海外の反応まとめ

カルロス・ゴーン国外逃亡に対する海外メディアの反応まとめ

2020/01/07



中東カタールの衛星テレビ局『アルジャジーラ』

日本がカルロス・ゴーンの「不当な」逃亡を非難

Japan condemns 'unjustifiable' escape of Carlos Ghosn - 2020/01/05



ゴーンの事件は日本の司法制度に対する国際的な注目を集めている、同国の司法制度は容疑者が裁判を待つ間ほぼ無期限に拘束する力を当局に与えるものでありかねてから批判されてきた。

日本の検察は「合理的な疑いを超える証明」を立証するためには長期の拘禁が必要であり、裁判所が有罪判決を下すのに必要とされる鉄壁な証拠がない限り容疑者の告訴に踏み切らないと主張している。

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香港の日刊英字新聞『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』

ゴーンをめぐる物語は、日本にとって都合の悪い問題に疑問を呈している

Ghosn saga creates awkward questions for Japan - 4 Jan, 2020



社説:ゴーンをめぐる物語は、日本にとって都合の悪い問題に疑問を呈している

元日産CEOに対する財務不正疑惑がコーポレートガバナンスの問題なのか、刑事検察官が扱うべき問題なのかは依然として不明だが、この国では公正な裁判が保証されることは決してない



But some may feel a degree of empathy with his plight, since Japan’s judicial system has a 99 per cent conviction rate, achieved with scant regard for an accused person’s rights.
”しかし一部の人間は彼が置かれた悲惨な状況に同情するかもしれない、日本の司法制度は99%の有罪判決率を有しており、被告人の権利はほとんど無視されているからだ”




英国の日刊新聞『タイムズ』

カルロス・ゴーンは日本から逃亡する正当な権利があった、英国の実業家マイケル・ウッドフォードが述べる

Carlos Ghosn was right to flee Japan, says British boss Michael Woodford - January 2 2020



マイケル・ウッドフォード: イングランド出身の実業家で日本の光学企業・オリンパスの英国子会社勤務などを経て、オリンパス本社執行役員、代表取締役社長を歴任。大英帝国勲章(MBE)受章。 - https://ja.wikipedia.org/wiki/マイケル・ウッドフォード


カルロス・ゴーンの保釈中の日本からの逃亡は彼の正当な権利であると、2012年に日本を揺るがした粉飾決算スキャンダル「オリンパス事件」で前経営陣の不正を暴いた事で知られる英国の実業家マイケル・ウッドフォードはタイムズ紙に語った。

「カルロスゴーンがそれをした理由を完全に理解できる」

「彼が日本で公正な裁判を受けれるかには重大な疑念があり、ゆえに私は彼の行動に強く賛同[共感]している」

日本のカメラメーカーであるオリンパスの最高経営責任者を務めた現在59歳のマイケル・ウッドフォード氏はこう述べた。
米国のニュース専門局『CNN』

カルロス・ゴーンは今や自由に発言できるように、日本の評価が損なわれる可能性

Carlos Ghosn is now free to speak out. Japan's reputation could suffer - January 6, 2020



- Ghosn's public attacks will bruise 'brand Japan'(ゴーンの公開非難は「日本ブランド」を傷つける) -

レバノンに逃れたことでカルロス・ゴーンは今や日本の司法と日産からの追放について自由に語ることができるようになった。だが彼のそれらに関する暴露は "外国人(経営幹部)がビジネスを行う場所としての日本" の評判をさらに傷つける可能性がある。

「日本のブランド(日本の印象)は多大な損害を被るだろう」

テンプル大学ジャパンのジェフリー・キングストン教授はこう語った。

「彼の事件は間違いなく日本の司法制度にとって大きな敗北だ」

ゴーンはすでに新たに手にした自由を使って、異常な高さの有罪判決率を誇り、自分はそれの「人質」にされたと彼が主張している日本の刑事裁判制度を糾弾し始めている。

日産の元CEOが実際にさまざまな金融犯罪を犯した可能性はあるが、ゴーンに対する扱いと日本の司法制度は不正であるという彼の主張によって、「罪を犯したかの議論はすべて陰に隠れてしまっている」とキングストン教授は語った。




米Yahoo!ファイナンス

カルロス・ゴーンの日本逃亡により日本のビジネスを行う場所としての評判は傷つけられることに

Carlos Ghosn escapes Japan putting a blemish on the country's reputation as a place to do business - January 7, 2020



Yahoo!ファイナンスのディスカッションにフジタ・アキコが参加し、日産の元CEOのカルロス・ゴーンが日本からどのように脱出したか、そしてそれが日本に与える可能性のある負の影響について語る。
英国の公共放送局『BBC』

カルロス・ゴーンと日本の "人質司法"

Carlos Ghosn and Japan's 'hostage justice' system - 31 December 2019



カルロス・ゴーンの突然の国外逃亡により日本の「人質正義」システムと言われているものに再びスポットライトが向けられている。

日本の信じられないほど低い犯罪率は多くの場合、均質な文化、わずかな所得格差、および完全雇用に起因しているが、単純に多くの人々が逮捕されることを恐れていると言うのも事実だ。

日本の刑事司法制度は尋問に焦点を当てておりその目的は自白を得ることにある。日本の有罪判決の89%は自白に基づいており、起訴された場合の有罪判決を受ける可能性は99%となっている。



カルロス・ゴーンが逮捕・起訴されたこと自体に疑問の声を投げかける声も聞こえている。

日経新聞の社説で企業弁護士のスティーブン・ギブンズはゴーンが犯したとされる不正行為は日本で日常的に見過ごされている企業の不正行為よりも深刻ではなかったと述べている。

ではなぜ日本の検察の特別捜査部はゴーンの件に対してこれほどまでに執拗であるのか?

