米国のスポーツ専門紙『Sporting News』より

「想像を絶する素晴らしさ」：大谷翔平の歴史に残る2021年シーズンにMLBの選手たちは畏敬の念を抱き続けた

'Beyond incredible': Shohei Ohtani constantly left MLB peers in awe during historic 2021 season - 10/28/2021



2021年6月30日の夕方、ロイヤルズ対レッドソックス戦が始まろうとしていたボストンを雷雨が襲った。試合開始時刻は午後7時5分の予定だったが約30分ほど遅れることになった。

そしてその遅れは選手たちにチャンスを与えることになる。

「我々はまさにこれからフィールドに出ようとしていているところだった。だが誰もが立ち止まってテレビの画面に見入っていた。彼の最初の打席だったからだ」

ロイヤルズの二塁手であるウィット・メリフィールドはスポーティング・ニュースにこう語った。

誰が打席に立っていたのか？

そう大谷翔平だ。
その日エンゼルスのスターはニューヨーク・ヤンキースとの3連戦の最終戦に出場していた。その時彼は過去最高のシーズンの真っ只中にいた。彼はヤンキースタジアムでの最初の2試合で打った3本を含め、直近13試合の間に11本ものホームランを放っていた。

さらに彼はその晩先発投手として登板もしていた。彼の直近2回の先発登板の成績は12回14奪三振で失点はわずか2点だけだった。

だからだ、ロイヤルズの選手たちがも雷雨の機会を利用して彼を見守もらずにはいられなかった。



「我々は彼がホームランを打つことを期待して見ていた」

メリフィールドはこう語った。

「6月に20人ものメジャーリーガーが1人の選手の打席を立ち止まって見守るなんてことは普通ありえない。だが我々はそうした、大谷翔平だったからだ」

「毎日毎日大勢の人間の目が彼に向けられた、彼には信じられないほどのプレッシャーがのしかかっていた。なのに彼はあの絶好調ぶりを続けられたのだからすごいなんてものじゃない、想像を絶する」



我々米国のメディアは様々な言葉を尽くして大谷翔平の凄さを賞賛してきたが、このメリフィールドの語る実体験ほど人々が今季の大谷の活躍に受けた衝撃の大きさを雄弁に語るものはないだろう。そして当然、大谷の活躍に驚嘆のはメリフィールドだけではない。

「一野球ファンとして」

2020年ナ・リーグMVPでブレーブスの一塁手であるフレディ・フリーマンはスポーティングニュースにこう語った。

「選手であることから一歩離れて客観的に彼がしていることを見ると、その偉大さを実感せずにはいられない。彼がしていることはあまりにも特別だ、こんなことは今後誰も再現できないだろう」

大谷に対するこの手のストーリーと賞賛は枚挙をいとわない、そしてそれこそが大谷が2021年MLBプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた大きな理由だ。



「彼を目の前で見れるのは選手の特権だ。彼と対戦しなければならないことは最悪だ、だが同時に最高の事でもある。なぜならこの男が、この普通でない存在が野球をプレーする様をこの目で見れるのだから」

by ジョーイ・ギャロ (2017～18年には2年連続でシーズン40本塁打以上をマークした球界を代表するスラッガーの1人でニューヨーク・ヤンキース所属の外野手)

「彼はあらゆる人間の目を奪う。野球ファンでなくても彼の姿を見れば立ち止まって見てしまう。今の野球界にそんな存在を必要としている、そして彼はまさにそれをしている」

by フレディ・フリーマン(MLBオールスターゲームに5回選出されたアトランタ・ブレーブス所属の一塁手)

「彼は明らかに我々とは別種の存在だ... 具体的にどう違うのかを説明するのは難しいが。しかし彼がしていることを見るのは楽しいというのは間違いない」

by ティム・アンダーソン (2019年に首位打者に輝いたシカゴ・ホワイトソックス所属の遊撃手)



「プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」はMLBの選手たちによって選出される賞でその歴史は1936年にまで遡ることができる。

大谷はMLBの選手たちの56％の支持を集め受賞に輝いた。2位は今年でなければどの年でも栄冠に輝いたであろう素晴らしいシーズンを送ったブルージェイズのスラッガーであるウラジミール・ゲレロ・ジュニアで29.3％の支持を集めた。3位以下はいずれも4.3％を超えることはなかった。



