インドの社会活動家キラン・ベディ氏のツイートより

日本の植林技術『ミヤワキ・メソッド』のおかげでインド最大の都市ムンバイに森林が育っています

There's a forest growing inside Mumbai thanks to a Japanese afforestation technique called Miyawaki. - 2019年3月27日

インドの社会活動家 - キラン・ベディ

「"Miyawaki(Miyawaki methodとも)" と呼ばれる日本の植林技術のおかげでインド最大の都市ムンバイで森林が育っています。きっと他のあらゆる場所で活用できるはずです、ぜひシェアしてください」
- 以下動画の翻訳 -


ここにいる人たちはインド最大の都市ムンバイで森林を育てている。

ムンバイの西部に位置するジョゲシュワリ地区の緑化のために彼らが取り入れているのが "Miyawaki" と呼ばれる日本の植林技術だ。




その名は日本の植物学者である宮脇昭 教授から取られたもので、狭いスペースに木を生やすためにこのミヤワキ・メソッドは世界中で取り入れられている。




インドの環境NGO『Green Yatra』が始めたこのムンバイ緑化構想では複数の異なる苗木を同時に植えている、そうすることで植物は土中の栄養素をより効率的に吸収できるようになるのだ。しかも普通に植えた時よりもずっと早く成長するという。




『Green Yatra』共同設立者 - Durgesh Gupta通常の植林では植えた苗木が成木に成長するまでに少なくとも5年から10年の時間を要します。ですがミヤワキ・メソッドを取り入れると2年も経たずに60センチの苗木が4~6メートルの木にまで成長します

ただしこのミヤワキ・メソッドにも乗り越えるべきハードルがいくつか存在する、実際に苗木を植える前段階にだ。

まずこの方法を実践するためには少なくとも1,000平方フィート(305平方メートル)の広さの土地が必要だ。ミヤワキ式の森が持続可能な状態で存続するためには最低限そのくらいの広さが必要になってしまう。

しかし環境NGO『Green Yatra』は人口過密であらゆるもので混雑するムンバイで使われていない不毛な土地の区画、古いセメント工場の跡地を発見する。




『Green Yatra』共同設立者 - Durgesh Gupta 「そのままでは使えないため私たちは深さ1メートルほどまで土を掘り返し、その全てを入れ替えなければなりませんでした」

「インド国営倉庫運営会社のCWC(Central Warehousing Corporation)がインド鉄道と共同で展開する鉄道沿線の土地を倉庫として活用/運営する会社CRWC(Central Railway Warehouse Corporation)が我々『Green Yatra』の活動の支援をしており、この土地も同社から提供されました」




Green Yatraのチームはこの1kmほどの区画に12,000本の苗木を植えている。

この苗木が森に成長することで地域の騒音の問題やダスト公害を抑えられるのはもちろんのこと、地域の生物の多様性を守ることに、二酸化炭素吸収の改善に役立ってくれるのだ。

宮脇方式とは土地本来の森を再現し、複数の樹木を混植・密植し苗木同士の競争を促すことで生育を早める植樹方法。

横浜国立大学名誉教授である宮脇昭氏はこれまでに国内外1700ヶ所以上で植樹指導しており 三菱商事横浜ゴムグループなどの企業やNGOと共に4000万本以上の木を植えている。

特に初期段階でのコストが高すぎるといった批判があるが従来の植樹方法が失敗する場所での成功率は非常に高いとされている。

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海外の反応

twitter.comのコメント欄より: ソース


medha garud This is great

anuj saxena インドだけと言わず、世界のあらゆる大都市はこれを採用すべき。

PriyankParikh インド西部グジャラート州のアフマダーバードからバーヴナガルの間で何kmも何kmも木が一本も生えていない地域を実際に見た。この日本の植樹技術を我々は必要としている。

Naveen Madan 外来じゃなくて地元の植物を使うってのがまた素晴らしいな。

sreekumaran m nair 自然な森に規則性なんてものはない、植物が生える間隔もその種類もバラバラ、ただ競争というルールの下で生物は存在している。この日本の植樹技術が効果的なのも納得だ。

sreekumaran m nair 現在各地で大型幹線道路や鉄道網の建設が進んでいるインドにとってこのグリーンウォールってのはピッタリだね。とても可能性を感じる。


「『Rotary Club of Madurai Next Gen』が2018/10/28に実施したミヤワキメソッドを用いたプロジェクトのことをシェアさせてください。結果は非常に良好です。 生物的に多様な状態を生み出すために3000平方フィートに300本の果樹/在来種の植物を植えました」
Rotary Club of Madurai Next Gen: インドのタミル・ナードゥ州中南部に位置する都市マドゥライ出身の若者を中心としたロータリークラブ


Aakash Jain 都市森林は急速に死にかけている。デリー首都圏からもハリヤーナー州からも、国中から森林の姿が消えて行っている。 だが政治家やビジネス界のロビーは経済発展の名のもとにそれを破壊している。

この国ではまだサスティナビリティが選挙の争点になっていないがそれは変わらなければならない。

インドの環境NGO『Green Yatra』 我々はデリー首都圏でも "Miyawaki forests" を育てる活動をしています、また行政機関や政府が主体となっている法人にそのための土地取得の支援を求める活動をしていますよ。

