アメリカCBSのトーク番組『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン』より

ジェームズ・コーデンがアメリカの銃規制について語る

James Corden on Gun Control in America - 2018/02/20

『The Late Late Show』はNBC、ABCと並ぶアメリカ3大ネットワークであるCBS放送で1995年から放送されてきた深夜トーク番組。4代目の司会となるジェームズ・コーデンは大英帝国勲章も受章したイングランドの俳優、コメディアン、歌手、作家、プロデューサー、テレビ番組司会者。

この放送は2018年2月14日にアメリカのフロリダ州パークランドの高校で17人が死亡した銃乱射事件を受けてのものです。事件の容疑者は退学処分になった19歳の元生徒で負傷し拘束されたとのこと。ちなみに2018年に入って死傷者の出た学校乱射事件はこれで6件目だとか。



レディース&ジェントルメン、この番組は月曜から金曜の夜に放送していますが先週は特別番組が放送されていたので、これは14日にフロリダ州パークランドの高校で発生した17人が亡くなる悲劇的な銃乱射事件が起きて以来初めてのショーになります。(※パークランドは同州で「最も安全な街」に選ばれていました)

まずはこの事件の犠牲者とその家族に、まだこの事件から受けた傷から回復できていない犠牲者たちに、事件解決のために奮闘した方々に、そしてもちろん生き残ることができたすべての生徒に、この事件がもたらした心の傷に対処するため長い時間を要するでしょうが、この事件に巻き込まれたすべての方々に哀悼の意と我々の愛を表します。



私ジェームズ・コーデンがこの番組の司会を務めるためにイギリスからアメリカに移り住んで3年が経ちましたが、このような大勢の方々が命を失う銃乱射事件をこの番組で伝えることになるとは、これほどの頻度でお伝えすることになるとは想像していませんでした。

私は今でも覚えています、昨年ラスベガスで発生した銃乱射事件についてこの番組で話した後、この国で生まれた人間でない者が、この国の歴史を理解していない者が口を出すなと一部の人々から言われたことを。




(「外国生まれのテレビスターが米国の銃所有権についてあれこれ指図することほど腹立たしいことはない」 新聞やテレビなどのメディア業界のオピニオンサイト『Mediaite 』より )


もしかしたら彼らが正しいかもしれません、私は未だにアメリカンフットボールのルールも野球のルールも理解していませんし、私がアメリカに来てから理解したことはどう"オレガノ"をアメリカ英語で発音すればいいかだけです。

確かに私はアメリカ人ではないかもしれませんが、私の国イギリスも過去に銃乱射事件を経験しましたし私の子供は今はアメリカ人です。うちの子はアメリカの学校に通っています。そして皆さんと同様に私は子供たちが安全であることを願っています。

ですが私は違和感を覚えます。ここカリフォルニアでは子供たちは私が子供の頃には経験したことのない2つのことをしています。

1つは地震が発生した場合にどう行動すべきかを学ぶ避難訓練です、これは避けられない自然現象です。そしてもう一つは銃を持った人間が学校内に侵入した場合にどう行動すべきかを学ぶ訓練です。それは私から言わせれば避けられない自然現象ではありません、ですが、悲しいことですが、アメリカでは大地震よりも頻繁に発生します。



先週このことについて考えていたとき、私はニューヨークタイムズに掲載されたチャートを目にしました、皆さんの中にも見た人が大勢いるでしょう、銃乱射事件を経験した世界の主要国に関するこのチャートです。


これは1966年から2012年の間に発生した銃乱射事件をまとめたチャートで左側は銃乱射事件の数を表し、下側はその国に存在する銃の量を表しています。(※milはmillion)

アメリカはどこか?