大谷の2021年シーズンはあまりにも特別だ。二刀流選手としての彼と比較できる選手がいないことも彼の特別さを際立たせている。

近世ではリック・アンキールは2000年に194奪三振、2008年に25本塁打を打ったがその彼も同じ年に打者と投手の二刀流をしたことはなかった。マイケル・ローレンゼンとブルックス・キーシュニックは同じ年に外野手とリリーフ投手の両方をこなしたがどちらの分野でも大谷の圧倒的な活躍ぶりと比べると霞んでしまう成績しか残せていない。

となると、大谷に関する話になると毎回出てくるあの選手をやはり引き合いに出すしかないだろう。そうベーブ・ルースだ。
ベーブ・ルースは1914年に19歳でレッドソックスに入団、翌年にはエリート投手としての地位を確立した。

1915年から1917年の間の成績は867イニングで防御率2.02という素晴らしい成績を残していたがこの時期すでに打者としての才能が現れていた。

1918年には投手として19回先発、野手としては70回先発し11本のホームランを放ちリーグをリード。

1919年はシーズンを通してほぼフルタイムで二刀流出場した唯一のシーズンとなり、投手として15回先発、野手として111試合に出場した。

その後ルースはヤンキースに移籍するもヤンキースは彼を打者として専念させた。1920年以降、ルースが投手として出場したのはわずか5回のみだ。

ではルースの1919年と大谷の2021年を比較してみよう。






投手としては：

ルース：17試合、防御率2.97、133 1/3イニング、148被安打、58四球、30奪三振、3.58 FIP、1.545 WHIP、0.8 bWAR
大谷：23試合、防御率3.18、130 1/3イニング、98被安打、44四球、156奪三振、3.52 FIP、1.090 WHIP、4.1 bWAR

打者としては：

ルース：543回、29本塁打、113打点、12三塁打、打率.322 / 出塁率.456 / 長打率.657、217 OPS+、7盗塁、9.1 bWAR
大谷：639回、46本塁打、100打点、8三塁打、打率.257 / 出塁率.372 / 長打率.592、158 OPS+、26盗塁、4.9 bWAR

FIP：被本塁打・与四死球・奪三振のみで投手を評価する指標で防御率に代わる投手の評価指標。防御率と同じく値が低いほど投手の能力が高いことを示す。

WHIP：1投球回あたり何人の走者を出したかを表す数値。投手の”安定感”を測る指標

bWAR：選手の貢献度を示す指標で値が高いほど貢献していることを示す

OPS+：打者を評価する指標の1つ。OPS+が100をリーグ平均としOPS+が150の打者は平均より50%高い得点力を持つことを意味する。



時代は違うがシーズンの内容はかなり似通っているのではなかろうか？

比較としてルース以外の選手を出したいところだが本当に比較できる選手がいないのだ。MLBに限らなければいないこともないがエンゼルスのジョー・マドン監督は大谷についてこのように語った。

「リトルリーグや高校／大学リーグではしばしばチームで最高の選手が様々なポジションを兼任するがそんなことをMLBでやれるのは大谷だけだ。そしてリトルリーグや高校／大学リーグでそのようなことをする選手がいても毎日出場したりしない。せいぜいが週に数日で回復する時間を必要とする。だが大谷は毎日出場している」



2021年のオールスターゲームは実質的に大谷ショーだった。

大谷翔平はア・リーグ代表を率いるレイズのケビン・キャッシュ監督によって先発投手に選ばれ先頭打者として出場、ホームランダービーにも参加を果たした。

他のMLB選手たちが彼をどのように見ていたかが明らかになったのもそんな時だった。

「彼のしていることがどれだけ凄いことなのかを人々が理解してくれることを願っている、なぜならそれは信じられないほど難しいことだからだ。彼がいかにして打者と投手を両立できているのか想像もつかない」

「バットを振るだけで選手は疲れる。なのに彼はその両方をやっている、それも極めて高いレベルで。それはただただ素晴らしいことだ」

オールスターゲームに出場したアトランタ・ブレーブス所属のフレディ・フリーマン一塁手はこのように語った。

またナショナルズのスター選手であるフアン・ソトは「彼は何でもできる。彼が今年やっていることは凄いとしか言いようがない」と述べている。



「選手たちにも畏敬の念を抱く選手がいる、だが通常それらは彼らが選手になる前に活躍した選手たちだ。現役でプレーする選手に畏敬の念を抱くことはめったにない」

マドン監督は大谷が2021年MLBプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた際このように述べた。

