ギズモードやライフハッカーなどを抱えるアメリカのオンラインメディア企業ゴーカー・メディア傘下の自動車情報サイト『Jalopnik』より

日産、稼ぎ頭だった米国事業が気付けば問題児に

Nissan's U.S. Operation Has Become a 'Major Problem Child' - 2019/05/20



カルロス・ゴーン元会長が会計上の不正行為の容疑で逮捕された事件とその事後処理で日産自動車は大きく揺れているがそれ以外にも問題を抱えていることが明らかになった。

日産は過去10年間、米国での市場シェアを拡大させることにかなりの重点を置いてきた。同社はそれを主にインセンティブの引き上げとレンタカー車両販売に焦点を当てることで達成してきた。

しかしゼネラルモーターズや他のアメリカの自動車メーカーがその失敗を経て学んだように、値引きなどのインセンティブに頼った売り方はシェアを上昇させる一方で収益の足を引っ張ることから企業の販売戦略としては決して望ましいものではない。

そしてまさにその二の舞になっているのが今の日産自動車だ。日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は販売の質/収益性の立て直しの必要性をブルームバーグに語っている。

インセンティブ:
自動車メーカーが自動車ディーラーに対して支払う販売奨励金でディーラーはこれを原資に顧客の値引き要請に対応する。日産自動車は米国市場で日本勢としては最も多額の販売奨励金をつぎ込んでいる。値引きを前提としているため収益率は押し下げられる。

レンタカー車両販売:
日産自動車は米国での市場シェアを10%にすることを目標に設定、大量注文が見込める商用車事業に力を入れていた。顧客は大量注文をすることで割引をしてもらうことを期待するので同じく収益率は押し下げられる。

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米国はかつて日産自動車にとって最大の利益源であり同車の世界各地での投資拡大計画を後押ししていた。しかし今、米国事業は "巨大な問題児" になっておりすでに解決すべき問題を多く抱えている西川広人CEOは苦難の時を迎えている。

日産自動車の2019年3月期の決算は売上高が前年比3.2%減の11兆5742億円、営業利益は44.6%減の3182億円となり営業利益が親会社であるルノーを下回った。

特に米国事業の落ち込みが顕著で2019年3月期の北米販売台数は189万7000台と前期比で9.3%も急落、米国での利益率は1.2%にまで落ち込んだ。2020年3月期はさらに業績が落ち込む見込みで株価は2012年12月以来の安値を記録した。

「米国事業を軌道に戻す必要がある」

日産の収益が過去10年間で最悪を記録した事を受け西川広人CEOはそう語った。

「日産は過剰な生産能力と不採算事業を抱えており、それが大きな負担となっている」
日産に限らず世界の自動車メーカーは好調だった北米市場におんぶにだっこという状況だったが、同地域の新車販売台数が落ち込み始めたことでほぼすべての自動車メーカーが厳しい時期に突入すると予測している。

特に日産はクラスをリードするような商品を開発するのではなく値引きに頼って販売数を伸ばしてきただけに苦労することになりそうだ。

また日産はモデルチェンジの間隔を伸ばすことで開発費を抑えてきたためそのラインナップに古さが目立ってもいる。


日産の利益率よりもシェアを優先した戦略についてブルームバーグは以下のように続けている。



日産自動車の米国事業での不振は販売奨励金に頼り1台当たり利益を減らしても台数増でカバーする利益率を犠牲にした規模拡大戦略に起因する。

日産は2011年に発表した販売増を追究する中期経営計画「日産パワー88」の下で2017年までに世界シェアを8%に拡大することを目標にしてきた。

同社は米国市場に正式な目標を設定してこなかったが幹部らは10%を目指していたことを明らかにしている。

日産は2017年にこの目標を達成したが、それはインセンティブの引き上げとレンタカー会社への商用車販売によって実現したものだった。




インセンティブと商用車販売に力を入れることである程度の効果が得られるのは確かだ、しかしそれらが生み出す効果に限界があるのもまた確かである。

もしかしたら、カルロス・ゴーンは我々が思っていたような天才ではなかったのかもしれない。

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海外の反応

jalopnik.comのコメント欄より: ソース


ArrestMeRed 日産が新しくて、面白くて、そして努力すれば手に入れることのできる車を作っていた時代は過去のものになってしまった。

10年ほど前にGT-Rが登場したとき、それは確かに素晴らしい車だったが "頑張ってお金を貯めたら手に入る" 車ではなくなっていた。

350Zと370Z(フェアレディZ Z33/Z34型)は一般庶民でも購入できるが面白さ/運転する楽しさという点ではそれほど高く評価できるものではない。

フロンティアは2005年当時は素晴らしいピックアップトラックだったが未だにマイナーチェンジで生き長らえさせている。

昔は楽しかったマキシマも今は見る影もない。

SoManyBlueCars 私は350Zを所有していたけどあれを運転するのが大好きだったぞ、後にBMW M3 E92型に乗り換えたけどそれよりも優れている点がいくつもあった。ただ350Zのルックスだけは好きになれなかった。それでも買ったのは2000年代はアメリカのマッスルカーと前輪駆動車を除くと手ごろな価格のスポーツカーが350Zくらいしかなかったからだ。