アメリカはここです。今回のような"大勢の人々を狙った銃乱射事件"はここアメリカでは日常と化していますが、この惑星の他の場所ではまったく日常ではないのです。

このグラフはより多くの銃がより多くの銃乱射事件につながることを明らかにしています。 私はそれが事実であることを私の経験から知っています。なぜなら私は1996年に小学校で16人の子供と1人の教師が射殺された銃乱射事件が起きたイギリスから来た人間だからです。




この事件のすぐ後に英国議会は十を規制する法案を通過させ、以来学校での銃乱射事件は発生しなくなったからです。これは22年前のことです。




同様に1996年にオーストラリアのタスマニアのポート・アーサーの観光地で男がカフェや土産物店などで銃を乱射し34人の命を奪った銃乱射事件の後、当時のハワード政権は銃規制に乗り出して翌年までに国民は合計64万3726丁の銃を自主提出した。以来オーストラリアでは銃乱射事件が起きていません。




日本では、アメリカ合衆国のビジネスや技術ニュースの専門ウェブサイトである『ビジネスインサイダー』の日本の銃規制に関する記事をそのまま読みます。

日本では銃を所有するには以下のことをしなければなりません。
・終日かかる銃所有に関するクラスに参加する
・筆記試験に合格する
・95%の精度が必要な射撃テストに合格する
・精神鑑定テストに合格する
・申請者の友人や家族への聞き取りを含む、厳格なバックグラウンドチェックに合格する

まだまだ細かい条件がありますが、それらをクリアしても購入可能なのはショットガンとエアライフルのみでハンドガンは購入できません。しかも3年ごとに再度授業を受け試験に合格しなければなりません。

その結果、日本には実質的に銃による死者がまったく存在しません。"銃乱射事件がない"ではありません、銃による死者がほぼ全くないのが普通、日本の日常なのです。

日本や他の国の銃規制の法律は極端すぎて"市民の自由を侵害している"と思う人もいるでしょう。ですが日本やイギリスやオーストラリアの厳しい銃規制法は、より厳しい規制が銃乱射の発生件数を抑えることができるということを示しています。

ですがアメリカでは、もう何度同じようなやり取りをしてきたでしょう? 正直に言いましょう、過去数年間にアメリカで銃乱射による大量虐殺が起きる度に私は皆さんと同じように、これらの虐殺を避けるために何もできていないことに怒り、混乱し、いら立ちを覚えてきました。毎回まったく同じ感情を抱きます。

それはどういうわけか常に政治的になってしまいます。右側の人たちは銃規制について話す時期ではないと主張し、左側の人々は銃規制について話すのが遅すぎると主張しまったく話が進みません。




ですが、今回のフロリダ州パークランドでの銃乱射事件は何かを変えたような気がします。それは今回は子供たちがかつてないほど声を上げているからです、選出議員にこの問題に対処することを要求するためにこれまで以上に大きな声を発しているからです。

今回事件が起きたマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生存者である生徒たちが、政治家でもなく右翼や左翼でもなく、"銃を持った人間が学校内に侵入した場合にどう行動すべきかを学ぶ訓練"などという非常識な日常を強いられてきた子供たちが立ち上がったのです。

ここのスタジオに集まった皆さんも同様の"訓練"をしてきたでしょう、そしてこれから生まれる子供たちもこの訓練を日常としていくことでしょう。それでいいはずがありません、そしてこの子供たちもそれを訴えているのです、何かしなければならないと。

行動無き祈りも、行動無き同情も、行動無き議論も、行動無きツイートもこれ以上必要はありません、子供たちは変化を求めており、変化が起きるまで叫び続けると言っているのです。




銃乱射事件が起きたフロリダ州の高校の生徒たちが銃規制を求めホワイトハウスの前に集まろうと呼びかけています、デモを全米各地で計画しています。3月24日にはワシントンで銃規制と学校の安全を訴える抗議の行進『マーチ・フォー・アワ・ライブズ(March for Our Lives)』を行います、政治家が、米国民が聞き入れるまで。

私は子供たちが銃規制について語り合い、声に出す光景を見て希望を覚えます。このトーク番組の外国人司会者の声など聞く必要はありません、この通りいい加減な男ですから。ですが子供たちの、アメリカの子供たちの声なら皆さん聞けるはずです。

私はアメリカ人がその主張の違いを脇に置いて、立ち上がった生徒たちのために、私たちの子供のために、そしてアメリカ人全員のために一丸となって賢明な変化を起こすことができるかもしれないと、そんな希望を覚えます。

『マーチ・フォー・アワ・ライブズ』は3月24日にワシントンDCで行われます。それではまた会いましょう。

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海外の反応

Youtubeのコメント欄より: ソース


lauren.c ほんともう、よく言ってくれたとしか言えない。

Pimp 6972 日本の銃規制は基本的に完璧といえるもの。

Sully Gamer あれだけ恐ろしい目に遭った子供たちが立ち上がったんだ、私は心から支持するよ。

craZmanGaming 正論すぎて何も言い返すことはない。もう銃規制しかないって。

Josh Carless 日本の銃規制並みに厳しくしろとは言わないからせめて銃を購入する人のバックグラウンドチェックぐらいはちゃんとしてくれ。ただこれだけでも激怒する連中が出てくるんだろうな...

