宇宙ニュースサイト『Space.com』より

日米が有人宇宙開発での協力拡大を表明

US and Japan to Cooperate on Return to the Moon - 2019/05/29

日米両政府は日本人宇宙飛行士を月に送る可能性も含めた宇宙分野での更なる協力に合意した。

5月27日に東京で開かれた安倍晋三首相との合同記者会見でドナルド・トランプ大統領は、大統領の訪日中の首脳会談の成果の1つとして "宇宙開発における協力" について言及した。

安倍首相と有人宇宙開発における日米間の協力を "劇的に拡大" することに合意できたことを私は嬉しく思う 」とトランプ大統領は述べた。

「日本はアメリカ人宇宙飛行士を宇宙に送るという我々のミッションに参加することになるだろう。我々は月に行くだろう。我々は遠くないうちに火星にも行くだろう。それはとてもエキサイティングなことだ」



その合意の具体的な内容については語られなかったが、国務省が5月27日に発表した概況報告書には両首脳が「月面および月周辺に人類が持続的に存在することの重要性について合意した」と書かれていた。

「国際宇宙ステーション(ISS)での経験を足場に、日本の宇宙飛行士は月や "その先" を目指すアメリカの宇宙飛行士と合流することに努めるだろう」と同報告書は続けている。
トランプ大統領の訪日中に日米間で何らかの協力協定が締結されることは事前に予想されていた。

ISSでも主要なパートナー関係にある日本はすでに、月面着陸を支援するためにNASAが月軌道に建設することを目指している月軌道プラットフォームゲートウェイ計画(※)へのモジュール開発での貢献を含む、NASAの新たな月探査/開発構想の参加に関心を示していた。


現在NASAは月の周回軌道上にゲートウェイと呼ばれる月面への玄関口となる宇宙ステーションの建設を計画している。 月軌道プラットフォームゲートウェイ(Wikipedia)




また2019年05月28日にNASAが公開したゲートウェイの開発とそれを含む月面開発計画に関する国際協力を紹介する動画の中で、 日本のJAXAの理事長である山川宏氏は「その試みのためにNASA​​と協力できることは大きな喜びです」と述べている。

アメリカ航空宇宙局管理者のジム・ブライデンスタイン氏は5月28日のツイートでトランプ大統領と安倍首相が発表した合意に「very excited(非常に興奮している/胸が高鳴っている)」と述べた。

アメリカ航空宇宙局管理者のジム・ブライデンスタイン

「アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプと日本の安倍首相が宇宙開発における両国間の協力を拡大することに合意したことをとても嬉しく思います。日本とJAXAは月へ、そして火星へと邁進する私たちの取り組みにおいて決定的に重要な意味を持つパートナーです」
今年3月にNASAがアポロ計画以来となる有人月面着陸計画を当初の2028年から2024年に前倒ししたことで、米国以外の国際的なパートナーの主な役割は第2段階、2024年の有人着陸が済んだ後の、月面および月周辺に人類が持続的に存在できる環境を構築することに焦点を当てた段階まで延期される見込みだ。

これにはゲートウェイのモジュール開発などが含まれ、その貢献度合に応じて2024年以降の着陸ミッションのメンバー枠が寄与国に割り当てられることになる。

NASAのHEOMD(有人探査部門)副部長ケネス・バウアーソックス氏はNASA諮問委員会の5月28日の会議で「 着陸日を2024年に早めたことで、国際的なパートナーを早期(第一段階)に組み入れることは難しくなった 」と認めている。

「我々はまだ国際的なパートナーとどう連携できるかを模索している段階にあるが、いずれにせよ彼らがこの計画に貢献する要素の多くは2024年以降にやってくるだろう」

しかしバウアーソックス氏はそう述べつつ、国際的なパートナーが彼らの貢献を加速することができるならば「 彼らの初期段階(第一段階)への参加を歓迎する 」と付け加えた。