Richard Dawson's Ghost 70s, 80s, そして90s初期のZは良かった。今のZ(フェアレディZ)は見た目が好きになれない。

AdamVIP Zやフロンティアはいい加減フルモデルチェンジしろよと思う。それと今のマキシマのドライビングが酷いってのは同意。

1995droptopz 何週間か前にフロンティアをレンタルしたんだけど、悪くはないが他の競合するピックアップトラックと比べるとどうしても時代遅れな感じがしたな。

Silas Von Dookiebird 日産がレンタカー向けの販売に注力したのは大きな間違いだった。

日産・セントラとアルティマをレンタルしたんだがあの "退屈さ" はちょっと異常だった。他の日産車に試乗する気さえ失せてしまうくらいに。今後新車が出たとしても試乗する価値はないと確信させられるくらいに。

Gnomadd 同意。一度日産車をレンタルして運転してみるといい、いったい誰が日産のディーラーに行って自分の金で新車を買うだろうと疑問に思うはずだ。

slapya 何年か前にアルティマをレンタルしたんだけど今でもあの車は家族の間で物笑いの種になっているわ。確かにあれを運転した後誰が日産ディーラーに行くだろうと思ってしまう。

SlowAssGolf キアやヒュンダイの車をレンタルした時の感想がまさにそれだ。過去数年で何度かそれらをレンタルしたんだが、そのたびに一体誰がこの車を新車で買うというのだと思った。

Slave2anMG ホンダのCVTの新型アコードに乗ったんだけど、CVTであるにもかかわらずそこに違和感はなかった。CVTのアルティマに乗った時の違和感はちょっと言葉にできないほどだった。Awful car.

Dake 自動車業界で最も快適でないシートを持つ車の一つがそれだ。

GoesLikeHell 個人的な印象だけど、日産を買う層は日本車が欲しいがトヨタやホンダを買えるほど豊かではなく、しかし三菱自動車を買うほどサブプライム(経済的信用度の低い層)ではないといったイメージ。

Gnomadd 日産に乗るくらいなら "みつ何とか" に乗るわ。

put-some-turbo-on-meeeee 日産にはブランドアイデンティティ(そのブランドが提供する価値や実現したいビジョンを言葉で表したもの)がない、それは同社のマーケティングが貧弱であるせいだ。そして日産の車の中で唯一効果的なマーケティングができているのは、同時にセグメントのリーダーでもある日産・ローグだけだ。

日産の問題はとにもかくにも投資の欠如にある。ラインナップに古さが目立つのもマーケティングがクソなのもそれが原因だ。段階的な投資を続けていればここまで酷い状況に陥ることはなかった。

acevedo12 皆が指摘するようにとにかくトランスミッションをどうにかするのと車をユニークで魅力あるものにアップデートすることだわな。

レンタカーに関してはその販売に占める商用車の量という問題よりも "悪い経験" が問題だ。その一週間が想像していた以上に良いエクスペリエンスだった場合それは良い宣伝になる、しかしその逆だった場合利用者を何年もディーラーから遠ざける最悪な宣伝になってしまう。

Ad_absurdum_per_aspera 飛行機を利用することが多いんで必然的にレンタカーを利用することも多い私からすると、これは見過ごされがちな真実だ。一度作られた第一印象はそう簡単には覆らない。

Jank いい加減アップデートしろよと言いたい。それが2011年製の370Zなのか2019年製の370Zなのかそれらを並べているディーラーすら把握できておらんじゃろ。

YALE70 かつての日産の姿はどこへやら、今じゃそのブランドイメージは "boring(退屈)" と "outdated(時代遅れ)" だ。

Shift24 退屈なラインナップはパッとしないセールスに繋がる。

-日産・タイタン(北米で製造・販売しているフルサイズピックアップトラック)はCoolだが、このセグメントに力を入れるビッグ3のトラックに太刀打ちするのは難しい。

-370zは2003年までさかのぼることができる時代遅れだ。

-GTRすらもう10歳になる。

-フロンティアも馬鹿みたいに古い。

-アルティマは安っぽいレンタカーの代名詞に。

-マキシマ? 日産ってまだマキシマを作ってるの?

-ローグは頑張ってる。

-キックスは、こんなことを言うのは自分でも嫌になるが、これを買うくらいならジュークを買う。

-日産ヴァーサ(ティーダ)は良い小型車だが小型車市場自体が死にかけている。

他の日産車に関しては話す気が起きないくらいにどうでもいい。

ranwhenparked もし私が日産の経営者だったら収益改善とコスト削減に取り組む。

過剰な生産能力が問題?
ならば必要となるのは大規模なリストラだ。

不採算事業が問題?
ならば必要となるのは車種の絞り込みだ。

suhproblems Carlos, is that you?

Skyrocketing Resale Value カルロス式ソリューション再びやな。

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