Aakash Jain. インド北部のアラーヴァリーでも活動をしていますか? あの辺りは大規模な植樹を必要としていますし。

インドの環境NGO『Green Yatra』 我々としてはインド全体にこのミヤワキ式の森を育てようと考えています。今も #10CroreTREESby2025 (2025年までに1億本の木を植えよう)キャンペーンのもとで植樹活動を行っています。途方もない数字ですが皆が協力し合えば可能なはずです。私たちの国の緑の現在、そして未来のために共に手を取り合えばと思っています。



「 インドの環境NGO『Green Yatra』は昨年、ムンバイの緑地を増やすために1万本の木を植えました。今年の目標は10万本、そして#10CroreTREESby2025キャンペーンをインド各地で展開しています」


Gomathi Karri Reddy Nice...👍👍
最近は建物の屋上で植物を育てる屋上緑化の動きが世界で広がっているけどミヤワキ・メソッドはそれにも活用できるのかな? 大規模な建物なら屋上のスペースはかなりの広さになるはずだし。

インドの環境NGO『Green Yatra』 屋上緑化に活用することはできません、詳しく知りたいのであれば「The Weather Company」の記事をチェックしてみてください。

「ムンバイで高密度な都市森林が具体的にどう成長しているかをぜひこの記事からチェックしてみてください」


IBMグループ企業で企業向けに気象データと予測分析ソリューションを提供する企業「The Weather Company」より

ムンバイに最初の人工の森が生まれようとしている

Mumbai Gets its First Manmade Dense Forest - 21 March 2019

ムンバイにも自然林は残っており、ムンバイ北部に13平方キロメートルにわたって広がるAarey forestは "city’s lungs(ムンバイの肺)" とも呼ばれている。しかしインド最大の都市の環境負荷をこのわずかに残された森林だけでカバーすることは不可能だ。

インド科学研究所(IISc)の調査によると人間1人当たり7本の木が必要とされているがムンバイでは1本の木に5人の人間が頼っている有様だという。

そしてそんな現状を変えようとしているのが環境NGO『Green Yatra』であり、彼らが進めているグリーンウォール・プロジェクトだ。



(インドの環境NGO『Green Yatra』のボランティアがムンバイでミヤワキ式の人工森林に取り組んでいる様子)
photo via greenyatra.org

彼らは日本の植物学者である宮脇昭教授が考案し彼ににちなんで名付けられた植林技術ミヤワキ・メソッドを用いて、従来の植林方法が許す数の3倍もの密度で苗木をムンバイ西部に位置するジョゲシュワリ地区に植えている。

このミヤワキ・メソッドは土地本来の潜在自然植生の木群を中心に多数の種類の樹種を混ぜ狭い間隔で植樹するのが特徴で肥料や化学物質を一切使用せず自然なアプローチで森林を再生する植林技術だ。

Green Yatraはすでにデリー首都圏、インド南部カルナータカ州の州都バンガロール、インド西部マハラシュトラ州にある広大な都市プネー、インド西部グジャラート州の主要都市アフマダーバードでこのミヤワキ・メソッドを取り入れたプロジェクトを行っており、それらの成功を受けて2019年1月からここインド最大の都市で同手法を用いた人工林作りに着手した。

水やりや除草、保温や保水のために栽培植物の株元の周囲の地表をビニールシートなどで覆うマルチングなどのメンテナンスが必要になるのは最初の2年間のみでその後は管理不要になる(高い密度で植樹することで成長した苗木が林床を木陰にして雑草を抑える)。

Green Yatraの代表であるPradeep Tripathi氏によると5年ほどで苗木は成木に成長し、10年ほどで "100年経過した森林" に近い状態になるとのことだ。

 「多数の種類の樹種で構成されるミヤワキ式の人工森林は単一の樹種で構成される人工森林よりも10倍速く成長し、30倍密度が高く、100倍の生物多様性を持ち、30倍のCO2吸収能力、30倍の騒音と粉塵の低減能力を有し、緑地面積も30倍になります」

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(インド南部カルナータカ州の州都バンガロールでGreen Yatraと他のNGOが協力して作った都市森林)
photo via greenyatra.org

全体に占める緑地の割合が望ましいとされる33%よりもずっと低い13%のムンバイは自動車と工業による空気汚染と水位の低下という2つの脅威に対処するのに苦労しており、特に後者は多くの区域で断水という形になって現れている。

「グリーンウォールは二酸化炭素吸収源として機能することでメガシティが排出する汚染を中和するのに役立ちます。これらはまたモンスーンシーズンに降った雨水が地面に浸透することを助け、地下の地下水面を補充してくれるのです」
※舗装された道路や建築物などによって水が地下に浸透しない不浸透域では降った雨の多くが下水道に流れ込む。森林や庭など土が露出した浸透域では降った雨の多くが地下水となる。雨水がうまく地下浸透しないと地下水枯渇などの弊害が起きる。




だが都市に森林を作ることは決して簡単なことではない。Pradeep Tripathi氏らのチームはミヤワキ式の人工森林に欠かせない自然な土の層を見つけるために5フィート(1.534m)も土を掘り返さなければならず、さらに他の地域から本来の土壌である赤土を大量に運び入れなければならなかったという。

また苗木もムンバイの外から運び入れなければならないため人工森林の樹木1本当たりのコストは700ルピー(約1121円)になるという。ただしこれはより大規模に行うことで300ルピー(約480円)にまで抑えることができるとのことだ。

ミヤワキ式の人工森林がムンバイの空気汚染や水の問題をどの程度改善してくれるのかはわからない。だが幸いにもその答えが出るのは5年後とそう遠くない。

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