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全米オープンで優勝した大坂なおみが "日本人" を再定義する

US Open winner Naomi Osaka redefines 'Japanese' - 2018/09/11

Newsyとは:
アメリカの大手放送事業体EWスクリップス参加のミズーリ州コロンビアに本拠地を構えるネットニュース会社。テレビを持たずニュースなどはもっぱらネットを介しスマホなどでさっくりと見る若者のニーズに応え、最新の話題を数分の動画にまとめて解説することで人気になっている。





2018年全米オープンの話題になると人々が口にするのはセリーナ・ウィリアムズと主審との言い争いばかりのように見受けられる。





ニュースキャスター:
「テニスの歴史の中で最も論争の的となった試合の一つになることでしょう。」





スポーツアナリスト - マリア・テイラー:
「私はテニス界に残る悪しき慣習に戦いを挑んだセリーナを誇りに思います。」





スポーツコメンテーター - Stephen A. Smith
「セリーナ・ウィリアムズは間違っていた。誰かがそれを言わなければならない。」
そしてそれは極めて残念なことだ、大会の優勝者である20歳の新たなチャンピオン・大坂なおみ にこそスポットライトが当てられるべきだったのだから。





大坂なおみ:
 「まるで夢であるかのように感じました。何と言ったらいいのでしょうか、色んな感情が溢れてしまって... 自分が感じているものを正確にこれだと言うことができない、そんな状態でした。」





彼女はグランドスラムで勝利した初めての日本テニス選手であり、当然のことながら彼女の母国では大事件となった。だがそれは日本社会に生きる特定のグループのファンたちにとっては特に意味のある快挙だった、日本人と非日本人という異なる人種の両親の間に生まれた子ども、『ハーフ』と呼ばれる人たちにとっては。

この言葉は英単語の "half" から来ている。





高木 ララ (Lara Perez Takagi/映画プロデューサー):
「彼女のしたことの意義、彼女が象徴とするものを私たちはとても好意的に見ています。」

「そして彼女は間違いなく国籍やアイデンティティ、民族性や特定のグループに当てはめられる枠といった障壁を打ち破り、"日本人とは何か" を再考するきっかけになると信じています。」





大坂なおみは日本で日本人の母とハイチ人の父との間に生まれたが3歳のときにアメリカのフロリダに移った。そのため彼女は日本とアメリカの国籍を持っているが彼女の父親は日本のためにプレーさせることを決める。

そんな彼女がほぼ同一人種、同一言語、同一文化で構成される均質国家で知られる日本を代表することは、その国の人々に「日本人とは何か」を問う絶好の機会だと言えるだろう。


 「大坂なおみさんのスピーチや振る舞いから多くの、この国らしい文化的特質を見ることができました。それを見て私も "私にもあんなところがあるな" と再認識させられました、私もまた日本人の母のもとで育ったので。」

大坂なおみと同様に高木ララも日本で生まれ海外で育った、母親は日本人、父親はスペイン人だ。成長した彼女は映画を学ぶために東京に移り住む、そこで多くの『ハーフ』と呼ばれる人たちと同じ時を過ごしたという。

「私は日本でとても共感できる人々が大勢いる巨大なコミュニティと出会いました、そして彼らにとても関心を持った。」

その彼女の好奇心は彼女を別のハーフの友人と共に、さまざまな背景を持つ日本人と非日本人という異なる人種の両親の間に生まれた人々の生活を描くドキュメンタリーの制作へと導いた。



高木 ララが監督したドキュメンタリー『 HAFU - The Mixed-Race Experience in Japan Trailer - TWN 』のトレーラー
「日本人が持つ『ハーフ』に対するイメージ、それは言ってしまえば実に表面的なものです。」

「それは主にモデルやテレビタレントに基づいており、彼等のほとんどすべてが白人と日本人の混血です。」

「例え日本で生まれ育ったとしても、日本語を日本人と同じくらいに流暢に話したとしても人々はいつもこう尋ねてきます、"どこから来たの?" "どうしてあなたはそんなに日本語が上手なの?" と。」

「映画の製作の過程でたくさんのハーフの方々から手を差し伸べてくださいました。私たちが作ろうとしているものに対して、こんな映画を見て育つことができていればどれだけ良かったかと言ってくれました。本当に素晴らしいサポートをいただきました。」





日本国籍を持っていても混血であれば日本人ではなくハーフという枠で捉える日本人の認識に対し大坂なおみという存在が変化のきっかけになるのではないか、高木ララがそんな希望を見出している一方で、ジャパン・タイムズのコラムニストであるベイ・マクニール(Baye McNeil)はこう考えている、