Hey Issa Me 文明的な人間ならばその程度の規制などなんとも思わない。

Serasia 社会がより安全になる銃規制法を"市民の自由を侵害している"との理由で反対するアメリカ人が理解できない、数えきれないアメリカ人がその銃によって"市民の自由"も生きる権利も奪われているのに。

LolGuy そりゃ君、アメリカ人はバカだからだよ。

Thunder Buddy それは中途半端で一時しのぎな規制が何の役にも立たないことを知っているからだよ。米国議会は1994年から2004年にかけてアサルトライフルを規制したが何の効果もなかった。

それにイギリスやEUなんかは銃規制が厳しくてもテロによって刺され撃たれ轢かれ吹き飛ばされてるがな。とこが安全よ?

ChasdielOfTheEnd イギリスやEUは基本的にテロ以外に治安上の問題を抱えていない、対処すべきはテロリストだけだ。一方でアメリカは市民が市民を撃つ。EUではテロによって2017年に142人が死亡し379人が負傷した。合計で521人の死者負傷者が出たわけだ、12か月で。アメリカのラスベガスで起きた銃乱射事件では58人が死亡し489人が負傷、合計で547人だ、たったの一晩で。

Lizzy Grant 日本に長年住んでるけどホント良かったと思うわ。世界一安全。

Elem Fao 銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ。

kay becker "「外国生まれのテレビスターが米国の銃所有権についてあれこれ指図することほど腹立たしいことはない」"
アメリカ人じゃないから口を出すなと、言論の自由って言葉を知ってるのかね?

Danielys Muñoz 言葉でなく行動をか、確かに。

TaizsiaG 私はあの生徒たちの行動に感動したよ。いったい何人の無実な子供たちがこれまでに命を奪われてきたか、もうこの国を変えるために動き出してもいいはずだ。

winged wolf 子供たちが動いてくれた事がとても嬉しい。彼らの始めたこの運動がこの国を変えてくれると信じている。

KAIJU MECHA アメリカは野蛮な国やね、ほんと。

m3murray 法を改革するのは簡単だが文化を改革するのは容易ではない。

Phillip Christopher 2012年にコネチカット州のサンディフック小学校で銃乱射事件が起きた時も人々を目覚めさすのに十分すぎる犠牲だと思ったし国民の半分以上が銃規制を支持した。でも結局規正法は議会によって拒否された。今回もな気がする。

Prometheus Jay 米国には奇妙な陰謀論を信じる奇妙な人がたくさんいる。そういった連中は政府を信用していない、だから銃を奪われる事を恐れている。

なんだろうね、ここ英国とかじゃ銃の所持がほとんど認められてないけど政府の国民に対する扱いはアメリカと変わらないってのを知らないのかね? 警察だって銃の恐怖がないから市民に対してもずっと良く扱ってくれるのに。

Sabrina Herrmann アメリカでは(州によって若干違うが)銃の購入が許されるのは18歳から、一方でアルコールが許されるのは21歳から。

これをおかしいと思えないアメリカ人はおかしい。

Jade West 私はアメリカ人ではないんだが、悲しいかな、今回フロリダで起こった事件のニュースを見た時私は驚かなかった。こんなことを口にするのも嫌だが、私はニュースの見出しを見ても何も感じなかった。

もちろん罪なき子供たちの命が奪われた事は悲しいことだ。だがしかし、私がニュースの見出しを見て考えることができたのは「ああ、いつものアメリカだな」だけだった。

もうね、アメリカで銃乱射事件が起きても普通のこととしか認識できないところまで来ちゃったんだよ。

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