日本の検察に拘留された経験を持つ本の政治家で元衆議院議員の石川知裕は 日本の検察エリートの目から見たゴーンの本当の犯罪は "greed(強欲)" だと述べる。

ゴーンは日本で最初に年間所得が数百万ドルを超えた最高経営責任者であり、日本の企業文化を変えた男でもある。

「東京検察庁は自分たちが正義の門番であるという信念に駆られている。そして経済的に不平等な時代であるからこそ、彼らは金持ちを仕留めることで世間から高い評価を得ようと思っている」
フランスの国際ニュース専門チャンネル『France 24』

カルロス・ゴーン:保釈中に日本から逃亡した自動車業界の巨人はどうなるか

Carlos Ghosn: What next for the auto tycoon who jumped bail? - 31/12/2019



フランス24のベイルート特派員であるレイラ・モラナ・アレンは、レバノンと日本の間には犯罪人引渡し条約が存在しないが、今回の件は明らかに両国間に外交問題を引き起こすだろうと説明する。

「日本政府はレバノンに対しこれまでにも多くの援助をしてきた。そしてレバノンは現在深刻な経済危機に直面しているため、今受け取っている国際援助を手放すことができない状況にある」

  「しかしゴーン氏はこの国で非常に人気があり国民的ヒーローとして見られている。 彼はこの国で最も国際的に成功した実業家の一人であり、彼はレバノンでも多くのビジネスに携わっている」  

「だからこそ彼はこの国に戻ることを決め、この国のいくつかの機関の支援を受けれたと思われる」



フランス24のジェームス・アンドレは、カルロス・ゴーンはフランスではルノーを国営企業から自動車業界の巨人に変えたと評価されてはいるが、フランス国民の彼に対する思いは愛憎入り交じるものであると説明する。

「彼は非常に尊敬される一方で報酬やルノーのCEOとしての経営方針について批判されてもいた」

「社内ではゴーン氏の下で経営側と工場の現場との乖離が日を追うごとに大きくなっているとの批判があり、またここフランスでも彼の給与は莫大すぎると考えられており批判の声が上がっていた」

「フランスではゴーン氏の高額報酬が問題となり16年のルノーの株主総会では大株主であるフランス政府を含む54%の株主がゴーン氏の高額報酬に反対、しかし株主総会の決議に法的拘束力がないため後に一部が減額されたものの報酬は依然として高額なままであった」



一方で東京に拠点に活動するジャーナリストのジェイク・アデルスタインはフランス24の取材に対しゴーン氏の逃亡はおそらく賢い選択だったと説明する。

「ゴーンはおそらく最も賢明な決定をした、ゴーンが日本で公正な裁判を受けれる可能性はゼロだったからだ」




英国の日刊紙『ガーディアン』

カルロスゴーン:逮捕、逃亡、そして日本の司法制度に対する疑問

Carlos Ghosn: an arrest, an escape, and questions about justice in Japan - Sat 4 Jan 2020



カルロス・ゴーンの日本からレバノンへの劇的な脱出劇をめぐり、彼がこのような大胆不敵な行いを成功させた方法に対する多くの疑問が提起されたが、彼がそうした動機には疑いの余地はない。

ゴーン氏の未来は日本の検察に起訴され、扱う事件の99%以上で有罪判決を下す日本の司法制度の檻に閉じ込められた時点で決まっており、彼はそれを知っていた。

日本の検察は弁護士の立会いなしに彼を尋問するため立て続けに起訴を行うことで拘留を延長、かつての日産の救世主はクリスマスに妻と話すことさえ許可されず、ゴーン氏に近い情報筋によるとそれらは彼に自白を強要しようとする試みに等しいものだったという。




米国の経済誌『フォーブス』

カルロス・ゴーンが世界有数のCEOから国際逃亡者に至るまでの興味深い物語

The Intriguing Story Of How Carlos Ghosn Went From A Top CEO To An International Fugitive - Jan 2, 2020



日本の当局に100日間以上拘束される間、ゴーンは日本の司法制度は欧米社会のそれとは非常に異なっており同国の司法制度は不公正であると主張していた。

日本では犯罪を犯した疑いのある人間を長期にわたって拘束することがまかり通っており、被告人には適切な権利が認められず、彼らは罪を認めるように強制または圧力をかけようとする検察官による絶え間ない尋問に晒されている。

日本の有罪判決率は約99%であり、これは欧米の司法制度と比べて天文学的に高い。

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