「彼はユニークだ、そしてすべての称賛に値する。彼はこの賞に値する。彼は今年、たくさんの賞を受賞するに値する活躍を見せた」

ある者は球場のクラブハウスでその時していたことをやめてまでテレビに齧りついていた、ある者はオールスターゲームで彼に会うのを心待ちにしていた、そんな選手たちが投票したことを考えれば、大谷翔平がプレーヤー・オブ・ザ・イヤーを勝ち取ったことも驚くべきことではないだろう。

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海外の反応

twitter, reddit.comのコメント欄より: ソース , ソース , ソース ソース


MLBPA(メジャーリーグベースボール選手会)公式Twitterアカウント
「彼の開いたショーは凄かった！ MLBプレーヤーたちが2021年ア・リーグ・プレイヤーズ・チョイス・アワーズおよびプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに大谷翔平を選出！ おめでとう、ショーヘイ！ 」
twitter.com


米ESPNのスポーツ情報番組『スポーツセンター』
「大谷翔平が選手たちの選ぶ2021年プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞！」
twitter.com


エンゼルス公式Twitterアカウント
「これが選手たちの声だ！ 大谷翔平がMLBの選手たちの投票によって選出されるMLBPA(メジャーリーグベースボール選手会)プレーヤー・オブ・ザ・イヤーとMLBプレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞」
twitter.com


DESERVE：受けるに値する、受けて当然の名誉






「ショーヘイがポケモンみたいなノリであらゆる賞を収集している」



「それでこそ我らのユニコーン、それでこそ我らのMVPだ！！！ おめでとう大谷翔平。彼に我々が愛していることを伝えてくれ、ありがとう！」



「なんて素晴らしい。受賞動画を見るとMLBの仲間たちが彼を愛し、尊敬していることがよくわかる。彼を尊敬する選手たちを私も尊敬する。そこに嫉妬はなく純粋な愛だけがあり、彼らが一流プロであるという事実だけがある。おめでとう大谷翔平、おめでとう私たちのMVP!!!!! 」



「大谷翔平のこれほどまでに歴史的なシーズンを目の当たりにできたことのなんと光栄なことか。本当に素晴らしい、そしておめでとうございます」



senhormauricio 大谷が前半戦のホームランを打つペースと同じくらいの勢いで賞を獲得しまくっている！

oarsandalps このままMLBのありとあらゆる賞を受賞しそうな勢いだわ。

Shohei shotime!!!

Sakaguchi123 まぁ予想通りの結果だな。さぁ次の賞に行ってみよう！

hansan4ever とても嬉しい、同じくMLBで活躍する選手たちに認められることは彼にとってとても意味があるに違いない！おめでとう、ショーヘイ!!

74Dragonz 大谷が他の選手たちから尊敬と称賛を得ている姿を見れて本当に嬉しい。

pwnd32 スポーツライターや野球協会から授与される賞も素晴らしいけど選手たちの投票によって授与される賞はひときわ嬉しいものだな。

ウィット・メリフィールドが大谷の打席を見るためにロイヤルズの選手たちが子供のようにテレビの周りに群がっていたって話は最高でしたわｗ

nukemiller それにしても81人もの選手が大谷を今季最高の選手と思わなかったという事実よ。

FlyRobot MLBは「頭の病気の疑いのある選手」を発見するためにスクリーニング検査を実施するべき

Tun710 大谷に負けるとわかっていてもチームメイトに投票したとかじゃね？

shiftyeyedgoat 絶対ドミニカ系の選手はゲレーロjr.に投票したと思うわ。

Cheeseydreamer まぁゲレーロjr.は大谷がいさえしなければぶっちぎりで受賞してただろうしな。

Timpa87 プレイヤーは彼を正しく評価してくれたようだ。さてスポーツライターたちよ、次は君たちだぞ

burnSMACKER つっても今年は文字通り一択だし大丈夫だろ。野球を少しでも理解している人なら誰でもショーヘイがそれに値することを知っている。

IAmGrum 大谷を『5ツールプレーヤー』と呼んだ選手がいたけど間違っているぞ。彼は『7ツールプレーヤー』だ。通常の5ツール（ミート力、長打力、走力、守備力、送球力）に加えて彼には投球力と制球力があるからな。

grunge615 まぁ驚くことではないね、今年の彼はとにかく凄かった。彼について悪いことを言うのは難しい。見ていて本当に楽しい選手だし彼がメジャーで長いキャリアを持てることを願っているよ。

tothesource 正直彼に全ての賞を与えてもいいと思う。もういっそ彼のために賞を新たに作ってもいいかも

UrDailyCommunistGuy ...それ毎年大谷が受賞する結果になるだけでは？

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