主な構成要素の一つは "その時代の社会で起こっていることの反映" であり、それらスーパーヒーローたちの物語は "現代の神話" 作りなのだという。

「当然のことながら、それらはギリシャ神話とシェイクスピアの影響を受けています」と宇野氏は続け、これらの作品のほとんどが "主人公が成長した大人である" と付け加えた。

しかし日本の場合、そんな悪と戦うようなヒーローは子供になりがちです

宇野はその例としてガンダムやドラゴンボール、名探偵コナン、エヴァンゲリオンなどを挙げた。
日本の成人した若い男性と女性のヒーローの数は本当に "unprecedented(前例がないレベル)" と宇野は付け加える。

「しかし日本人は長い間それを当然のことと考えてきました」

アメリカやヨーロッパの若者は早く成長して大人になりたいと思うものですが、日本の若者は永遠に子供でいたいと思っています

実際アメリカのスーパーヒーロー映画や子供向けのカートゥーンはその傾向を反映している。そしてこのギャップこそがアメリカと日本の映画ファンの間の趣味の違いを説明するのかもしれない。



しかしここで疑問が浮かぶ、その様な背景の中で日本とアメリカとで "ヒーロー像" の違いが生まれたと彼は説明しているわけだが、しかしスパイダーマンはどうなのだろう? 同作は日本でも大ヒットしているしスパイダーマンというキャラクターは強い人気を誇っている。

宇野氏によるとそれは主人公のピーター・パーカーがまだティーンエイジャーだからだという。

したがって、彼の主張によれば、スパイダーマンは日本の人々にとって、彼らの考えるヒーロー像の枠に収まることから受け入れやすかったということになるのだろう。

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース


Tom Bomb 「マーベル映画のヒーローは大人であり、日本で他の国のように成功しないのはそのためだ」

筋は通っている、が全てを説明するものではない気がする。

TRT-X ハリーポッターも日本では成功していたし、やっぱりそういうことなんかね?

cloudkitt この映画ジャーナリストの言っている通りだと思う。日本の作品を見ているとまるで15歳を超えたら人生が終わりだとでも言われているよう気分にさせられる。

Straw Hat どのアニメも高校生が主人公だしな。

WizarDru ルパン三世という作品があってだな。

ImmaLion 日本人にとって大人になるってことは集団主義的な日本社会の一員になるってことだからね。

ただアメリカのそれが善VS悪、世界を悪人から救う的な話になりがちな一方で日本のそれはもっとグレーな領域で物語が語られる。善か悪かはあいまいで道徳やイデオロギー、哲学を問う作品が多い。単純な戦いよりもそれらの概念的なものをめぐるドラマと探求の方に重点を置く傾向がある。

S1D 個人的には "語り口" の違いが大きいと思う。

日本はキャラクターにより焦点を合わせる。心の中の声を多用し、キャラクターがなぜそうするのかを示すフラッシュバックを頻繁に使う。時にはキャラクターが喋りすぎて不自然に思えることもあるが、しかしだからこそ私たちはそのキャラクターを理解していく。個人が内なる世界と外なる世界でもがく様を描いているのだ。

少なくともそれが私がアメリカのストーリーよりも日本のストーリーを大いに好む理由だ。一方が他方より優れているとは言っていない、どちらにも利点と欠点がある。私はたまたま片方がもう片方より好みだったという話さ。

S1D 一般的な日本人にとってキャプテン・アメリカやアイアンマンやハルクよりもコナンの方が単純に馴染みがあるというのも理由の一つだろうね、どちらを見たことがあるかと聞けばコナンと答える可能性の方がはるかに高いと思う。つまりエンドゲームよりもコナンの映画を見る可能性が高いということだ。そしてそれは日本には独自の、そして非常に広範にわたる漫画文化があるからに他ならない。

Ciaran 前提というか物事の見方が間違っている。

アベンジャーズなどのマーベル映画は世界中の人々が受け入れる傑作であり、それ故にその集大成であるエンドゲームを映画というメディアにおける最大のイベントであると見なさない日本は間違っている、という考え方が間違っている。

実際世界中でマーベルを始めとするアメリカンヒーローは人気なわけだが、それはそれらの作品が激しく売り込まれているからであり、その国独自のヒーローがそもそもいないか、いたとしても人気がなかったり現代的な映画化や漫画化をできていないため太刀打ちできないからだ。

いずれにせよアメリカンヒーロー作品の競争相手になるものが存在しないことが非常に大きい。しかし日本には日本のヒーロー市場がある。

そもそもヒーロー作品というものはあらゆる文化に通用するものではない、ヒーロー作品とは本質的に一個人あるいは一団体の主張を押し通す試みだからだ。

私はアルゼンチン人でマーベル映画をとても楽しんでいるが、登場人物が口にするヒロイズム/ヴィラニズムに冷めさせられることが何度もあった。

Jovian09 なぜ人々がこれにとても驚いているのか理解できない。日本にはとても強いコンテンツ力があるのだからこんなこともあるだろうさ。

Ashwath Nair "なぜマーベル映画は日本市場を支配できないのか"

そりゃ日本にはすでに日本のヒーローがいるからじゃろ。欧米のフィルターを通さず、日本人の感性をもっと反映したものがすでにあるというだけでは?

MegaBlastoise 日本人の映画ジャーナリストがなぜ日本人はアメリカ人が愛すようにアメリカのスーパーヒーローを愛さないのか説明したら、こいつは何もわかってないとアメリカ人が総ツッコミするという。

eighthgear 日本人がヒーローと聞いて真っ先に思い浮かぶ存在の一つであろう特撮ヒーローが基本的に大人であるという時点でこの男の主張が破綻しているからな。

ContinuumGuy 日本人とアメリカ人とでヒーローに望むものが違うのは確かだ。ただ日本人が望んでいるのは子供のヒーローじゃなくて、最近やたらとシリアスになりがちなマーベル作品の重いヒーローとは逆の、もっとライトなヒーローだと思う。

TadBravo まぁそれなりに説得力のある理屈だ。でも戦隊モノのヒーローは大人だし、ゴジラは間違っても高校生じゃない。

TadBravo 大学生の友達と大学生らしい生活をしていたことはあるけどな。

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