例え日本人が大坂なおみを応援したとしてもそれは必ずしも彼女を日本人として受け入れたという意味ではないと。





ベイ・マクニール(ジャパン・タイムズのコラムニスト):
日本人が考える "日本人" の定義は非常に厳格なものだ、決して簡単に変わるものではない。

「そして大坂なおみ選手はほとんどの日本人が持つ "日本人の典型的なイメージ" に合わない。」

「なので例えば彼女が街を歩いていても彼女を日本人だとは誰も思わない、日本語を話せば "凄いね、日本語話せるの?" と返ってくるだろう。」

「テニスの優勝者であってもミスコンテストの優勝者であってもそれを変えられるとは思わない。それは一晩で変わるようなことではなく、もっとゆっくりとしたプロセスの果てに変わるものだ。」





彼の言うミスコンテストの優勝者とは宮本エリアナのことだ、彼女は2015年にミス・ユニバース世界大会の日本代表に混血の日本人としては初めて選出されていた。




ベイ・マクニール自身はアメリカのブルックリン出身だが日本に14年間住んでおりそこでの暮らしをとても気に入っていると語る。

「私はこの国を本当に愛している。本当に住むには素晴らしい国だ。とても清潔で安全で、人々はとても暖かく、大部分において歓迎してくれる。」

しかし彼は増え続けている日本に住む外国人や混血の人々に対し国やメディアがもっと目を向ける時期に来ただと語っている、有名人に対してだけではなくだ。

 「私が思うに日本は、それを受け入れるか否かにかかわらず、より多様性のある社会へと向かっていくだろう。」

 「これは素晴らしい機会だ。単に大坂なおみ選手を賞賛するだけでなく、議論される必要がある難しい問題に取り組むためにこの機会を活用してくれることを願ってやまない。」


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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース


KANDORI9998 彼女は素晴らしい選手だ、素晴らしい日本生まれのアメリカ人選手だ。

彼女は日本で生まれたかもしれないが3歳からずっとアメリカで暮らしている。それではもはや日本人とは言えない。彼女は日本人に囲まれて生きてきたわけでもなければ日本の文化の中で生きてきたわけでもない、おそらく日本語もほとんど話せないだろう。その人がどの国の人間かは国籍が決めるわけでも血が決めるわけでもない、それまでの人生が決めるんだ。

SuperAvocado 大坂なおみは日本人の母によって育てられた。

彼女はどの選手と対戦する時も、どの人と会う時もお辞儀をする(君は知らないかもしれないがそれは日本人の特徴だ)。
彼女は非常に謙虚で常に周りの人への配慮を忘れない(君は知らないかもしれないがそれは日本人の特徴だ)。

その彼女は日本選手として戦うことを選択した。オリンピックでも日本を代表したいと言っていた。 そもそも彼女が日本とアメリカの国籍を持っている以上どちらに属しているかを決めるのは彼女だ。

Douglas Showler 私はイギリス人で妻は日本人、子供たちはいわゆるハーフなわけだが...
全員成人していて短い期間だがイギリスで育ち何度もイギリスを訪れ英語も完璧に話せるが子供たちは自分をイギリス人だと思ったことはない、100%日本人だと思っている。親がどこの生まれかは関係ない、育った文化、育った環境、その経験が人を作るのだから。

K T なんでこう面倒な話に持っていくかね...
日本とハイチのハーフの選手が偉大な女王を破り偉業を達成した、素晴らしい試合をした、それでいいじゃないのよ。

reparata11 彼女は日本で生まれたわけだし日本を代表しているんだから日本の人たちはやっぱり彼女を日本人として受け入れるべきじゃないのか?

theLearner 当の本人が日本人になりたいと言ってるわけでもねぇべさ。彼女にとっての自分はハイチと日本のハーフ、それだけなんじゃねーの?

MISHIT KINGS 日本人のほとんどは彼女を日本人だと考えなかったはずだ。だが彼女がスターとなったことで彼女という存在を受け入れるってのも変な話だな。

MrMentalz2 ミスジャパンへの扱いを見ていると単に成功したから大坂なおみは日本人だと言っているように思える。

園楽 日本がもっと多様性を認める社会に、あのドキュメンタリー映像に出てきた人たちもまた日本の一部なのだと考えられるような社会になってくれたらいいなと思う。

Sagess Aries 日本という国は長い間同一人種で構成される均質国家だったから変わるにしても時間はかかるだろう。ただ少子高齢化が加速する中で日本は移民政策の変更を余儀なくされるはずだ。そこには大きな困難が伴うだろうが避けられるものでもない。だが時間と共に受け入れられやがては当たり前となっていくことだろう。

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