米国の個人投資家向け金融メディア『モトリーフール』より

ディズニーの「スターウォーズ」買収は失敗だったのか?

Has Disney's "Star Wars" Acquisition Been a Failure? - Dec 15, 2019

- 2012年にディズニーはルーカスフィルムを買収してスター・ウォーズシリーズの著作権を取得、それは賢い選択とされていたが、有名フランチャイズは勢いを失っている -



ウォルト・ディズニー・カンパニーが所有するスターウォーズ・フランチャイズの足元が揺らいでいる。

ディズニーの新しい動画配信サービス「Disney+」ではスター・ウォーズ初の実写ドラマ「マンダロリアン」が大ヒットしており、制作中のオビ=ワン・ケノービを主役としたスピンオフ作品への期待も高いことから、同フランチャイズの寿命はまだまだ長いと言っていいだろう。

しかし同社のスターウォーズ関連事業には明らかに失敗と思われるものが増えており、さらにスターウォーズ人気は数年前よりもはるかに弱くなったように思われる。

スターウォーズ人気に陰り?

スターウォーズ最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が12月20日に劇場公開される予定だが、続3部作の最終章に対する "ハイプ(興奮/人々の盛り上がり)" は驚くほど少ないようだ。

Google Trendsの分析ではエピソード7に該当する『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開されて以降、スターウォーズ全体に対する検索数は低下傾向にあり、"関心のある話題" での数字も『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は3部作の中で最も、それもかなり低くなっている。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は先行販売チケットで全世界で28億ドルの収益を上げた『アベンジャーズ/エンドゲーム』を上回る可能性があるとの報道が一部で出ていたが、その後の様子を見ている限り最新作は続3部作の中で最低の初週 週末興行成績になりそうな気配になっている。

11月末時点での予想は1億7500万ドルから2億ドルの間でこのまま行くと2015年の『フォースの覚醒』の2億4800万ドル、2017年の『最後のジェダイ』の2億2000万ドルのオープン記録を下回ることになりそうだ。



最新作は最終的に興行収入10億ドルのラインを超える可能性が非常に高いとされているが、続三部作の評判の悪さと最新作の需要低下の兆候はフランチャイズのポテンシャルの一部が損なわれてしまった可能性を示唆している。

ディズニーは2012年にルーカスフィルムを40億ドルで買収したが彼らが手にしたのはプロダクションスタジオとスターウォーズの権利だけではない、スターウォーズを買収するということは映画史上最大かつ最も忠実で熱心なファン層を取り込むことも意味するからだ。

しかしいわゆる新三部作で知られる『ファントム・メナス』『クローンの攻撃』『シスの復讐』が様々な批判を招きつつその人気を維持した一方で、今回の続三部作は多くのハードコアファンの "ファン離れ" を引き起こしたと思われる。

映画評論サイトのロッテン・トマトでの『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の一般ユーザーの評価はわずか43%であり、マーク・ハミルやジョン・ボイエガなどの出演者からも同作に対する批判の声が出る始末だった。

もちろんこの手のユーザースコアは熱烈な批判者と支持者によって偏りを見せることが多い。

だがエピソード8が、ルーク・スカイウォーカーや他のオリジナルキャラクターの描写に対する失望やエピソード7が提示したものの再評価を招き、新世代のキャラクターたちの評価を変える非常に意見が分かれる/あつれきを生じさせる作品であったことも明らかだ。

スターウォーズ関連商品の販売は軟調に、新テーマパークも低迷

スターウォーズ人気の陰りを示すサインはそれだけではない。

ディズニーの商品販売部門の売上と利益は2017年と2018年の両方で減少しており、その主な要因となっているのがスターウォーズ関連商品の落ち込みだ。

同社はまたディズニーパーク史上最大規模のテーマランド「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」を今年アメリカの2つのディズニーリゾートに誕生させたがこちらも期待外れの結果になっている。

ギャラクシーズ・エッジが導入されたにもかかわらず第3四半期のディズニーパークおよびリゾートセグメントのチケット販売は低下しており、第4四半期も前年比でほぼ横ばいになる予想だ。

スターウォーズ:ギャラクシーズエッジがサクセスストーリーに変わる可能性はまだある。しかし同テーマランドは続三部作のキャラクターと舞台を中心にしており、同社はすでに確立された過去作のキャラクターや舞台の人気を最大限活用するという手法を取らなかった。

ディズニーが映画との相乗効果を狙ったのは理解できるが、続三部作の世界とキャラクターへの関心が減少している現状に照らし合わせるとその可能性は高いとは言えないだろう。

スターウォーズ・シネマティック・ユニバースにはロードマップが必要だった

ディズニーは『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』『スカイウォーカーの夜明け』の続三部作に続く新たなスター・ウォーズ三部作を計画している。

そしてその製作を大人気テレビドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の製作総指揮を務めたことで知られるデイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスに任せる予定だったが10月下旬に両者はこの計画から降板すると発表した。2人は代わりにNetflixで別のプロジェクトに取り組む見込みだ。

エピソード8の監督を務めたライアン・ジョンソンが次の三部作を担当するという話も以前はあったがその可能性は低いとされている、同作の評判を考えると驚くことではない。

マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが担当する話も出てきたがまだ話し合いの段階であり、ウォルト・ディズニー・カンパニー会長のボブ・アイガーが発表したように来年以降スター・ウォーズの映画プロジェクトはしばらく休止状態に入るに至った。