今回の宇宙開発における日米間の合意を歓迎しているのはNASAだけではない。民間月面着陸船の開発を行っている日本の航空宇宙企業ispaceはその一つだ。

NASAがペイロード(荷物)を月へ輸送する商業サービスを民間企業などから公募したプログラム「Commercial Lunar Payload Services(商業月面輸送サービス:CLPS)」で採択された9企業の一つに米Draper研究所があり、これが主体となったチームにispaceは参加している。日本のispaceは月着陸船の設計やミッション運用などを担当する計画だ。



ispaceの創設者兼最高経営責任者である袴田武史氏は業界紙spacenewsに向けた声明の中でこう語っている。

「日米が月探査に重点的に取り組むことで、宇宙探査における強い繋がりをさらに深めようとしていることを知り興奮しています」。

「私たちのアメリカのパートナーであるDraper研究所と共に、ispaceは月面探査に協力する準備が十分にできており、日米間のこの新しい試みを心から支持します」

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海外の反応

reddit.comのコメント欄より: ソース


dierubikdie Holy shit!
まるで宇宙兄弟のプロローグみたいな展開になってきたなおい!

brothertaddeus 私も真っ先にそれを思い浮かべたわ。

denshi アニメで観た世界が現実に。

Suraidu 火星にゴキブリを送るのだけは勘弁な。

Moneypoww ついに月面開発の黎明期に突入か?
いいね、この手の話は大好物だ!

theorial 補給にしろ訓練にしろ火星への有人探査を目標に掲げている以上どうしたって月面開発は必要になる、正しい動きだと思うよ。

belltype アナハイム・エレクトロニクスの拠点が置かれる日が待ちきれませんな。

Vexans27 月面基地を作るだの火星に人類を送るだの景気のいいことばかり言うけどさ、発表はもういいからさっさと行動に移してくれよ。なんか10年以上前から同じような話を聞いている気がするぞ。

Alcsaar 月や火星へのミッションの計画と準備には長い時間がかかる、特に人間を送るとなるとどうしてもね。

Vexans27 とはいえ60年代にはたった8年でそれができていたからいざ口火が切られたら割とポンポン進みそうな気がしなくもない。

SirSaltie 60年代はアホみたいな規模の予算を組めたから、な気がしなくもないがな。

filmerjunkie ようやくだな。技術が進歩したのに有人宇宙探査の分野はまったく進歩がなかっただけにこれから先が楽しみだ。

DS 日本は何十年もの間NASAにとって最良のパートナーであった、しかも一向に日本語を覚えようとしない我々に非常に辛抱強く耐えてくれている。素晴らしいニュースだ。

anonymau5 より緊密なパートナーシップを構築する上で日本より良い相手なんていないしね。それがどんなものをもたらしてくれるのか、見るのが待ちきれないよ!

GrevSev Came to say this(それを言うためにここに来た)
月関連に限らず宇宙分野での日米協力は拡大する必要がある。今後日本の関与がとても重要になってくるだろうね。

Adeno 宇宙服を日本人がデザイン/開発したらどうなるのか想像するだけでも楽しいっす。

jtyme10 日本がこっそりロケットに変形機能を追加することを期待してならない。

Grande_Latte_Enema どこでもいいんでガンダム関連の名前を付けてくれ。

VanceXentan もちろんアメリカの宇宙探査/開発のパートナー候補としてはイギリスやらドイツやらあったんだろうけど、それが日本になったのは単純にクールだ。

Liburatus 私もこの宇宙開発競争が激化する中での日米協力を歓迎する。共に宇宙分野に関心が高いのもそうだが互いが互いを補える技術を持っているしね。

Xykhir_ 素晴らしいニュースだよ、 NASAはその実績、計画に対して政府から十分な予算をもらえてないから... 日本との協力は色んなプロセスを加速させる助けになるはずさ。

skeach101 新作ガンダムシリーズのオープニングかな?

Flomerboy リベラルだけど今回ばかりはトランプが良い仕事をしたと認めざるを得ない。

CaptainMagnets 国民の気持ちに沿ってくれるアメリカの行政機関はNASAだけやで...

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