スターウォーズ・フランチャイズが勢いを失い始めた理由として "Star Wars fatigue(スターウォーズ疲れ)" を指摘する声があるが、同じくディズニーが保有する知的財産であるマーベルシリーズは公開スケジュールが非常に攻撃的であったにもかかわらず素晴らしい結果を残してきたことを考えると、上記のゴタゴタに象徴されるロードマップのお粗末さこそが問題だったと考えるべきだろう。

つまりはフランチャイズの方向性について明確に定義されたビジョンがなかったためにパフォーマンスが低下した可能性がある。

明確に定義されたロードマップを持つことでマーベル・シネマティック・ユニバースは10年以上にわたって観客に疲労を感じさせない一大娯楽事業になることができた。

この問題に加え、不満を抱えたファンに対するディズニー側の対応のまずさもスターウォーズ人気の低下に拍車を掛けたと思われる。



ディズニーのスターウォーズの買収を「失敗」と呼ぶのは少し行き過ぎた表現だろう。長期的には賢い選択になる可能性が今でも高い。

しかし『フォースの覚醒』と『ローグワン』の成功以降の成果は買収時に期待されていたものよりずっと "物足りない" ものになってしまっていると言わざるを得ないのも確かだ。

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海外の反応

boards.4channel.org, twitter.comのコメント欄より: ソース , ソース


Anonymous でもなんだかんだで利益は出ているんじゃないの?

Anonymous オモチャなどの関連商品を含まないがディズニーがルーカスフィルムを買収した以降のスターウォーズの損益はこんな感じ。

Acquisition/買収(40億5000万ドル)
Production/製作費
Marketing/宣伝費
Box Office/興行成績
Theater's take/映画館の取り分
Home Video/ビデオ販売

Anonymous 年度別グーグルトレンドでの "スターウォーズ玩具" の結果がこれ。関心が減少傾向にあるのは確か。

ソース

Anonymous アメリカを代表する世界規模の玩具メーカー『ハズブロー』のスターウォーズ玩具の収益の推移

Runs With Scissors グッズやゲームの利益も含めれば初期投資は回収できたんじゃない? ただ想定していた、本来なら得て当然の利益は得られていないだろうがね。

Anonymous "ディズニーの「スターウォーズ」買収は失敗だったのか?"

少なくとも私の心をつかむのに失敗したのは確か。

Anonymous スターウォーズの映画が出るたびに良い作品であってくれと願ってはいるが... 正直に言ってローグワン以外のディズニーのスターウォーズはどれもクソとしか言いようがない。

"多様性" が作品を台無しにすることを改めて証明するだけであった。

Kamran Pasha ディズニーのスターウォーズという知的財産の扱いの下手っぷりをウォールストリートジャーナルに続きモトリーフールまでもが指摘し始めたか。"ディズニーがスターウォーズを殺した事件" はビジネス史上最大の失敗の1つとして記憶されることであろう。

ClamsKasino IPを有効的に活用できているかというとそんなことはないと思う。

Yivo "だがエピソード8が、ルーク・スカイウォーカーや他のオリジナルキャラクターの描写に対する失望やエピソード7が提示したものの再評価を招き、新世代のキャラクターたちの評価を変える非常に意見が分かれる/あつれきを生じさせる作品であったことも明らかだ"

これだよ。『最後のジェダイ』を批判する人間は女性キャラクターの台頭を嫌う性差別だとかJ.J.エイブラムスが言ってたけどさ、性差別云々じゃないんだよ。

Anonymous ディズニーびいきのマスメディアのせいで隠されちゃいるが、彼らが金の卵を産むガチョウを殺してしまったのは明らか。

Stop kowtowing to China's fascist government 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の出来が噂通り悪いものだったらそうだろうね。

まぁ5年10年したらまた作られるんだろうけどさ。

Ron Bassilian (R) 買収の動き自体は失敗じゃない、出来上がったものが失敗だっただけで。

Wolf 🇺🇸 🐺 財政的には失敗ではにだろうね、望んでいたほど成功しなかったというだけで大失敗ではない。

だが他のすべての面で失敗している。

d-rags このフランチャイズを台無しにしたという点では失敗やね。

Viktor2 大失敗さ、プロットは意味をなさず、シリーズを面白くしたすべてのキャラクターを台無しにしたり殺したりしている。

Robot554 物語として失敗しているのは間違いない、特に最後のジェダイはもう何て言うか...全くもってナンセンス。

Candice Weatherby ジョージルーカスはスターウォーズに対する情熱を失っていたからね、ディズニーが買収すると聞いて期待したものさ。期待していたんだけどねぇ...

Brad 続三部作が普通の出来だったらまだ良かったんだけどねぇ。

だがどうやらディズニーは映画がどれだけつじつまが合わないとしても、ファンは並んでお金を払うと思ったようだ。

X-menが最初の1作目以降どんどん滑り落ちていった様を何となく思い出すわ。

Horror Geek 今のところは成功とは程遠いだろう。だが最終的に成功にすることはまだ可能だ。フランチャイズが完全に死ぬ前にそうしてくれることを願っているよ。

Nefarious ポリコレを無理やり入れるとかしなけりゃ成功だっただろうにね。

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